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平和相互銀行に対する監査のあり方に関する質問主意書
衆議院 第104回 第9号
質問本文
衆議院議長 坂田道太 殿
平和相互銀行に対する監査のあり方に関する質問主意書
今回、住友銀行との合併が行われるという平和相互銀行(以下「平相」という。)の過去における経営の乱脈については、その実態が明らかになり金融機関の社会的信用を著しく失墜させている。そして、永年にわたり銀行検査を何回も行い指導監査を行つてきた大蔵省の責任は、極めて重要であると考える。
平相は既に十数年以来、度々の銀行検査を受け、検査官の報告でその内容は大蔵省銀行局から歴代の大蔵大臣に報告をされており、必要な指導監督は適切にされているはずである。しかるに今回のような平相の結果をいたらしめたのは、検査のあり方とその結果並びに指導に重大な誤りがあつたと断ぜざるを得ない。
この点から検査の経過について質問する。従来は検査に関しては公表されないのであるが、合併という段階に入つたことでもあり、且つ、銀行に対する社会的不安を今後除去するためにも、また、銀行検査について重大な疑惑が生じたためにも、この際過去の経緯を公表し、金融機関と政府の責任を明らかにすることが大切であるから、政府は率直且つ詳細な回答を出されることを強く要望する。
一 昭和四十九年末、大蔵省銀行局猪熊主任検査官を長とする七名の検査官が約一ヵ月の期間、平和相互銀行を検査したことは今では周知のことであるがどうか。
二 その検査で、小宮山家が全株を所有する足立産業株式会社を中心とする各企業に約七百五十億円にわたる集中融資を行つた事実を掌握し、重大な問題に発展する恐れありとして、同行を特別監視銀行として関東財務局長が通告したことは事実であるか。
三 決算承認銀行は大蔵省内の処理方式であるが、事後決算は事前に大蔵省の承認を求めなければならないから、必然的に人事を含む広範な諸事項に及んで大蔵省銀行局の監督指導を受けることになる。この時以降、大蔵省は具体的にいかなる指導をしたのか。
四 昭和五十二年、中源三主任検査官を長とする七名の検査官が約一ヵ月にわたる検査を行い同年十月報告したが、その内容は四十九年の猪熊検査の報告結果を覆し、特別監視銀行の通告を解除し平相に重大な危険はないとした。平相検査の中でこの事実は極めて重要である。本人は週刊誌を通じて「検査のやり方に二つある。通常のものと摘発行為に出るものとか、私は通常のやり方をした」と述べているが、銀行検査にかくの如き二通りがあるのか。
猪熊検査結果は何故無視される結果となつたのか。
五 昭和五十四年十一月から十二月まで、矢津主任検査官を長とする七名の検査官が慣例となつている予告期間もなく立ち入り検査を行つたが、その結果、中源三検査結果を再び覆し莫大な不良債権を指摘し、再び同行を特別監視銀行と決算承認銀行の併立という厳しい裁定を下したが、この時の検査は特別な理由があつたはずであるが、それはどういうことであつたか。
この時の指摘した不良融資は約千五百億円であつたというがどうか。また、ウラで約四百五十億円の債務保証をしたのはどうか。
承認銀行になつた後でも今回次々と明らかになつたように、莫大な不良融資先へ追加融資や幹部の不正事故が行われた事実があるが、大蔵省の監督指導が適切でなかつたのではないか。
六 昭和五十五年四月九日、参議院物価等対策特別委員会で目黒今朝次郎君の質問に答えて銀行局小田原説明員は、「私ども検査した内容における限りにおいては健全な担保も徴しておりますし平和相互銀行がいささかも経営上問題があるというふうには感じておりません」と断言した。いかに守秘義務をタテにしても国会を瞞着するも甚しい答弁であり、今日を招いたのはかかる銀行局の態度であると痛感するがどうか。
七 昭和五十五年十月二十二日、参議院決算委員会で目黒君がその後明るみに出た平相の危機を指摘したために、大蔵省米里恕銀行局長は遂に五十四年検査結果の一部を報告し、「五十四年三月期末で未計上債務保証を行つていたという事実もその段階でわかつたわけでございます。」とし、しかし「経営内容について銀行の資産内容が著しく悪化しているという意味での問題はない」として実態を承知しながらなお、国会をごまかす答弁をしたことは言語道断であるが、今となつてどう反省しているか。
八 右について今日、渡辺大蔵大臣は、最終的に「事実を隠すことは余り結構なことではない」旨答え、今後は国会議員の注意を有効に作用すること、国会の趣旨を反映する旨答えているが、このとおり政府は対処するかどうか。
九 昭和五十五年一月、前述の中源三検査官は(五十四年末の矢津検査の直後)大蔵省に辞表を提出し、四月受理されたが、直ちに平相の小宮山社長を始め一族が全株を所有する総武流山電鉄に顧問として就任、二年後に平相の取締役に就任した。
人事院規則は、離職後二年間は離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを禁止している。中検査官は平相の検査をし、しかもその検査結果は疑問のあるものであつた。
氏が退職後就職したのは平相小宮山社長の全株所有する流山電鉄であり、二年後は平相役員となつている。人事院規則の運用は形式的であつてはならない。これは悪用ではないか。また、中源三氏が大蔵省へ辞表を出した理由は何であつたか。
十 検査官が屡々銀行から接待や供応を受け、また、退職後銀行に就職することが通常とされているとの批判が強い。検査官は特別の権限を法律上もつていないが、銀行法における大蔵大臣の指導監督権の行使権は大きく、その代理として実質的に大きな権限をもつている。かかる批判を政府はどう考えているか。大蔵大臣は検査官の指導教育、検査結果の審査などはどうしているか。
右の批判の中から、銀行検査官を検査する検査官をつくるべきだとの皮肉さえいわれているがどうか。
十一 平相の今日の住友への合併は、十年以上にわたる不良貸付など経営の乱脈の累積の結果であるから、この間の大蔵省の指導監督、検査が適切に行われていたら回避できたかとも考えられる。しかし平相の役員は現在も二十名中、大蔵省、国税庁、検察庁、警察庁、日本銀行等から七名も天下り人事として就任し、顧問団も同様天下りである。
これらの人々が、平相の危機的状況について政府の厳重な指導をさせない潤滑油的な役割を果たしてきたのではないか。政府もまた人事上暗黙にその役割を認めてきたのではないか。
十二 今や平相問題は単に平相にとどまらず、相銀全般にかかる問題が大なり小なり存在するのではないかとの風評が流れつつある。現在相銀は約百行であるが、不良債権に対し更に利息等をとるための追加融資を行つている少なからぬ数の相銀があると伝えられているがどうか。また、決算承認銀行が相当数あると伝えられているがその数はいくつか。
十三 以上述べ、且つ質問するように影響は極めて大きく、健全な経営をしている相銀にとつても迷惑千万な相銀不信の状況である。従つてこの際、相銀の信用回復と預金者保護のためにも、平相に対して今日まで大蔵省のとつた指導監督と検査の実態を明らかにすること並びに平相の経営の実態、不良債権の状況を公表するべきであると思うがどうか。また、大蔵省銀行検査官が退職後、金融機関に就職しているリストを報告せよ。
十四 平相及びその関連企業から行われた政治献金は莫大といわれている。政治資金規正法によつて届出られた諸団体の届出の中から整理して数年間分を明らかにせよ。
十五 平相従業員は住友銀行との合併に不安を禁じ得ないものがある。政府は両者で確認された合意が誠実に守られるよう監督指導すべきであると思うがどうか。
十六 相互銀行の乱脈経営の一例として、新潟相互銀行(以下「新相」という。)が五十三年七月常務会において、ウラン開発へは「(1)新たな与信をしない (2)今後の必要な資金は事業の予想利益の前どりをさせよ等」の決定による十四億円の返済をさせたことは、自らの傍系会社へ行つた不良貸付をこれによつて迂回して回収し、他企業を犠牲にした非情且つ巧妙なやり方であり、且つそのために十数億円のウラ保証を秘密に行つたものである。
このために当該不動産会社がその後売却した際の利益は事前に銀行がとつているから当該会社は納税が不可能となつたのであつて、新相は国庫に莫大な損失を与える結果となつている。
大蔵省はかくの如き事実を監査でどう処置をしたのか。事実関係をどう考えるか。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの平和相互銀行に対する検査は、猪熊久典検査官ほか五名により、昭和四十九年十月十四日から十一月八日までの間、実施した。
二及び三について
平和相互銀行に対する昭和四十九年の検査に際し、大口信用集中、与信構造等の問題点につき、改善を求めた。
なお、個別の金融機関について、いわゆる決算承認制度等の対象とされていたかどうかなどについては、信用秩序維持等の観点から、答弁を差し控えたい。
四について
金融機関に対する検査(以下「金融検査」という。)の方法は、お尋ねのような二通りに区別されるわけではない。
なお、個別の金融機関に対する指導上の区分については、信用秩序維持等の観点から、答弁を差し控えたい。
五について
金融検査は、諸般の事情を勘案しつつ計画的に実施しており、平和相互銀行に対する昭和五十四年の検査についても、その一環として実施したものである。
右の金融検査の結果を明らかにすることは、信用秩序維持等の観点から、差し控えたい。なお、お尋ねの債務保証については昭和五十五年六月六日参質九一第二六号において述べたとおりである。
また、平和相互銀行に対する検査、指導については、従来から最善の努力を払つてきたところである。
六について
御指摘の答弁は、当時の検査結果を踏まえ、平和相互銀行には、預金者保護に欠けるほど資産内容が悪化しているというような経営上の問題はないという趣旨で述べたものであり、この点は、昭和五十五年六月六日参質九一第二六号においても明らかにしたところである。
七について
御指摘の答弁は、当時の検査結果を踏まえ、六についてにおいて述べたような趣旨をふえんして述べたものである。
八について
個別の金融検査の結果を明らかにすることは、信用秩序維持等の観点から、差し控えざるを得ない。金融行政については、今後とも、国会における御指摘にも配意しつつ、適切に行つていく所存である。
九について
御指摘の元大蔵省職員が就職した電鉄会社と大蔵省との間には国家公務員法第百三条第二項に定める「密接な関係」がなく、同人の平和相互銀行への就職は、離職後二年間の就職制限期間経過後のものであり、いずれへの就職も国家公務員法に抵触するものではない。
なお、同人は、大蔵省の退職勧奨に応じて、後進に道を譲るために退職したものである。
十について
金融検査官に対しては、その職務の重要性を十分認識し、自らを厳しく律しつつ職務に当たるよう指導、教育するとともに、検査結果については、厳正な審査を行い、適切かつ公正な検査の実施が確保されるよう努めている。
なお、金融検査官の再就職は、定められた規則等にのつとり適正に行われている。
十一について
国家公務員等が再就職した職場において、それぞれの長年にわたる知識や経験が活用されることは、本人にとつても、再就職先にとつても、望ましいものと考えているが、国家公務員が再就職することによつて、当該国家公務員の在職した国の機関の所管する行政がゆがめられてはならないことは当然のことである。
十二について
お尋ねの点については、信用秩序維持等の観点から、答弁を差し控えたい。
十三について
平和相互銀行に対しては、これまで二年程度の間隔をおいて検査を実施してきており、その都度、検査結果に基づき、同行に対して、経営姿勢、融資体制、大口信用集中、与信構造等の問題点につき、改善を求めてきたところである。
個別の金融機関の経営内容やこれに対する検査の結果、指導の具体的内容について答弁することは差し控えたい。
また、昭和五十一年一月一日から昭和六十年十二月三十一日までの十年間に大蔵省を離職し、離職前五年間に金融検査官の職歴を有していた者で、人事院の承認を得て金融機関の役員として就職し、現在も在職している者は別表のとおりである。
十四について
お尋ねについては、政治献金を受けた政治団体及び寄附者が特定されない限り調べることができないものである。
十五について
お尋ねの合併については、両者の合意が遵守されることを期待している。
十六について
お尋ねは、特定の金融機関と特定の企業との具体的な取引に係る事柄であるので、信用秩序維持等の観点から、答弁を差し控えたい。
右答弁する。
(別表)
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