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沖縄県における雇用・失業問題に関する質問主意書

衆議院 第101回 第48号

提出者
衆議院
提出日
1984年8月8日
内閣転送 1984年8月8日
答弁書受領日
1984年8月21日
提出から13日
答弁の項目数
5
質問 2,421字/答弁 2,057字

質問本文

衆議院議長 ※(注)永健司 殿

沖縄県における雇用・失業問題に関する質問主意書

沖縄県の失業率は、昭和四十七年の復帰以来急増し、常に全国平均の二倍から三倍という極めて高い数字を記録し推移している。沖縄開発庁が発表した沖縄県労働力調査の結果によると、沖縄県の完全失業率は、昭和五十八年度の平均で五・八パーセント、全国平均の二倍を上回つており、深刻な実態が依然として続いている。

政府は沖縄振興開発計画の基本計画に「本土との格差是正」、「自立的発展の基礎的条件の整備」を掲げてきた。復帰後十三年目に入つた今日、県民所得は全国平均の約七〇パーセントで、全国最下位であるのをはじめ、教育、医療、福祉施設など本土との格差が著しい。

とりわけ失業問題は、「格差是正」されるどころか、復帰前の一パーセント前後から比べると大きく後退しているのが現実である。失業問題の解決に当たり何ら有効な具体策を講じてこなかつた政府の責任は重大であり、一刻も早く現状を打開する具体的な対策が緊急に求められている。

以上の立場から沖縄県の雇用・失業問題について、以下の点を質問する。

一 沖縄県の沖縄振興開発計画関係資料(昭和五十七年十月)の「人口・所得フレーム関係資料」によると、第二次沖縄振興開発計画の目標年次である昭和六十六年の沖縄県の完全失業率は三・四パーセントとなつている。

1 政府は、一九八〇年代経済社会の展望と指針」で昭和六十五年の完全失業率の目標値を「二パーセント程度」としている。

沖縄県の目標を全国値「二パーセント程度」とせずに何故三・四パーセントとしたのか、その根拠と理由を明らかにされたい。

2 この目標はどのような施策によつて達成しようと考えているのか。

二 政府は第二次振興開発計画で、沖縄の厳しい雇用・失業情勢に対応して、「雇用の安定を図るため、産業の振興と有機的な連携のもと沖縄の実情に即した雇用機会の創出を図るなどの総合的な雇用対策を進める」と述べている。

ここでいう「総合的な雇用対策」とはどういうことか、その内容を具体的に明らかにされたい。

また、その推進状況はどうか。

三 昭和四十六年十二月三十一日に公布された沖縄振興開発特別措置法は、第三十八条で、労働大臣が沖縄県知事の意見を聞いて「就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする」と定めている。

政府は同法制定後、この第三十八条に基づく失業対策事業をこれまでに一度も実施したことがない。

私は、これまでもこのことを再三指摘しその実施を求めてきた。しかるに政府は、沖縄県においては産業振興によつて雇用機会の拡大を図ると称して、「事業を実施することは考えていない」と拒否してきているのが現状である。

しかし、現に県下の那覇市、浦添市などで、この種の事業を実施しており効果をあげている。

1 政府は、同法第三十八条に基づく失業対策事業の役割、意義をどのように考えているのか。また、今後においてもこの事業を実施する意思はないのか。

2 産業の振興によつて雇用機会の拡大を図るといつても「早急にその効果を期待するのは困難」(昭和五十八年六月「沖縄県経済の概況」沖縄開発庁、沖縄総合事務局)と述べており、現実には見通しが立たない状況にある。とりわけ深刻な沖縄の失業問題を解決するためには、公的就労事業を国の責任で興して、就労の場をつくつていくことが重要だと考えるが、どうか。

四 沖縄県の失業者は若年層が多く、その対策が大きな課題となつている。昭和五十七年度でみると、二十九歳以下の失業者が全体の五六・五パーセントと極めて高い状況にある(沖縄県の経済概況、昭和五十八年度版)。

若年層の失業者が多い原因のひとつに県外就職者のいわゆるUターン現象があるということは、これまでも指摘されていることである。しかも、このUターン者は年々増加しており、その理由として「県内で就職したい」と答えているものが、昭和五十二年から昭和五十六年の平均で六六・四パーセントと圧倒的に多いことが特徴でもある(沖縄県の経済概況、昭和五十八年度版)。

政府は、Uターン者が年々増加する原因をどうみているのか。また、Uターン者の県内における雇用機会の拡大を含む若年層の失業対策を、どのように考えているのか。

五 政府は、昭和五十九年四月、沖縄振興開発特別措置法第三十八条に基づく「沖縄県の労働者の職業安定のための計画」(昭和五十一年五月十日作成)の改定案を作成し、沖縄県知事に意見を求めている。

この改定案について質問する。

1 「沖縄県の労働者の職業安定のための計画」を改定しようとする趣旨は何か明確にされたい。

2 改定案は基本方針の項で、沖縄県の労働者の雇用確保をするために、「沖縄県内における雇用機会の確保・拡大にむすびつく施策の推進に努める」及び「沖縄の実情に即した雇用機会の創出に努める」と述べている。

この点について、昭和五十一年五月十日作成の現行計画は、「県内において雇用機会の確保を図ることが重要である」及び「地元雇用機会の創出」と述べている。

改定案でいう「雇用機会の確保・拡大にむすびつく政策」とは何か。また、「沖縄の実情に即した雇用機会の創出」と「地元雇用機会の創出」はどう違うのか。

今回の改定案で、現行計画をこのような表現に改定しようとする理由は何か。

3 改定案は、諸政策の実施に当たつて、「機関が行う地域開発、産業振興等の関連施策を十分考慮し、効果的な推進に努めるものとする」と述べている。

現行計画はこの点について、「機関が行う地域開発、住民福祉等の関連施策を十分考慮しつつ、実施するものとする」とある。

「住民福祉」を「産業振興」に改定する理由は何か。

「住民福祉」の関連施策は考慮しない考えか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

昭和五十八年八月に閣議決定された「一九八〇年代経済社会の展望と指針」では、「昭和六十五年度の完全失業率を二パーセント程度を目安として、できるだけ低くするよう努める」こととしている。

なお、地域的に労働力需給の不均衡もあることから、同展望と指針ではこれを解消していくため、産業振興等の施策をとることとしている。

第二次沖縄振興開発計画では、雇用需要の増大につながる産業振興方策を講ずること等により、昭和六十六年における雇用失業情勢はかなり改善され、労働力人口は約五十三万人、就業者総数は五十一万人を超え、失業者数は二万人未満に減少するものと見込んでいるところである。

一の2及び二について

沖縄県の厳しい雇用問題に対処するためには、基本的には、産業を振興して県内における雇用機会の拡大を図ることが必要であり、雇用対策の面でも、産業の振興との有機的な連携の下に雇用機会の拡大に結びつく施策の推進に努めることが重要である。

こうした観点から、経営基盤のぜい弱な沖縄の地元企業の基盤の強化を図ることにより雇用需要の増大に努めるとともに、若年求職者に対し雇用機会を創出するための職場適応訓練を実施しているほか、学卒就職予定者に対する進路指導、職業指導の充実等を図つているところである。また、地域雇用促進給付金制度を沖縄県全域に適用して地域の労働力需給の円滑な結合を促進するとともに、那覇地域においては、地方自治体等関係機関の協力の下に、地域の特性に応じた雇用機会の開発を図る目的で、地域雇用開発推進事業を実施しているところである。これらの対策は、第二次沖縄振興開発計画においても引き続き総合的に進めることとしている。

三について

失業対策事業等国や地方公共団体が特別の事業を実施し、失業者を吸収する方式については、失業者が当該事業に滞留し、その再就職にはつながらないという基本的な問題があり、昭和五十五年十二月に労働大臣に提出された「失業対策制度調査研究報告」においても、「雇用失業対策は、今後とも、民間企業における雇用の安定や雇用の促進のための施策の拡充、発展及びその積極的活用を基本とすべきであり、失対事業のように失業者を吸収するために国や地方公共団体が事業を起こすという方式はとるべきでない」旨述べられているところである。

したがつて、政府としては、今後は、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)等に基づく各種雇用助成措置の活用等により民間企業への雇用の促進に努めることとしているところであり、失業者を吸収するために新たに事業を実施することは考えていない。

四について

沖縄県において、県外就職をした後Uターンする者が多いということについては、本土までの距離が遠隔であること等の理由から、他県に比べ地元志向が強いという点に基本的な原因があるものと考えられる。

政府としては、Uターン者や若年失業者の雇用の安定を図るため、これらの者に対する職業指導、職業紹介の実施、県内における求人開拓、若年求職者に対する職場適応訓練の実施等の施策の推進に一層努めてまいりたい。

五について

1 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)第三十八条の規定に基づき昭和五十一年五月に作成された「沖縄県の労働者の職業の安定のための計画」(以下「現行計画」という。)を改定しようとしているのは、

(一) 昭和五十七年三月に同法が延長され、これに基づいて同年八月に第二次沖縄振興開発計画が決定されるなど、沖縄の振興開発のための新たな方向が示されたこと、

(二) 若年失業者の滞留など現行計画作成当時と比べ雇用失業情勢の変化がみられること等の新たな状況に対応して、沖縄の特性に応じた雇用対策を進めていく必要があるからである。

2 昭和五十九年四月に労働大臣から沖縄県知事に意見を求めた「沖縄県の労働者の雇用の促進及び職業の安定のための計画(案)」(以下「改定案」という。)における「雇用機会の確保・拡大に結びつく施策」とは、雇用保険法に基づく雇用改善事業等の各種施策について、沖縄県における雇用機会の確保及び拡大の観点からその積極的な活用を図ること等の施策をいうものである。

また、「沖縄県の実情に即した雇用機会の創出」とは、沖縄県の実情を踏まえながら雇用機会の創出を進めていくことであり、現行計画の「地元雇用機会の創出」と趣旨を同じくするものである。

なお、改定案において現行計画の表現を改めているのは、沖縄県における雇用機会の不足が著しいことから、今後は、県内における雇用機会の確保及び拡大に重点をおいて各種施策を総合的に推進していくという考え方に即した表現とするためである。

3 改定案において「地域開発、産業振興等の関連施策」を掲げているのは、同施策が雇用機会の拡大に結びつく可能性の強い施策と考えられるところから例示したものであり、改定案が「住民福祉」等の施策を考慮しないという考えではない。

右答弁する。

衆議院の原文

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