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事業主体の破綻あるいは開発行為の遂行が不可能な開発許可の取り扱いに関する質問主意書

衆議院 第151回 第29号

提出者
日本共産党
提出日
2001年2月22日
内閣転送 2001年2月26日
答弁書受領日
2001年3月27日
提出から33日
答弁の項目数
4
質問 2,555字/答弁 705字

質問本文

穀田恵二    石井郁子    吉井英勝    藤木洋子

大幡基夫

事業主体の破綻あるいは開発行為の遂行が不可能な開発許可の取り扱いに関する質問主意書

全国的に開発許可〔林地開発、都市計画〕が下ろされた開発計画がバブル崩壊によって事業主体が倒産、廃業等で破綻し、開発許可だけが生き残るという現象が多数発生している。

特に問題になるのは、九〇年の森林法「改正」による土砂移動規制をのがれるために、九二年六月一一日迄におこなわれた「駆け込み申請」された開発計画である。

和歌山県だけでも、九二年六月一〇日以前に申請のあった「ゴルフ場」計画のうち、開発許可がおりながら、現在に至っても未着工及び工事中に放置されている計画は以下の通りである。

・南紀白浜シーサイドバレーゴルフ倶楽部〔日置川町塩野〕九二年四月二〇日許可

・フラッグス湯浅カントリークラブ〔湯浅町山田〕九一年六月二四日許可

・紀和カントリー倶楽部〔和歌山市金谷〕九三年三月三一日許可〔工事中だが、ストップしたまま〕

・ベルビューカントリー白浜コース〔上富田町生馬〕九二年一〇月二〇日許可〔工事中だが、会社−御堂開発、木津信用金庫の関連で破綻−倒産し、放置されている〕

・紀州葵カントリー倶楽部〔印南町印南原〕九二年九月四日許可

・全日空海南南ゴルフ倶楽部〔海南市坂井・重根〕九二年九月四日許可

・道成寺カントリークラブ〔中津村佐井〕九五年一月一三日許可

・日高リバーサイドカントリークラブ〔中津村船津〕九五年六月一六日許可

・シーサイド由良カントリークラブ〔由良町衣奈・吹井〕九六年一二月一八日許可

・紀泉総合開発計画事業〔=フォレストシテイ=和歌山市園部・六十谷・直川〕九七年一月二二日許可

以上の計画のうち、四箇所の開発計画が国のリゾート法の適用を受けており、政府の責任は重大である。そこで次の事項について質問する。

一 開発許可がおりながら、バブル崩壊などの理由でいまだ未着工や中断しているのは、全国でおおよそ何箇所あるのか。

また開発箇所と事業概要を明示されたい。

二 開発業者が倒産し当該用地が競売になる場合が多々発生する。その際、この用地に対し産廃業者の参入などを防ぐため当該地方自治体が開発地を先行取得する必要にせまられたり、防災対策上の工事をせざるを得ないなどの事態が見受けられる。このような場合、政府として財政的援助もふくめ対応を検討する必要があると考えるがどうか。

三 盛土、切土の量や残存緑地など森林法の旧基準で許可されたものが長年にわたり手つかずのまま放棄されているにもかかわらず許可だけが生きている。こういう状況は森林法の目的である国土の保全という観点からみて問題があり、行政手続法などに基づき許可の撤回を関係地方自治体へ勧告すべきであると考えるがどうか。

四 具体的問題について質問する。紀泉総合開発計画事業〔=フォレストシテイ計画〕は、事業主体の和興開発〔株〕が一九九八年二月一八日会社更生法の適用を申請したが、その後和歌山地裁は申請を却下するとともに、破産宣告をおこなっている。

開発計画が予定されているこの地域は、都市基盤の整備されていない和歌山市北部にあり、周辺は山麓や農地などで宅地開発がすすみ、慢性的な交通渋滞をかかえている。東西に走る幹線道路は片側一車線の県道粉河加太線のみであり公共下水道計画もない。このため雨水や家庭雑排水を農業用水路として頼ってきた。こうした地域の山麓に人口五〇〇〇人の住宅団地とゴルフ場を開発するのがこの開発計画である。

この開発計画による盛土、切土の総量は、六〇〇〇万平方メートルにも達し、現行の森林法の規定ではとうてい認められないものであるが、旧基準によって許可されたものである。このため、地域住民は「新たな事業継承者がでてきたら、危険な山地開発が生き返る」との不安を抱えている。

また同開発は都市計画法による開発許可を同時にうけたものであり、許可にあたっては、事業主体の「資力・信用」も審査の対象となった。ところが、和興開発〔株〕が開発許可をうけた約一年後に破綻したことは当時の行政判断が誤っていたと考えざるをえない。同社の決算書によれば知事が許可する時点ですでに七〇〇億円を超える負債をかかえ不良債権も四〇〇億円を超えている。この事業を継続するにはさらに六〇〇億円以上の投資が必要であり、しかも、ゴルフの会員権一〇〇〇万円以上、宅地の売却を坪五〇万円以上としても採算がとれるか疑わしい。

周辺ゴルフ場の実情をみても一〇〇〇万円を超える会員権をさばくことは到底不可能であり、宅地も隣接住宅地の売買価格の実績をはるかに上回るものであり事業の継続の見通しは皆無であることは明白である。

事業者もなく計画そのものが破綻しているにもかかわらず「開発許可」だけが一人歩きしているというのはいかにも不合理なことである。都市計画法三八条は「開発行為の廃止」を定めているが、この条文に関して、昭和五十四年七月二五日付「建設省計民発第一七号民間宅地指導室長通達三項」によれば開発許可者としては、例えば、「工事完了期間を途過してもなお工事未着工のもの、または工事には着手しているが相当期間を経過してもなお工事完了に至らないものについては、適時事業者から報告を求めるなどにより、工事の実施状況の掌握につとめ、工事完了または廃止の手続きの時期を明らかにするよう指導して必要な場合は許可を取り消すなど開発行為の進行管理を適切におこなう必要がある」としている。また、昭和二十八年一二月九日付「法制局−発第一一二号内閣法制局第一部長回答」では、「与えられた許可の本旨を没却するような状況〔開発行為を行う意思ないし能力の欠陥など〕が生じていれば、許可の根拠を失うに至ったものとして、条理上当然にこれを取り消す権限を有するものと解すべきである」としている。

本件開発計画は、事業主体自体が消滅したことにより開発行為が計画どおりなされる可能性は皆無であり、その意思・能力のないことはもはや論を待たない。よって政府として当該地方自治体に対し「許可処分の取消措置」を行うよう指導すべきであると考えるがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねの森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)又は都市計画法(昭和四十三年法律第百号)に基づく開発行為の許可を受けながら、工程上避け難い事由以外でその工事が未着工であるか又は中断している事業の箇所数は、都道府県からの聞き取りによれば、平成十三年二月末時点で、森林法に係るもので四百九十五箇所、都市計画法に係るもの(一ヘクタール以上のものに限る。)で五百三十三箇所であり、それぞれの開発箇所の所在地及び事業概要は、別表のとおりである。

二について

事業者が開発行為を中止する際は、都道府県知事が森林法等に基づき許可を行うに当たって付する条件に従って防災対策を講ずることとされており、また、地方公共団体が開発地を公共用地等に必要な土地として先行取得を行う場合には、公共用地先行取得等事業債、土地開発基金、土地開発公社等を活用する方法があるが、地方公共団体が御指摘のような事例において開発地を取得することや防災対策上の工事を実施することに関し、財政的援助その他の支援を講ずることは考えていない。

三について

森林法第十条の二に基づく開発行為の許可を取り消すべきかどうかは、許可を取り消さないでいることによる森林の有する公益的機能に与える影響、許可を取り消すことによって相手方に生じる不利益等を総合的に勘案して、当該許可を行った都道府県知事が個々具体的に判断すべきものであり、国が都道府県知事に対して当該許可を取り消すべき旨を勧告することは適当ではないと考える。

四について

お尋ねの事案に係る許可処分を取り消すべきかどうかは、具体的状況を踏まえて和歌山県及び和歌山市において判断されるべきものと考える。

衆議院の原文

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