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「介助犬」の公的認定と普及促進に関する質問主意書

衆議院 第142回 第32号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×1

提出者
衆議院
提出日
1998年5月8日
内閣転送 1998年5月11日
答弁書受領日
1998年5月29日
提出から21日
答弁の項目数
4
質問 1,679字/答弁 972字

質問本文

日本の肢体不自由障害者の方々は現在百四十万人以上といわれ、中でも家族と共に暮らすことが出来ない障害者の割合も増加していくことが予想される。しかし、肢体不自由障害者が社会的に自立したくても、多額な介護・介助費用の問題や、介護者や介助者への気兼ね等の精神的理由により、その願いが十分に果たされていないのが実状である。また、高齢社会の到来を目前に、肢体不自由の高齢者の数も増加していくことが予想され、これら肢体障害者の方々がより不自由なく暮らしていける対策を講じることがますます必要とされている。

こうした状況の中、新しい可能性として注目され始めたのが介助犬である。介助犬とは、肢体障害者や高齢者の日常生活の中で身体機能を代行する犬を指す。欧米では既に五千頭が活躍しており、介助犬は公共施設や交通機関、ホテルやスーパーマーケットなどにも同伴出来るほど市民権を得た存在である。介助犬はまた、障害者や高齢者の情緒の安定や自立心向上をもサポートし、彼らの社会的ネットワーク拡大にも貢献している。近年米国で行われた研究によると、介助犬のもたらす効果として、障害者における経済的有用性と社会性の向上が確認されたということである。研究では介助犬により脊髄損傷等の障害者の登校率や出社率が向上し社会性の向上が見られたと同時に、介助にかかる費用が一人当たり年間百三十万円削減されたと報告されている。

一方、我が国では介助犬の数はまだ少なく、育成された介助犬はまだ十頭に満たないという。四、五年前からいくつかの民間活動団体が独自の方法で育成を行っているが、訓練士の資格や基準がないため、各団体によって育てる犬の質や能力は均一でなく、法的な裏付けもないまま、それぞれが独自に「介助犬」を名乗っているのが現状である。公的機関をはじめ、一般社会においても介助犬の受け入れは厳しい状況にある。

米国では連邦法で、交通機関、職場、学校など公共施設への介助犬の出入りを保証している。欧州でも介助犬は比較的受け入れられている。しかし日本ではまだ介助犬同伴で入れる場所は限られている。昨年四月、介助犬同行で来日した米国女性がホテルやレストランで利用を拒まれ、公共交通機関に乗るために何枚もの申請書を提出させられるという事態がマスコミに報じられた。同年秋に来日した肢体障害の米国人男性は介助犬同伴での国内での移動を航空会社に断られた。視覚障害者をサポートする盲導犬と違って、介助犬はいまだペット扱いにすぎず、社会的に認知されていない。

以上のような背景から、介助犬をより普及させていくべきとの認識により、以下の質問をする。

一 介助犬の認定について、視聴覚障害者をサポートする盲導犬と同様に法的根拠を持たせていくべきだと思うが、政府の見解を問う。

二 また現在、関連施設及び訓練士に関する法的資格や基準がないことで、民間の業者によるトラブルも起こりうる。政府はこれらについても早急に法的基準を整えるべきと考えるが、政府の見解を問う。

三 法的認定がなされていない事から、先に挙げたような搭乗拒否や乗車拒否等の問題が起きているが、交通機関や公的機関において介助犬が盲導犬と区別されて扱われるということは、肢体障害者を差別することにもつながる。介助犬受け入れの通告が交通機関、公的機関、さらに民間団体にもなされていくべきだと考えるが、どうか。

四 介助犬が推進され普及することについて、政府はこれに異論はないか。さらにこれを支持していく意思はあるか。

五 既存の民間施設や訓練士育成への助成金による援助によって、普及を図るべきと考えるが、どうか。

六 介助犬は障害者や高齢者の事情によって幅広い適応が可能であるが、症状の特殊性や社会的・家族的背景を把握した上で、介助犬の要・不要、どの犬が最適かということが処方されていくことが不可欠と考えられる。そこで、障害者や高齢者に対する介助犬の有効性及び可能性と現状の問題点について医療関係者も含めて調査研究を進めるべきだと思うが、政府の見解を問う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

盲導犬については、目が見えない者及びこれに準ずる者が安全に道路を通行する上で盲導犬を連れていることが有効であることから、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第十四条第一項において、これらの者が道路を通行するときは、つえを携えるか又は盲導犬を連れていなければならないことを規定し、その法律上の意味を明らかにした上で、同条及び関係法令において盲導犬の定義及び盲導犬の訓練業務等を行うための施設の要件等を規定しているところである。

一方、御指摘の介助犬については、現時点では身体障害者の介護等の障害者施策において介助犬の果たす役割及びその有効性が明確でないこと等から、盲導犬と同様に一定の法律上の意味を与えることが困難であり、法令により介助犬の定義並びに御指摘の関連施設及び訓練士に関する基準を設けることは考えていない。

三について

盲導犬については、道路交通法上その定義が明らかであること及び同法に基づく盲導犬訓練業務等を行うための施設等において行われる特別の訓練を受けていることから、目が見えない者及びこれに準ずる者が盲導犬を連れて交通機関や公的機関等の施設を利用する場合について、円滑にその利用が可能となるよう、関係規則等により所要の措置が講じられているところである。

しかしながら、御指摘の介助犬の交通機関や公的機関等の施設における障害者との同乗又は同行については、現時点では、一及び二についてで述べたとおり、法令によりその意義、介助犬の定義及び訓練等に関する基準が定められていないこと等から、盲導犬と同様に取り扱うことは困難である。

四及び五について

介助犬の利用及び育成については、それが障害者の多様化する需要に対応するような形で推進され普及することに政府として特に異論はないが、現時点では、介護等の障害者施策において介助犬の果たす役割及びその有効性が明確でないこと等から、介助犬の訓練及び普及等に関する活動を行っている団体に対し、その施設の運営及び訓練士の育成に関して助成を行うことは困難である。

六について

御指摘の調査研究については、現時点において厚生省としてこれを実施する予定はないが、今後、障害者団体、研究者等からの要望の状況も踏まえ、必要がある場合には、研究費の助成等を行うことについて検討してまいりたい。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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