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TBTO及び養殖魚に使用されている化学物質に関する質問主意書
衆議院 第107回 第28号承知していない ×2
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
TBTO及び養殖魚に使用される化学物質に関する質問主意書
魚網防汚剤TBTOについて、私は昭和五十七年以来農水委員会においてその安全性に問題があることを採り上げ、その使用の即時中止を求めてきたところである。
しかしながら、その後もその使用実態は一向に変わらず、瀬戸内海のTBTOによる汚染はひどくなる一方であり、遂に養殖魚のみならず天然魚までがTBTOによる汚染を受ける状況にまで至り、消費者・国民に大きな不安を招いている。
ここに至るまで、事態を放置した政府の責任は重大であるといわねばならない。
従つて、次の事項について質問する。
一 TBTOは、昭和六十年十二月二十八日の通産省による「既存化学物質の微生物等による分解度及び魚介類の体内における濃縮度試験の結果について」で、もう既に使用が禁止されているDDTと同様に生物濃縮性が高いと判断される化学物質とされている。このような生物濃縮性が高い化学物質を直接海や河川で使用することは、環境及び国民の食生活の安全性上問題無いと考えているのか。その場合の根拠は何か。
二 政府は、TBTOの急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、発癌性、魚毒性、残留性についてそれぞれどのように評価しているのか。また、TBTOのそれぞれの毒性についての引き続いての調査は行つているのか。
三 厚生省は、TBTOの暫定ADIとして体重一キログラム当たり一・六マイクログラムを定めているが、これは世界的に認められているのか。また、TBTOについて、FAO=WHOで食品中の安全性評価及びADI基準の評価が行われているのか。世界的評価がなされていないとするなら、その理由は何か。
四 TBTOの代替化学物質があることはもう既に報道されているが、政府として代替を進める考えはないか。また、政府としてより安全性の高い代替化学物質の開発を進める考えはないか。
五 TBTOのずさんな取扱いによる漁民などの健康障害の心配が報道されている。政府として、漁民及びTBTO取扱い業者にTBTOによる健康障害について調査する考えはないか。
六 以上見たような様々な問題があるTBTOの使用はできるだけ速やかに中止すべきだが、政府は使用中止する考えはないか。ないとするなら、その根拠は何か。
七 現在、養殖魚に投与される抗生物質の投与基準は養殖魚に使われる抗生物質の八〇%しかなく、残りの二〇%については事実上野放しになつている。さらに、その基準を担保するための残留検査体制も年間予算四千万円(前年対比九〇%)一県当たり年間わずか百検体しか処理できず、そのうえ五十品目もある抗生物質のうち九品目しか検査できない状態になつている。これでは、抗生物質の大量投与を規制することは極めて困難であることは明らかである。政府として、すべての抗生物質に基準を作るとともに、検査体制予算の大幅増額による全品目の検査及び検査検体数の大幅引上げをすべきと思うがどうか。その考えがないとしたらその根拠を示せ。
八 本来流通させてはならない奇形養殖魚が市場に出回つており、本来焼却処理をしなければならない奇形養殖魚が海上及び陸上投棄されていることが報道されていたが、このような事態は、消費者に不安を招き、ひいては養殖魚全体の信頼性を損なうことになる。政府として、奇形養殖魚の市場流通を防止するための指導監督を強める考えはないか。また、焼却処分徹底の対策を示せ。
九 養殖漁業の経営が困難になつてきており、それがますます薬に頼る養殖漁業を推し進めている。政府として、養殖漁業の負債対策を抜本的に進める考えはないか。
右質問する。
政府答弁書
一について
TBTOの環境及び食品中の残留については、その実態からみて、現在のところ環境及び国民の食生活の安全上問題があるとは考えていないが、当該物質が環境及び食品中に残留することは公衆衛生の観点から好ましいことではない。
また、当該物質は難分解性及び高蓄積性の性状を有するものと判定されているが、毒性については、これまでに得られた既存文献の調査では重大な毒性を報告するものはないものの、その十分な評価をするには更に慢性毒性等の知見が必要である。
このため、今後、環境及び食品中の残留の推移並びに現在進められている慢性毒性等の追加調査の結果を踏まえ、必要に応じ使用の規制等所要の対策を講じてまいりたい。
二について
TBTOの急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性及び発がん性については、厚生省においてこれらに関する調査を行つてきたところである。これまでに得られた既存文献の調査では、重大な毒性を報告するものはないが、TBTOの毒性を十分に評価するには、更に慢性毒性等の知見が必要であるので、これらに関する追加調査を行つているところである。また、TBTOの魚毒性については、水産庁において海産魚を用いて試験中である。
なお、TBTOの分解性及び生物体内への蓄積性については、通商産業省において従来から実施している既存化学物質の安全性点検の一環として調査したところ、難分解性及び高蓄積性の性状を有するものと判定したところである。
三について
TBTOの一日許容摂取量及び当該物質を含む食品の安全性評価については、FAO/WHO合同食品規格委員会において検討されておらず、諸外国においても具体的な評価が行われているとは承知していないが、我が国においては専門家で構成された検討会において、現在までに入手し得る内外の文献等を資料として、現時点における暫定的一日許容摂取量を体重一キログラム当たり一・六マイクログラムと推定したものである。
なお、国際的に評価が行われていない理由については承知していない。
四について
漁網防汚剤については、TBTOを含まないものも一部使用されているが、効果及び費用の面で問題が残るため、今後、関係団体とも協力して、これらの点につき更に検討を加えてまいりたい。なお、漁網防汚剤を使用する必要のない養殖用金網の使用も増加しているところである。
TBTOの代替化学物質については、民間企業において研究開発が行われており、今後ともその状況を注視してまいりたい。
五について
現在までのところTBTOを含む漁網防汚剤の取扱いによつて健康障害が生じたとは聞いていないが、今後とも、水産関係団体を通じ、TBTOを含む漁網防汚剤の使用の実態等の把握に努めるとともに、養殖業者等に対し適切な取扱いについて注意を喚起してまいりたい。
六について
TBTOについては、環境及び食品中の残留の推移並びに現在進められている慢性毒性等の追加調査の結果を踏まえ、必要に応じ使用の規制等所要の対策を講じてまいりたい。
なお、TBTOを含む漁網防汚剤については、従来から使用を自粛するよう水産業界を指導しているところである。
七について
水産用の抗菌性医薬品については、用法・用量及び休薬期間等の使用上の注意が定められており、その遵守の徹底を図るため、養殖業者等に対するパンフレット配布、巡回指導、説明会等を行つているところである。
なお、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に基づく動物用医薬品の使用規制の対象医薬品は、その使用の実態、残留による人体への影響の可能性等を総合的に勘案して選定しているところである。
食品として安全な養殖魚の生産の確保を図るため、農林水産省において、出荷前の養殖魚を抽出し、すべての抗菌性医薬品を対象として、実態に応じた残留検査を実施しているところである。
八について
奇形養殖魚については、養殖魚全体の信頼性を維持するため、関係者に対しその市場出荷を控えるよう注意を喚起してまいりたい。
また、焼却処分等のための施設の設置については、必要に応じ、新沿岸漁業構造改善事業等の活用を図つているところである。
九について
養殖業の健全な発展を図るため、特に水産用医薬品の適正使用につき今後とも十分関係団体を指導するとともに、養殖管理の適正化に努めてまいりたい。
また、固定化負債を有する養殖業者については、必要に応じ、既存の制度資金の活用を図つてまいりたい。
右答弁する。
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