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高速自動車国道等の通行料金問題に関する質問主意書
衆議院 第103回 第10号お答えすることは困難 ×1
質問本文
衆議院議長 坂田道太 殿
高速自動車国道等の通行料金問題に関する質問主意書
政府は、本年十月から高速自動車国道の通行料金の値上げを実施したが、これは昭和五十年、五十四年、五十七年に続いての度重なる値上げであり、走行環境がますます悪化している状況や、既に従来から世界に例を見ない高額料金となつている点、更には、通行料金の車種別不公平を問題とした訴訟が起こされ、不公平感が世論を形成しつつある現状において、国民の理解を超えたものと言わざるを得ない。
申すまでもなく、道路は国民の生活、国の経済の重要な基盤であり、道路行政は正に政治そのものであると言つて過言ではない。「道路法」(第四十九条)及び「高速自動車国道法」(第二十条)は、他の特別な法律の規定がある場合を除いて、道路の設置・管理等に要する費用を国、都道府県、地方公共団体の負担とするとしており、原則として道路は誰もが無料で自由に利用できるものであることが出発点である。しかし、我が国のモータリゼーションの急激な発達に対応できなかつた道路整備の遅れを挽回するための特別措置として、高速道路等での通行料金徴収を行わざるを得ないことについては、国民の一応の理解を得られているものと考えられるが、今般の値上げ以前に我が国の通行料金が世界でも例を見ない程の高額となつており、料金徴収によつて建設費などの償還が終了し利益が生じている路線においても、無料化はごく一部の一般道路のみで、高速自動車国道等では今後共値上げはあつても値下げの見込みが立たず、大昔の関所のように金の無いものは通さない「金持ち道路」化している状況については国民の理解の範囲を超えており、現行のプール採算制、道路整備計画を中心に見直しが必要であることを指摘しておきたい。
私は、このような通行料金の高額負担や相次ぐ値上げに対する国民の不満と不信感を喚起している大きな要因は、料金設定の不明朗さにあると考える。今日、一つの世論となつている車種別料金の不公平問題についても、料金を徴収する側だけの論理で押し通そうとするところに起因していると考えるものである。
斯様な観点から、次の質問について政府の明確な答弁を求める。
一 道路整備特別措置法施行令において、高速自動車国道等の通行料金の設定基準を定め、道路利用者が時間、距離、燃料費等の運転費、輸送費、旅行費、荷役費などについて節約できる額を超えてはならないものとし、かつ、その「節約できる経費の額」を、少なくとも普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、乗合型自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス、自転車その他の車両ごとに算定しなければならないと定めている。この規定に基づき、車種ごとの「節約できる経費の額」を国民に示し理解を得ることが必要である。これについて、具体的な数値を示し説明されたい。
二 道路整備特別措置法施行令第一条の七第二項第二号の小型自動車及び同第三号の軽自動車に含まれる二輪車(小型二輪自動車及び軽二輪車)について、前述した「道路利用者が道路利用により節約できる経費の額」の算定上、四輪車とは区分をすべきと考えるが、どのように扱われているのか明らかにされたい。
三 車種別通行料金の設定に当たつて、前述した「道路利用者が道路利用により節約できる経費の額」以外の要素が付加されるのか、その内容と基準を明らかにされたい。
四 現在、二輪車の通行料金が二十九人乗りのマイクロバス等と同額であるのは、著しく不公平だとして、多くの二輪車運転者が問題を提起し訴訟にまで発展するなど世論を形成しつつある。私も誠に率直な疑問として、二輪車や軽自動車は道路に与える損傷度(軸荷重の四乗に比例)、走行時の専有面積、最高走行速度(二輪車、軽自動車は毎時八十キロメートルで他の車両より毎時二十キロメートル低く押さえられている)、乗車定員(二輪車は一名)など様々な角度から見ても普通自動車と同一料金であることが、道路整備特別措置法第十一条で定める「公平妥当」なものとは理解しがたい。
本年四月十八日に出された道路審議会の中間答申には、「現行の三車種区分には、特に普通車の区分に二輪車から普通貨物自動車までが含まれているなど、重量等からみて著しい不公平が生じているという批判もある。(中略)より公平性を高める観点から、将来、車種区分を若干追加することが考えられてよい」旨が述べられている。これに対し、国会において当局から「多少の問題はないわけではないが、公平性を著しく歪めるものではない」旨の答弁(交通特答弁)がなされている。しかし、全国に約三百路線ある一般有料道路等の約三分の二の路線において、現に二輪車や軽自動車の料金区分がされている。その料金は、普通車に対し二輪車の料金は、三分の一ないし半額程度とされており、正に著しい料金格差を設け公平化を図つているのである。政府の前述答弁は、これら一般有料道路等の料金体系を否定することになりかねないものである。公平妥当の行政上の評価基準について政府の見解を明らかにされたい。
五 更に政府は「料金徴収に用いる機械の整備が完了する昭和六十三年度末になつたら、車種区分等について検討する」との見解を示しているが、これは不明朗極まりないものである。機械の整備云々は料金を取る側のみの論理で、料金そのものの不公平論とは全く別の問題であり、機械の整備を進めることとは別に料金の不公平是正についての検討はなされなければならない。早急に道路審議会を招集するなど、公正妥当な車種別通行料金の在り方について検討すべきと考えるが、これについて見解を明らかにされたい。
六 昭和四十七年までは、東名高速道路においても二輪車などの料金区分が実施されており、その後、現行の「普通」「大型」「超大型」の三区分に統合されたという経緯がある。従つて現在の料金徴収機械でも現状以上の車種区分の追加が可能と思われるが、現在の機械装置で、車種区分追加が可能な数を明らかにされたい。
七 車種区分を多くした場合、料金徴収に掛かる時間的損失が生ずると言われているが、二輪車、軽自動車、マイクロバス、トラックなど、車体形状や寸法、ナンバープレート等により車種の識別は一目瞭然である。時間的損失の発生とは具体的にどのような根拠をもつものか、明らかにされたい。
八 最後に、特に不公平感の著しい二輪車の通行料金について、多くの二輪車運転者が訴訟を起こしており、今後新たな原告団が結成され、第二、第三の訴訟が起こされるとの報道もある。
道路利用者、即ち「お客様」から訴訟を提起されるという行政として恥ずべき事態である。この様な事態が拡大しないためにも、いたずらに法律論争で対立感情をあおるのではなく、道路審議会の中間答申の意に沿い、公平性を高めるための車種区分等の改定を可能な部分からでも実施することと、近い将来の見通しを一日も早く明らかにして理解を得ることが、行政の姿勢でなければならないと考えるものである。これについて、見解を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
道路整備特別措置法施行令(昭和三十一年政令第三百十九号。以下「令」という。)第一条の七第一項に規定する「通常節約することのできる額」は、個別の一般有料道路ごとに、当該道路の構造、走行時間等の特性を勘案して車種別に算定することとされており、例えば、日本道路公団の管理する一般有料道路「草津道路」の場合には、小型乗用自動車については約四百八十八円(料金の額二百円)、小型二輪自動車については約三百八十五円(料金の額百五十円)等と算定されている。
二について
一般有料道路を通行し、又は利用する小型自動車及び軽自動車に係る「通常節約することのできる額」の算定に当たり、小型自動車については二輪車と四輪車とを区分して扱うこととしている。
三について
一般有料道路の車種別料金の設定に当たつては、令第一条の七第二項の規定により各車種ごとの「通常節約することのできる経費の額」を算定するほか、車種区分に係る料金徴収技術上の問題等を総合的に勘案の上、決定しているところである。
四について
高速自動車国道の料金の額の基準としての公正妥当な料金とは、利用者の料金負担力から見て、また、利用者の当然負担すべき費用の見地からしても、著しく割高なものでないと同時に、不当に割安なものであつてはならないという趣旨であり、現行の車種区分については、昭和四十七年の道路審議会の答申において「車種間の負担の公平を著しく歪めることがない範囲で、なるべく統合された車種区分を採用することが適切」と提言されたことを踏まえ、三区分としているものである。
五について
高速自動車国道の車種別料金のより適切な在り方については、引き続き検討することとしている。
六について
昭和四十七年以前に東名高速道路等で使用されていた料金徴収機械は、現在ではすべて三車種区分に即したパンチ・カード方式の料金徴収機械に更新されており、更新後の機械に新たな車種区分を追加することは困難であると聞いている。
七について
料金所においては、収受員が自動車のナンバー・プレート、車体の形状、車軸数等から車種を判別し、車種区分に応じた通行券を発行し、又は料金の徴収を行つているが、ナンバー・プレートの分類と車種区分が必ずしも合致していない等の理由から、車種区分の判別が難しい自動車もある。
したがつて、車種区分を増やすことにより車種判別のための判断要素が増え、かつ、その組合せが複雑なものとなるため、収受員が的確、瞬時に車種判別を行うことがより難しくなるとともに、通行券を発行するための機械操作等も煩雑なものとなり、必然的に料金所における利用者の時間的損失を招くこととなる。
八について
高速自動車国道の車種区分等の料金制度については、昭和六十年四月の道路審議会の中間答申の趣旨等を踏まえつつ、引き続き検討することとしている。
右答弁する。
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