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歯科材料の製造認可基準と保険導入手続き及び補綴技術料に関する質問主意書

衆議院 第121回 第5号承知していない ×2

提出者
衆議院
提出日
1991年9月25日
内閣転送 1991年9月30日
答弁書受領日
1991年10月4日
提出から9日
答弁の項目数
16
質問 2,646字/答弁 2,206字

質問本文

人口の高齢化が進むなかで、国民の歯科医療要求はますます切実になっており、とりわけ高齢者においては義歯をはじめとする補綴物の需要が高まっている。政府・厚生省はこれらの補綴物の素材である歯科材料の安全性・有効性に細心の注意を払い、患者が安心して良質の歯科医療が受けられるよう努めなければならない。

しかし、歯科材料については、昭和五十六年に突如保険に導入されたポリサルフォン義歯のごとく、製造の認可基準や保険導入の手続きが不明朗なものもあり、厚生省のたびたびの国会答弁などにも拘らず、歯科医療関係者の不信感は未だに根強いものがある。

一方同義歯に比べて通常使用されるレジン義歯等の保険点数はあまりにも低く、採算割れといった現象もあるという。このため歯科医師は良心と経営の狭間で苦悩を深め、歯科技工士に至っては、将来展望が持てずに他業種に転職する者が相次ぐなど、ゆゆしき事態が進行している。

これらは歯科医療関係者の問題にとどまらず、歯科医療の根本に係わる重大な問題である。政府は、厚生行政に対する信頼を回復し、歯科医療関係者が安心して働ける環境をつくり、もって国民歯科医療を充実させていく責務がある。

以上の観点から、左記の点についてお答え願いたい。

一 中央薬事審議会の中にある歯科用調査会には、歯科材料の安全性・有効性を審査するためのどのような具体的審査基準があるのか。

二 歯科用調査会は中央薬事審議会の一専門部会であり自ずと権限が制約されると考えるが、歯科材料の場合はこの歯科用調査会だけで製造の承認をしている。中央薬事審議会の権限を無視するものであり、法的にも問題があるのではないか。

三 歯科材料の製造承認に当たっては専門学会への諮問を義務づけるべきと考えるがどうか。

四 昭和五十五年六月三十日付薬発第八五二号「医療用具の製造又は輸入の承認申請に際し添付すべき資料について」によると「承認申請時に添付すべき資料のうち主要な部分は原則として日本国内の専門の学会において発表され、又は学会誌若しくはこれに準ずる雑誌に掲載され、若しくは掲載されることが明らかなものでなければならない」とあるが、少なくとも学会誌等にも掲載されていない未発表のものについては申請自体を認めないなど厳格に処理すべきと考えるがどうか。

五 薬事法に定める医療用具の保険導入に際しては、その医療用具が臨床上安全かつ有効で、あまねく普及していることが最低条件と考えるがどうか。

六 昭和六十二年二月十九日付保発第九号「医療用具と体外診断薬の保険導入ルール」というものがあるが、これ以前にも保険導入のルールがあったのか。

七 また前記保発第九号によれば「審査の結果、保険診療上の有効性に関し明確な立証があったと認められない場合は、保険導入しない」とあるが、「明確な立証」とは具体的にどのような場合をさすのか。

また、昭和五十六年六月に保険導入されたポリサルフォン義歯の場合は、当時のルールに照らして問題がなかったと言えるのか。

八 ポリサルフォン義歯の保険導入に当たって、厚生省は「学術団体である日本歯科医師会と相談して決めた」と答弁し、また日本歯科医師会が専門学会である日本補綴歯科学会に事前に諮問しておらず、同学会が導入に疑問を抱いていることに関しては「日本歯科医師会の内部問題」と答弁してきた。しかし、導入に当たっては入念な審査を行うのが当然であり、専門学会への諮問を怠った厚生省の責任は重大である。この点についての見解はどうか。

また、今後もこうした方式で新素材を保険導入することはあるのか。

九 昭和五十六年六月から平成二年までのポリサルフォン義歯の総請求件数を年度別又は年次別に明らかにされたい。またレジン義歯の総請求件数についても同様に明らかにされたい。

十 現在全国で歯科技工所は何件あるのか。そのうちスルフォン義歯を扱う歯科技工所は何件あり、全国的に見てどのような分布になっているのか。

十一 現在零細歯科技工所が経営困難に陥り、廃業や転職が進行している事実はご存じか。その一方スルフォン義歯はある程度の設備投資が必要と言われ、その結果歯科技工所間の格差が進み、零細技工所は一層厳しい状況に追いやられることも予想される。スルフォン義歯の設備投資の金額及び零細技工所の将来見通しについての認識を明らかにされたい。

十二 厚生省はスルフォン義歯を導入する際、従来のアクリルレジン義歯に比べ技工料金が高いので点数を二倍にしたと説明しているが、一般に義歯の料金は技工料金を目安にして決めているとの理解でよいか。

十三 技術の進歩及び普及等により将来スルフォン義歯の技工料金が下がった場合は、保険点数を下げることもありうるのか。

十四 老人が医療を受ける場合、まず通院そのものが大変ということがある。歯科については義歯の修理やリベースといった治療のため何回も足を運ばざるを得ず、かなりの負担になっている。したがってなるべく簡便に修理やリベースができる義歯床が望ましいが、そうなるとスルフォン義歯よりもアクリルレジン義歯の方が操作性に優れており、スルフォン義歯自体の有用性が問われてくる。どう考えるか。

十五 千葉県の歯科医師が行った技工料金の調査によると、アクリルレジン義歯とりわけ部分床義歯については、歯科医師が保険請求できる値段よりも技工料金が高く、いわゆる逆ざやになっている。厚生省としてはこうした実態を把握しているか。

十六 適応症が限定され頻度の少ないスルフォン義歯には高い点数、日常頻度の高いアクリルレジン義歯は低い点数が付けられているが、これでは患者のためというより医療費削減のためと言われても仕方ないのではないか。なぜ、使用頻度の少ないスルフォン義歯に固執されるのか、その真意を明らかにされたい。

十七 また、これらのアクリルレジン義歯を始めとする補綴の点数が低く押さえられていることから、歯科医師はもとより、義歯等の発注を受ける歯科技工所の経営も厳しくなっており、歯科技工士に至っては廃業や転職も相次いでいるという。今後高齢化社会が急速に進み、義歯等の補綴物の需要がますます高まるなかでこうした現状は一刻も早く改善されなければならないと考える。

次回診療報酬の改定に当たって中医協に対し補綴の技術科を適正に評価するよう厚生省が責任をもって諮問すべきと考えるが、その意思はあるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

中央薬事審議会に設けられた歯科用調査会では、画一的な基準によるのではなく、最新の歯科医学的知見に基づいて個別品目ごとに調査審議を行っている。

二について

歯科用調査会は、中央薬事審議会規程に基づき、医療用具特別部会長により設けられ、専門的立場で歯科材料の安全性等に関する調査審議を行っているが、厚生大臣は、その結果を参考として、歯科材料の承認審査を行っている。

三について

厚生大臣が歯科材料の承認審査を行うに当たっては、歯科医学の専門家等で構成される歯科用調査会での調査審議を参考としており、更にお尋ねのような学会への諮問を行うことは考えていない。

四について

新しく開発された歯科材料については、御指摘の昭和五十五年六月三十日付薬発第八百五十二号「医療用具の製造又は輸入の承認申請に際し添付すべき資料について」に沿った承認申請を行うよう厳格に指導しているところである。

五について

医療保険においては、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)上承認された医療用具について、保険診療上の有用性が認められる場合に保険導入を図ってきているところである。

六について

御指摘の通知以前においては、専門団体の意見を聴くとともに、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)における議論を踏まえ、保険導入を行ってきたものである。

七について

保険導入に当たっては、申請書に添付された書類に示された使用目的、効能効果、臨床上の有用性や価格等を通じて、保険診療上の有用性を総合的に判断し、中医協の議論も踏まえ対処しているところであり、ポリサルホン樹脂有床義歯についても、このような考え方に基づき昭和五十六年に保険導入が行われたものである。

八について

ポリサルホン樹脂有床義歯の保険導入に当たっては、社団法人日本歯科医師会の意見を聴くとともに、中医協の議論を踏まえ、入念な審査が行われたものである。

なお、日本補綴歯科学会は、社団法人日本歯科医師会に置かれており、その意見は、従来から、社団法人日本歯科医師会の意見に反映されているものと認識している。

今後ともこのような考え方で対処してまいりたい。

九について

ポリサルホン樹脂有床義歯及びアクリルレジン有床義歯の年間総請求件数に係る調査は実施していない。なお、社会医療診療行為別調査による一箇月単位での件数は次のとおりである。

(注)1 昭和五十六年は、調査がまだ行われていない。平成二年の調査結果は現在集計中である。

2 昭和五十八年には抽出客体中にスルフォン樹脂有床義歯が含まれていなかった。

3 昭和六十年までは、調査対象を政府管掌健康保険に限定していたが、昭和六十一年以降は国民健康保険についても調査を行っている。

十について

平成二年末現在、全国の歯科技工所数は一万二千四百二十五箇所である。スルフォン樹脂有床義歯を扱う技工所についての調査は行っていないが、社団法人日本歯科医師会の調査によると、歯科医院及び歯科技工所等において備えられているスルフォン樹脂有床義歯を製作する設備は、平成二年九月末現在約千台であり、すべての都道府県に普及している。

十一について

歯科技工所数は、年々増加しており、歯科技工所の規模によって増加割合の違いは認められないこと等から、近い将来零細歯科技工所が経営困難に陥り、廃業や転職が進行するとは考えていない。

なお、スルフォン樹脂有床義歯の製作のために必要な設備等を購入するのに要する金額は、現在のところ約三百万円ないし四百万円と承知している。

十二及び十三について

スルフォン樹脂有床義歯を始め、義歯の料金については、素材の特性、製作上必要とされる技術、保険診療上の有用性等を総合的に勘案し、中医協における議論を踏まえ、点数設定を行っているところである。

個々の診療行為を診療報酬上どのように評価するかという点については、今後とも、専門団体の意見も伺いながら、中医協における議論を踏まえ、適切に対処していく考えである。

十四について

修理・リベースについては、スルフォン樹脂有床義歯においても十分対処できるものであり、スルフォン樹脂有床義歯の有用性が損なわれるものではないと認識している。

十五について

御指摘の千葉県の歯科医師の行った調査については承知していない。なお、厚生省の行っている歯科技工料調査では、アクリルレジンによる部分床義歯の委託技工料の平均値は保険点数のおおむね六十ないし七十パーセント程度である。

十六について

スルフォン樹脂有床義歯は、アクリルレジン有床義歯に比べ、堅ろう性、薄さ等の点で臨床上有用であり、保険診療上の有用性も高く評価できるものであること、製作上特殊な技術を必要とし、作業工程も多く複雑であることにかんがみ、中医協における議論を踏まえ、これを診療報酬点数表に収載するとともに、アクリルレジン有床義歯に比べ高い点数を設定しているものである。

なお、スルフォン樹脂有床義歯については、特に適応症が限定されているものとは承知していない。

十七について

これまでも、高齢化社会における歯科医療の充実の観点から所要の診療報酬点数の引上げ等を図ってきており、今後とも、高齢化の進展等に対応し、国民に効率的で良質な歯科医療を提供できるよう、中医協の議論も踏まえつつ、適切に対処してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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