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参院選公示日の死刑執行に関する第三回質問主意書

衆議院 第143回 第30号承知していない ×1仮定の質問 ×2

提出者
衆議院
提出日
1998年10月16日
内閣転送 1998年10月16日
答弁書受領日
1998年11月20日
提出から35日
答弁の項目数
14
質問 2,753字/答弁 2,590字

質問本文

八月十一日提出の「参院選公示日の死刑執行に関する再質問主意書」(以下、再質問という)に対する九月十一日付け政府答弁書(以下、答弁書という)は、既に広く報道されている六月二十五日の死刑執行について、事実の確認を拒んだ上、死刑執行で政府に誤りがあった場合などについてただした質問には「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」と答弁しなかった。

法律に従って行政を運営する政府に対して、法律を制定する国権の最高機関たる立法府の議員が「こんなケースでは、どのように運営するのか」と将来の事態を想定して質問したのに、答弁を得られないというのは、余りにも議員をないがしろにしていないか。

過去の事実の確認を拒み、将来の事態を想定した質問にも答えないというのであれば、政府は憲法も法律も立法府も無視して思いのままの、専制政治が可能となる。直ちに姿勢を改めるように求める。専制政治を招かないようにあらためて質問する。

各閣僚においては、総理大臣が所信表明で宣言した「政治主導の行政運営」に基づき、官僚作成の答弁書案の精査をお願いする。国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十五条第二項に従い誠実な答弁を求める。

一 死刑執行の事実確認について

(1) 答弁書「一の(1)について」の「一般論として申し上げれば、死刑の執行については、法令に従い適正に行っているところである」ということを立法府はどのようにして確認すればいいのか。政府を信じていればいい、ということか。

(2) 過去において、死刑の執行が適正に行われなかったことはあるか。

(3) 答弁書「一の(6)及び(7)について」によると、内閣総理大臣所信表明の「わが国は、急速な少子高齢化、情報化、国際化などが進展する中で」の「情報化」「国際化」という言葉を聞き、死刑廃止が過半数を占める国際情勢や死刑の情報公開が進んでいる諸外国の例などを思い起こした議員は、見当違いということか。

(4) 死刑執行をめぐり、重大な過失に基づく事故や執行に関わる公務員による犯罪行為などがあった場合でも、一切の説明を拒むのか。答弁書「一の(10)について」には「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。

二 国政選挙について

(1) 答弁書「二の(2)について」によると、英国が慣習上、選挙期間中に各閣僚が意思決定を行う場合、当該決定が取り消せない性質のものでないものに限っているのは、民意の反映の観点から新規政策や重要案件の決定は選挙後に行うとの趣旨だが、日本政府が取り返しのつかない死刑を選挙期間中に執行しているのはなぜか。

(2) 再質問二の(3)では「米国で大統領や国会議員の選挙期間中、死刑が執行されたケースの有無は『承知していない』ということだが、それは調査せずに把握していないということか。それとも、答弁期間内では調査できなかったということか」とただしたのに、答弁書にはこの部分について、記載がない。明確に答弁されたい。

三 法務省の人事異動について

(1) 「法務省の職員は勤務終了後、同省内でプライベートな時間を過ごすことがあるのか」とただした再質問三の(2)に対し、答弁書は「勤務時間終了後のプライバシーにかかわる事項については、お答えする立場にはない」と有無を答えなかった。堅苦しいことは言いたくないが、こうした答弁姿勢なので、あえて問う。法務省の電気代はだれが払っているのか。その原資は何か。法務省の職員がプライベートな時間を役所内で過ごすことは許されるのか。

(2) 六月二十五日午後七時ごろ、議員が法務省で面会した刑事局総務課長は当時、飲酒後だったか。

(3) 同日、法務省内で酒を伴う職務上の懇親会などはあったか。

四 衆院法務委員会での質疑について

(1) 七月三十日付け「参院選公示日の死刑執行に関する質問主意書」に対する八月七日政府答弁書「四の(2)について」によれば、政府は「死刑に関する事項については、毎年、死刑執行者数、死刑確定者数等を統計等により可能な限り公表している。また、死刑の言渡しがなされた個々の事件の裁判の内容については、裁判公開の原則により公にされているところである」ので、国会の議論に不都合はないと考えているようだが、国政選挙期間中の死刑執行で、事故や犯罪が発生した場合、どうするのか。答弁書「四の(1)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。

(2) 死刑確定者の無実を示す証拠が刑の執行後に見つかり、死刑確定者の遺族が名誉回復と国家賠償のために再審と民事訴訟を起こした場合、政府はその死刑確定者の刑を執行したことを隠しつづけるのか。答弁書「四の(5)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。

五 死刑執行の報道について

日本における死刑の執行が報道され、外国からそれが事実かどうか確認を求められた場合も今回答弁書(八月七日付け政府答弁書)同様、答えないのか。死刑廃止国と存置国でその対応には、違いが生じるか。答弁書「六の(5)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。

六 仮定の質問について

(1) 国会議員が立法府の制定した法律の運営、行政に関し、政府に将来起りうるケースを想定して仮定の質問をすることは、国民にとって必要なことと考えるか。

(2) 政府が国会議員の仮定の質問に答えず、法律の運営や行政において現在いかなる課題があるか、議員が知り得ない場合、議員立法による法律の改正などはどのようにして行えばよいのか。

(3) 死刑に関する事実の確認や仮定の質問に対する答弁を拒むということは、議員による国政調査権を侵害し、議員立法による法改正などの道を閉ざすことにならないか。

(4) 政府が立法府からの事実確認や仮定の質問を拒み、専制的に運営している行政分野は死刑の執行以外にあるか。

(5) 政府が立法府からの事実確認や仮定の質問を拒み、専制的に運営する行政は、国民のために必要か。必要と考えるのであれば、その理由を示されたい。

(6) 死刑廃止条約の批准を求めるNGOや報道関係者によると、法務省は何度批判されても死刑を国会閉会中に執行する方針にこだわり、国会日程をにらみながら十二月十一日、十八日、二十五日のいずれかに執行する準備を進めているというが、本当か。また、次の執行が予想される東京、広島、仙台などの拘置所で、職員が先を競って前記候補日に休暇を取ろうとしているというのは、事実か。こうした刑務官の心情を政府はどのように考えるか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

死刑は、適正な法の手続に基づいて言い渡された確定判決により、執行しているものであって、当該裁判の内容については、裁判公開の原則により明らかにされている上、死刑執行の事実については、毎年の統計において執行数を公表しているところである。これに加えて、死刑の執行は、死刑の必要性、情報公開などに関する質問に対する答弁書(平成十年二月十三日内閣衆質一四二第一号)六の1について及び死刑の必要性、情報公開などに関する再質問に対する答弁書(平成十年三月二十四日内閣衆質一四二第一〇号)六の(1)についてでお答えしたとおり、極めて慎重な手続を経て行われているのであって、刑罰権行使の適正は十分図られているものと考えている。

一の(2)について

過去において、死刑の執行は、法令に従い適正に行われてきたところである。

一の(3)について

御指摘の内閣総理大臣の所信表明演説は、「今日、わが国は、急速な少子高齢化、情報化、国際化などが進展する中で、大きな変革期に直面しております。国民の間に、わが国経済・社会の将来に対する不安感が生まれています。」というものであり、「情報化」及び「国際化」の進展については、死刑制度の存廃に関する国際情勢や死刑の情報公開に関する諸外国の実情に関連して述べたものではない。

一の(4)及び四について

御質問の内容が、将来そのような事態が生じたとした場合にその具体的状況の下において検討すべき仮定の事項にわたるので、現時点において、責任を持った確定的な回答ができないため、答弁を差し控えたい。

なお、我が国においては、令状主義及び厳格な証拠法則が採用され、三審制が保障されるなど、捜査公判を通じて慎重な手続により有罪が確定されている上、再審制度が保障されており、有罪を認定することについては、適正な判断がなされているものと考えている。加えて、死刑は、その言渡しを受けた者の生命を断つ極刑であり、一度執行されれば回復し難いこととなるものであるから、死刑判決の確定後は、関係検察庁の長からの死刑執行に関する上申を待って確定記録を取り寄せ、法務省内関係部局をして判決及び確定記録の内容を十分精査せしめ、刑の執行停止、再審又は非常上告の事由の有無、恩赦を相当とする情状の有無等について慎重に検討し、これらの事由等がないと認めた場合に、初めて死刑執行命令を発するなどその適正を期しているところである。

また、一般論として申し上げれば、検察、法務当局は、再審請求事件及び国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)に基づく民事訴訟事件に対しては、法令に従い適切に対処することとなる。

二の(1)について

憲法第七十三条第一号は、法律を誠実に執行することを内閣の事務として定めているので、国政選挙期間中であると否とを問わず、政府としては、国会によって制定された法律を誠実に執行しなければならないと考えている。

二の(2)について

参院選公示日の死刑執行に関する質問に対する答弁書(平成十年八月七日内閣衆質一四三第一号)作成に当たっては、答弁期間が限られていたこともあり、十分な調査を行うことができず、御指摘の「米国で大統領や国会議員の選挙期間中、死刑が執行されたケースの有無」について明らかとはならなかったため、「承知していない」旨答弁したものである。

三の(1)について

法務省が入居している中央合同庁舎六号館の電気料金は、入居官署の支出官がそれぞれ分担し、一般会計予算から支出している。

法務省の職員は、勤務時間終了後、速やかに退庁しているものと承知している。

三の(2)について

御指摘の職員が職務として保坂展人衆議院議員と面会するまでの同職員の行動については、勤務時間終了後の職員のプライバシーにかかわる事項であり、お答えする立場にはない。

三の(3)について

御質問のような懇親会は、開かれていない。

五について

御質問の内容が将来の具体的状況の下において検討すべき仮定の事項にわたるので、現時点において、責任を持った確定的な回答ができないため、答弁を差し控えたい。

六の(1)及び(2)について

全国民の代表者である国会議員が国会の制定した法律の執行等に関して内閣に質問をすることは、国民にとって必要なことであり、議員立法による法律の改正などにも必要となるものであるので、内閣としては、これに対し、誠実に答弁すべきであると考えているが、質問の内容が将来の具体的状況の下において検討すべき仮定の事項にわたる場合には、現時点において、責任を持った確定的な回答ができないため、答弁を差し控えざるを得ないことがあるものと考えている。

六の(3)について

各議院の議員からの質問主意書に対しては、内閣としては、誠実に答弁すべきものと考えている。しかし、国家の刑罰権の作用は、本来、刑の執行そのものに限られるのであって、それを超えて、国家機関が刑の執行の事実を殊更に公表して、刑の執行を受けた者やその関係者に、刑の執行そのものを超えた不利益や精神的苦痛を与えることは相当でないと考えており、このような考え方に基づき、個々具体的な死刑執行に関する事項につき、死刑を執行された者の遺族の感情、他の死刑確定者の心情の安定等に配慮し、答弁を差し控えてきたところである。また、仮定の質問に対しては、六の(1)及び(2)についてでお答えしたとおりの理由から、答弁を差し控えているものである。

六の(4)及び(5)について

死刑の執行等については、法令に従い適正に行っているところである。

政府は、死刑の執行以外の行政分野においても、例えば、刑事事件の捜査状況及び処理の見込みについて、立法府からの事実確認や仮定の質問に対する答弁を差し控えることがあるが、それは、公務の適正な遂行等の公共の利益に配慮し、あるいは、質問の内容が将来の具体的状況の下において検討すべき仮定の事項にわたるので、現時点において、責任を持った確定的な回答ができないなどの理由に基づくものであり、行政を専制的に運営するためではない。

六の(6)について

死刑執行をいつ行うかについては、答弁を差し控えたい。

調査した限りでは、御質問に係る施設の職員が御指摘の日に先を競って休暇を取ろうとしている事実はない。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1仮定の質問 ×2

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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