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師崎漁協・豊浜漁協問題に関する質問主意書

衆議院 第121回 第8号

提出者
衆議院
提出日
1991年10月3日
内閣転送 1991年10月4日
答弁書受領日
1991年10月18日
提出から15日
答弁の項目数
2
質問 1,271字/答弁 561字

質問本文

政府のリゾート乱開発政策の下、全国の沿岸で海洋リゾート開発が計画され、その開発に要する埋め立てのための漁協の漁業権放棄に伴うトラブルが頻発している。

愛知県においても三河湾地域リゾート構想のなかで、南知多リゾート開発が推進されている。そして、九〇年五月二四日に南知多町、師崎漁協、鹿島建設、川崎製鉄、名古屋鉄道、住友生命、東海銀行などが出資して、西浦海岸の五〇haを埋め立てリゾート化するための「南知多リゾート開発株式会社」が設立された。

一方、この第三セクターに出資した師崎漁協では、八九年一一月二七日の「臨時総会」で、特定区画漁業権と第一種共同漁業権の一部放棄を決めたとしているが、その議決前に必要な、漁業法第八条第三項及び第五項が定める「書面による同意」を得ていない。即ち、「総会の議決前に……当該漁業権の内容たる漁業を営む者」であって「当該漁業権に係る……地元地区……の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない」との規定は全く守られていない。さらに、この漁業権の一部放棄を決めた漁協の「臨時総会」は、「総組合員(准組合員を除く。)の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする」(水産業協同組合法第五〇条)という規定が無視されて、正組合員四一三名のうち「本人出席は理事の七名で、四一一名のうちほとんどが書面決議」(九〇年七月三日、愛知県議会農水委員会での県水産振興室長の答弁)、つまり、書面による記名投票によって議決したとされている。

また、南知多町の豊浜漁協でも、九一年六月一五日の臨時総会で、区画漁業権及び共同漁業権の縮小並びに一部抹消を決めたといわれているが、ここでも埋め立てで生活を奪われる素もぐり、たこがめ、なまこなどの、この漁業権によって漁業を営み、地元地区に住んでいる漁業者の三分の二以上の事前同意を得ていない。

関係漁業者の事前同意も取らず、「特別決議事項」の手続きも無視するなど、漁業法や水産業協同組合法も守らずに漁業権の縮小・廃止が強行され、営漁意欲をもつ漁業者の漁業権が不法に奪われようとしていることを許すことはできない。

ついては、次の事項について質問する。

一 漁業法第八条第三項及び第五項、水産業協同組合法第五〇条の規定や、これらの規定を受けて出された「組合総会の議決前に関係漁民の三分の二以上の書面同意を取りなさい」という趣旨の、一九七二年九月二二日付け、水産庁漁政部長の文書からみても、政府として、師崎漁協や豊浜漁協のような漁業権の放棄・変更の決め方についてどう考えるか、見解を問う。さらに、その決定を無効とし、法に即した決定のやり直しを指導すべきであると考えるが、どうか。

二 リゾート「開発」に幻想を抱き、法定の手続きを踏まずに、現に漁業を営んでいる漁業者の権利を奪うような動きが全国に広がってはならない。政府として漁業法・水産業協同組合法の厳格な順守をつよく指導し、漁業者の漁業権保護という法の趣旨を徹底すべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第八条第三項及び第五項は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会が有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権についての漁業権行使規則を制定し、変更し、又は廃止する場合の手続を定めたものであって、これらの漁業権を放棄し、又は変更する場合に直接適用されるものではない。しかしながら、これらの漁業権を放棄し、又は変更することは、漁業権行使規則で規定する資格に該当する者の漁業を営む権利の行使に実質的な影響を及ぼすものであるから、漁業権の放棄又は変更の前に、漁業権行使規則の廃止又は変更の手続を採るよう指導しているところである。

また、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第五十条においては、漁業権の得喪又は変更については、正組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決が必要とされている。この場合、組合員は、同法第二十一条第二項により、定款の定めるところにより、あらかじめ通知のあった事項につき、書面をもって議決権を行使することができることとされており、その行使者は、同条第三項により、出席者とみなされることとなる。

二について

政府としては、今後とも、漁業法及び水産業協同組合法の厳格な遵守につき、適切に指導してまいりたい。

衆議院の原文

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