Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第145回

薬害クロイツフェルト・ヤコブ病問題に関する質問主意書

衆議院 第145回 第9号承知していない ×1

提出者
衆議院
提出日
1999年2月18日
内閣転送 1999年2月22日
答弁書受領日
1999年3月26日
提出から36日
答弁の項目数
7
質問 4,587字/答弁 5,398字

質問本文

一九九八年十二月十四日提出の質問主意書に対し、送付された答弁書では質問事項に答えていない箇所が多く、不十分である。また委員会質問でもその答弁で「裁判中で公開できない」として情報公開を頑に拒む態度は、薬害を繰り返した厚生省の一貫した態度であり極めて不誠実であると考える。

宮下厚生大臣は二月九日の所信表明のなかで、「国民の健康や安全を守ることは、厚生行政の原点であり・・・」と述べているが、厚生省は裁判で法的責任論に対する主張をする前に、まず厚生行政の原点に戻って責任を全うすべきである。

事実は司法の場に限らず、行政を監督する場でもある国会でも明らかにされるべきである。

従って、次の事項について質問する。

一 厚生省は一九七三年に、人の死体から作ったヒト乾燥硬膜を「医療用具」として輸入販売の承認をしている。病死した人の死体から取って病原体などが付着している可能性のある乾燥硬膜を「医薬品」や「生物製剤」としてではなく、「医療用具」としたのはなぜか。また、当時「医療用具」に副作用情報等の報告義務はあったか。

二 B・ブラウン社は、一九八七年四月の米国食品医薬品局(以下「FDA」という)の警告の直後、問題となったヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」の滅菌方法を、安全性の高いアルカリ処理に変更している。しかし、厚生省は昨年一月の医薬安全局審査管理課長補佐へのテレビ番組のインタビューでも明らかなように、その事実さえ知らず、重要性の認識も全くない。そして危険な硬膜を放置している。ちなみに裁判の原告である谷さんは、一九八九年にアルカリ処理前の危険な硬膜の移植手術を受けている。厚生省は輸入販売業者からFDA警告やアルカリ処理の報告等を受けていたのか。

三 輸入販売業者に報告義務があるのに報告を怠っていたのであれば、厚生省は業者を厳しく追求すべきである。当時、報告義務がなかったのであれば、「医薬品」や「生物製剤」ではなく、「医療用具」とした当時の厚生省の判断に瑕疵があったと考えられるがどうか。

四 厚生省は、一九九六年七月十日にFDAへ緊急ファックスをしている。それによると「一九八〇年代に硬膜移植手術を受けたクロイツフェルト・ヤコブ病患者がこれまでに九人みつかっている。このことは、ヒト乾燥硬膜とクロイツフェルト・ヤコブ病発病とに関連があるということをうかがわせているように見える。(中略)この(全国疫学)調査の過程で、FDAが(警告)措置をとったことを聞き及んだ。(中略)この問題で米国の状況についての情報はわれわれには決定的に重要であり、それによってわれわれが適切な決定を下せるようになると確信している。」とし、これに対する回答で、硬膜移植とクロイツフェルト・ヤコブ病との関係及び諸外国のとった警告等を確信することになる。

1 「米国の状況についての情報はわれわれには決定的に重要であり・・・」と認識したのはいつの時点か。また、どのような方法で聞き及んだのか。

2 一九九六年七月に、「決定的に重要であり、それによってわれわれが適切な決定を下せるようになると確信している」と緊急ファックスまでしておきながら、一九九七年三月二十七日のWHOの勧告まで緊急命令を出さなかったのはなぜか。

3 厚生省は、「全国疫学調査の段階でFDAが警告措置をとったことを聞き及んだ」とし、FDAへの緊急ファックスをする前に、警告等の情報を既に知っている。しかし、WHOの勧告まで緊急措置をとらなかったことを考えると、わざわざ緊急ファックスしたことが何のためか理解できない。何か他に意図があるようにも考えられるが、何のために緊急ファックスしたのか。

五 厚生省は、一九九七年九月二十二日大津地裁に提出した準備書面で、「世界で一例のみの報告がされた時点では、ヒト乾燥硬膜をクロイツフェルト・ヤコブ病との関係が予見可能であったとすることは適当でなく」とし、責任を回避している。しかし、厚生省はCDCの初症例報告後、ただちに調査をしていない。そして九年後のFDAへの緊急ファックスで、硬膜移植とクロイツフェルト・ヤコブ病との関係等を一応確信したことになる。しかし、一九九六年時点というのは既に多数の症例報告がされている。例えば初症例後、一九八九年のニュージーランドの症例を始めとして、イタリア、イギリス、日本、スペインなどの症例が報告されていて、合計十六例の文献例がある。ちなみに国内では一九九一年の新潟医大の症例報告、一九九三年の滋賀医大の症例報告、一九九四年の虎の門病院の症例報告が既にされており、世界で一例のみではない。準備書面でいう「予見可能であったとすることが適当でなく」というのはどの時点のことなのか答えよ。

六 一九七四年にコロンビア大学のデュフィらが「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」で、初めて角膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病感染例を報告している。また、一九七六年の厚生省特定疾患スローウイルス感染と難病発症機序に関する研究班は、テーマの一つにクロイツフェルト・ヤコブ病をとりあげている。一九八五年には厚生省特定疾患「遅発性ウイルス感染」調査研究班が、成長ホルモン投与によるクロイツフェルト・ヤコブ病発症を報告している。

1 クロイツフェルト・ヤコブ病に関する研究をいつから始め、どの様な調査(例えばクロイツフェルト・ヤコブ病患者から動物への感染の実験から、硬膜材料からの感染報告等)かを全て答えよ。なお脳病理や脳外科関係者に対する注意喚起等の記載も明らかにされたい。

2 厚生省は、クロイツフェルト・ヤコブ病に関しては、かなり前から調査研究しているようだが、省内でこの病気の重要性を認識したのはいつからか。

3 調査報告書には外国の情報もかなりあるようだが、外国の情報等はどのようにして入手しているのか。

4 日本の調査報告等は外国に送ったりしているか。

5 厚生省は早くから研究費を投じ研究をし、その結果についても報告している。このことから厚生省は早くから医原性クロイツフェルト・ヤコブ病の危険性を十分認識していたと考えられるが、これらの研究は何のために行っていたか答えよ。

6 また、このような研究をしていてなぜ「(予見可能であったとすることが)適当でなく」なのか答えよ。

七 一九九七年五月六日の厚生委員会議録の保健医療局長の答弁で「CDCの第一回目のレポートについても予研の中でディスカッションがされたようにはお伺いをいたしておりますけれども・・・」と答弁しているが、その内容について答えよ。

また、厚生省大臣官房総務審議官が「国立感染症研究所におきまして、それぞれの時点におきましてはそれぞれの事情があったものと考えますが、これまで危機管理という面において必ずしも適切な対応がとられていなかったのじゃないかという御批判につきましては、その体質が隠ぺい的であったというよりも、私どもとしましては、研究所自体に行政組織として健康危機管理という事象に取り組む意識というのが必ずしも十分ではなかったのではないかという、その点について反省すべきものであるというふうに考えております。」と答弁している。そして、一九九八年九月八日の厚生委員会の答弁で厚生省は、「輸入業者の関連情報を入手できておれば、あるいは国立予防衛生研究所が把握していた関連情報が厚生省に届いておればという話はあると思います。(中略)一般論として言えば、何らかの行政上の判断に資するという可能性はあったというふうに認識しております。そうした点において、予研と本省との間の連絡体制というのが不十分であった、あるいは薬事法上の取り扱いというのが今の目で見れば問題があったということは事実だと思います。」と答弁している。また「情報をつかんだけれどもそれを生かすだけの能力がなかったということを認めているわけですね。」という質問に対し、「事実としてはそのとおりだと思います。」と答弁している。

要するに厚生省の対応に落ち度を認めているにもかかわらず、本年二月四日の予算委員会では一転してそのことに触れず、まるで非がないかのように繰り返し答弁している。裁判に不利にならないようにという態度であるなら、かえって厚生省に対する信頼を失墜させると考えるがどうか。

八 民事訴訟法第一六三条の「当事者照会」は、訴訟の係属中に当事者が、主張または立証を準備するためには、相手方から事件に関する情報を入手しなければ十分な主張をすることができない、または立証方法についての手掛かりを得ることが困難な場合があるので、相手方に情報の提供を求めることができる規定である。

1 薬害訴訟の原告は、当時の担当者の当事者照会をしているが、すでに退職していてプライバシーの侵害に当たるとして厚生省はこれに応じていない。ちなみに当時の薬務局長は現在環境衛生金融公庫の理事長をしている。公職に就いているのになぜ応じられないのか。また、当時重要な立場にあった薬務局の担当者の守られなければならないプライバシーとは何か答えよ。

2 この規定は、訴訟の係属中にあっては、当事者は訴訟を適正かつ迅速に完結させるため、相互に協力すべき関係に立っているということが言えるが、厚生省が当事者照会に応じないというのは、訴訟を適正かつ迅速にさせないことになるが、それでもプライバシーが優先するのか。

3 厚生省がプライバシーを理由に、当事者照会にどうしても応じられないとすると、訴訟を適正かつ迅速にするためにどのような形で相手方に情報を提供できるか。または、適正かつ迅速にしたくないのか。

4 訴訟の原告の中には、患者本人がいる。この病気は発症すると、わずか一、二年で亡くなると言われている。被告がいたずらに裁判を長引かせることは許されないが、係属中に原告が亡くなった場合、長引かせた責任は誰が負うのか。

九 昨年十二月二十五日厚生省は、ヒト組織の収集・提供を行う非営利の機関として、ヒューマンサイエンス振興財団が担当することを発表している。また、二月五日の新聞各紙が、ヒト組織を商品化する会社設立と報じている。ヒト組織を使った薬害が解決も救済もされないままで、また、情報の開示がないままでは、国民の理解や信頼を得られるはずがないと考える。今やるべきことは、患者の救済と事実の解明であると考えるがどうか。

厚生省は本来国民の健康や安全を守る省であり、常に国民側にたち安全が確認されるまでは許可しない、使用しないという姿勢を保つべきである。しかし、残念ながら数々の薬害や公害の歴史を見ると、たとえ犠牲者が出ても因果関係が証明されるまで、また、危険であると確認されるまで、許可し、使用し続けるという態度をとっているとしか考えられない。これでは厚生行政への国民の信頼が得られるとは考えられない。

二月四日の予算委員会で厚生大臣は、「これは薬害と申しますか、硬膜の使用によるヤコブ病でございますので・・・」、「悲惨な事件」と述べている。まさに薬害クロイツフェルト・ヤコブ病は悲惨な事件である。

すべての質問に速やかに答えられることを切望する。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から三までについて

ヒト乾燥硬膜は、開頭手術等により硬膜等に欠損が生じた場合において、当該欠損部位の補てん等の整形の目的で直接身体に縫合する等の方法で用いられる物であり、骨接合板、骨接合用ねじ等の用品類と同様に身体の整形に直接使用される物であるので、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療用具のうち、薬事法施行令(昭和三十六年政令第十一号)別表第一医療用品の項第四号の整形用品に該当するものである。

また、B・ブラウン社製のヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」(以下「ライオデュラ」という。)の薬事法第二十三条において準用する同法第十四条の規定に基づく輸入の承認が行われた昭和四十八年当時における承認の申請の際の添付資料については、「医療用具の取扱いについて」(昭和三十六年七月八日付け薬発第二百八十一号厚生省薬務局長通知)において「効能、効果の判定を要する医療用具の承認を申請するときは、その申請書に、権威ある機関における理論的効果についての研究業績及び大学病院又は権威ある総合病院の臨床成績を添付させること。この場合の臨床成績は、一適応症につき、二以上の病院において集められた一病院あたり少なくとも三十例について、形式、内容とも学会で発表できるように作成されたものであること。」と定められており、臨床試験において副作用に起因する症例の発生があった場合には、臨床成績に記述されることとされていたところである。

医療用具について、薬事法及びこれに基づく法令において、製造業者又は輸入販売業者に対し、副作用に起因する重篤な症例の発生に関する報告義務(以下「副作用に係る報告義務」という。)が課されたのは、昭和五十五年四月一日からであり、その使用によるものと疑われる感染症の発生に関する報告義務(以下「感染症に係る報告義務」という。)が課されたのは、平成九年四月一日からである。これらの時期は、医薬品についての副作用に係る報告義務及び感染症に係る報告義務が制度化された時期と同じである。

御指摘の昭和六十二年当時、厚生省はライオデュラの輸入販売業者から、米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)が同年四月に発した安全警告(以下「FDA安全警告」という。)及び御指摘のアルカリ処理工程の導入について報告は受けていない。

四について

御指摘のファクシミリを用いた照会は、平成八年五月の厚生省特定疾患調査研究事業におけるクロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査研究班の設置を契機として、当時の薬務局関係職員がヒト乾燥硬膜の輸入販売業者やクロイツフェルト・ヤコブ病(以下「CJD」という。)を専門とする研究者等に対する関連事項の聴取り調査あるいは関連文献の入手を行う過程において、FDA安全警告が発せられている旨の情報を得たことから、当事者であるFDAから直接、迅速かつ正確な事実関係を確認し、併せて関連の追加的な情報の提供を依頼するために行ったものである。

厚生省においては、ヒト乾燥硬膜の安全性に関して、平成八年六月十九日に中央薬事審議会伝達性海綿状脳症対策特別部会(以下「特別部会」という。)において検討に着手し、同年八月一日に開催された特別部会においては、資料として提出されたFDA安全警告等も審議の対象とした上で、同日付けの特別部会意見において「ヒト乾燥硬膜の製造会社はドイツに二社あり、現在は、クロイツフェルト・ヤコブ病、B型肝炎、C型肝炎等に罹患している可能性のあるドナーを排除する基準及びクロイツフェルト・ヤコブ病の病原物質と考えられるタンパク質の一種であるプリオンを不活化する水酸化ナトリウム処理工程を導入して」おり、「データ、プロセス及び両社からの説明による限り、現在適用されている安全対策により、現在供給されているヒト乾燥硬膜は、臨床的には安全と考えられる」との評価を行うとともに、「今後安全性を高めるため、ドナー選択の強化等に努めること」、「今後とも必要な情報収集に努めること」及び「未処理の製品については既に医療機関には存在しないと両社から報告されているが、念のため両社から納入した医療機関に対し、改めてしかるべき情報提供を再度行わせること」が適当であると述べたところであり、厚生省においては、これを踏まえ、同年八月五日付けで各都道府県に対して未処理製品の医療機関における存在の有無につき調査を依頼する等の所要の対応を行ってきたところである。

その後、平成九年三月二十七日に世界保健機関(WHO)が「ヒト乾燥硬膜の移植例から五十例以上のクロイツフェルト.ヤコブ病が発生していることにかんがみ、今後ヒト硬膜を使用しないこと」との勧告を行ったことを踏まえて、厚生省においては、直ちに同月二十八日付けでヒト乾燥硬膜販売輸入業者に対し、薬事法第六十九条の二の規定に基づき、ヒト乾燥硬膜の販売等の一時停止、回収及び納入医療機関に対して直ちにヒト乾燥硬膜の使用を停止すべき旨の連絡を行うことを内容とする緊急命令を発したところである。

なお、当該措置について、同年四月二十一日に開催された特別部会は、「アルカリ処理を行った乾燥ヒト硬膜の使用例におけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の発症例はこれまでに内外とも確認されておらず、また、ドナー選択基準の強化等も図られてきているところであるが、プリオンのような未知の病原体による汚染の可能性を将来にわたって完全に否定することは難しいこと、また、人工硬膜や自己筋膜の使用等ヒト硬膜に代替する方法が存在していることに鑑み、ヒト硬膜を使用しないようにするとの今般の対応については、適切なものであったと考える」と述べているところである。

五について

御指摘の準備書面において被告である国が論じているのは、当該準備書面に係る民事訴訟の原告である患者に対してヒト乾燥硬膜移植手術が実施されたとする時点(平成元年一月二十三日)までにおける予見可能性についてである。

六について

厚生省の特定疾患調査研究事業は、原因が不明であって治療方法が確立されていない疾病等のうち、厚生省が定める特定の疾患(いわゆる難病)について、その原因の解明、治療方法の確立等のための研究を促進することを目的として実施しているものである。昭和五十一年度から、同事業において「スローウイルス感染と難病発生機序に関する研究班」(昭和五十四年度以降は「遅発性ウイルス感染調査研究班」と改称した。以下「遅発性ウイルス研究班」という。)を設置し、当時、亜急性硬化性全脳炎、進行性多巣性白質脳症、多発性硬化症等とともに遅発性ウイルス感染症と総称されていた疾病の一つとしてCJDも研究の対象としたところである。

御指摘のこの病気の重要性が何を指すかは不明であるが、遅発性ウイルス研究班においては、CJDを含む遅発性ウイルス感染症全般について、我が国における患者の実態の疫学的調査、ウイルス学、病理学、免疫学等からの病因及び病態の解明並びに治療法及び予防法の開発の三点を主な目標として研究が開始されたものである。遅発性ウイルス研究班の研究内容や研究手法は広範多岐にわたるものであるが、現在まで御指摘のヒト乾燥硬膜を使用した動物実験は行われていないと承知している。

御指摘の脳病理及び脳外科関係者に対する注意喚起としては、昭和五十三年度の遅発性ウイルス研究班の研究報告書において、「現時点ではウイルス病は治療よりも予防の方が重要かつ確実である」とした上で、脳病理及び脳外科関係者が感染症の患者を診察する際の注意として「CJ病では患者脳組織に直接接触することによってのみ伝達が可能なので、脳病理、脳外科関係者に厳重注意を呼びかける」との記載が行われている。

国及び輸入販売業者に対し損害賠償を求める民事訴訟において、原告らは、昭和六十二年度までの研究班報告書の一部や海外文献により、CJDの第一症例報告が行われた昭和六十二年以前の国の予見可能性について主張しているが、国においては、原告らが指摘する文献はヒト乾燥硬膜とCJD発生の直接的な関連を示唆するものではなく、当該文献の存在をもって昭和六十二年までにヒト乾燥硬膜の移植によるCJD発症の危険性を予見することは到底できなかった旨の主張を行っているところである。

厚生省においては、遅発性ウイルス研究班において海外情報の入手がどのようにして行われたのか、研究報告書が海外関係機関に送付されているのか否かについては、承知していない。

七について

お尋ねの国立予防衛生研究所における議論については、昭和六十二年当時同研究所においては米国疾病対策予防センター(CDC)の週報(以下「MMWR」という。)を入手し、これに掲載された記事のうち重要と認識されたものについて、同研究所が毎月発行している「病原微生物検出情報」に掲載することとしていたが、平成九年に厚生省において「病原微生物検出情報」の当時の編集関係者等に照会したところ、当時の編集責任者であった同研究所ウイルス中央検査部長(当時)から、「昭和六十二年二月及び同年六月のMMWRのヒト乾燥硬膜移植後のCJD関連の記事については、当該記事を掲載するかどうか所内の編集会議で検討したが、当時、CJDは発症原因としてのプリオン説がまだ確立しておらず、ヒトへの感染機構、病因論自体が極めて不明瞭であり、当該記事にも病原体及び病原診断としての情報が含まれていなかったことから、掲載する必要性の高いものとの認識はなく、編集責任者の判断でしばらく状況をフォローしてみることになったと思う。」との回答があったところである。

平成九年五月六日の衆議院厚生委員会における総務審議官答弁及び平成十年九月八日の同委員会における医薬安全局長答弁は、厚生省所管の試験研究機関と厚生省内部部局との連携等に関する過去の実態について問われたため、これについて、それぞれの時点から振り返ってみれば反省すべき点もあったとの認識を一般論として述べたものであり、本年二月四日の衆議院予算委員会における医薬安全局長答弁は、東京地方裁判所及び大津地方裁判所に提訴されている七件の損害賠償請求事件に関する被告である国の法的責任について問われたため、これについての被告としての考え方を述べたものである。

八について

御指摘の当事者照会は、平成十年五月一日付けで原告の代理人から被告である国の指定代理人に対し、ライオデュラの輸入の承認及び一部変更の承認を行った当時並びにMMWRにおいてライオデュラに係るCJDの第一症例報告がなされた当時の厚生省の担当部署並びに当該担当部署における局長以下の全役職者及び担当者の氏名、現在の住所、連絡先等十六項目にわたる広範なものである。これらの照会に対し、被告である国は、その指定代理人を通じ、本件訴訟の進行状況に照らして、訴訟における主張又は立証の準備のために必要な情報については裁判所を介することなく当事者間で直接入手できるようにするという当事者照会の趣旨を踏まえ、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百六十三条の規定に基づき、同年七月十三日付けで回答を行ったところである。

当該回答においては、当時の局長等の役職者及び担当者のうち照会された当時既に退職していた者については氏名及び退職の事実を回答したが、退職後の住所等については、一般私人と同様の個人のプライバシーであり、民事訴訟法第百六十三条第六号に照らし、同法第百九十七条第一項第一号に規定する証言を拒むことができる場合に該当すると考えられることから、回答する必要がないと判断したものである。また、御指摘の当時の薬務局長については、平成十年十一月六日付けで原告の代理人から被告である国の指定代理人に対し、現在環境衛生金融公庫理事長の職にある者と同一人物かという旨の再照会があったことから、同月二十日付けで両者は同一人物である旨の追加回答を行ったところである。したがって、このような国の対応により御指摘のように訴訟の適正かつ迅速な進行が妨げられているとは考えていない。

今後とも、国は、当事者として、信義に従い誠実に訴訟を追行するという民事訴訟法に定める原則に従い、適切な訴訟進行が図られるよう努めてまいりたい。

九について

CJD患者に対しては、CJDを特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定し、医療費について医療保険制度による自己負担額の全額を公費負担とするとともに、訪問介護員を派遣する等の支援を行っているところであるが、ヒト乾燥硬膜の移植によってCJDを発症したと主張する患者等に係る国家賠償の問題は、民事訴訟における裁判所の判断を仰ぐべき問題と考えている。

また、御指摘の事実の解明については、民事訴訟において必要な事実が明らかにされるものと考えており、八についてで述べたとおり、国は、当事者として信義に従い誠実に対応してまいりたい。

なお、今後とも、人体の組織を用いた医療用具等について、薬事法に基づく製造の承認等の申請があった場合には、その特性に留意して有効性、安全性等についての適切な審査を行う必要があると考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

承知していない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 1999年6月24日 中川智子 答弁 1999年8月5日
衆議院 第145回 第35号承知していない ×1
提出 2000年9月26日 中川智子(社会民主党・市民連合) 答弁 2000年11月14日
衆議院 第150回 第3号
提出 1998年12月14日 中川智子 答弁 1999年1月19日
衆議院 第144回 第7号承知していない ×2
提出 1998年4月2日 寺前巖 答弁 1998年4月24日
衆議院 第142回 第22号承知していない ×2
提出 2000年8月9日 保坂 展人(社会民主党・市民連合) 答弁 2000年10月24日
提出 2007年11月19日 山井 和則(民主党・無所属クラブ) 答弁 2007年11月27日
衆議院 第168回 第244号お答えすることは困難 ×2
提出 2012年5月30日 平山 誠 答弁 2012年6月8日
参議院 第180回 第129号

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる