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BBCI(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、本社ルクセンブルク)の経営破綻に関する質問主意書

衆議院 第121回 第4号

提出者
衆議院
提出日
1991年8月30日
内閣転送 1991年9月4日
答弁書受領日
1991年9月10日
提出から11日
答弁の項目数
9
質問 1,725字/答弁 2,528字

質問本文

BCCI(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、本社ルクセンブルク)の経営破綻に関する質問主意書

近年、金融の国際化が著しく進展しつつある中で、本年七月、英国中央銀行がBCCIの粉飾会計を突き止めたことをきっかけとして、BCCIは米欧主要国の金融当局による営業停止及び資産凍結処分を受け、事実上の経営破綻に陥った。同行の営業内容等が明らかになるにつれ、世界的規模で単に預金者、金融界にとどまらず衝撃波が広まっている。

我が国においても、同行東京支店が七月八日から臨時休業に入ったため、預金の引出しができず、経営不安に追い込まれる事業者が出る等深刻な事態を惹起している。

ついては次記事項について質問する。

一 BCCI及び同グループの設立年月日、株主構成、資産状況、預金者数、預金残高、貸付残高、支店開設状況、営業活動 状況等同行及び同グループの内容について可能な限り明らかにされたい。

二 同行については、昨年一月、麻薬資金のマネーロンダリングの疑いで米国の捜査当局に摘発されているが、それ以前からも問題の多い銀行として金融業界では広く知られていたとされているが、大蔵省がそうした情報を得た時期と内容を明らかにされたい。

三 同行の東京支店開設申請の打診時期、申請年月日、許可年月日、許可に際しての審査内容と米欧の銀行監督機関に対する同行に関する情報の入手の有無を明らかにされたい。

東京支店開設直前に、シンガポールが同国への同行支店開設を適格性に問題ありとして認めなかったとされている事実にかんがみ、大蔵省の審査が甘かったと思料されるがどうか。

四 預金者にとっては、大蔵省が許可した銀行であるので不安を持たず取引をしていたことは明白である。

同行東京支店の預金残高、預金者数等を明らかにされたい。

支店開設許可をし、監督権限を有する大蔵省は、今日の事態に巻き込まれた預金者に対し、いかなる責任を負う考えであるか明確にされたい。

また、預金の払戻しが早急に再開されるよう各国の関係機関と精力的に作業を進めていくべきであると思うが、その取組方針と見通しを明らかにされたい。

五 同行の東京支店の財産保全処分が米欧主要国に比べ大幅に遅れた理由、同行の解散等万一の場合の東京支店の処分可能資産の内訳と金額を明らかにされたい。

六 当面、預金者の中で預金引出し不能のため経営不安に直面している中小・中堅企業等に対し、政府として責任を持って超低利融資等の救済措置を早急に講ずべきと考えるが、具体的にどのような救済策を講ずる方針か明確にされたい。

七 我が国の預金保険機構に在日外国銀行の加入を認めていないため、BCCIの東京支店預金者は預金保険で補償を受けることができない。

金融の国際化が急進展していく下で、在日外国銀行の営業活動も広範かつ大規模になりつつある。預金者保護のため、在日外国銀行を預金保険機構に加えていくことが必要だと考える。政府の見解と対処方針を明らかにされたい。

八 BCCIに対する調査が進むにつれ、銀行としてあるまじき行為が相次いで表面化しつつある。

パキスタンの麻薬取引口座の開設、パレスチナのテロリストの口座の開設、米中央情報局(CIA)からアフガニスタン反政府ゲリラへの送金、イスラム過激派ヒズボラによる欧米人誘拐の資金口座の開設、また、アルゼンチン、リビア、パキスタンが原子爆弾を購入するための秘密資金口座を置いていたという報道もある。

これらについての事実関係を大蔵省、外務省はどの程度把握しているか明らかにされたい。

九 大蔵省がBCCIに対する情報をある程度把握していれば、今回の同行の東京支店における預金引出し不能といった事態は未然に防止できたと考える。

今後一層グローバル化する金融活動の実態に照らし、かかる事態の再発防止のため、政府は国際間で早急に問題点を討議し、日常的な情報交換、共同監視、問題発生時の協調行動を効果的に行うようにすることが最低限必要であると考える。

今回のBCCI事件を教訓として、政府のこの種事件の再発防止策についての今後の取組方針を明確にされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御質問のBCCIグループは、昭和四十七年に設立された。グループの持ち株会社であるBCCIホールディングの主な株主は、アブダビ首長国のシェイク・カリファ・ビン・ザイード・アル・ナハヤーン殿下(持ち株比率三十五パーセント)、アブダビ政府財務部(同二十九パーセント)及びアブダビ投資庁(同九パーセント)である。BCCIホールディングの年次報告書によれば、グループ連結の資産規模は平成元年末で約二百三十五億ドル、預金残高は約百八十五億ドル、貸付残高は約百二億ドルである。なお、預金者数については、不明である。

同グループは、平成三年六月末時点で、世界六十九箇国に三百六十五の拠点を有していた。

東京支店が属するBCCI・SA(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース株式会社の略、以下同じ。)は、昭和四十七年に設立された。同行は、BCCIホールディングの百パーセント子会社である。BCCIホールディングの年次報告書によれば、BCCI・SAの平成元年末の資産規模は約九十二億ドル、預金残高は約七十五億ドル、貸付残高は約三十八億ドルである。なお、預金者数については、不明である。同行は、平成三年六月末時点で、世界十三箇国に四十七支店を有していた。

二について

御質問のBCCIグループがおとり捜査を受けて麻薬資金を洗浄したことについて、平成二年に米国フロリダ州の法廷で自ら有罪を認めたことについては、平成三年三月に東京支店から事情聴取を行い確認している。また、不正経理の存在についてルクセンブルク通貨監督庁からの連絡を受けたのは、平成三年七月五日の夜である。それ以前には、他国当局から同行の不正行為についての連絡は受けていない。

三について

BCCI・SAの東京支店の銀行業営業免許については、昭和五十八年に打診、昭和六十一年一月三十一日に申請があり、同年五月十六日に免許を付与している。

免許に際しては、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第四条第三項に基づく相互主義の審査のほか、同法第四条第二項に基づき、

1 申請した者及びその申請に係る支店が銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、申請した者及びその申請に係る支店の当該業務に係る収支の見込みが良好であること

2 申請した者及びその申請に係る支店が、その人的構成等に照らして、銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること

3 申請した者及びその申請に係る支店による銀行の業務の開始が、当該銀行の業務が営まれる地域における資金の需給状況、銀行その他の金融機関の営業状況その他経済金融の状況に照らして、金融秩序を乱すおそれがない等適当なものであることとの基準に適合するかどうかの審査を行い、これに適合するものと判断したものである。その際、同行の第一義的監督当局であるルクセンブルク通貨監督庁に対し、同行の財務上の健全性等について照会し、その確認を受けているところであり、政府としては、同支店の免許について問題があったとは考えていない。

四について

御質問のBCCI東京支店の決算公告によれば、同支店の平成三年三月末の預金残高は約五百三十七億円である。その後、同支店の預金残高には、際立った増減は生じていないと承知している。また、同支店には、平成三年七月五日現在で、延べ二百四十五口座が開設されていた。

BCCI東京支店は、東京地方裁判所の決定により、七月二十二日に特別清算の手続に入っており、同支店の預金者の権利については、今後、清算人(釘澤一郎弁護士)が、裁判所の監督の下に、商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に従って、諸外国における手続とも調整を図りながら、その確保に努めることとなるものと承知している。政府としても、各国の銀行監督当局との情報交換などを通じ、清算人の努力をできる限り支援してまいりたい。

五について

BCCI・SAが、本店所在地のルクセンブルク商事地方裁判所から、全世界の支店についての営業停止の命令を受けたのは、日本時間の平成三年七月五日の夜であり、その時点では東京支店の営業は既に終了していた。同店は、翌七月六日、銀行法第十六条に基づく臨時休業の届出を大蔵省に対して行っており、以来、一切営業を行っていない。したがって、日本について措置が遅れたとは考えていない。

また、同支店の処分可能資産の内訳と金額については、現在、裁判所により選任された清算人による清算計画作成準備作業が進行中であることから、回答を差し控えさせていただきたい。

六について

現在、BCCI東京支店は、東京地方裁判所の監督の下での特別清算の手続中であり、政府としては、同手続の進ちょくを見守りたいと考えている。

七について

預金保険制度は、各金融機関の健全経営のための努力、行政当局の監督、検査等により経営破たんを極力回避することを前提とした上で、万一の破たんの場合に預金者等を救済しようとする制度であるが、在日外国銀行支店に破たんが生ずるか否かは、基本的には、我が国行政当局の 監督、検査の及ばない海外の本店所在地における問題であること等から、在日外国銀行支店は預金保険の対象とされていない。

在日外国銀行支店を預金保険の対象とすることが適当かどうかについては、預金保険制度全般との整合性、在日外国銀行支店の実態及び意向等を踏まえて、慎重な検討が必要であると考えている。

八について

BCCIグループが、おとり捜査を受けて麻薬資金を洗浄したことについて、平成二年に米国フロリダ州の法廷で自ら有罪を認めたこと、米国の銀行ファースト・アメリカンをひそかに違法に買収していたこと、また、財務状況の粉飾を行っていたことについては了知しているが、その他の指摘については、確認されていない。

九について

政府としては、今回のBCCI事件の教訓にかんがみ、多国籍銀行に対する国際的監督の在り方の再検討を進める必要があると考えており、既に、主要国の銀行監督当局と、この問題についての協議を始めているところである。

衆議院の原文

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