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献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関する質問主意書
衆議院 第141回 第6号
質問本文
献血を原料とする良質な製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標として、厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長、社団法人血液製剤協会理事長名で取り交わされた、平成二年三月七日付の別紙のような内容の「基本合意事項」が存在する。
この文書を踏まえて、薬害エイズの原因ともなった血液製剤の輸入依存体質を抜本的に改善し、長年にわたり提言されながら実現できずに大きな課題となっている血液製剤の国内自給達成のため、献血による血漿分画製剤の製造・供給の在り方に関して、以下質問する。
一 合意事項第IIIには、「契約期間は5年とし、重大な支障が生じない限り継続する」とある。
�@ 厚生省は、本合意から七年以上が経過した現在も、三者間においてこの合意は有効であるというが、その理解でよいか。各当事者それぞれの認識を伺う。
�A この合意は「重大な支障が生じない限り継続する」とされており、すなわち、よほどの事情がない限り継続されるほど重い合意であったと考えるが、そのような理解でよいか。各当事者それぞれの認識を伺う。
二 この合意書が取り交わされた際には、第Iの(3)にある財団法人血漿分画製剤管理機構(以下、管理機構)が設立されることが当然の前提となっていた。しかし、そこまで合意していながら、管理機構という名称の法人は現在まで設立されていない。
�@ この合意書の締結当時、管理機構はどのような趣旨で設立されようとしていたのか。発起人は誰か。
また、設立の時期、基本財産の額とその募集方法、就任予定の役員の氏名、役職名等厚生省はその内容を明らかにせよ。
�A 管理機構の設立の動きや設立のための事前協議はいつからあったのか。その契機は何か。厚生省として設立を働きかけたのか。厚生省の見解を伺う。
�B 管理機構が設立されていないのはなぜか。各当事者それぞれの認識を伺う。
�C 管理機構が設立されない一方で、この合意から約四ヶ月しか経過していない平成二年八月一日に財団法人血液製剤調査機構(以下、調査機構)が設立された。
(一) 管理機構が調査機構に趣旨を変えて設立されたとの話も耳にするが、管理機構が設立されないまま、調査機構が設立された経緯を、厚生省はどのように認識しているか。
(二) 調査機構設立の動きや設立のための事前協議はいつからあったのか。その契機は何か。厚生省として設立を働きかけたのか。
(三) 調査機構設立の事前協議に際して、厚生省は設立の趣意書、基本財産の額とその募集方法、就任予定の役員の氏名、役職名等の書類を入手しているはずである。入手した時期とその内容を明らかにせよ。
三 合意事項第Iの(8)には、「供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて、供給を公益法人に担当させることを検討していく」とあるが、厚生省はその整備をどのように行ったのか。具体的に述べよ。更に、供給を公益法人に担当させることについて、合意当時と現在との厚生省の認識を伺う。
四 合意事項第IIには、「日本赤十字社は、原則として全ての血液凝固因子製剤を製造・供給する」とあり、平成三年以降の民間製薬メーカーへの製造依頼は例外的であり、この合意が成立した一年後には日赤が製造・供給を行うという合意があった。しかし、現在でもそのような実態とはなっていない。
�@ この合意内容が現在に至るまで履行されていないのはどういう事情、理由によるものか。単に実現が遅れているという認識か。それともこのような合意は既に空文化している、あるいは実現不可能との認識か。厚生省と日赤の認識を伺う。
�A この合意内容は、日赤の常任理事会または理事会(以下、理事会等)において報告され、理事等がその合意を承認していたのか。仮に報告されていないとすると、このような重大な内容が理事会等に報告されていないのはなぜか。
�B 合意内容を現在まで履行しないという意思は、日赤の理事会等において決定されたものか。仮に決定されていないとすれば、どのような機関で合意の不履行の継続というような重大な決定が行われているのか。
五 合意事項第IIの(2)には、「ブランドの一元化等については別に定める」とあるが、別の定めがあるのか。あればその内容を明らかにせよ。ないのであれば、なぜ本合意に定めておきながら別に定める内容を策定しなかったのか、その理由と経緯を明らかにせよ。
六 合意事項第IIの(2)には、「製造依頼料は管理機構で調整を行う」とある。管理機構が設立されていない現状において、製造依頼料の調整はどこで行っているのか。その過程と理由を明らかにせよ。
七 合意事項第IIの(3)では、「供給一元化の時点で製造事業者等の手元にある製剤は、管理機構で定める条件で日本赤十字社が買い取る」とある。この合意の前提の認識として、供給が一元化されるものとなっているが、供給の一元化が実現されていない理由を厚生省並びに日赤はどのように認識をしているか。また、当時と現在とでは認識は異なるのか。
右質問する。
(別紙)
基本合意事項(平成2年3月7日)
国民医療における血漿分画製剤の重要性にかんがみ、献血を原料とする良質な製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標とし関係者が一致協力してその対策を推進すべく下記のとおり合意する。
第I アルブミン、免疫グロブリン製剤
上記製剤の製造及び供給を、国内に製造プラントを有する(財)化学及血清療法研究所、(株)ミドリ十字、日本製薬(株)(以下「製造事業者」という)に以下の条件により依頼する。
ただし国内に製造プラントが新たに出来た場合は参加を妨げない。
(1) 依頼は、平成元年10月以降に渡す原料からとする。
(2) 製造・供給に関する原料価格は1万円/Lとする。
ただし上記製剤の市中価格の変動により、依頼に関する基本的経済条件に変動が生じた場合は、協議のうえ暫定的な改定を行う。
(3) 製造品目及び量は、厚生省、日本赤十字社、(社)日本血液製剤協会及び製造事業者で協議決定する。
(財)血漿分画製剤管理機構(仮称。以下「管理機構」という。)設立後は、同財団で協議を行う。
(4) 献血製品相互の供給に競合が生じないよう協議する。
(5) 製剤の包装材料には赤十字マークを入れ、献血血液をもとに日本赤十字社から製造・供給依頼された製品である旨表示すること。
(6) 日本赤十字社及び各製造事業者は新規製剤の開発に努める
(7) 日本赤十字社及び各製造事業者が製造能力を拡大する場合には、厚生省が必要な調整を行う。
(8) 新血液事業推進検討委員会第一次報告にいう供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて、供給を公益法人に担当させることを検討していく。
第II 血液凝固因子製剤
日本赤十字社は、原則として全ての血液凝固因子製剤(ここでいう血液凝固因子製剤とは、主として血友病及びフォンヴィルブランド病治療薬として使われる製剤とする。)を製造・供給するが、以下の場合を例外とする。
(1) 平成2年度末までは血液凝固因子製剤の製造依頼を継続する。
製造依頼条件は基本的に現行どおりとするが、各製造事業者の製造品目及び量の決定については第Iの(3)を準用する。
(2) 平成3年度以降、例外的に製造依頼する場合は、その品目・量は管理機構で定める。
ブランドの一元化等については別に定める。
製造依頼料は管理機構で調整を行う。
(3) 供給一元化の時点で製造事業者の手元にある製剤は、管理機構が定める条件で日本赤十字社が買い取る。
第III 契約期間等
1.契約期間は5年とし、重大な支障がない限り継続する。
2.日本赤十字社が各製造事業者に平成元年9月までに送付した原料で製造される製品のうち、アルブミン、免疫グロブリン製剤の一定量はあらためて当該製造事業者に供給依頼するが、その条件は、厚生省、日本赤十字社、(社)日本血液製剤協会及び製造事業者で協議する。
平成2年3月7日
厚生省薬務局長
日本赤十字社副社長
(社)日本血液製剤協会理事長
出典 血液事業関係資料集(平成7年度版・財団法人血液製剤調査機構 刊)
政府答弁書
一について
厚生省においては、御指摘の平成二年三月七日付けの厚生省薬務局長、日本赤十字社副社長及び社団法人日本血液製剤協会理事長名で取り交わされた基本合意事項(以下「基本合意」という。)は、献血を原料とする良質な血漿分画製剤を必要かつ十分な量だけ製造し、医療機関に適正に供給することを目標とし関係者が協力してその対策を推進していくため基本となる対策につき合意したものであり、その後同三者間で取り交わされた平成三年十二月二日付けの合意事項(以下「平成三年合意」という。)及び覚書(以下「平成三年覚書」という。)により、その内容の一部が変更されており、当該変更後の合意が基本的には現在も継続しているものと認識している。また、厚生省において日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会に照会したところ、同様の回答があったところである。
二の�@から�Bまで並びに�Cの(一)及び(二)について
御指摘の財団法人血漿分画製剤管理機構については、基本合意の締結時に想定されていたその役割を実現する条件が整う見込みがなかったため、具体的な設立準備には至らなかったものと承知している。厚生省において日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会に照会したところ、同様の回答があったところである。
財団法人血液製剤調査機構(以下「調査機構」という。)については、基本合意以降、前記の事情を踏まえ、血液製剤の国内自給を推進する上で必要な法人の在り方について厚生省、日本赤十字社及び社団法人日本血液製剤協会との間で検討を行った結果、国内献血による血液製剤の適正な製造及び供給に資するため、内外の情報収集及び分析並びに必要な調査研究を行う法人として設立に至ったものである。
二の�Cの(三)について
平成二年七月三十日に厚生省に提出された調査機構の設立許可申請書に添付された設立趣意書の内容は、別紙のとおりである。
調査機構の基本財産の額は二億円であり、その募集方法は日本赤十字社、株式会社ミドリ十字、財団法人化学及血清療法研究所及び株式会社日本製薬からの寄附である。また、設立時の役員の氏名及び当時の役職は、次のとおりである。
理 事 長
熊崎 正夫
社団法人全国土木建築国民健康保険組合理事長
専務理事
吉崎 正義
理 事
上村 一
医薬品副作用被害救済・研究振興基金理事長
國行 昌頼
社団法人日本血液製剤協会会長
小池 欣一
日本赤十字社副社長
敷島 宏和
日本赤十字社血液事業部長
須山 忠和
社団法人日本血液製剤協会常任理事
関口 定美
日本赤十字社血漿分画センター所長
田中 明
財団法人献血供給事業団理事長
坪井 栄孝
社団法人日本医師会常任理事
徳永 栄一
日本赤十字社中央血液センター所長
野中 實男
社団法人日本血液製剤協会常任理事
宮島 剛
社団法人日本血液製剤協会理事長
村瀬 敏郎
社団法人日本医師会副会長
中井 一士
調査機構調査業務部長就任予定
監 事
江間 時彦
日本製薬団体連合会理事長
三について
御指摘の基本合意第Iの(8)にいう供給専門公益法人については、設立されていない。
基本合意においては、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤について製造及び供給を基本合意に示された製造事業者が行うこと、また、供給については、供給専門公益法人の整備の推進状況に応じて供給を公益法人に担当させることを検討していくこととされていた。現在、厚生省としては、基本合意以降の状況の推移も踏まえ、血漿分画製剤の国内自給に向けた具体的な取組の在り方について、平成八年十月に当時の薬務局に設置した血液行政の在り方に関する懇談会において検討を進めているところであり、その検討結果等を踏まえ適切に対応していく考えである。
四について
御指摘の基本合意第IIの(2)の内容については、平成三年合意において、平成三年度以降、血液凝固因子製剤について、国内に製造プラントを有する製造事業者が献血を原料として製造及び供給を行うこととされ、また、平成三年覚書において、血液凝固因子製剤の供給について、当面、日本赤十字社及び各製造事業者が行うこととされたことにより、変更されたものと認識している。
厚生省において日本赤十字社に照会したところ、現在までの経緯については同様の認識である旨の回答があり、また、基本合意、平成三年合意及び平成三年覚書については、日本赤十字社の血液事業担当部署が中心となって検討した上、社内決裁手続に従って決裁権限を有する役員が決裁したものであり、常任理事会又は理事会に報告するものではなかった旨の回答があったところである。
五及び六について
御指摘の基本合意第IIの(2)については四についてで述べたとおり、平成三年合意及び平成三年覚書により変更されたことから、御指摘のブランドの一元化等について別に定めたものはない。また、御指摘の製造依頼料の調整は行われていない。
七について
血液凝固因子製剤の供給体制については、厚生省においては、基本合意当時は、基本合意が原則として
すべての血液凝固因子製剤を日本赤十字社が製造するものとしたことから、供給の主体も日本赤十字社に一元化すると考えていたが、日本赤十字社及び各製造事業者の製造供給能力等を踏まえ、四についてで述べたとおり、平成三年合意及び平成三年覚書において基本合意の内容が変更され、血液凝固因子製剤の供給について、その一元化は行わず、当面日本赤十字社及び各製造事業者が行うとされ、現在に至っているものと認識している。また、厚生省において日本赤十字社に照会したところ、同様の認識である旨の回答があったところである。
別紙
財団法人血液製剤調査機構設立趣意書
我が国の血液事業については、血漿分画製剤の外国の売血への依存体質、一部製剤の不適正使用、血液製剤の需給上の不均衡等の問題点が指摘されている。
これを解決するためには「新血液事業推進検討委員会第一次報告」にあるように、血液事業の運営において適正な需給管理を行うことにより、効率性、透明性を確保していくことが必要である。
特に、血漿分画製剤の献血による完全自給は、昭和六十三年の国会決議で要請されているほか、国際的にも一九七五年の「WHO勧告」、一九八三年の「国際輸血学会メモランダム」等で血液製剤の国内自給への取り組みが求められ、近時、ヨーロッパ各国等においても国内自給対策が進められているなど、国際的趨勢となっている。
このような状況にあって、今後、血漿分画製剤を含め全ての血液製剤を献血によって国内自給するという目的に向けて推進するためには、
�@適切な需要把握とこれに合致した計画的な採血、製造、供給体制の検討
�A適正使用の徹底と不当な利益の排除
�B患者に最善な製剤が供給されるような技術開発面での方向付け
�C輸入製剤との競合がある分野における献血製剤の供給促進
が必要である。
そして、その前提条件として国内に止まらず諸外国を含めた詳細かつ正確な技術的側面及び経済的側面の情報の収集・分析を実施し評価する必要がある。
こうした業務は、継続性と客観性をもって行われる必要があり、この観点から専門の機関が担当することが必要である。
本構想は、上記の趣旨を踏まえ、献血による血液製剤供給者の出資及び拠出により財団法人血液製剤調査機構を設立し、各血液製剤の使用傾向及び需要動向、使用適正化の推進状況、血漿分画製剤の内外の生産流通状況、血液製剤に関する学術情報収集及び分析と今後の製剤の開発方向、効果的な献血推進等の調査研究業務を行い、国内献血による血液製剤の適正な製造及び供給に資することを目的とする。
財団法人血液製剤調査機構設立発起人(五十音順)
上村 一
熊崎 正夫
小池 欣一
宮島 剛
村瀬 敏郎
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