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プルトニウム利用に関する質問

参議院 第140回 第14号

提出者
参議院
提出日
1997年6月16日
内閣転送 1997年6月18日
答弁書受領日
1997年7月18日
提出から32日
答弁の項目数
18
質問 1,826字/答弁 2,566字

質問本文

プルトニウム利用に関する質問主意書

わが国は平成九年二月十日、欧州共同委員会との交換書簡(以下、「EC交換書簡」という)及びベルギー王国との交換書簡(以下、「ベルギー交換書簡」という)を池田外務大臣署名で交わした。この交換書簡では、東京電力株式会社(以下、「東電」という)のベルギー王国におけるプルトニウム混合燃料加工(以下、「MOX加工」という)に係る核物質防護、保障措置、輸送等に触れているが、このようなエネルギー政策に関わる事項は、国会へ報告されるべきであると思うので以下交換書簡とプルトニウム利用に関して質問をする。

一 ベルギー交換書簡の内容について

書簡によれば東電は、MOX加工に際して一回目の輸送でフランスからプルトニウム二二一キログラムを、日本からウラン一五四四キログラムを一九九七年二月十日から一九九七年九月までに、二回目の輸送でフランスからプルトニウム二六二キログラムを、日本からウラン一五四四キログラムを一九九七年三月から一九九八年七月までに、ベルギーへ運ぶことになっている。

1 政府は東電が、ベルギーにおけるMOX加工委託契約をいつ、どこと結んだのか承知しているか。

2 政府に対する東電のMOX加工委託契約等に係る届出、報告は、いつどこの官庁にあったのか。

3 書簡によれば東電は、ベルギーへの一回目のプルトニウム、ウランの輸送を一九九七年九月までに行うことになっている。

(1) 政府は東電が、このような契約をいつ、どこと結んだのか知っているか。結んでいないとすれば、どのような形式で、このような約束になったのか。

(2) 関係官庁は、このような契約または約束をいつ、どのようにして知ったのか。また、承認、許可等をいつしたのか。

4 書簡では、MOX加工に使用するウラン三〇八八キログラムを日本から運ぶことになっている。

(1) 海外MOX加工に使用するウランは、今後も日本から運ぶのか。今回だけの処置なのか。

(2) 今回、何故フランスなどの欧州からウランを調達せず、遠い日本から運ぶことにしたのか。その理由は何か。

(3) フランスで再処理した回収ウランはMOX加工に使用しないのか。

(4) 海外回収ウランは、どのように利用するのか。廃棄物として処理をするのか。

5 今回のプルトニウム四八三キログラム、ウラン三〇八八キログラムを単純に計算すると富化度は一三・五%になってしまう。

(1) 今回のMOX加工燃料の富化度は何%か。

(2) プルトニウムの組成比は、どのようになっているのか。

二 ベルギー交換書簡の効力と手続きについて

わが国は原子力事業を推進する際には、国民の合意と国会の承認を受けてきた。海外における原子力事業の際には、当該国との原子力協定を結び関係国の承認を得て行っている。

1 わが国は、ベルギーと原子力協定を締結していない。MOX加工の委託に際しては、ベルギーと原子力協定の締結を必要とするのではないか。いつ、締結するのか。必要ないとすれば、その理由は何か。

2 今回のベルギーとの交換書簡は、原子力政策上重要な内容を含んでおりながら、その内容は国民にも知らされず、国会の場でも論議されていない。

(1) ベルギー交換書簡の内容を内閣は承認しているのか。

(2) 何故、国会の場で論議されず、国会承認もされていないことが具体的に進展しているのか。

3 この交換書簡は、池田外務大臣とベルギーのベルドンク臨時責任者が署名をしているが、国と国との約束としての有効性はどのようにあるのか。

また、この交換書簡は、協定、政府交換公文、口上書、覚書などでいえばどの類になるのか。

4 この交換書簡によって、ベルギーにおけるわが国の核燃料物質の核物質防護及び保障措置は、ベルギーによって保証されるのか。

三 EC交換書簡について

1 この交換書簡は、池田外務大臣とEC駐日代表部ケック大使が署名をしているが、国と共同体との約束としての有効性はどのようにあるのか。

また、この交換書簡は、協定、政府交換公文、口上書、覚書などでいえばどの類になるのか。

2 この交換書簡によって、ベルギーにおけるわが国の核燃料物質の保障措置はECによって保証されるのか。ECに保障措置を保証する権限があるのか。

3 この交換書簡の相手として、欧州連合または欧州原子力共同体ではなくECであることの理由は何か。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

東京電力株式会社(以下「東電」という。)が株式会社東芝(以下「東芝」という。)との間でベルギー王国における混合酸化物燃料(以下「MOX燃料」という。)加工に係る委託契約(以下「加工契約」という。)を平成七年四月二十八日付けで締結したと承知している。

一の2について

当該加工契約の締結に関しては、届出等の法的手続は必要とされていない。なお、通商産業省及び科学技術庁は、東電から当該加工契約の締結についてその前後に随時話を聞いている。

一の3の(1)について

ベルギー王国へのプルトニウム及びウランの輸送をも含む契約である当該加工契約は、東電と東芝との間で平成七年四月二十八日付けで締結されたと承知している。

一の3の(2)について

当該加工契約の締結に関しては、承認、許可等の法的手続は必要とされていない。なお、通商産業省及び科学技術庁は、東電から当該加工契約の締結についてその前後に随時話を聞いている。

一の4の(1)について

東電のこれまでの説明によれば、当該加工契約上は、ウランを日本から運ぶこととしているが、その後については未定とのことである。

一の4の(2)について

東電のこれまでの説明によれば、東電が利用を考えているMOX燃料集合体は日本で開発したウラン燃料集合体と基本的に同じ設計とされており、したがって、MOX燃料集合体のうちウラン燃料棒については、製造実績のある日本で加工することとしたとのことである。

一の4の(3)について

東電のこれまでの説明によれば、回収ウランはMOX燃料加工には使用しない方針とのことである。

一の4の(4)について

東電のこれまでの説明によれば、回収ウランを廃棄物として処理するのではなく、再濃縮して燃料として利用していく方向で検討を進めているとのことである。

一の5の(1)について

東電のこれまでの説明によれば、今回のMOX燃料集合体の富化度(燃料集合体当たりのプルトニウムとウラン合計質量に占めるプルトニウムの質量の割合)は、平均四パーセントないし五パーセントとのことである。

一の5の(2)について

東電のこれまでの説明によれば、今回のMOX燃料加工に使用されるプルトニウムの組成比(総プルトニウムの質量に占める核分裂性プルトニウムの質量の割合)は、約三分の二とのことである。

二の1について

政府は、核物質等が我が国から国外へ移転される場合には、移転先国政府等から当該核物質等に関し移転先国等における平和的利用等についての保証(以下「平和的利用等の保証」という。)を得ることとしている。このような保証は、原子力の平和的利用の分野における協力のための包括的かつ長期的な枠組みを定める二国間の原子力協定により得る場合及び個々の移転ごとに移転先国政府等との取極等により得る場合とがある。御指摘のMOX燃料加工の委託に関連してベルギー王国へ移転される核物質については、平成九年二月十日に発効した政府と欧州共同体委員会との間の書簡の交換による取極(以下「日・欧州共同体委員会取極」という。)及び政府とベルギー王国政府との間の書簡の交換による取極(以下「日・ベルギー取極」という。)により平和的利用等の保証を得ているので、ベルギー王国政府との間で原子力協定を締結する必要はないと考える。

二の2の(1)について

平成九年二月七日の閣議において、日・ベルギー取極のための政府とベルギー王国政府との間の書簡の交換及び日・欧州共同体委員会取極のための政府と欧州共同体委員会との間の書簡の交換についてそれぞれ閣議決定が行われた。

二の2の(2)について

日・ベルギー取極は、ベルギー王国に移転される核物質についてベルギー王国政府が防護措置を適用することを政府に対して約束するものであって、政府はベルギー王国政府に対して何の義務を負うものではないことから、日・ベルギー取極については、国会の承認を得る事項は含まれていないものと考える。

二の3について

日・ベルギー取極は、交換公文(同取極については、政府から往簡を発出し、ベルギー王国政府から返簡を受領した。)の形式による両国政府間の国際約束であり、それぞれの書簡の署名者である池田外務大臣及びフェルドンク駐日ベルギー王国臨時代理大使は、それぞれの政府を正当に代表する者であり、その有効性に疑義はない。

二の4について

日・ベルギー取極により、適切な防護の措置が、最小限同取極の附属書Bに定められる水準において、同取極の附属書Aの1に掲げる核物質について、ベルギー王国の関係法令に従って適用されることがベルギー王国政府によって保証されている。当該核物質に関する保障措置については、三の2についてで答弁するとおり、欧州共同体委員会によって保証されている。

三の1について

日・欧州共同体委員会取極は、交換公文(同取極については、政府から往簡を発出し、欧州共同体委員会から返簡を受領した。)の形式による政府と欧州原子力共同体を代表する欧州共同体委員会との間の国際約束であり、それぞれの書簡の署名者である池田外務大臣及びケック駐日欧州共同体委員会大使は、政府及び欧州共同体委員会をそれぞれ正当に代表する者であり、その有効性に疑義はない。

三の2について

日・欧州共同体委員会取極により、保障措置に関しては、同取極の附属書の1に掲げる核物質が、欧州原子力共同体を設立する条約に基づく保障措置の適用を受けること並びに核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する欧州原子力共同体、その加盟国である非核兵器国及び国際原子力機関の間の協定の適用を受けることが欧州共同体委員会によって保証されている。

欧州原子力共同体を設立する条約の規定により、欧州共同体委員会は、当該核物質を含む欧州原子力共同体加盟国の領域内のあらゆる民生用核物質について保障措置の適用を保証し得る権限を有していると承知している。

三の3について

欧州原子力共同体を設立する条約の規定により、欧州原子力共同体は、その権限及び管轄の範囲内において国際約束による義務を負うが、当該国際約束は、欧州共同体委員会が外国等と交渉し、締結することとされていると承知している。

参議院の原文

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