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原子力発電所の再稼働及び使用済核燃料の管理に関する質問主意書
参議院 第221回 第30号趣旨が明らかではない ×6検討してまいりたい ×1
質問本文
宮下宗一郎青森県知事は令和八年三月三十一日、原子力発電所から出る使用済核燃料を一時保管する中間貯蔵施設(青森県むつ市)について、令和八年度の新規搬入を認めないと正式に表明した。また、廃炉作業を進めている高速増殖原型炉もんじゅの使用済ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料をめぐり、再処理施設として有力視されていたフランスの特殊燃料処理施設(以下「TCP」という。)の新設計画が資金不足や技術的困難を理由に白紙撤回されたと報じられている。
日本国内の原子力発電所における使用済核燃料プール等の貯蔵余力は逼迫しつつあるため、日本のプルトニウム保有量に対して国際的な懸念が示されている。しかし、政府は、安全性の確認ができた原子力発電所を再稼働する方針を一貫して変えることなく、老朽化した原子力発電所のリプレイスまで実施しようとしている。
原子力発電所の再稼働は使用済核燃料を増加させることにつながる。そのため、保管場所や再処理の見通しがないまま再稼働を認めることについては、慎重な検討が必要と考える。
以上を踏まえて、以下質問する。
一 電気事業連合会が令和八年二月に公表した「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使用済燃料対策推進計画」)」の添付資料によれば、令和七年末時点における国内原子力発電所の使用済燃料貯蔵量の貯蔵割合は、法的要求(燃料プール)容量の約七十八%に達していると認識しているが、政府も同様の認識か示されたい。
二 前記一の資料によれば、関西電力の大飯発電所、高浜発電所、美浜発電所、九州電力の川内発電所、玄海発電所、東京電力の柏崎刈羽発電所等においては、既に貯蔵割合が八十%を超えていると認識しているが、政府も同様の認識か示されたい。
三 原子力発電所を一定期間運転した場合、今後、数年以内に前記のうち複数の原子力発電所の燃料プールが満杯に達する可能性があると指摘されている。政府は、各原子力発電所の燃料プールが満杯に達する時期を試算しているか示されたい。試算している場合、その時期を示されたい。
四 関西電力は、高浜発電所については令和十年度頃、美浜発電所については令和十一年度頃、大飯発電所については令和十二年度頃に燃料プールが満杯になる可能性があるとしている。政府も同様の認識か示されたい。
五 原子力発電所における使用済核燃料の貯蔵量が上限に達した場合、当該原子力発電所の運転継続又は再稼働は制度上認められるか、政府の見解を示されたい。
六 制度上は認められる場合でも、使用済核燃料の貯蔵余力がない状況で原子力発電所を運転することは、安全上及び運用上の観点から適切でないと考える。政府は、同状況においても、実務的及び物理的観点から安全な運転継続が可能と認識しているか示されたい。
七 青森県における中間貯蔵及び再処理の受入状況を踏まえ、使用済核燃料の搬出量、再処理能力及び搬出・再処理の実現時期等を含めた今後の具体的な見通しを示されたい。
八 TCPの新設計画が頓挫した中、フランス等の各国に使用済核燃料の再処理を依存する現行の方針について、持続可能性や妥当性に係る政府の認識を示されたい。また、代替手段の検討を行っているか示されたい。
九 現在の日本のプルトニウム保有量及び各国が民生利用のために保有しているプルトニウムの総量に占める日本の保有量の割合を示されたい。また、今後、保有量をどのように削減する方針か、削減目標の有無を含めて示されたい。
十 プルサーマル計画において、再処理によるプルトニウムの供給量と実際の消費量との不均衡が指摘されている。この現状に係る政府の認識を示されたい。
十一 使用済核燃料の管理に係る政府の見通しを明確に示されたい。
十二 使用済核燃料の最終処分に係る具体的な道筋が確立されるまでの間、原子力発電所の再稼働の在り方について見直す必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
政府としては、電気事業連合会が令和八年二月十二日に公表した「使用済燃料貯蔵対策の取組強化について(「使用済燃料対策推進計画」)」(以下「使用済燃料対策推進計画」という。)に記載されている原子力発電所について、使用済燃料対策推進計画における「法的要求容量」の合計値に対する「使用済燃料貯蔵量」の合計値の割合は、令和七年十二月末時点で、約七十八パーセントと認識している。
二について
お尋ねについて、政府としては、使用済燃料対策推進計画に記載されている原子力発電所のうち、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所、東京電力ホールディングス株式会社福島第二原子力発電所、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所、中部電力株式会社浜岡原子力発電所、関西電力株式会社美浜発電所(以下「美浜発電所」という。)、関西電力株式会社高浜発電所(以下「高浜発電所」という。)、関西電力株式会社大飯発電所(以下「大飯発電所」という。)、九州電力株式会社玄海原子力発電所、九州電力株式会社川内原子力発電所及び日本原子力発電株式会社東海第二発電所については、使用済燃料対策推進計画における「法的要求容量」に対する「使用済燃料貯蔵量」の割合が、令和七年十二月末時点で、それぞれ八十パーセントを超えていると認識している。
三について
お尋ねの「各原子力発電所の燃料プールが満杯に達する時期」については、政府として試算していない。
四について
御指摘の「関西電力は、高浜発電所については令和十年度頃、美浜発電所については令和十一年度頃、大飯発電所については令和十二年度頃に燃料プールが満杯になる可能性があるとしている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、関西電力株式会社(以下「関西電力」という。)が令和七年二月十三日に公表した「使用済燃料貯蔵量推移見通し」によれば、関西電力が有する美浜発電所、高浜発電所及び大飯発電所について、「六ヶ所再処理工場、仏国(二百トンプラス追加百トン)へ搬出することで、使用済燃料貯蔵量は管理容量以下で推移し、将来的には使用済燃料貯蔵量が減少する見通し」であると承知している。
五及び六について
実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)第十六条第二項第一号ロにおいて、燃料体等の貯蔵施設については、「燃料体等を必要に応じて貯蔵することができる容量を有するものとすること」としており、具体的には「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈」(平成二十五年六月十九日原子力規制委員会決定)において、「発電用原子炉に全て燃料が装荷されている状態で、使用済燃料及び貯蔵されている取替燃料に加えて、一炉心分以上貯蔵することができる容量を確保すること」としているところ、これに違反していると認められるときは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の二十三第一項の規定に基づき、発電用原子炉施設の使用の停止その他保安のために必要な措置を命ずる等必要な規制を行うこととされており、お尋ねのように、「使用済核燃料の貯蔵余力がない状況で原子力発電所を運転すること」は想定していない。
七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、関西電力は、令和七年二月十三日に公表した「使用済燃料対策ロードマップ」において、東京電力ホールディングス株式会社は、令和八年三月三十一日に公表した「二千二十六年度使用済燃料等の輸送計画について」において、日本原子力発電株式会社は、同年一月二十六日に公表した「リサイクル燃料備蓄センターへの使用済燃料の搬入計画について」において、それぞれが有する原子力発電所からの使用済燃料の搬出の時期及び数量に係る計画(以下「搬出計画」という。)を示している一方、その他の実用発電用原子炉設置者は具体的な搬出計画を示していないものと承知している。また、日本原燃株式会社は、同月二十八日に公表した「六ヶ所再処理施設およびMOX燃料加工施設 暫定操業計画(処理可能な年間再処理量および加工可能な年間加工プルトニウム量)」において、「六ヶ所再処理施設の暫定の操業計画(処理可能な年間再処理量)」を示しているものと承知している。
八について
お尋ねの「フランス等の各国に使用済核燃料の再処理を依存する現行の方針」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、高速増殖原型炉「もんじゅ」の使用済燃料については、フランスにおける再処理を基本としつつ、その他の選択肢についても排除せずに検討しているところである。
九について
前段のお尋ねについては、我が国が国内及び海外に保管する照射されていないプルトニウム(以下「未照射プルトニウム」という。)の量は、令和六年末時点で、四十四・四トンプルトニウムであり、また、お尋ねの「各国が民生利用のために保有しているプルトニウム」の総量は、国際原子力機関がウェブサイトで公表している情報によれば、同年末時点で三百七十八・七トンプルトニウムであることから、当該総量に対する我が国が国内及び海外に保管する未照射プルトニウムの量の割合は約十一・七パーセントである。
後段のお尋ねについては、「削減目標」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」(平成三十年七月三十一日原子力委員会決定)において、「プルトニウム保有量を減少させる」としていることを踏まえ、電気事業者が保有する未照射プルトニウムについては、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)において、「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持し、・・・プルトニウム保有量を適切に管理し、削減に取り組む」とともに、「事業者間の連携・協力を深めつつ、プルサーマルを一層推進する」との方針を示しており、また、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)が保有する未照射プルトニウムについては、高速実験炉「常陽」の運転再開後、その燃料として利用するほか、原子力機構が保有するその他の施設において、原子炉等規制法第五十二条の規定に基づく許可を受けた目的及び量の範囲で、研究開発の用に供する方針である。
十について
御指摘の「再処理によるプルトニウムの供給量と実際の消費量との不均衡」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律(平成十七年法律第四十八号)の枠組みの下、プルトニウムの回収と利用を進めることにより、その適切な管理に取り組む方針である。
十一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、平成二十七年十月六日に最終処分関係閣僚会議において決定した「使用済燃料対策に関するアクションプラン」において、「政府から事業者に対し、使用済燃料の貯蔵に係る目標の設定を含めて、発電所の敷地内外を問わず、使用済燃料の貯蔵能力の確保・拡大へ向けた事業者の取組を具体化した「使用済燃料対策推進計画」の策定を要請する」としたところであり、使用済燃料対策推進計画については、政府の要請に基づき電気事業連合会が策定及び公表しているものと承知している。
十二について
特定放射性廃棄物の最終処分については、「エネルギー基本計画」において、「最終処分の実現に向け、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に基づき、国が前面に立ち取り組む」と、また、原子力発電所の再稼働については、同計画において、「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえて策定された新規制基準に適合すると原子力規制委員会が認めた原子力発電所についてのみ再稼働を進める。その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組む」としており、この方針に沿って進めていく考えである。