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核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問主意書

参議院 第180回 第92号個別の事案 ×1

提出者
参議院
提出日
2012年4月23日
内閣転送 2012年5月2日
答弁書受領日
2012年5月8日
提出から15日
答弁の項目数
4
質問 2,528字/答弁 1,531字

質問本文

政府は、原子力発電所から出た使用済み核燃料を全量再処理する政策を推進しているが、青森県六ヶ所村で建設中の再処理工場は試験運転のトラブルなどで完成が十八回も延期され、当初七千六百億円と想定された建設費は二兆千九百三十億円にまで膨らんでいる。再処理コストは総額十九兆円に上ると試算され、試算直後の二〇〇四年三月十七日の参議院予算委員会において、私は使用済み核燃料を再処理せずに直接処分した場合のコスト試算(以下「直接処分コスト試算」という。)が存在するか質問したが、日下一正資源エネルギー庁長官(当時)は存在しないとの虚偽答弁を行った。経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会電気事業分科会は、同年六月十八日、この答弁を前提に国民が支払う電気料金に再処理コストを上乗せする新制度の導入案をまとめた。再処理事業の先行きが不透明なままでは国民が負担するバックエンド費用が更に増加する恐れがあり、当時の政策決定過程を検証する必要があると考える。よって、以下質問する。

一 直接処分コスト試算を巡る答弁作成責任者について

二〇〇四年十月二十日の参議院予算委員会において、中川昭一経済産業大臣(当時)は私の質問に対し、虚偽答弁の基となった答弁原稿を作成したのは安井正也原子力政策課長(当時)であり、再処理コストが直接処分コストよりも高いという試算が議論された一九九四年二月四日の総合資源エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題ワーキンググループ(以下「当該調査会」という。)で担当課の総括班長であったと認めている。

1 安井氏は、総括班長として、当該調査会の全ての会合に出席していたか(以下、当該調査会の事務局として傍聴していた場合も含む。)。出席した会合の開催年月日を示されたい。出席していない会合があるとすれば、その会合の開催年月日を明示した上で、欠席した理由を示されたい。

2 安井氏は、総括班長として、当該調査会の資料及び議事録の内容を確認していたか。確認していなかったとすれば、その理由を示されたい。

3 当該調査会の議事録によると、再処理コストが直接処分コストよりも高くなるという試算は、一九九四年二月四日の当該調査会の第四回会合で電気事業者や原子力産業界の意見により公表が見送られている。安井氏はこの会合に出席していたか。欠席していたとすれば、その理由を示した上で、資料及び議事録の内容を確認していたか明らかにされたい。

4 当該調査会の第四回会合に出席していたとすれば、なぜ、安井氏は再処理コストの方が直接処分コストより高くなるとの試算結果を知らなかったのか。二〇〇四年七月六日の厳重注意に至る省内の内部調査において虚偽の事実を申告していたことになると考えるが、政府の見解を示されたい。

5 安井氏は二〇〇四年に答弁を作成する際、当該調査会の資料を読んだのか。読んでいなかったとすれば、理由を示されたい。

二 直接処分コスト試算の隠蔽について

二〇〇四年八月五日の中川昭一経済産業大臣(当時)の記者会見録によれば、虚偽答弁後に直接処分コスト試算の存在に気付きながら、答弁作成責任者の安井氏に試算の存在を報告しなかったなどとして計十人が追加処分されている。記者会見では、「安井課長と机を並べた人もいて、今の説明ではちょっと理解しがたいが」と疑問の声が上がり、中川昭一経済産業大臣(当時)も「私自身もエッと思いましたから。今回処分された人が直接の上司にきちっと言わなかっただろうということは私も率直に言って不思議であります」と発言している。これに対し、本年一月一日付毎日新聞の報道によれば、二〇〇四年四月、安井氏による「見えないところに隠すように」という指示により、直接処分コスト試算の隠蔽が行われたとされている。

1 安井氏は二〇〇四年七月六日の処分よりも前に、部下から再処理コストの方が直接処分コストより高くなるという直接処分コスト試算を見せられたことはあるか。

2 安井氏が過去に行われた直接処分コスト試算の存在を知ったのは、いつだったのか。

3 安井氏は直接処分コスト試算の存在を知った時点で、その存在を公表すべきだったと考える。なぜ、処分よりも前に公表するか、または、かつて虚偽答弁をした相手方である私に説明しなかったのか。

三 直接処分コスト試算の隠蔽に関する経済産業省の対応について

本年二月五日付毎日新聞によれば、二〇〇四年当時の省内の内部調査では、二十五人の対象者の中で、一度も聴取されていない人物が複数いるなど、甚だ不十分なものであったと報道されている。

1 本年二月七日の参議院予算委員会での私の質問に対し、枝野幸男経済産業大臣は、「過去の調査が適切に行われていたのかどうか、確認ができる範囲で確認はしたいと思います」と答弁した。では、その後、確認作業は行われたのか。

2 前記1について、どのような方法で確認をしたのか(または、確認する予定なのか)、具体的な方法と期限を明らかにされたい。また、確認が終わっているのであれば、その結果について公表されていないのはなぜか。理由を示されたい。

3 直接処分コスト試算の存在を隠し、国会でも虚偽答弁をしたまま、前述のように二〇〇四年六月十八日、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会で新制度の導入案がとりまとめられた。これには、都合の悪い情報を伏せた上で再処理を進めるように政策をねじまげたのではないかとの疑義があるが、政府の見解を示されたい。

4 同分科会では、委員から直接処分コスト試算を求める意見が出ていた。にもかかわらず、経済産業省が新たな試算をしなかったのはなぜか。また、同分科会とは直接関係のない内閣府原子力委員会の専門部会で直接処分コスト試算を行ったのはなぜか。

5 直接処分コスト試算を行った結果を隠蔽したことは、その時点での国民の選択の機会を奪った点で不適切であり、非常に重大かつ深刻な問題である。当時の関係者に直接事実関係を確かめるため、日下氏と安井氏は国民や国会に対する説明責任を果たす必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

参議院の原文・経過

政府答弁書

一について

総合エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題ワーキンググループは、平成五年十一月二十九日(第一回)から平成六年四月六日(第七回)まで計七回開催された記録が残っているが、御指摘の職員がそのワーキンググループに出席したとの記録は残っていない。御指摘の平成十六年三月十七日の国会答弁に関しては、経済産業省において事実関係の調査(以下「当該調査」という。)が行われたが、答弁の作成時に御指摘の職員が御指摘の再処理コストが直接処分コストより高くなるとの試算結果(以下「コスト試算」という。)の存在を知っていたとの事実は、当該調査においても確認できなかったと結論付けている。

二について

当該調査においては、公表しないことを前提に調査対象者への聴取を行っており、個別具体的な内容を明らかにした場合、今後、職員に対する同様の調査の実施に影響を及ぼすおそれがあることからお答えすることは差し控えたい。

なお、経済産業省としては、コスト試算に関する関係資料について平成十六年七月五日に公表するとともに、同年八月五日、関係資料の存在を承知しつつも、事実と異なる答弁がなされたことについて事後において十分対応しなかった職員に対して処分を行っている。

三の1及び2について

御指摘の平成二十四年二月七日の参議院予算委員会における枝野経済産業大臣の答弁を踏まえ、経済産業省では、当該調査が適切に行われていたのかどうか、当該調査の実施に当たった当時の担当者に確認を行っている。その結果、当該調査は適切に実施されたものであることが確認され、公表が必要となるような新たな事実は確認されなかった。

三の3から5までについて

平成十六年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会においては、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定)における「使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方とする」との方針や、「エネルギー基本計画」(平成十五年十月七日閣議決定)における「我が国としては核燃料サイクル政策を推進することを国の基本的考え方としており、これらのプロセスのひとつひとつに着実に取り組んでいくことが基本となる」との方針を前提に、バックエンド事業に関する制度及び措置の在り方について検討を行ったものであり、使用済燃料を再処理しない場合のコスト等は検討の対象ではなかったものと承知している。

現行の核燃料サイクル政策については、「原子力政策大綱」(平成十七年十月十一日原子力委員会決定)の策定過程において、原子力委員会新計画策定会議の委員から、使用済燃料の取扱いに関して直接処分と再処理との比較分析が必要である等の意見があったことを踏まえ、使用済燃料の取扱いに関して直接処分の場合を含む四つのシナリオを定め、それぞれについて、安全性、技術的成立性、経済性、エネルギー安定供給、環境適合性、核不拡散性、海外の動向、政策変更に伴う課題、社会的受容性及び選択肢の確保の十項目の視点から評価した結果、決定したものである。

なお、今後の核燃料サイクル政策については、原子力政策の見直しを議論していく中で、しっかりと議論を行っていくこととしており、「「革新的エネルギー・環境戦略」策定に向けた中間的な整理」(平成二十三年七月二十九日エネルギー・環境会議決定)を踏まえ、エネルギー・環境会議の下に設置されたコスト等検証委員会において、直接処分の場合を含む核燃料サイクルコスト試算を行ったところであり、現在、原子力委員会において、核燃料サイクルの選択肢の提示に向けた議論を行っているところである。

参議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

個別の事案 ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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