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水産加工団地の排水処理に関する再質問主意書

参議院 第71回 第1号

提出者
参議院
提出日
1972年12月25日
内閣転送 1973年1月6日
答弁書受領日
1973年1月12日
提出から18日
答弁の項目数
5
質問 2,138字/答弁 2,366字

質問本文

昭和四十七年十一月十三日に提出した水産加工団地の排水処理に関する質問主意書に対する政府の答弁書の内容については多くの疑点がある。よつて左記の諸点について再度質問する。

一、一についての答弁のうち

(一) 排水処理施設がその機能を発揮することができなかつた理由として、当初設計上の排水の水質および量と実際の排水の水質および量との間に大きな差があつたことをあげているが、実際は水質調査の時点で、公害防止事業団において誤りがあつたのである。即ち事業団は、水の汚染度は二、一三〇PPMと誤認し、これに基づいて排水処理施設を建設し、塩釜市に引渡したが、実際には水質の汚染度は一〇、〇〇〇~三五、〇〇〇PPMであつた。このため排水処理施設は効用のないものとなつた。塩釜市団地水産加工業協同組合はその施設改善に一億六千万円の自己負担を行なつたほか、これにより一億三千万円にのぼる営業損失を出している。このように地元においては莫大な経費がかかり組合は倒産に追い込まれている現況である。これは事業団が義務を誠実に履行しなかつたところにより、有形無形の損害を地元に転嫁しているものである。まずこの責任の所在を明確にしなければならない。

また「加圧浮上機およびフロス処理機をつけ云々」と述べているが、これは排水処理施設が効用をなさないため、厚生、通産、農林各省係官、学識経験者をもつて構成する「基本構想検討委員会」を設け、排水の恒久的処理方法を検討し、その答申に基づいて取り付けられたものであるが、この工事費二億一千万円のうち、国、県の補助は七千万円であるのに対し、地元の市が三千五百万円、組合が一億円という大きな負担を行なつている。これも当初のずさんな調査、設計のミスに起因するものである。このよらなミスがなければ、地元に以上のような一連の負担はかからなかつたのである。政府答弁はこの点も明確にしていない。これを明確にするとともに、これらの負担は当然国が償うべき措置をとるべきではないか。

(二) 「当初建設した排水処理施設費について市の負担にならぬよう措置した」と述べているが、これも使用に耐えないものを転用するということで二千九百万円で市が引き取らせられたものである。これでも市に負担にならぬよう措置したといえるのか明確に見解を述べられたい。

二、共同処理施設の中に併設した化成工場にも欠陥装置の問題がある。この施設は一連の公害防止施設として付設したものであるが、稼動時より故障続出し、予期の生産効率を挙げることができず、結果的には解体処分して新しいプラントに代替している。この原因も事業団の機器選定が間違つた結果によるものと思うが、これに対する事業団の責任を明らかにすべきである。

三、二についての答弁で「排水処理など公害防止施設の費用は本来事業者が負担すべきものである」と述べているが、この排水処理施設は、全国初のテストケースとして国、県の提案指導のもとに建設されたものであり、これが機能しないことによつて地元において莫大な損害を蒙つたのであるから、市は当然これについて補償を受ける権利があると思うが、政府の見解を明らかにされたい。

また産業一般において技術革新をするには実に膨大な研究費が必要であり、これの支出は群小企業では到底できるものではなく、また注目すべき技術上の新発明の少なからぬ部分は巨大企業によつているというのが実情であり、常識となつている。わが国は勿論、世界でも未開発な領域にある水産加工業からの排水処理施設について、市ならびに零細企業が命運を賭して取り組んでいる事業に対し、本来事業者が負担すべきものであるという原則論で片付けることはできない。政府の見解を再度明らかにされたい。

四、三についての答弁で「これまでの実験結果では、商品価値のある良質なものが得られている」と述べているが、商品価値のある良質なものが得られているとはどのような根拠に基づいているのか。魚油にしても、ソリューブルも粗悪品と思われるが良質であるという具体的な根拠は何か。実験結果の正確な資料を明らかにされたい。

五、塩釜の水産加工団地の排水処理施設は、その機能不全によつて地元水産加工業者は窮地に立つている。これも事業団の調査、設計のミスによるものであることは先に述べた。政府は、五についての答弁で「中小企業者に対しては、金融その他にわたつて公害防止のための施策を実施している」と述べているが、塩釜の場合は、組合の倒産により地場産業の壊滅に至つた後では手遅れであり速やかに特別な救済措置がとられて然るべきである。政府の見解を伺いたい。またこの施設が全国初のテストケースとしての役割をになつており、その成否が全国の水産加工業の振興に重大な影響を与えることを考えると、国の研究開発の一端として実施しても然るべきものともいえる。政府はこの塩釜の排水処理施設に関し、今後いかなる施策を実施していく方針か、具体的に述べられたい。

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参議院の原文・経過

政府答弁書

一、について

(一) 塩釜の水産加工団地の排水処理施設が当初設計上の排水の水質および量と実際の排水の水質および量との間に大きな差があつたこと等の理由からその機能を発揮することができなかつたことは昭和四十七年十一月十七日付答弁書で述べたとおりであるが、実際の排水の水質および量に相応する排水処理施設としては本来、現在程度の規模内容のものが当然必要であつたと考えられる。

現在の施設は総工費二億三千九百万円(当初建設した施設からの転用部分二千九百万円を含む。)であり、この建設に当たつて国からの委託費の支出および宮城県の助成があつたことは先の答弁書で述べたところである。

なお、当初の施設の建設費四千九百万円のうち、前記転用部分(二千九百万円)を差引いた残額二千万円については、公害防止事業団において塩釜市との間の譲渡契約を変更し、この部分の金額をすでに減額ずみである。

(二) 当初建設した排水処理施設のうち、バッチ式曝気槽および処理水槽は、それぞれ現在の施設の調整槽および汚泥濃縮槽に転用することとしたが、その転用価値については、新しく連続式曝気槽の調整槽、汚泥濃縮槽を建設した場合の費用を四千二百五十万円と見積り、これから転用に伴なう配管、電気設備、槽改良などの経費一千三百五十万円を差し引いて二千九百万円の金額を算定したものである。なお、この点については塩釜市も了解しているところである。

二、について

共同処理施設の中に併設した化成工場の建設に当たつては、地元水産加工業者よりなる「塩釜市団地水産加工業協同組合」建設委員会の化成部会において検討し、機種の決定もその要望に従つて行なつたものである。

同施設は、昭和四十三年十二月同協同組合に引き渡され、その後その稼動を完全ならしめるため公害防止事業団において、数回の手直し工事を実施し、同協同組合において操業を続けてきたのであるが、昭和四十六年十二月塩釜市からその経営を魚腸骨処理に専門的知識をもつ民間の業者に委ねた方がより効率的であり、譲渡したい旨の申出があつたので、公害防止事業団もこれを承諾し民間の業者への譲渡がされている。

三、について

ア 塩釜の水産加工団地に当初建設した排水処理施設が、機能を発揮しなかつたため新たな施設の建設が必要となつたこと、その費用負担、国および公害防止事業団のとつた措置は一において述べたとおりであり、これについて市に補償を行なうことは考えていない。

イ 排水処理施設など公害防止施設の費用は先の答弁書で述べたように本来事業者が負担すべきものと考えるが、業種によつては公害防止費用を経営全体の中で吸収できないものもあり、あるいはこれを価格に転嫁することが困難な場合もあるなど難しい問題を多くかかえている。

したがつて、この問題はひとり塩釜の水産加工団地の問題としてだけでなく、関係業種について今後の産業政策、中小企業対策等において総合的に検討すべきものと考えている。

また、水産加工業の排水処理には、原料の腐敗しやすさ、漁獲時期および豊凶による操業の不安定、排水中の塩分、産地および加工処理方法による水質変動の多様性等からくる処理技術の困難性ならびに零細な水産加工経営体の処理経費負担能力の乏しさ等多くの問題がある。

塩釜地域については、政府としても、昭和四十七年から水産物産地流通加工センター形成事業の調査を行なつている。

本事業においては、市場施設、冷凍冷蔵施設、処理加工施設とともに公害防止施設も国庫補助の対象としているので、今後の加工団地の形成とこれに関連する公害防止施設の整備については十分配慮してゆく所存である。

四、について

塩釜の水産加工団地の排水処理施設に付属する酵素分解による蛋白質回収施設は廃棄物の処理と有効成分の回収を兼ねたプラントであるが、これの設置に先だち実施したミニプラントでの回収実験では、スケソウの処理廃水から蛋白質の含有量の高い良質のフイッシュ・ソリューブルが得られている。

また、昭和四十七年九月から十二月までは、スケソウの水揚げが例年に比較して少なく、カレイ類が多かつたこともあり、蛋白質回収施設は全期間を通じ運転されたわけではなく、回収量は予定の量には達していないが、二八トンの魚油と三九トンのフイッシュ・ソリューブルが生産されており、そのうち魚油一五トン、フイッシュ・ソリューブル一七・七トンがすでに販売されている。魚油については、当初の予定販売価格を上廻る価格で販売され、フイッシュ・ソリューブルについては予定販売価格で販売されており、商品価値のある品質であると考えられる。

なお、蛋白質回収施設は原魚の処理状況に対応し運転条件を調整中であるため、フイッシュ・ソリューブルについては、一部蛋白質の含有量の少ないこと等による品質の変動があり、予定の品質を確保できない製品もあつたが運転条件を調整することにより品質を安定することができる見通しである。

(参考)

一 ミニプラントによる回収実験結果

(一) フイッシュ・ソリューブルの品質

水分

五〇%

粗蛋白質

七〇%(ドライベース)

粗脂肪

一二%(ドライベース)

粗灰分

八%(ドライベース)

(二) 魚油の品質

酸価 〇・四一~一・三

五、について

中小企業は公害防止面において様々の障害に直面している。このため政府は中小企業の公害防止対策を積極的に助成することとし、環境保全に対する強い社会的要請に応えるとともに、中小企業の健全な発展をはかることとしている次第である。

なお、塩釜地区については、三で述べたように目下、水産物産地流通加工センター形成事業の調査を実施しているので、本事業において排水処理施設についても十分配慮してゆく所存である。

参議院の原文

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