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取調べの可視性確保、密室性排除のための「録音・録画」の導入に関する質問主意書
衆議院 第155回 第48号承知していない ×1
質問本文
わが国の捜査手続きは、「自白」重視傾向であり、そのため、自白の強要、拘留、取調べから逃れるためのウソの供述が生じている。取調べを録音、録画することは、被疑者にとっての最大の防御であり、自白誘導と取調べ中の「事故」、「調書の改ざん」の排除が可能である。記録の客観性と正確性を確保し、公正な取調べの実現を求める立場から質問するものである。
1 過日、横浜地裁において、神奈川県警の取調べ中に被疑者が拳銃の暴発により、死亡したとする業務上過失致死の判決が出されたところである。また、少年事件においては草加事件、綾瀬事件という自白誘導による「冤罪」が発生し、痴漢行為で犯行を認めず長期拘留された方が無罪判決を得るなど、犯罪の重さを問わず、「自白偏重」の弊害が生じている。司法制度改革審議会でも、取調べの録音・録画導入が議論されたが、司法審の指摘を待つまでもなく、取調べの可視性、客観性が担保されない状況は現に存在している。「密室性」ゆえに「自白の信用性」が疑われる事例は、先進諸国で行われている取調べの「録音」または「ビデオ録画」等の「記録」が行われていれば、排除されるのではないか。
取調べに「録音」または「録画」による記録を導入することについての認識を明らかにされたい。
2 司法制度審議会では、取調べの公正と記録の客観性、正確性の確保のため、録音、録画の導入意見が多数出されていたが、反対意見委員及び警察庁等の参考人は、録音・録画されていると、捜査官、取調官と被疑者等との「信頼関係」の構築が阻害される、被疑者等の発言が困難となる、録音、録画を意識して振る舞うなどの理由を述べている。英国では、とくに取調べのテクニックも必要とされないような軽微な現行犯の取調べでも、取調べの模様は同時録音・録画しているという。英国においても、取調べに求められるテクニックは日本と同様と思われるが、取調べの録音・録画を導入した諸外国で取調べに阻害を来している事例を承知しているのか。
3 警察・検察で、取調べの模様を録画、録音を行っている事例もあるときく。どのような事例を、いかなる目的をもって録画、録音したのか述べられたい。また、その結果、取調官との信頼関係などを阻害された弊害があったのか如何。
4 被疑者に国選弁護人がつかず、かつ弁護士が同席できないわが国の取調べ状況では、被疑者の防御が不十分という指摘がある。とくに、少年事件等、とりわけ自白に重点が置かれる事件で、取調べの公正、記録の客観性確保のために、現状改善の必要性を認識するか。また今後どのような施策をとるべきと考えるか。
右質問する。
政府答弁書
1及び4について
捜査機関は、刑事事件の真相解明を十全ならしめるため、被疑者との信頼関係を築いた上、極めて詳細な取調べを行っている実情にあり、このような実情の下で取調状況の録音・録画を義務付けた場合、取調状況のすべてが記録されることから被疑者との信頼関係を築くことが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるおそれがあるほか、その再生、反訳等に膨大な時間と労力・費用を要する等の問題がある。その一方、供述調書は、その内容を供述者に対して読み聞かせ又は閲読させ、補充訂正の申立てがあればそれを加筆し、内容が間違いないことを確認した上で供述者が署名押印するという手続によって作成されるものである上、公判廷においてその供述の任意性・信用性が争われれば、検察官においてその存在を立証する責任を負い、その存否の判断は裁判所にゆだねられているのであるから、供述の任意性及び信用性の担保措置は十分に講ぜられているものと考えている。平成十三年六月十二日に内閣に述べられた司法制度改革審議会の意見においても、取調状況の録音・録画については、「刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から、現段階でそのような方策の導入の是非について結論を得るのは困難であり、将来的な検討課題ととらえるべきである。」とされているところであり、政府としては、現時点で取調状況の録音・録画を義務付ける制度を導入することは考えていない。
もっとも、同意見において、「被疑者・被告人の身柄拘束に関連する問題」として、「我が国の刑事司法が適正手続の保障の下での事案の真相解明を使命とする以上、被疑者の取調べが適正を欠くことがあってはならず、それを防止するための方策は当然必要となる。」とした上で、「被疑者の取調べ過程・状況について、取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入すべきである。」と提言されたことから、政府としては、被疑者の取調べの適正をより一層確保するため、平成十四年三月十九日、司法制度改革推進計画を閣議決定し、被疑者の取調べの過程・状況につき、取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入することとし、平成十五年半ばころまでに、所要の措置を講ずることとしている。
2について
諸外国において取調状況の録音・録画により取調べに支障を来している事例があるか否かについては、承知していない。
なお、取調状況の録音・録画等被疑者の取調べの在り方については、広く我が国の刑事訴訟制度全体の枠組みの中で慎重に検討すべき事柄であり、刑事訴訟制度が異なる我が国と諸外国とを単純に比較することは適当でないと考えている。
3について
個別の具体的事件における警察官又は検察官の取調状況の録音・録画の有無、その目的及びそれによる弊害の有無については、具体的事件の証拠関係にかかわる事柄であるので、お答えを差し控えたい。
なお、一般論として申し上げれば、警察官及び検察官は、被疑者の取調べに当たり、事案の性質及び証拠関係等の個別的事情に照らし立証上特に必要であって取調状況の録音・録画による弊害が少ないと認めるときは、これを行うことがあり得ると承知しているが、それとは異なり、取調状況の録音・録画を必ず行うこととする制度を設けた場合には、1及び4についてで述べたとおり、刑事事件の真相を十分解明し得なくなるおそれ等の問題が生ずると考えている。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。