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国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律の運用の実態に関する再質問
参議院 第91回 第11号お答えすることは困難 ×3承知していない ×1
質問本文
国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律の運用の実態に関する再質問主意書
国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(以下「権限法」という)の運用の実態に関する質問に対し、大平正芳首相よりの答弁書(内閣参質九一第五号)の送付を受けた。この答弁書には、なお問題が内包されていると思料するがゆえ、若干の質問を追加し、前回と同様の趣旨の下に、再度、大平首相の御見解を以下賜りたい。
一 司法権と行政権との人事交流に関する答弁について
(1) 一般的には、定期異動の時期に、最高裁判所に訟務担当の検事として適当な人物を推薦してもらい、本人の承諾を得た上で、必要な人数の訟務担当検事を採用しているとの答弁であるが、
(イ) 小川英明法務省訟務局参事官の場合も、この一般の場合に該当するのか。該当しない特別な場合であれば、どんな場合か。
(ロ) 定期異動の時期とは、年間のどの時期をいうのか。また最高裁判所に係る定期異動の時期と法務省に係るそれとは一致しているのか。
(ハ) 訟務担当検事を裁判官から採用することは、最高裁判所に係る人事計画に影響を及ぼすことにならないのか。
(ニ) 最高裁判所に推薦を依頼する時期は、各定期異動の時期との対応において、年間のどの時期か。
(ホ) 訟務担当検事として適当な人物の要件を列挙されたい。
(ヘ) 訟務担当検事の採用には、あらかじめ任期が定められている場合があるのか。
(ト) 最高裁判所の推薦する裁判官の承諾が得られなかつた場合、この裁判官はこれにより以後不利益を受けないという保障があるのか。あるとすれば、どんな保障か。
(2) 現在、訟務担当検事に弁護士出身者がいないとの答弁であるが、
(イ) これは日本弁護士連合会に所属する全弁護士の中に適当な希望者が一人もいないということなのか。
(ロ) 日本弁護士連合会に訟務担当検事として適当な弁護士を推薦する意志・能力はないとみなしているのか。そうであれば、その理由は何か。
(ハ) 日本弁護士連合会に訟務担当検事として適当な弁護士を推薦してもらうことが不適切であれば、その理由は何か。
(3) 法曹一元の制度が現在なお実現をみるに至つていないことの原因が、法曹人口の飛躍的増加、弁護士の地域的分布の平均化、裁判官の待遇の画期的改善等の不十分にあるとの答弁であるが、
(イ) 法曹人口の飛躍的増加がなぜ必要なのか。またそれを阻害している要因の全てを列挙されたい。
(ロ) 現在の法曹人口の実数及び飛躍的増加が達成されたあとの法曹人口の実数は、それぞれどれ程か。
(ハ) 法曹人口を諸外国のそれと比較する場合、公証人、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士等は、どういう位置におかれることになるのか。
(ニ) 弁護士の地域的分布の平均化がなぜ必要なのか。またそれを阻害している要因の全てを列挙されたい。
(ホ) 弁護士の地域的分布と事件の地域的分布との間には、どのような相関関係があるのか。
(ヘ) 裁判官の待遇の画期的改善がなぜ必要なのか。またそれを阻害している要因の全てを列挙されたい。
(ト) 画期的改善が図られた裁判官の待遇は、現在のそれとどのように異なるのか、具体的・定量的に示されたい。また現在の最高裁判所長官の待遇にも改善の必要があるのか。
(チ) 法曹一元の制度実現の責務は、法務大臣・法務省にあるのではないのか。
(4) 裁判官、検察官、弁護士が、司法修習生の時期において、三者の実務を修習することをあげてよしとしているようであるが、ではなぜ、就任後裁判官だけが、検察官としての職務をあらためて経験しなければならないのか。
(5) 小川英明参事官が、検察官としての職務を経験しなければならなくなつた本当の理由は何か。
二 成田空港建設事件(昭和四十五年(行ウ)第四八号・昭和四十六年(行ウ)第一〇五号)の被告筆頭指定代理人・小川英明参事官が関与している事件は、東京地方裁判所行政部(民事第二部・同第三部)では、法務大臣が指定代理人を置いている二百件近くの事件のうち、なぜか同事件だけである。
(1) 小川英明参事官が法務大臣の指定代理人として関与している全事件について、係属する裁判所名(所属部名を含む)、事件名、事件番号、原・被告名及び指定代理人となつた年月日をそれぞれ示されたい。
(2) 小川英明参事官の日常業務は何か、それらを具体的に列挙されたい。
三 小川英明参事官の成田空港建設事件の指定代理人としての適格性には問題がないとの答弁である。
(1) 指定代理人としての適格性の具体的な判定基準の開示を求めたのに対し、適正な事務処理を行うこととしか答弁がないが、
(イ) 右判定基準を開示しない、またはできない理由は何か。
(ロ) 法務大臣は、指定代理人に係る人事管理をどのような基準で行つているのか。
(ハ) 適正な事務処理を行うことに、弁護士法第一条第一項にいうがごとき、基本的人権の擁護や社会正義の実現が、概念として包摂されているのか。
(ニ) 同じく、憲法第七十三条第一号にいうがごとき、法律の誠実な執行が、概念として包摂されているのか。
(2) 成田空港建設事件に係る書証(乙第四七号証)に関する答弁について
(イ) 右事件にあつて、新空港用地の買収及び収用手続の経過の概要を立証しなければならない理由は何か。
(ロ) 右書証が、新空港用地の買収及び収用手続の経過の概要に関する事実を立証する文書であると判断した理由は何か。
(ハ) 右書証に係る文書を、空港公団は業務上いかなる必要があつて作成したのか。
(ニ) 新空港用地の買収及び収用手続の経過の概要として記載される虚偽事実を立証することにしかならない右書証を提出・維持することが、どうして指定代理人としての適格性に欠けることにならないのか。
(ホ) 小川英明参事官が右書証に関し、新空港用地の買収及び収用手続の経過の概要として記載された虚偽事実につき承知しているのであれば、その内容を示されたい。
(3) 小川英明参事官らによる城野好樹証人の証拠申請について
(イ) 東京地方裁判所民事第二部の藤田耕三裁判長らにより、原告代理人らの申請に対する証拠決定があるまで、小川英明参事官らは城野好樹証人の証拠申請を回避していたが、その理由は何か。
(ロ) 小川英明参事官らによる城野好樹証人の証拠申請は、藤田耕三裁判長らの依頼によるのか、その他いかなる事情に基づくのか。
(ハ) 藤田耕三裁判長らは、行政処分取消訴訟にあつては、行政処分の適法性についての立証責任は被告側にあると原告代理人らに語つたと伝え聞くが、小川英明参事官は、行政処分の適法性の立証責任について、どのような認識をもつていたのか。
(ニ) 事業認定処分については、ともかく河野正三証人らの証言によるとしても、特定公共事業認定処分に係る立証責任につき、小川英明参事官はどのようにして果たさんとしていたのか。
四 成田空港建設事件を裁く藤田耕三裁判長と同事件に係る被告筆頭指定代理人・小川英明参事官との関係には問題がないとのことであるが、
(1) 一般に、同一事件に係る裁判長と一方の当事者の代理人との間に個人的な関係が存在する場合、この関係の内容によつては、司法の公正を疑わしめることもあろうかと思料される。
(イ) 司法の公正を疑わしめないためには、裁判長と一方の当事者の代理人との間に個人的な関係の存在が明らかな場合、その内容の一切が明らかにされるべきではないのか。
(ロ) とり残されたもう一方の当事者の代理人は、いかなる手続きにより、裁判長と相手方代理人との関係が、自ら担う裁判の、ひいては司法の公正を疑わしめるものでないということを認識できるのか。
(2) 藤田耕三裁判長と小川英明参事官との個人的な関係が、「不動産訴訟の実務」の共同編集ということを通し、いわば氷山の一角という形で顕在化した以上、その個人的な関係の内容の一切が明らかにされることになつても、公共の福祉のため、やむを得ないのではないのか。合理的な範囲内でプライバシーが制限され、情報が公開されて然るべきではないのか。
(3) 藤田耕三裁判長や小川英明参事官には、成田空港建設事件の担当を職務上回避する自由、権利はないのか。ないのであれば、両者にとつての根拠をそれぞれ示されたい。
(4) なお、小川英明参事官が成田空港建設事件を担当するのであれば、同氏には、公共の福祉のため「不動産訴訟の実務」を藤田耕三裁判長と共同編集するに至つた経緯を明らかにし、もつて、藤田耕三裁判長との個人的な関係が、司法の公正を疑わしめるものでないことを鮮明にする憲法上の責務があるのではないのか。
(5) 藤田耕三裁判長が東京地方裁判所民事第二部に着任した年月日、これが内定した年月日については、承知していないとの答弁であるが、小川英明参事官もまた承知していないということなのか。
(6) 小川英明参事官が法務省訟務局に配置されるのが内定した年月日は、昭和五十三年三月二十九日以前ではないのか。その年月日を示されたい。
(7) 小川英明参事官に係る訟務担当検事として適当な人物の推薦を最高裁判所に依頼した年月日、推薦が得られた年月日、及び本人の承諾が得られた年月日をそれぞれ明らかにされたい。
(8) 右(7)の承諾にあたり、小川英明参事官は藤田耕三裁判長に意見を求めたか。どのような意見だつたのか。
五 新東京国際空港工事実施計画の認可処分等取消請求事件(昭和四十年(行ウ)第八三号)に係る原・被告の訴訟代理人の全氏名及び訴訟の進行状況につき明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
(1)(イ) 一般の場合に該当する。
(ロ)から(ニ)まで 裁判所及び法務省関係の定期異動は、年度末、年度当初等に行われており、それ以前の適当な時期に最高裁判所に訟務担当の検事の推薦を依頼している。
訟務担当の検事を裁判官から採用しても最高裁判所の人事計画に影響を及ぼすことはないと考えている。
(ホ) 民事及び行政の争訟に関する事務を適正に処理し得る知識と能力を有することである。
(ヘ) 任期はないが、訟務を担当する期間はおおむね三年である。
(ト) 裁判官の身分は保障されており、訟務担当の検事に転官することを承諾しないことによつて何ら不利益を被ることはないと考えている。
(2) 弁護士の中にも訟務担当の検事として適任者がいないとは考えていないが、弁護士が一時期その業務を離れて検事となることに伴う経済的不利益等により、実際問題として、日本弁護士連合会から適任者の推薦を受けることは困難であると考えられ、同連合会にその推薦を依頼することは相当でないと考えている。
(3)(イ) 法曹一元の制度が実現されるためには、裁判官の給源となるべき多数の優れた法曹の確保を必要とするが、法曹となるための国家試験である司法試験は、資格試験であつて、その合格者数がそれほど多くない現状にある。
(ロ) 裁判官二千七百四十七名(昭和五十五年度定員)、検察官二千九十二名(昭和五十五年度定員)、弁護士一万一千四百三十八名(昭和五十五年四月一日現在における日本弁護士連合会弁護士名簿登録者数)である。
飛躍的増加が達成された後の法曹人口を実数で示すことは困難である。
(ハ) 国によつて制度が異なるので、一概に比較はできないが、我が国においては、司法書士等は、公証人を除いて、いずれも法曹資格を有しないのが通常であり、裁判官の給源となり得ないので、これらを法曹人口に含ませることは相当でないと考えている。
(ニ)及び(ホ) 弁護士の地域的分布の平均化がなされていないと、全国に一定水準の裁判官を弁護士から採用して配置することが困難となるからである。
弁護士の地域的分布の平均化が阻害されているのは、経済事情等に地域的な格差が存するためであり、一般的に事件数の多い地域ほど弁護士数も多い傾向にあると思われる。
(ヘ) 優れた弁護士が、裁判官となることによつて、収入面等で不利になることがないようにするためである。
裁判官の待遇を改善するには、国の財政事情及び他の公務員の給与体系との均衡等を考えなければならない。
(ト) 具体的、定量的に示すことは困難である。
最高裁判所長官の待遇は、現時点においては妥当なものと考える。
(チ) 法曹一元の制度は望ましい制度の一つとして考えられてはいるが、政府としていまだその採用を決定しているわけではない。
(4) 裁判官、検察官、弁護士は、司法修習生の時期においてのみならず、その後においても、相互に他の職務を経験することが法曹として望ましいと考える。
(5) 一についての(1)(イ)において答弁したとおりであり、他に理由はない。
二について
(1) 別表のとおりである。
(2) 小川英明参事官の日常業務は、右各事件に関する事務を処理することである。
三について
(1)(イ)及び(ロ) 指定代理人に要求されるのは、適正な事務処理を行うことに尽きると考えている。
法務大臣としては、適正な事務処理を確保するという観点から人事管理を行つている。
(ハ)及び(ニ) 御指摘のとおりと考える。
(2)(イ)から(ハ)まで 御指摘の文書は、新東京国際空港公団が新東京国際空港に係る「用地買収の経過と収用手続に関する業務資料」として内部的な事務処理の必要上作成したものであり、御指摘の事件における被告建設大臣の処分の適法性を立証する書証として提出したものである。
(ニ)及び(ホ) 小川英明参事官は、御指摘の文書が新東京国際空港用地の買収及び収用手続の経過の概要を立証する書証として適当であると考えていたものと承知している。
(3) 小川英明参事官は、城野好樹証人による立証を必要と認めた段階で証拠申請を行つたものであり、右申請について裁判官から依頼があつた事実はないと承知している。
同参事官は、行政処分の適法性の立証責任について十分に承知していたものと考えている。
四について
(1)から(4)まで 民事、行政事件を担当する裁判官につき、民事訴訟法所定の事由があるときには、除斥、忌避及び回避の制度が設けられている。
藤田耕三裁判官と小川英明参事官との間には、右の民事訴訟法所定の事由に該当するような関係は何ら存在しないと承知している。
(5) 御指摘のとおりである。
(6)及び(7) 具体的年月日は明らかにできない。
(8) 承知していない。
五について
御質問の事件は東京地方裁判所昭和四二年(行ウ)第六一号のことと思われるが、同事件の原告代理人は小長井良浩、葉山岳夫、小林 優、藤田一伯、木内俊夫、大森 明、金子光邦、川村 明、後藤孝典、糠谷秀剛、山根伸右であり、被告代理人は脇 征男、水田嘉憲、三澤 明である。
また、同事件の口頭弁論期日は昭和四十二年九月二十七日付けをもつて追つて指定となつている。
別表 小川英明参事官が法務大臣の指定代理人として関与している事件 1/3
別表 小川英明参事官が法務大臣の指定代理人として関与している事件 2/3
別表 小川英明参事官が法務大臣の指定代理人として関与している事件 3/3
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