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核燃料サイクル問題に関する質問主意書
衆議院 第159回 第159号
質問本文
原子力委員会は、新原子力長期計画(以下、新「長計」と呼ぶ)の策定に着手し、来年中にまとめるとしている。平成十五年版原子力白書は、核燃料サイクルについて、「プルサーマル計画の実施や、『もんじゅ』の改造工事については、立地地域を始めとする国民の十分な理解を得た上で進める必要があり、現状において計画通りには進んでいない」と明記している。この際、核燃料サイクルの根本的見直しが求められている。
これまで原発から出る使用済み核燃料は全量再処理する、としてきたが、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場は、使用済み核燃料貯蔵プールの水漏れ問題、不良溶接問題など、度重なるトラブル発覚のもと、本格操業は繰り延べて二〇〇六年七月をめざすとされ、それすらもさらに遅れるともいわれている。一方、今年一月電気事業連合会は、再処理工場操業から廃止までの再処理関連の総事業費を十八兆八千億円と試算し、公表した。そのうち十兆円については、電気料金に上乗せし、各電力会社内部に非課税で積み立てる制度があるものの、残り九兆円弱について、誰が負担するのかが問題になっている。経済産業省はプルサーマル発電用MOX燃料加工費用など、三兆円強を電力業界への負担とする考えを検討している(二〇〇四年五月八日付「陸奥新報」)という。原子力委員会は使用済み核燃料を再処理せずに直接、地中に埋める方法の費用を算出し、全量再処理の場合と比較検討する(五月五日付「毎日新聞」)とし、そうなればむつ市などが誘致をしている中間貯蔵施設や第二再処理工場の建設についても当然、見直しが迫られる。
こうした中、青森県は再処理工場のウランテストに向けた安全協定締結を準備しているが、ひとたびウランテストを開始してしまえば、再処理工場全体が「巨大な放射性廃棄物」となりうる恐れをはらむものであり、急ぐべきではない。
JCOの臨界事故、東京電力の損傷隠しや再処理工場のトラブルなど、青森県民の中には原子力政策に対する根強い不信感があるにもかかわらず、青森県は一貫して、「国策」として核燃料サイクル推進に協力をしてきた。まさにいま重大な時期を迎えているものと受け止め、以下の質問により、国の考えを問うものである。
一 中間貯蔵施設について
1 青森県は、むつ市が誘致を決定している中間貯蔵施設については、改定される新「長計」で第二再処理工場がどう扱われるかを見極めてから立地の是非を判断するとしている。もともと、再処理工場で年間に処理できる能力は八百トン、全国の原発から一年間に出る使用済み核燃料は九百から一千トンといわれ、この差をどうするのか、という指摘に対し、中間貯蔵をしたのち、第二再処理工場に搬出されるといわれてきたものである。第二再処理工場ができなければ、中間貯蔵施設が永久貯蔵施設になりかねない。
中間貯蔵施設の役割について、新「長計」の中で見直すことになるのか。貯蔵期間があいまいであり、少なくとも「最終処分」に耐えうる施設ではない、とこれまで説明されていたと思うが、あくまで一時的な施設であり、最終処分ではないことを確約できるか。あるいはそれをどう担保するのか。
2 青森県以外での中間貯蔵施設検討状況について伺いたい。
二 第二再処理工場について
第二再処理工場は、十六年前の第七次「長計」では「二〇一〇年頃運転開始」とされていたが、第八次では「二〇一〇年に方針を決定」となり、現行第九次「長計」では「二〇一〇年頃検討を開始」というように大きく後退した。そもそもバックエンド事業のコスト試算からも外れ、事実上計画倒れとなっている。
また、第二再処理工場は、プルサーマルの使用済みMOX燃料、高速増殖炉の使用済みプルトニウム燃料を再処理すると説明されてきた。プルサーマル計画導入県である福島県や新潟県は、第二再処理工場が不確実なものである以上、今度は使用済みMOX燃料を施設内に置かざるをえなくなるという理由からも、プルサーマルを拒否している。そこで、
1 使用済みMOX燃料の再処理については、技術的にも未確立の分野といわれている。高速増殖炉の実用化やプルサーマル計画も見通しがないもとで、そもそも第二再処理工場は必要のないものではないのか。
2 よって、中間貯蔵施設についても、中止をするべきであると思うがどうか。少なくとも、その方向性が決定するまでは中間貯蔵施設の建設も中止するべきではないか。
3 仮に第二再処理工場建設について検討の余地が残っている場合、コストについてはその中身と負担する者について、明らかにされたい。
三 ウランテストについて
1 ウランテストで想定されるトラブル事例について、その具体的内容と対処方法について明らかにされたい。これについて、県と六ヶ所村議会はもちろん、有識者も含め、県民に十分な検討機会と時間が必要と思うがどうか。
2 新「長計」改定作業の中に、再処理工場を稼動させないという選択肢も排除されないのか。
3 同様に、第二再処理工場の扱いによって、再処理工場そのものもまた、問われてくるものである。サイクル全体の見通しがたたない以上、ウランテストはやめるべきと考えるがいかがか。
四 バックエンド事業のコストについて
コスト等検討小委員会において、事業者から説明された費用十八兆八千億円について、今後の見直しによって、追加や減額など、変動する可能性のあるもの、あるいはすでに国として変動を見込んでいるものについて、その具体的内容と理由を明らかにされたい。
五 再処理工場の不良溶接問題等について
再処理工場の本体を含む二百九十一箇所もの不良工事について、品質保証体制が正しく機能しなかったことが問題となった。日本原燃の「報告」は、品質保証上の配慮、人員配置、協力会社とのコミュニケーションに欠けるものがあり、それらに関し、トップマネジメントの関与の不足をあげ、「改善」策を示し、原子力安全・保安院はそれを「評価」している。
しかし、その見方、捉え方にこそ根本的な弱点がある。建設段階であろうが、運転段階であろうが、品質保証に関する規定もそのための体制も何らの法的根拠を持ってこなかったことにこそ、もっとも導き出される根本原因がある。四月七日の青森県議会全員協議会での質疑の中で、原子力安全・保安院の審議官は「やはり品質保証というものを法規制の中で担保せず、民間の自主性に任せていたということに一つの原因がある。まさに、おっしゃるとおり」と、日本共産党の諏訪益一議員の指摘に対して答えている。
運転段階のものについては、昨年十月一日施行の品質保証に関する省令改正で法規制が加わることになったが、建設段階のものは、今後検討することになっている。早急に建設段階の法規制を整えること。同時に、不良工事の根本原因に関し、法規制がなかったことについて、原子力安全・保安院の責任の所在を明確にするべきと思うがどうか。
六 現行「長計」においては、「原子力の開発利用、特にプルトニウム利用政策をとっている我が国の原子力平和利用路線に対する疑念が存在する」として、「今後、我が国がプルトニウム利用を進めるに当たっては、平和利用の原則を厳重に確保することはもちろん、我が国が行っている平和利用の確保に係る取組について積極的に情報発信に努める等、国際社会の理解と信頼とを得るための努力を継続することが重要」であり、「我が国のプルトニウムの利用については、利用目的のない余剰プルトニウムを持たないという原則を踏まえて、透明性を一層向上させる具体的な施策を検討し、実施していくことが重要」と記述されたが、プルトニウム需給計画を数字で示すことはしなかった。
これまでの姿勢を確認するという点でも重要であり、かつ、核燃料サイクルというプルトニウム循環路線そのものが今、問われていることからいっても、改定される新「長計」では、プルトニウム需給計画について、具体的数字で示す考えがあるか。
七 高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、候補地の選定など、現時点での検討状況について、明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
原子力委員会においては、新たな「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「新たな長計」という。)の策定の準備作業として、本年一月から「長計についてご意見を聴く会」を開催するとともに、広く国民を対象に意見募集を行うことなどにより、様々な立場の方々から核燃料サイクル政策を見直すべきである等の幅広い意見を聴取したところである。本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議においては、これらの意見を踏まえ議論が行われると考えている。
なお、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定。以下「現行の長計」という。)においては、使用済燃料の中間貯蔵は、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的な調整を行うことを可能にするので、核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要であるとしている。また、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の四第一項に規定する使用済燃料の貯蔵の事業を行おうとする者は、同条第二項の規定に基づき、「貯蔵の終了後における使用済燃料の搬出の方法」を記載した許可申請書を経済産業大臣に提出することとされており、原子炉等規制法は、当該事業において、御指摘の最終処分を行うことは認めていない。
一の2について
本年六月十五日現在、政府において確認した限りでは、青森県以外での中間貯蔵施設の検討状況は、次のとおりである。
(一) 福井県小浜市では、本年三月二十四日の市議会において中間貯蔵施設の誘致推進に関する決議案が可決された。
(二) 福井県美浜町では、本年六月九日の町議会において町長が中間貯蔵施設の誘致を議会等の理解を得た上で推進したいとの意向を表明した。
(三) 宮崎県南郷町では、南郷町長が九州電力株式会社に対し中間貯蔵施設の立地可能性調査を要請することを表明し、本年三月十一日に開催された全員協議会において賛成多数で同意されたが、同月十五日の町議会において調査要請を中止させる決議案が可決された。これを受けて、南郷町長は、同月十八日に調査要請を当分の間見送るとの意向を表明した。
(四) 島根県西ノ島町では、中間貯蔵施設誘致の是非を判断するために、資料収集等の調査を西ノ島町長らが行っていたところ、本年六月十一日に西ノ島町長は同施設の誘致についての勉強、調査、検討等を今後一切行わないことを表明した。
二の1について
現行の長計においては、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方としている。また、六ヶ所再処理工場に続く再処理工場の再処理能力や利用技術を含む建設計画については、六ヶ所再処理工場の建設、運転実績、今後の研究開発及び中間貯蔵の進展状況、高速増殖炉の実用化の見通し等を総合的に勘案して決定されることが重要であり、二千十年ころから検討が開始されることが適当であるとしている。
二の2について
現行の長計においては、使用済燃料の中間貯蔵は、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的な調整を行うことを可能にするので、核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要であるとしている。
二の3について
現行の長計においては、六ヶ所再処理工場に続く再処理工場の再処理能力や利用技術を含む建設計画については、六ヶ所再処理工場の建設、運転実績、今後の研究開発及び中間貯蔵の進展状況、高速増殖炉の実用化の見通し等を総合的に勘案して決定されることが重要であり、二千十年ころから検討が開始されることが適当であるとしており、経済性についてもその検討に含まれるとしている。
三の1について
お尋ねのウラン試験で想定されるトラブル事例の具体的内容及び対処方針については、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)が「再処理工場のウラン試験時に発生が予想されるトラブル等とその対応について」と題する資料において公表しているところである。
日本原燃は、本年六月十日に青森県に対して、同月十一日に六ヶ所村議会に対して、同月二十三日に青森県議会に対して、ウラン試験の概要と試験時に発生が予想されるトラブル等への対応について説明を行ったとのことである。また、日本原燃は、同月十七日に、青森県在住者を対象として、再処理工場のウラン試験に関する説明会を六ヶ所村において開催し、この中で、ウラン試験時に発生が予想されるトラブル等とその対応についても説明を行ったとのことである。
政府としては、御指摘の点に関して、日本原燃が県民の理解を得るために以上のような所要の対応を採っていると承知している。
三の2について
原子力委員会においては、新たな長計の策定の準備作業として、本年一月から「長計についてご意見を聴く会」を開催するとともに、広く国民を対象に意見募集を行うことなどにより、様々な立場の方々から核燃料サイクル政策を見直すべきである等の幅広い意見を聴取したところである。本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議においては、これらの意見を踏まえ議論が行われると考えている。
三の3について
「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」は、原子力委員会が、昭和三十一年からこれまでおおむね五年ごとに合計九回策定してきている。現行の長計は、平成十二年十一月に策定されたものであり、来年十一月で五年を迎えることから、原子力委員会は新たな長計の策定作業に着手した。このような状況も踏まえ、個別の事業についてウラン試験の実施等の具体的な進め方は、実施者である事業者が安全確保を前提に地元の御理解を得つつ判断するものであると考える。
四について
総合資源エネルギー調査会電気事業分科会(以下「分科会」という。)コスト等検討小委員会(以下「小委員会」という。)における電気事業者によるバックエンド事業のコスト試算は、現行の長計等に沿って計画的に実施されるという基本的前提の下、各事業の費用見積りが行われている。当該見積りでは、再処理工場の廃止措置等実施が数十年後となるもの等については、先行事例や現在の知見を基に一定の技術的想定を置いて費用見積りが行われており、その想定の置き方によって費用見積りが変動し得ると考えられること、また、電気事業者等による合理化努力や技術開発によっても費用が低減できる可能性があると考えられることから、本年一月二十三日に小委員会から分科会へ報告された「バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等の分析・評価」の中でも、費用見積りに影響を与える主な変動要因として、安全規制・基準の動向による変動、技術開発の進展による費用の低減、事業内容の合理化、事業実施の不確実性等による費用の変動が指摘されているところである。
五について
建設段階における品質保証制度の整備については政府としてもその重要性を認識している。再処理施設については、これまでも、原子炉等規制法第四十五条第一項に基づく設計及び工事の方法の認可の申請に当たり、品質保証に関する説明書の添付を求めてきたところである。また、日本原燃に対しては、日本原燃再処理施設の使用済燃料受入れ・貯蔵施設においてプール水漏えい等の問題が発覚して以降、品質保証体制の点検を指示し、当該点検結果について評価するとともに、その後の改善策の実施状況についてフォローアップを行う等の指導を行っている。これらに加え、建設段階における品質保証に係る更なる制度面での対応の必要性については、現在検討を行っているところである。
六について
新たな長計の内容については、本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議において今後議論するものである。
七について
特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)に基づき設立された原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画(平成十二年通商産業省告示第五百九十二号)において、文献調査を実施した後、概要調査を実施し、平成二十年代前半をめどに精密調査地区を選定し、平成三十年代後半をめどに最終処分施設建設地を選定するものとされている。機構は、文献調査を行うため、平成十四年十二月から、全国の市町村を対象に最終処分施設の設置可能性を調査する区域の公募を行っている。
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