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自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問主意書

衆議院 第102回 第6号お答えすることは困難 ×1

提出者
衆議院
提出日
1984年12月11日
内閣転送 1984年12月15日
答弁書受領日
1984年12月25日
提出から14日
答弁の項目数
5
質問 2,965字/答弁 1,133字

質問本文

衆議院議長 ※(注)永健司 殿

自動車損害賠償責任保険の料率引上げに関する質問主意書

政府は、昭和五十三年度以降の収支悪化を理由に自動車損害賠償責任保険の保険料を引き上げようとしている。政府の説明によれば、収支悪化の原因は交通事故の増加と給付内容の大幅改定とされている。しかし、この説明は事実を全く無視した一方的なもので信ずるに値しない。

また、二年前政府は、自賠責保険の運用益の中から二千五百六十億円を保険契約者の了解を得ることなく一方的に流用し、一般会計の赤字穴埋めに充当した。自賠責保険の会計に余裕があるとして流用を行い、舌も乾かぬうちに料率を引き上げようとする政府の無節操さが保険契約者ひいては国民に与えた疑惑、不信ははかり知れないものがある。

この問題について、国会審議の中で、私並びに同僚議員が何度も質問したが、政府から満足な回答が得られず、我々が納得できるような改善は認められなかつた。

従つて、次の事項について質問する。

一 保険収支は昭和五十二年度までは黒字であつたが、昭和五十三年度から赤字になつたと政府は説明している。そして、交通事故の増加と給付内容の大幅改定が原因と述べている。しかし、我々の推計(資料I参照)によれば、こうした因果関係は認められない。つまり、昭和五十二年度の実績に、政府の説明する二つの要素を加味して推計すると、昭和五十八年度の収支は、約三百億円の黒字となるはずである。にもかかわらず政府は、昭和五十八年度の収支は実に二千六十三億円の赤字と説明している。この重大な差異の原因を伺いたい。

二 自賠責保険は、人身事故を対象にした制度である。しかし、政府の説明によれば保険金支払いに当たつて、人身事故証明によるものが八〇%、物損事故証明によるものが、一五%、全くないものが五%となつている。近年、物損事故証明、無証明による支払いが急増しているが、このような野方図な支払いが続く限り収支の抜本的改善は期待できない。その理由と政府の具体的な改善策を伺いたい。

三 自賠責保険には、積年の課題である医療費の支払い水準の問題がある。この問題について自賠責審議会は、既に昭和四十四年の答申において早急な適正化を訴えている。しかるに政府は、無策のまま看過し、現在の収支状況を惹起した。これは政府の怠慢以外のなにものでもない。

現在、交通事故診療の八六%が自由診療扱いとなつている。そして、この診療単価は健保扱いの二倍以上という社会通念上逸脱したものとなつている。このギャップの妥当性について、明確な回答を伺いたい。

もし政府が自賠責審議会の答申を尊重し、交通事故被害者、保険契約者の権利保護のため、適正な支払基準を設定する義務を感ずるならば、具体的な内容を示して頂きたい。

四 自賠責保険は、自動車保有者に強制加入を義務付けているにもかかわらず、政府はその収支内容、料率改定、限度額改定の根拠を保険契約者に明らかにしていない。一部は自賠責審議会の中で公表しているとか、一定期間の閲覧期間を設けているとの反論があるかもしれない。しかし、これにより保険契約者一人一人に理解を得るに十分とは考えられない。少なくとも我々には理解できない。細部にわたる収支状況を公開し、了解を得る必要がある。そのための具体的な方策を伺いたい。

五 自賠責保険の収支は、支払年度ベースの収支(リトン・ベーシス)によれば、昭和五十八年度末で一兆千億円の累積黒字(資料II参照)があると判断される。しかるに政府は契約年度ベースの収支(ポリシー・イヤー・べーシス)によれば、大幅赤字が発生していると説明している。このポリシー・イヤー・べーシスは、当該契約年度に対応する将来の支払いを予測して推計するため、予測根拠の精度によつては、しばしば見積り違いを惹起する。昭和四十四年の大幅料率引上げのあと、収支が急激に好転したにもかかわらず、保険契約者に不当に重い料率負担を課してきたのは、この見積り精度の悪さと政府の硬直的な料率政策に起因している。

昭和四十四年の過ちを二度と招来しないよう、政府の考え方を明らかにするため、次に挙げる予測値並びに根拠を提示して頂きたい。なお、予測値は自賠責特別会計、損保会社引受分、農協分それぞれにわたつて明確に提示して頂きたい。

1 昭和六十五年度までの交通事故発生件数の予測及び根拠

2 昭和六十五年度までの死亡、傷害別交通事故発生件数の予測及び根拠

3 昭和六十五年度までの車種別交通事故発生件数の予測及び根拠

4 昭和六十五年度までの死亡、傷害、後遺障害それぞれの保険給付件数、支払単価並びに支払保険金額の予測及び根拠

5 昭和六十五年度までの車種別収支、損害率の予測及び根拠

6 昭和六十五年度までに実施されると考えられる交通安全対策、医療費適正化策、その他の具体的な収支改善策並びにそれぞれの収支改善に与える影響の予測及び根拠

7 昭和六十五年度までの自賠責保険収支の予測並びに根拠

最後に、自賠責保険の問題は緊急かつ抜本的な解決を要求されている。政府の早急かつ誠意ある回答を期待する。

右質問する。

資  料 I

1 交通事故発生状況

昭 和 52 年

昭 和 58 年

増 減 率

死  者  数

8,945

人

9,520

人

6

%

負 傷 者 数

593,211

654,822

10

2 最近の保険金限度額改定

昭和50年 7 月

昭和53年 7 月

増 減 率

死    亡

1,500

万円

2,000

万円

33

%

障    害

100

120

20

後 遺 障 害

56〜1,500

75〜2,000

34

3 平均支払保険金

昭和52 年 度

昭和58 年 度

増 減 率

死    亡

13,883

千円

17,207

千円

24

%

障    害

366

421

15

後 遺 障 害

2,970

3,122

5

4 上記による58年度支払保険金推計

昭和52年度

実     績

×

事 故

増減率

×

平 均 支 払

保険金増減率

計

百万円

%

%

百万円

死    亡

138,763

6

24

182,390

障    害

202,796

10

15

256,537

後 遺 障 害

137,737

10

5

159,086

計

479,296

598,013

5 58年度推計対実績比較

昭和58年度実績

同   推   計

差          引

死    亡

189,404

百万円

182,390

百万円

7,014

百万円

傷    害

354,392

256,537

97,855

後 遺 傷 害

286,120

159,086

127,034

計

829,916

598,013

231,903

付 帯 費 用

94

94

合   計

830,010

598,107

6 保険収支

昭 和 58 年 度

同   推   計

収入純保険料

6,237

億円

6,237

億円

支払保険金

8,300

5,981

当年度収支残

△

2,063

256

昭和52年度(296億円)より40億円黒字減

資  料 II

自賠責保険収支表(リトン・ベーシス)

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

昭和五十八契約年度における自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という。)の収支について、自動車保険料率算定会(以下「算定会」という。)の算出した金額と御質問の資料で試算された金額とが異なるのは、前者が昭和五十八年度までの保険金支払等の実績に基づいて算出しているのに対して、後者は交通事故統計を算出根拠にしていることによるものである。

二について

自賠責保険の保険金の請求の審査に当たつては、損害保険会社等は、公的機関の発行する交通事故証明書によるほか、医療機関、事故当事者等に対する調査により、事故の事実等につい

て厳格な確認を行つているところである。

三について

医療費については、算定会における調査を充実する等、従来から、その支払の適正化に努めているところであるが、昭和五十九年十二月十九日の自動車損害賠償責任保険審議会の答申の趣旨をも踏まえ、引き続き努力してまいりたい。

四について

自賠責保険の収支状況等については、算定会において損害保険料率算出団体に関する法律第八条の規定に基づき保険契約者等の利害関係人の閲覧に供する等、契約者が理解できるよう措置しているところである。

五について

御質問の1から5までに係る件数等のうち、算定会及び全国共済農業協同組合連合会において、自賠責保険(自動車損害賠償責任共済を含む。以下同じ。)の収支を予測する上で具体的な予測値を必要とするのは、4及び5に係る件数等のみであり、1から3までに係る件数については、特に予測が行われていない。

自賠責保険収支について、現時点で予測が行われているのは、昭和六十契約年度までであるから、4及び5に係る件数等についても同契約年度まで予測が行われている。これらの件数等及び自賠責保険収支の予測値は、別表一から三までのとおりである。また、これらの予測値は、昭和五十八年度までの実績値に基づき、その傾向等を勘案して算出されたものである。

なお、契約年度ベースでの自動車損害賠償責任再保険特別会計の収支については、別表三の自賠責保険の収支に含まれており、独立した予測は行つていない。

ちなみに、御質問の6については、御指摘の施策の影響を個別的かつ定量的に予測することは困難であるが、様々な収支改善のための努力により、保険事故率の低下等がもたらされるものと予測されている。

右答弁する。

別表一 死亡、傷害及び後遺障害それぞれの支払件数、平均支払保険金並びに支払保険金

(1)損害保険会社元受分

(2) 農業協同組合等元受分

別表二 車種別の収支及び損害率

(1)損害保険会社元受分

(2)農業協同組合等元受分

別表三 収支

(1)損害保険会社元受分

(2)農業協同組合等元受分

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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