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東京電力海外プルトニウム移転に関する質問主意書

衆議院 第145回 第47号

提出者
衆議院
提出日
1999年8月12日
内閣転送 1999年8月13日
答弁書受領日
1999年9月28日
提出から47日
答弁の項目数
7
質問 2,228字/答弁 2,445字

質問本文

東京電力株式会社(以下、「東電」という)は、プルサーマル計画に基づきフランスにおいて回収されたプルトニウムをMOX燃料加工するために、フランスからベルギーへプルトニウムの移転を行った。プルトニウムの移転に際しては、保障措置及び核物質防護上最も厳しい管理を要求されている。フランスからベルギーへのプルトニウム移転に係る手続き及び管理において疑義があるので以下、質問をする。

一 移転量について

1 日仏原子力協定に基づきフランスから一九九六年六月、プルトニウム移転の同意依頼があった。その内容は、清水澄子参議院議員質問主意書に対する答弁書(一九九八年七月二八日付)によれば『ベルギーに一九九六年十月以降及び一九九八年一月以降、それぞれ二〇〇キログラム以上の一定量を移転』とある。

フランスから実際に移転されたプルトニウム量の通知はあったのか。あったとすれば、いつ、どのような内容か。

2 東電によればフランスからベルギーへ移転されたプルトニウムは、一回目(福島一 ― 三号機分)核分裂性一四五キログラム、プルトニウム総量二二〇キログラムを一九九七年五月移転し、二回目(柏崎三号機分)核分裂性一三七キログラム、プルトニウム総量二〇九キログラムを一九九八年六月移転したとのことである。移転した年月日とプルトニウム量は、東電の説明で間違いないか。

3 いつ、どこから、どの様にして、この実際の移転量を知ったのか。また、二回の移転年月日はいつか。

4 一九九八年版原子力白書には、フランスからベルギーへの移転された量が表されていない。フランスから報告を受けた年末在庫にベルギーへの移転量が記載されているのか。

5 あるとすれば、どうして白書にはその旨記載しなかったのか。また、ないとすれば、第三国への移転が行われたにもかかわらず、ベルギーでの在庫量を記載しなかった理由は何か。

二 欧州共同体委員会(以下、「EC委員会」という)及びベルギーとの交換公文について

一九九七年二月一〇日付けEC委員会及びベルギーとの交換公文(以下、「取極」という)の附属書において、プルトニウム二二一キログラムを一九九七年九月以前に、二六二キログラムを一九九八年七月以前に移転するとの国際約束をしている。「取極」において、約束した二回目のプルトニウム移転量は二六二キログラムであったが、実際に移転されたプルトニウム量は二〇九キログラムと五三キログラムも少なかった。

「取極」におけるプルトニウム移転量を決めた根拠は、清水澄子議員質問主意書に対する答弁書(一九九八年七月二八日付)によれば『政府が我が国関係事業者から、EC委員会及びベルギー政府が先方関係事業者からそれぞれ確認した核物質の移転予定量、移転予定時期等を踏まえて附属書に記載することとした。』とある。

1 実際の移転前に事業者から移転量変更の届出等の連絡はあったか。あったとすれば、どこの事業者から、いつ、どのような説明があったのか。また、移転量変更の理由は何か。

2 この移転量の変更について、実際の移転前にEC委員会及びベルギーへ連絡をし、なんらかの変更手続き等対処をしたか。連絡したとすれば、その年月日と内容を明らかにされたい。何もしていないとすれば、その理由は何か。

3 清水澄子議員質問主意書に対する答弁書(一九九七年七月一八日付)で「取極」について

(1) 核物質等我が国から国外へ移転される場合には、移転先国等における平和的利用等についての保証(「平和的利用等の保証」)を得ることとしている。

(2) 「平和的利用等の保証」は、二国間の原子力協定(長期的、包括的)及び個々の移転ごとの移転先国政府等との取極等により得る。

(3) 今回のMOX燃料加工に関しては、EC委員会及びベルギー政府との交換書簡の取極により「平和的利用等の保証」を得ているので、ベルギーとの原子力協定を締結する必要はない。

としている。

また、同じ清水議員の質問主意書に対する答弁書(一九九八年二月一七日付)によれば、『政府は我が国とベルギー王国との間において予定された原子力の平和利用における協力が限定的かつ短期的であること等を勘案し、平和的利用等の保証を得るために、包括的かつ長期的な枠組みである原子力協定を締結するのではなく、個別の取極を締結することが適切であると判断した。』とある。

今回の移転の根拠は、原子力協定と同等である国際約束の「取極」により、移転量と時期を定め、保障措置及び核物質防護が「保証」されたことにあったと理解している。しかし実際には、その移転するプルトニウムの量が五三キログラムも変更された。保障措置及び核物質防護の「保証」は、厳格な数値を定めることで成り立つのであり、移転量の変更は「取極」移転量の変更によって担保されるのではないか。したがって、「取極」移転量の変更がされていないとすれば、「取極」による「保証」は不確かなものとなるのではないか。

三 日仏原子力協定の解釈について

日仏原子力協定第四条3の規定によれば、フランスからベルギーへのプルトニウム移転に際しては、フランス政府が移転先の保障措置・核物質防護等の保証を得ると解釈すべきではないのか。何故、フランス政府が保障措置・核物質防護等の保証を得ず、日本政府がEC委員会及びベルギーから保証を得ることになったのか。その経緯と理由は何か。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転に関し、実際に移転されたプルトニウムの量についてのフランス共和国政府から政府に対する通知はなかった。

一の2及び3について

御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転に関しては、東京電力株式会社(以下「東電」という。)による許可申請、届出等の法的手続は必要とされていないが、政府は、当該移転に関して、一回目については平成九年五月に、二回目については平成十年七月に、それぞれ東電から電話連絡等により事実関係を聞いている。

東電によれば、一回目の移転はプルトニウム総量二百二十キログラム(うち核分裂性プルトニウム百四十五キログラム)について平成九年五月中に完了したとの報告を、二回目の移転はプルトニウム総量二百九キログラム(うち核分裂性プルトニウム百三十七キログラム)について平成十年六月末までに完了したとの報告を、それぞれフランス共和国の事業者であるフランス核燃料会社から受けたとのことである。

一の4及び5について

「千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書」(平成二年条約第五号)を締結するための交渉において到達した了解を記録した合意された議事録2(d)に基づき、フランス共和国政府から政府に対して、フランス共和国内にある「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定」(昭和四十七年条約第九号。以下「日仏原子力協定」という。)の対象となる核物質の在庫の状況等に関する情報が施設ごとに一年単位で提供されるが、フランス共和国外へ移転された核物質の量に関する情報については提供の対象とされていない。

二の1について

御質問のフランス共和国からベルギー王国への二回目のプルトニウムの移転に関しては、事業者による許可申請、届出等の法的手続は必要とされておらず、政府は、事業者から、具体的な移転量についての事前の連絡は受けていない。しかしながら、政府は、東電から、プルサーマル計画の進ちょく状況について適宜話を聞いており、平成九年十二月に、当該プルトニウムの移転量が政府と欧州共同体委員会との間の平成九年二月十日付け書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)の附属書及び政府とベルギー王国政府との間の同日付け書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)の附属書Aに記載されている移転予定量を下回る可能性があることが判明した。

この移転量の変更については、政府は、平成十年七月に、東電から、プルサーマル計画の具体化により混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)加工に用いられるプルトニウムの組成が確定したこと等に伴うものと聞いている。

二の2について

MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国への二回目の移転に係るプルトニウムに関し、政府は、平成九年十二月十二日に欧州共同体委員会との間において、また、同月十六日にベルギー王国政府との間において、当該プルトニウムは、その量が日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された移転予定量を超えない限り、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極の対象となることを口頭で確認しているところである。

なお、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極は、日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された核物質がベルギー王国に移転された場合に、当該核物質について、欧州共同体委員会が平和的非爆発目的にのみ使用されることを確保する等の義務を、ベルギー王国政府が適切な防護の措置が適用されることを確保する義務をそれぞれ負うことを内容とするものであって、政府が当該核物質をベルギー王国へ移転する義務を負うものではない。

二の3について

二の2についてで述べたとおり、MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国への二回目の移転に係るプルトニウムに関し、政府は、欧州共同体委員会及びベルギー王国政府との間において、当該プルトニウムは、その量が日・欧州共同体委員会取極の附属書及び日・ベルギー取極の附属書Aに記載された移転予定量を超えない限り、日・欧州共同体委員会取極及び日・ベルギー取極の対象となることを口頭で確認しており、御指摘のような問題はないものと考えている。

三について

御質問のフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転は、日仏原子力協定上、ベルギー王国において、当該プルトニウムが平和的非爆発目的にのみ使用されること、当該プルトニウムについて国際原子力機関による保障措置が適用されること及び当該プルトニウムについて日仏原子力協定の附属書Aに定める水準の防護の措置がとられることについての保証をフランス共和国政府が適切な方法で得る場合であって、政府の事前の文書による同意があるときに行われ得るほか、このような保証をフランス共和国政府が得られない場合であっても、政府の事前の文書による同意があるときには行われ得ることとなっている。

政府は、本件MOX燃料加工のためのフランス共和国からベルギー王国へのプルトニウムの移転については、ベルギー王国において、当該プルトニウムがMOX燃料加工という平和的非爆発目的にのみ使用されること、当該プルトニウムについて国際原子力機関による保障措置が適用されること、当該プルトニウムについて適切な防護の措置がとられること、当該プルトニウムがMOX燃料に加工された後にフランス共和国に移転されること等を確保するため、これらについての保証を政府自らが欧州共同体委員会及びベルギー王国政府との国際約束によって得た上で、事前の文書による同意を行うことが適切であると判断したものである。

衆議院の原文

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