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生乳取引等の速やかなる改善措置に関する質問主意書
衆議院 第113回 第19号
質問本文
衆議院議長 原 健三郎 殿
生乳取引等の速やかなる改善措置に関する質問主意書
私は去る百八国会以来、農畜産物の自由化進行下においていよいよ危機に瀕する我が国の酪農についての諸問題を採り上げ、農林水産委員会及び物価問題等に関する特別委員会において、繰り返し政府の見解を質してきた。
しかし、政府の答弁は、そのつど糊塗するに努め、まことに一貫せず、ために様々な矛盾がいつそう露呈していることを指摘せねばならない。
現に本文質問第七項で指摘しているごとく、本年もあと二ヵ月余を残すのみとなりながらも、本来は生乳生産の特性に基づく典型的な生産者という弱者における取引の安定性を確立するために、生乳等「取引契約」又は「生乳取引契約に関する農業協同組合法第十条第一項第十一号の団体協約の締結又は変更」の必要性が極めて重要な規定となつているのにもかかわらず、いまだに全国的にはいわゆる「暫定」払いを脱し得ない情勢など、まことに由々しい問題を抱えていると言わざるを得ない。しかも、我が国農業関係者に計り知れない深刻な衝撃を与え、且つ今後いちだんと民族・国家の自立ですら損なうほどの事態に発展せざるを得ないものとして憂慮されるので、緊急なる改善を要すると考える。
従つて、次の事項について質問する。
一 全国生乳連(昭和五十九年設立、昭和六十年認可、農協法人)は、会員の切実な要請を受けて会員との引取メーカー大手三社に対し、農協法及び関係法規に即した所定の手続をもつて、昭和六十二年三月以降今日まで九回に及ぶ「団体協約締結のための申込み」を行い、あわせて当局への支援を求めてきたが、メーカー側は腑に落ちる何らの理由も示さずに、一様にこれを拒否し続けている。この事態について、政府はメーカー側のこの態度についてなぜいまだにこれを是としているのか明らかにせよ。
二 農業協同組合法と中小企業等協同組合法とは同様の主旨のもとで、日本国憲法(第二十八条)を母法として成立している組織法と理解しているが、両者のそれぞれの事業規定には「組合員の経済的地位改善のためにする団体協約の締結」なる文言が記されている。しかるところ、一方の中小企業等協同組合法にはこの事業規定を担保する意味での応諾義務規定が確認されているにもかかわらず、農業協同組合法にはその定めがないばかりか、中小企業等協同組合法には当該種目の販売・購買の有無にかかわりなく取引相手側との対等性が行使できる可能性を持つているが、このことの改善措置をいかに講じたか明らかにせよ。
三 そもそも取引当事者間の行う「取引契約」とそれに関する「団体協約」とは、それぞれいかなるものか。その定義と具体的な「契約」並びに「協約」における成立条件について示せ。
四 法的能力を確実に具備し、対外的な法的対抗権を持つ全国生乳連に対し、メーカー側の一方的拒絶について「農協だからそれは自らのものである」とのみで、全国生乳連の設立当時より終始一貫して全くの支援助長をしない当局の態度は、今後自由化進行下における我が国農民の自発的な新たな順法的対応の必要を考えるとき、まことに重大な事柄に属することと言わねばならず、「団体交渉権確立」の能力こそが新世紀に問われるべき課題と理解するが、政府はいかなる見解を持つか明らかにせよ。
五 六十一年よりメーカー側から生産者団体に押しつけたことから発生している「用途無指定、その他向け」は、近時いつそうの割合が拡大され、そのほとんどの使途は飲用向けであるにもかかわらず、メーカー側の原乳買いたたきの手段となつていると私は把握しているが、その実態について政府はこれをどのように認識しているのか。また、この件について指導方針を明確に示せ。
六 また、前項のごときは明らかに不公正な取引であるので、そのことについて改善の必要を重ねて要請してきたが、当局はいかなる措置をとつたか明らかにせよ。
七 全国的にはいまだに六十三年度乳価は、その多くが取引当事者間における決着がいまだにつかず、いわゆる「暫定払い」のまま経過していると聞く。しかも一方では緊急と称する乳製品輸入が累次にわたつて行われようとしており、生産者のいきどおりは、頗る問題性なしとしているが、このような事態に対する行政責任をどのように認識しているか示せ。
右質問する。
政府答弁書
一について
全国生乳需給調整農業協同組合連合会(以下「全国生乳連」という。)と大手乳業メーカー三社との間の団体協約締結については、両当事者間の問題であると考えている。
なお、大手乳業メーカー三社は、全国生乳連に対し、現にこれらのメーカーと指定生乳生産者団体(加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和四十年法律第百十二号。以下「不足払い法」という。)第九条第一項の指定生乳生産者団体をいう。以下同じ。)との間で生乳取引に係る交渉を十分行つているところであるので、全国生乳連との交渉には応じられない旨回答したと聞いている。
二について
農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)においては、農業協同組合及び農業協同組合連合会(以下「組合」と総称する。)が行うことができる事業の一つとして「組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」を定めており、この団体協約締結のための交渉は、他の法律により特に定められている場合を除いて、組合の自主的な活動にゆだねられている。
なお、農業協同組合法上は、団体協約の締結の対象となる取引については、組合が自ら事業として行うことができる取引と同種類のものには限定されていない。
三について
一般に、組合の組合員(会員を含む。以下同じ。)が締結する「取引契約」とは、組合員とその取引相手方とが、取引について価格、数量等を約定することにより成立する法律行為である。
農業協同組合法上「団体協約」とは、組合が、組合員の経済的地位の改善を図るため、組合員と組合員の取引相手方との間の取引条件等について、組合員の取引相手方との間で書面をもつて約定することにより成立する法律行為である。
四について
全国生乳連による団体協約締結については、農業協同組合法に定められている事業として、その自主的な活動により行われるべきものであると考えている。
五及び六について
生乳受託販売(不足払い法第五条の生乳受託販売をいう。)に係る販売価格の約定の方法については、不足払い法の規定に則し生乳取引の実態に応じて適切に行われるよう指導しているところである。
御指摘の「用途無指定その他向け」という区分の設定については、指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの話合いにより設けられているものであり、生乳取引の公正と安定が確保される限り問題はないと考えている。
七について
昭和六十三年度の生乳取引交渉の状況については、指定生乳生産者団体及び大手乳業メーカー三社から聴取したところ、一部を除いて合意あるいはほぼ合意に達していると聞いている。今後とも、生乳取引交渉の早期妥結に向けて指定生乳生産者団体及び乳業メーカーの双方を指導してまいりたい。
なお、脱脂粉乳及びバターの輸入については、脱脂粉乳及びバターの需給及び価格の動向等を勘案して、その需給及び価格の安定を図るため、不足払い法の規定に基づき行つているものである。
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