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筆跡鑑定と科学捜査に関する質問主意書
衆議院 第126回 第2号個別の事案 ×1
質問本文
これまでの冤罪事件や誤判事件では、自白偏重とともに、警察側の当初の鑑定が誤りであったことがその原因として考えられる。そこで、警察の捜査で、どのような鑑定が行われているか、筆跡鑑定を中心に質問する。
一 現在の科学捜査において、筆跡鑑定がどのように行われているか説明されたい。筆跡鑑定の結果は、指紋の一致や血液型の一致と比較して証拠の価値に軽重があるか。
二 筆跡鑑定では、対照する資料の文字について、書きぐせなどの類似点を比較することになると考えられるが、似てるか似てないかは鑑定する人の「勘」に頼るものなのか。
指紋検査などと比べて鑑定する人の主観がはいりこむ危険性が高いと考えられる。筆跡鑑定をより客観化するために、どのような方法がとられているか。
とくに、筆跡鑑定を行っているのは、多くの場合、警察の鑑識課や科学警察研究所である。鑑定はその後の捜査に影響をおよぼす重大なものであり、恣意的な内容がはいりこむことは許されない。警察の行っている筆跡鑑定が、捜査側にかたよらず公正で、客観的な鑑定である保障はどのように確保されているのか。
イギリスなどでは、筆跡にかぎらず、指紋、法医学などの科学捜査、鑑定などを第三者的な公的機関が行い、弁護士からも鑑定を依頼できるようなシステムがあると聞く。日本でも、そのような公的機関をつくることは考えられないか。
三 狭山事件における捜査と筆跡鑑定について尋ねる。
狭山事件では、事件の発端となったのが被害者宅に届けられた脅迫状であった。そこで捜査段階で筆跡に関する資料が多数収集されたと思われる。現に、逮捕された石川一雄さんについても、かつての仕事先であった東鳩製菓保谷工場での早退届が筆跡鑑定資料に供されている。
これはこの保谷工場にあった石川一雄氏の早退届のすべてか。現在、検察庁にはこのほかに捜査段階で集められた筆跡関係資料はないのか。
鑑定資料とされた早退届は、間違いなく石川一雄氏のものなのか。それはどのように証明されるのか。
四 一般的に、筆跡鑑定では、検討する資料相互の「常同性」・「稀少性」・「相同性」・「相異性」のテストを行うことが必要であるとされる。現在、警察の行っている筆跡鑑定では、このようなテストを厳密に行っているのか。
また、狭山事件が発生した一九六三年当時の筆跡鑑定では、「常同性」・「稀少性」・「相同性」・「相異性」のチェックを行っていたか。
五 狭山事件で埼玉県警鑑識課が行った筆跡鑑定がある。(一九六三年六月一日付けで埼玉県警鑑識課員の関根技師が同じ鑑識課員の吉田技師と行った鑑定)
この鑑定によれば、この
と
が類似点があり、同一人の筆跡だという。ちなみにこれは、ともに「時」という字である。
明らかに、字画の配置や筆速など違いを見出すことができ、同一人の筆跡とは思えないが、警察ではこのような字を似ているという筆跡鑑定を行っているのか。
六 また、同じ警察の筆跡鑑定では、ひらがなの「ま」を比較しているところがあるが、つぎに見るように、鑑定資料としている被疑者の「上申書」に出てくるすべての「ま」を比較せず、被疑者が誤って書いた、そして犯人の文字とまったく似ていない三番と五番の「ま」
を鑑定対象文字からはずしている。
このような鑑定はまさに、恣意的な筆跡鑑定と言わざるをえないが、このような鑑定を警察ではやっているのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
犯罪捜査における筆跡鑑定は、一般に、犯人と被疑者の同一性を判断するため、犯人の書いた文字の字画構成、形態、配字等に認められる特徴と被疑者の書いた文字のそれとを厳格に比較することにより行われている。
筆跡鑑定結果の証拠価値は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十八条の規定により証拠の証明力が裁判官の自由な判断に委ねられていることから、個々の事案において個別具体的に判断される事柄である。
二について
筆跡鑑定は、鑑定人の単なる主観ないし「勘」にすぎないものではなく、鑑定人のそれまでの経験の集積と専門的知識に裏付けられた客観的な方法により行われている。
また、客観的かつ公正な鑑定を確保するため、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)は、第百八十五条第二項において、捜査のため鑑定を嘱託するに当たっては、鑑定嘱託書中に鑑定人に予断又は偏見を生ぜしめるような事項を記載してはならない旨等を規定しているところである。
さらに、御指摘のような公的機関を設置することについては、筆跡等の鑑定は民間や大学においても行われており、現状においては、必要がないものと考えている。
三について
御指摘の早退届及び筆跡関係資料については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
四について
筆跡鑑定は、その対象となる筆跡の特徴の同一性を判断するために必要な範囲内で御指摘の事項を含む多角的な観点から厳密に行われているところである。
御指摘の狭山事件が発生した当時、具体的にどのような筆跡鑑定が行われたかについては、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
五及び六について
御指摘の筆跡鑑定については、現在、東京高等裁判所に再審請求事件が係属中であるので、答弁は差し控えたい。
なお、最高裁判所は、昭和五十二年八月九日の上告審決定において、原判決が右筆跡鑑定に客観的な証明力を肯定したのは正当である旨判示しているところである。
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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。