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代用監獄での長期勾留と冤罪の可能性に関する質問主意書
衆議院 第125回 第10号
質問本文
一九九一年四月二十三日に、東京高等裁判所刑事第十二部において出された、いわゆる松戸女性殺害事件に対する無罪判決は「代用監獄は、自白の強要等の行われる危険の多い制度であるので、その運用に当たっては、慎重な配慮が必要である。」とした上で、「本件の場合・・中略・・連続殺人事件について自白を得るため、代用監獄として、寂しい新設の印西警察署を選び、たった一人の状態で留置し、しかも、捜査本部の捜査員から看守者を選任して被告人の留置業務に当たらせ、被告人の留置場内の言動の逐一を捜査上の資料として提供させた上、取り調べを行ったのである。・・中略・・このような留置のあり方は不当なものであり、代用監獄に身柄を拘束して、自白を強要したとのそしりを免れない。」として「自白が任意になされたものでない疑いがあるといわざるをえない」と判示している。この判決は、代用監獄が冤罪を生む温床であることをきびしく戒めたものであるが、この判決は同月二十六日に確定した。
一 検察官が上告しなかったのは、代用監獄に対する前記判決の主旨を認めたということか。
二 この東京高等裁判所における判決は、警察の捜査のあり方をきびしく批判したものである。このような事態を再び繰り返さないために、代用監獄の使用にかかわって、どのような捜査方針を持っておられるかお伺いしたい。
三 狭山事件の捜査過程を見ると、石川一雄氏は、逮捕から自供にいたるまで、じつに一ヵ月間も代用監獄において取り調べを受けている。しかも、再逮捕後は、『有刺鉄線をめぐらして厳重にとざされた』(『朝日新聞』一九六三年六月十八日)川越警察署分室に取り調べ室を特設し、たった一人の状態で留置し、取り調べをおこなっている。起訴にいたるまでの身柄拘束はじつに四十八日間におよんでいる。前記東京高等裁判所刑事第十二部の判決に照らして、この事件においても『自白の任意性』に疑念を抱かざるをえないが、狭山事件にもその論理はあてはまらないのか。
四 国際人権B規約に基づく日本政府の国連に対する第三回報告では、日本においては、「逮捕・勾留を通じて、起訴前に、最長二十二日間ないし二十三日間の被疑者の身柄拘束が認められているが、法律の定めに従って勾留期間は厳格に運用されている」と報告している。しかし、狭山事件における逮捕・勾留の実態は四十八日間にもおよんでおり、これに明確に反していると考えられるがどうか。
右質問する。
政府答弁書
一について
検察官が上告しなかったのは、御指摘の控訴審判決には刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百五条に定める適法な上告理由がない上、証拠を検討しても、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められなかったからであると承知している。
二について
いわゆる代用監獄が一般的に自白の強要等の行われる危険の多い制度であるとは理解していないが、昭和五十五年に、それ以前は刑事部門で担当していた留置業務を捜査を担当しない総務部門又は警務部門に移管したのを始め、捜査と留置業務の分離に努めてきたところであり、今後とも、その徹底を図ってまいりたい。
三について
御指摘の狭山事件における自白の任意性については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
なお、右狭山事件については、昭和五十二年八月九日の最高裁判所の上告審決定において、「被告人の自白は不当に長く勾留された後の自白である」との主張に対し、「事件の性質、規模、証拠収集の経過や取調状況等に照らせば、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白とは認められない」と判示されたほか、取調べや留置等の状況に関して自白の任意性が否定されることはなかったと承知している。
四について
前記狭山事件の被疑者は、昭和三十八年五月二十三日から同年六月十三日までの二十二日間、被疑者として逮捕・勾留された後、同日起訴されて引き続き被告人として勾留され、更に同月十七日から同年七月九日までの二十三日間、右逮捕・勾留に係る被疑事件とは別の被疑事件により、被疑者として逮捕・勾留された後、同日起訴されたものであり、御指摘の四十八日間の身柄拘束期間には、右二個の被疑事件の逮捕・勾留期間が含まれているところ、被疑者は、右二個の被疑事件につき、それぞれ身柄拘束の理由及び必要性について司法審査を受けた上で逮捕・勾留されたものであり、身柄拘束の期間は事件ごとに計算すべきものであるから、右狭山事件における逮捕・勾留の手続は、刑事訴訟法が規定する起訴前の逮捕・勾留期間の制限について述べた御指摘の報告の趣旨に反するものではない。
なお、最高裁判所は、前記上告審決定において、同事件における逮捕・勾留の手続は適法である旨判示しているところである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。