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最高検察庁の綱紀粛正に関する質問主意書

衆議院 第134回 第9号

提出者
衆議院
提出日
1995年11月6日
内閣転送 1995年11月8日
答弁書受領日
1995年11月14日
提出から8日
答弁の項目数
6
質問 3,270字/答弁 1,114字

質問本文

最高検察庁の綱紀粛正に関し、以下の質問をする。

「検察庁法第十四条」(法務大臣の指揮監督)及び「第七条」(検事総長・次長検事)また、国家公務員法「第八条」「第三十九条」「第九十九条」「第百一条」等にもとづき、以下の点につき、『質問主意書』を提出いたしますので、明確な回答をお願いいたします。

〔質問事項〕

一 リクルート事件の際、当時、東京地検検事正だった※(注)永※(注)介(現・検事総長)の下、主任検事正として総指揮にあたられた前東京地検特捜部長宗像※(注)夫氏は、平成六年八月八日から一週間、民間人グループと共にベトナム旅行に出掛けたことは事実か、否か。

二 もし、旅行されたとすれば、民間人グループの氏名は把握しておられるか。

当方の調査によると、パチンコメーカー「平和」の横浜営業所長「A」氏、他七名の人物が同行したことになっているが、確認しておられるのか。

三 一行の中の『S』氏なる人物は、

(イ)会社乗っ取りや資産強盗事件等、「事件屋」としてつとに知られた人物と聞く。その背後には暴力団や右翼の影もちらついている。

(ロ)『S』氏自身、何度も警察沙汰になっている。八九年にも資産強盗を目的に委任状を偽造し、印鑑証明を作成。有印私文書偽造罪に問われた事実がある。

(ハ)『S』氏は相模原市内の自動車関連機械会社乗っ取りを計画、同社の社長に暴行を働き、今年の七月十三日、傷害と強要の容疑で神奈川県相模原署に逮捕されている。

そのような前歴を持つ『S』氏なる人物もベトナム旅行に同行している事実を確認しておられるのか。

四 パチンコ業界では、『S』氏と警察庁の瀬川勝久保安課長(当時)の親しい関係がとりざたされている。パチンコ業界を直接監督する部署の責任者で、プリペイドカード導入や換金合法化問題でもイニシアチブをとる立場にある瀬川課長に、『S』氏なる人物を紹介したのが宗像氏だと証言する人物がいるが、事実かどうか。

もし、紹介者が宗像氏との事実関係があるとするならば、宗像氏は『S』氏に利用されているどころか、この逮捕暦のある「乗っ取り屋」に積極的に協力していたということではないのか。

五 パチンコ業界は、さまざまな疑惑が囁かれている上に、最近はプリペイドカード導入や換金合法化の動きに伴って、政治家や芳しからざる人脈も介入し、利権の巣窟と化している分野である。きな臭い業界の関係者と「法の番人」が一緒にプライベート旅行を楽しんでいたとすれば、検察官倫理に反し、国民の検察に対する信頼を裏切る行為ではないのか。この点についての事実関係を解明願いたい。

六 今回のベトナム旅行は、八月八日、一行は成田空港に集合。八月十三日、香港経由で帰路についた。

(※)シンガポールではニューオータニ、ベトナムでも地元で超高級といわれるホテルに泊まり、シンガポールでは全員で高級クラブに繰り出し、ハノイやホーチミンでも、現地では一流といわれる店にて毎晩のように女性のいるクラブやバーで騒いでいた。

ベトナム旅行に同行した関係者は、この旅行期間中、常に中心にいたのが当時の特捜部長・宗像※(注)夫氏であり、宗像氏のための接待旅行という感じで豪勢なものであったと証言している。

七 また、証言の関係者『A』氏は、「全員の旅費を私が出しました。飛行機やホテルの手配は新橋にあるベトナムに強い旅行代理店に頼んだ。代理店には、旅行前に私が代金を振り込んだ、現地での飲食費などはその都度私が会計を済ませた。」と述べている。事実関係はいかなるものであったのか、確認願いたい。

八 数年前、マスコミを騒がせた富士銀行不正融資事件。この事件で詐欺等に問われた『I』氏という人物に『S』氏は、「私の友人に宗像という特捜部の検事がいる。大丈夫だから安心しなさい」と、こう言って依頼を引き受けた。

その報酬として事件人脈から事あるごとに金をせびられ始めたとある。この点の事実関係はどうか、検察庁は再調査する意思があるか否か。

九 「『S』氏は一ヵ月に一回くらいの割合で、宗像氏を招いて飲み会を開いていた。場所は赤坂の韓国バー『ポンジュ』や『新羅』。その席に自分の人脈を連れてきては宗像氏に紹介する。『S』氏がそのときの商売相手やスポンサーに付け回して、宗像は払ってない」とあるが、こうしたことが日常的に行われていたのか。

十 今年の春(平成七年)、検察幹部のもとに宗像氏と『S』氏の関係を証明する資料を届けたと関係者は証言している。※(注)永検事総長はこの宗像氏の疑惑の交友を知っていながら、「くさいものには蓋をして隠蔽する」とした疑いがあり、国民の非難が高まっている。他人の疑惑を追求する際には厳しい※(注)永検事総長も、こと自分の仲間の疑惑には頬かむりを決め込んだと判断してよろしいのか。

十一 七月二十八日の夜、東京地検を担当している新聞社、テレビ局など、報道各十四社の記者約五十人が、フランス料理のレストランで、大津地検検事正に七月三十一日付で異動する東京地検特捜部長の宗像※(注)夫氏の送別会を開いた。宗像氏は日本テレビの女性アナウンサーを伴って、スター気取りで出席したという。

送別会のメインイベントは、「敏腕検事」宗像氏の活躍などを振り返ったビデオであった。宗像氏本人のインタビュー、福島地検時代の木村守江知事汚職、リクルート、ゼネコン汚職、現在捜査中の二信組事件等、特捜部に摘発された事件の主役で、藤波孝生氏、江副浩正氏(元リクルート会長)、竹内藤男氏(元茨城県知事)、中村喜四郎氏、高橋治則氏(元東京協和信用組合理事長)らのニュースVTRを流し、これらの事件の関係者を酒の肴としてさらしものにしたというが、事実か。

十二 平成六年十月二日、埼玉県の「川越カントリークラブ」において、『S』氏らによる宗像氏を囲む会が開かれ、ゴルフ終了後、銀座「福臨門酒家」において、豪勢な酒宴が開かれたが、その会費も宗像氏は支払っていないと、『A』氏らが証言しているが、この点も事実なのか。

国家公務員は国民の代表たる立場において、国の法律を運用する大きな権限が付与されている。にもかかわらず、宗像※(注)夫氏にみられるこうした一連の行為は、検察官の職責上からくる“正義の味方”意識が独善の世界にはまり込み、国民の公僕として責任を放棄し、自分たちは「特別の人」と国民を見下す、特権意識が検察官僚の体質となり、おごりとなってあらわれているのではないか。

職務上知りえた情報を安易にマスコミに流し、事件の世論づくりに利用する検察庁の体質、手法は、『法治主義の原則』を踏みにじる「違法行為」ではないのか。自分たちは何をやっても許されるという独善からくる重大な過失を真剣に反省すべきである。検察庁は国家権力の中でも「捜査権」と「公訴権」を持つ厳格な法の番人であり、真の公正な社会実現を目指す使命がある。しかるに自浄能力のない司法権力の腐敗構造は国民の名において究明、解明されなければならない。

列記してきた各質問事項が事実であった場合、綱紀の紊乱は目に余り、当事者の宗像※(注)夫氏の責任はもちろんのこと、「法務大臣」及び「検事総長」には、当然、監督責任が存在すると考えるが、いかなる所見をお持ちか、お聞かせ願いたい。

今回は宗像※(注)夫氏の行状に限定しているが、「調査結果及び調査結果に基づき当該公務員に対してどのような処置をとられるものであるか、再発防止の為にどのような対策を講じられるのか」につき、至急且つ具体的に報告されることを求める。

尚、国家公務員法「第百条」等を含め、S・N氏他、複数の民間人と検察庁幹部との不明朗な交遊疑惑、検察最高幹部のゴルフ場会員権購入疑惑問題、検察庁と検事出身弁護士が介在するかたちでの問題企業との癒着等、さまざまな検察疑惑に関し、関係者の具体的証言と資料をもとに、再度『質問主意書』を提出することを、通告しておきます。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

御質問に係る事項には、個人のプライバシーにかかわる事柄が少なからず含まれており、それが法令上又は服務上問題とすべきものでない限り、本来内閣としては答弁を差し控えるべきものもあると考えるが、御指摘にかんがみ、検察に対する国民の信頼を保持する観点から、法務省において所要の調査を行った上、できる限りお答えすることとし、以下のとおり答弁する。

一から三まで及び五から七までについて

東京地方検察庁特別捜査部長であった御指摘の検事(以下「同検事」という。)が、「S」というイニシャルの人物(以下「S氏」という。)とともに御指摘の時期にシンガポール及びヴィエトナム旅行をした事実は認められるが、同検事は、高等学校の同級生でその当時からの友人である弁理士のS氏に誘われ、私的立場で、同氏に旅行費用を支払った上、同氏が企画・主催した同旅行に参加したもので、同旅行の同行者との間に問題としなければならないような交際は認められなかった。

四について

同検事と御指摘の警察庁課長とは全く面識がなく、したがって、同検事がS氏を同課長に紹介したとの事実はなかったと認められる。

八について

いわゆる富士銀行不正融資事件で起訴された者の中に「I」というイニシャルの人物がいることは事実であるが、同人とS氏との関係は、同検事のあずかり知らぬところであり、調査の限りではない。

九について

同検事がS氏から御指摘のような接待を受けたり、そうした席で御指摘のような「人脈」の紹介を受けた事実はなかったと認められる。

十について

御指摘のような事実はなかったと認められる。

十一について

同検事が御指摘のとおり司法記者クラブ有志主催の送別会に出席し、その席上同検事の関与した事件に関するニュース等のビデオが再生された事実はあるが、それは司法記者らが同検事の担当した事件等を回顧するために行ったもので、事件関係者をさらしものにする趣旨のものではなかったと認められる。

十二について

同検事は御指摘の日に御指摘のゴルフ場でS氏らとともにゴルフをし、その後会食をしたが、会費として相当額をS氏に支払っていることが認められる。

また、検察が秘匿すべき捜査情報をマスコミ等外部に流すなどということはあり得ないところである。

刑事責任の追及を職責とする検察官としては、世人の指弾を招くことのないよう、平素から公私の両面にわたって慎重かつ厳正にその身を持していかなければならないことは言うまでもないが、御質問に係る同検事については、以上のとおり、法令上も服務上も問題としなければならない点は認められなかった。

検察においては、今後とも綱紀の保持に努めていくものと承知している。

衆議院の原文

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件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

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