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安全な学校給食のための遺伝子組換え食品の制限に関する質問主意書

衆議院 第146回 第1号

提出者
衆議院
提出日
1999年10月29日
内閣転送 1999年11月1日
答弁書受領日
1999年12月3日
提出から35日
答弁の項目数
4
質問 1,792字/答弁 1,968字

質問本文

一九九七年の文部省統計によると、小学校給食の九十八・四%(七七三万人)、中学校給食の六十五・六%(二九四万人)で完全給食が実施されている。

平成十年度、日本体育・学校健康センターが発表した「学校給食要覧」によると、学校給食の役割について、「栄養のバランスのとれた食事が摂取できるよう工夫されており、成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな役割を果たしている。」と明記され、特に、小中学校における給食が児童生徒の成長に大きく貢献していることが強調されている。

一方、厚生省は、一九九六年八月以来、遺伝子組換え食品の安全性を評価する指針「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」に適合しているとの理由で、「大豆、ナタネ、ジャガイモ、トウモロコシなど」二十二品種の遺伝子組換え食品を認可した。しかしながら、害虫被害を受けにくくする目的で、殺虫性タンパク質を産成するBT菌などの遺伝子を導入した遺伝子組換え食品を長期間食べ続けた場合の慢性毒性やアレルギーを引き起こす可能性などのメカニズムが、依然解明されていないことも事実である。

現在、厚生省の指針では、実質的同等性という概念に基づき、導入遺伝子によって作物中に作られた物質についてだけ、安全性をチェックすればよいとされている。

ところが、一九八八年から八九年にかけて、アメリカにおいて、三十八人の死者と千五百人以上の人に健康障害をもたらした「L ― トリプトファン事件」では、遺伝子組換え食品の生産過程において予期せぬ有害物質(EBT、PAA)が発生し、これをチェックできないまま販売されたことが、甚大な被害を生む原因となった。

このようなことから、小中学校の児童生徒の学校給食の食材に、遺伝子組換え食品を使用することには、強い懸念を抱かざるを得ない。

以下、安全な学校給食のための遺伝子組換え食品の制限について質問する。

一 埼玉県川越市や神奈川県大和市など、一部の自治体では、成長期にある児童生徒に「安全」な給食を提供したいとの市民の要望を受け、学校給食に遺伝子組換え食品を使わないために、食材を輸入品から国産品、地場産品に代える方針を決める動きもあるが、文部省としては、どのように考えるか。

二 九月三十日付け報道によれば、欧州連合(EU)は、世界貿易機関(WTO)新ラウンド交渉において、食品の安全性に疑問があれば、輸入を制限できる「食品安全条項」を創設し、遺伝子組換え食品など、安全性が立証されていない食品を規制対象とすることを提案する意向を明らかにしている。EUでは、遺伝子組換え食品を認可制にしたが、基準があいまいで、消費者団体からの強い批判を受けていることから、認可を凍結している。EUは、�@ラベル表示義務など予防措置のあり方�A人体や生態系に与える長期的影響を評価する基準の導入�B科学的な根拠に基づく安全性基準の確立について検討し、二〇〇二年をメドに遺伝子組換え食品の新基準作りを目指している。

日本は、アメリカ・カナダから大量に遺伝子組換え作物(大豆、トウモロコシ、ナタネ等)を輸入しているが、EUの動きに対し、どのように対応する考えか。

三 本年八月十日、農水省の食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会は、遺伝子組換え食品であることが検証可能な三十品目に限定し、二〇〇一年四月から遺伝子組換え食品の表示の義務づけを決定した。

消費者自身の「選択の自由」を保証するとの観点から考え、大きな前進と評価するものであるが、表示対象が一部に限られており、遺伝子組換え食品すべてに表示義務を求めている消費者団体などに強い不満が残っている。遺伝子組換え食品の安全性に問題があるとする科学的なデータは今のところない。しかし、現在の技術では見つからない未知の危険性が潜む可能性も否定できないのが現状である。

政府は、国民が納得する「食の安全性」という点について、どのように認識しているのか。

四 二十一世紀を担うかけがえのない子供の「生命と食の安全」を守るため、また、「選択の自由」が保証されにくい学校給食の実情に鑑み、遺伝子組換え食品に対する国民のコンセンサスが十分に得られるまで、学校給食への遺伝子組換え食品の使用を制限するための措置を講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

組換えDNA技術を応用した食品(以下「遺伝子組換え食品」という。)については、厚生省において、「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」(平成三年十二月二十六日付け衛食第百五十三号厚生省生活衛生局長通知。以下「安全性評価指針」という。)に基づき、平成八年度から食品衛生調査会(厚生大臣の諮問機関)の意見を聴いた上で安全性評価の確認を行い、公衆衛生の見地から、販売の用に供される食品の安全性の確保を図っているところである。

文部省においては、学校給食の食材の購入に当たり、その安全性について十分な配慮をするよう、学校給食の実施者に対し指導しているところである。

なお、御指摘のように、一部の地方公共団体において、遺伝子組換え食品を学校給食の食材として使用しないという方針を決める動きがあることは承知しているが、どのような食品を使用するかについては、学校給食の実施者にゆだねられており、これらの遺伝子組換え食品の取扱いに関する方針についても、当該学校給食の実施者である地方公共団体において、地域の実情等に応じて判断されるものである。

二について

我が国としては、高収量品種の育成など遺伝子組換え技術の持つ大きな可能性を踏まえつつ研究開発に積極的に取り組むとともに、組換えDNA技術を応用した作物及び食品(以下「遺伝子組換え作物・食品」という。)については、その食品としての安全性評価に関しては安全性評価指針に基づき厚生大臣が、飼料としての安全性評価に関しては「組換え体利用飼料の安全性評価指針」(平成八年四月十九日付け畜B第五百八十五号農林水産事務次官依命通達)に、環境に対する影響に関しては「農林水産分野等における組換え体の利用のための指針」(平成元年四月二十日付け農会第七百四十七号農林水産事務次官依命通達)に基づき、農林水産大臣が、それぞれ確認を行っているところである。

今後とも、遺伝子組換え作物・食品の安全性評価に関する調査研究を進め、御指摘の欧州連合(EU)も含め国内外における最新の科学的知見に基づく安全性評価指針により、的確な安全性評価の確認を行い、遺伝子組換え作物・食品の安全性の確保に適切に対応してまいりたい。

世界貿易機関(以下「WTO」という。)次期交渉に向けては、遣伝子組換え作物・食品について、各国における安全性の評価や表示等の状況、他の国際会議等での議論のWTOとしての受け止め方、現行WTO協定が対応し得るか否か等を多角的に検討する場の設置を我が国から提案しているところであり、今後幅広い視点から総合的な検討が行われることが重要であると考えている。

また、遺伝子組換え食品の安全性に関する国際的な取組としては、本年六月二十八日から同年七月三日までの間イタリアで開催された国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)合同の食品規格委員会(コーデックス委員会)総会において、特別部会を設けて検討していくこと及び我が国が同部会の議長国となることが決定されたところであり、遺伝子組換え食品の安全性に関する国際基準作りにも取り組んでまいりたい。

三について

遺伝子組換え食品については、個別の品目ごとに、国内外における最新の科学的知見に基づく安全性評価指針により、組換えDNA技術によりアレルゲンや有害物質が新たに作られていないことなど当該技術により導入された遺伝子によって食品中に作られた物質だけでなく、当該食品全体について、十分な安全性評価の確認を行っているところである。

今後とも、遺伝子組換え食品の安全性評価に関する調査研究を進め、国内外における最新の科学的知見に基づき、的確な安全性評価の確認を行い、食品の安全性の確保に適切に対応してまいりたい。

なお、安全性評価指針に基づく遺伝子組換え食品の安全性評価の確認については、遺伝子組換え食品の製造業者等からの自主的な申請を受けて行われるものとなっているが、遺伝子組換え食品は、近年、国際的にも広がってきており、また、今後更に組換えDNA技術を用いた新たな食品の開発が進むことも予想されることから、本年十一月十二日に、遺伝子組換え食品の安全性評価の確認を受けることを当該製造業者等に法的に義務付けすること等について、食品衛生調査会に諮問したところである。

四について

遺伝子組換え食品については、安全性評価指針に基づき安全性評価の確認を行い、公衆衛生の見地から、販売の用に供される食品の安全性の確保を図っているところである。

学校給食でどのような食材を使用するかについては、地域の実情等に応じて学校給食の実施者が判断するものであり、政府において遺伝子組換え食品を当該学校給食の食材として使用することを制限することは考えていない。

衆議院の原文

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