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国指定の文化財建造物(民家)等に関する質問主意書

衆議院 第149回 第3号趣旨が明らかではない ×1

提出者
日本共産党
提出日
2000年7月28日
内閣転送 2000年7月31日
答弁書受領日
2000年8月15日
提出から18日
答弁の項目数
6
質問 3,583字/答弁 3,041字

質問本文

現在、全国の国指定文化財建造物のうち、民家は六四〇棟。そのうち五一〇棟が個人所有であり、その維持管理は、所有者にとって大変大きな負担となっている。重要文化財に指定された民家の多くは木造であり、屋外にあるため絶えず風雨にさらされ、台風や地震などの影響を直接受けている。また、多くが住居として利用され、かつ、一般に公開されていることから、人為的な原因による損耗が避けられない。その上、所有者には、現状変更の禁止・制限や公開が望まれているなど日常生活に関わる多くの負担と制限が課せられている。

所有者の多くは、古くから受け継がれてきた家屋に対する愛着と、文化財保護行政に貢献するという誇りと使命感をもって、これらの文化財を将来に伝えようと並々ならぬ努力をされている。しかし、個人の能力による維持管理は限界にきており、所有者の努力にこたえるためにも、文化財保護行政の拡充が緊急に求められている。

したがって、以下の事項について質問する。

一 国指定の文化財建造物(民家)の個人所有者の負担軽減について

(1) 大規模保存修理事業における個人所有者の負担は、大変重いものがある。例えば、京都の二条陣屋を解体修理しようとする場合、総額で約三億円、そのうち約二〇%が自己負担になると予想されるため、所有者の負担は約六〇〇〇万円にのぼる見込みである。京都の冷泉家で実施されている解体修理工事の事業費は、阪神大震災の後、耐震補強工事が付加されたことにより、五億五〇〇〇万円の当初見込みを大きく上回ったといわれており、所有者の負担は約一億三五〇〇万円にのぼる見込みである。

現行制度による国の補助率は二分の一を基本としており、所有者の負担能力及び修理工事期間に応じて補助率を決定する仕組みとしており、上限は八五%とされている。この補助率は大きいように見えるが、対象である文化財が入手困難な資材と高度な技術と技能を必要とする工法を利用しているため費用がかさみ、かつ、規模も大きなものが多いことから、所有者の負担は大変重くなる。こうした負担を理由に、大規模修理の申請を見合わす例も出ている。

文化財建造物の大規模修理が、所有者個人の能力を超えた費用負担のために見合わされている事態は一刻も早く改善しなければならない。その最大の障害である費用負担の大きさを軽減するため、大規模保存修理補助金予算を大幅に増額し、補助率の引き上げを行うべきではないか。

(2) 文化財建造物の維持管理にあたっては、修理にあたっての資材が入手困難であることや高度な技術と技能を必要とする工法であることから、現代の普通家屋とは異なり、費用が割高にならざるを得ない。さらに、庭の整備や畳替え、個別の損耗箇所の修理が日常的に必要となる。個人所有者にとって、大規模保存修理のみならず、小規模修理への補助はなくてはならないものである。しかるに、現在、一〇〇万円以下の少額補助金を打ち切ることが検討されていると聞いているが、これは事実か。

また、畳やふすまの補助単価は、一九七九(昭和五四)年に決められて以来変わっていない。一九七九年から一九九九年までの二〇年間で、畳表の張替費は約七四%、ふすまの張替費は約七六%値上がりしている(総務庁統計局『消費者物価指数年報』一九九九年度)。このもとで補助単価が変わらないということは、実質的補助金の切り下げになる。その上、一九九八年度からは、それまで四三〇〇万円であった補助金の総額が、四一〇〇万円に減額されている。

文化財建造物個人所有者の負担を軽減するため、小規模修理に対する補助基準の見直し・補助単価引き上げと、総額の大幅引き上げを行うべきではないか。

(3) 維持管理費用と並び、個人所有者にとって、相続税及び相続登記時の登録免許税の負担が大変重くなっている。

現在、相続税の軽減措置は、相続財産評価額の六〇%を控除するというものである。この六〇%という数字は、一九八五年に文化庁と国税庁との間で決められて以来変わっていない。重文民家所有者の全国組織である「全国重文民家の集い」も、二三年にわたり、毎年相続税の減免を要望しつづけている。

「重文民家は、愛着の思いで見守る家族と共にあることが最も望ましい」ということは、文化財保護関係者すべてが認めるところである。にもかかわらず、かつては次善の策とされた地方公共団体等への公有化が増加しつつある。

そこで、相続税の減免措置について、現行の六〇%控除を改め、所有者負担の実態に即して減免措置を拡大すべきではないか。また、相続登記時の登録免許税の軽減を図るべきではないか。

二 檜皮葺建築物の原料である檜皮及び原皮師など伝統技能者・技術者の育成について

檜の表皮を使って屋根を葺く檜皮葺の建築物は、一二〇〇年の歴史を持ち、国指定の文化財で七一二棟、指定外を含めれば二〇〇〇棟があるといわれている(『文化庁月報』一九九八年一〇月)。文化財保護関係者の試算によれば、指定文化財だけで年間約三三八〇平方メートルの檜皮が必要であり、未指定文化財の分を含めると約七八〇〇平方メートルが必要とされている。他方、檜皮の供給量は年間約一七四〇平方メートルと試算されており、必要とされる量の二割強にすぎない。文化庁も、二〇〇〇年度重点施策で、「特に原材料の不足を指摘されている檜皮葺屋根の葺き替えについては、資材確保の方策も含め重点的に取り組む」と述べざるを得ない状況である。

また、檜の表皮の採取者である原皮師の高齢化・人材不足が進んでおり、昨今の檜皮不足の大きな要因となっている。

(1) 檜皮葺建造物の維持・管理に必要とされる檜皮は、年間約七八〇〇平方メートルといわれており、これを供給するために必要な檜林の採取面積は、約三三四〇ヘクタールと試算されている。全国の国有林には、樹齢八〇年以上の檜林が約一万二四〇〇ヘクタールあるといわれており、檜皮を確保するために、こうした全国の国有林の積極的活用が緊急に求められている。政府は、一九九八年、日本共産党の寺前巖議員への回答の中で、「国有林においては、個別に採取希望があるヒノキ林について、国有林の管理経営上支障がないと認められるときは、文化財保護にも資することから、檜皮の売却を行ってまいりたい」と答弁しており、その推進が求められている。そこで、その後の個別採取希望のあった檜林面積・檜皮量と売却実績を明らかにされたい。また、国有林について檜林の面積の現状及び檜林として活用可能な面積についてどのように把握しているのか。

さらに、現在、林野庁で、近畿中国森林管理局内の国有林野に、保存修復用資材の供給、景観の保全のための森林施業等を行うために、「世界文化遺産貢献の森林(仮称)」を今年度中に設定する予定で検討が進められているというが、今後の檜皮の具体的供給計画・目標を明らかにされたい。

(2) 原皮師の仕事は、ロープ一本で檜の大木に登り、甘肌と呼ばれる木部に密着している形成層を傷つけないように細心の注意を払いながら、カナメモチ(バラ科の常緑木)で作った手製のヘラを入れて、檜皮を立木から剥ぎ取るという重労働である。原皮師は、現在全国で九名しかおらず、平均年齢も六〇歳代と高齢化が進んでおり、後継者の養成が求められている。

原皮師育成の制度としては、(社団法人)全国社寺等屋根工事技術保存会の行っている檜皮採取研修があるが、これは一九九九年度から始まったばかりであり、受講者も四名しかいない。また、同保存会では、檜皮葺・こけら葺の研修も行っているが、一九九〇年度以降、受講者が常に四名にとどまっている。ところが、研修への応募者は、一九九二年度(五名)、九六年度(七名)、二〇〇〇年度(六名)と受講者数(各年度とも四名のみ)を上回っており、意欲があり応募をしても、研修が受けられないという状況がある。その原因について、同保存会理事の原田多加司氏は、「予算やスペースの関係で年四〜五人が精一杯である」(『文化庁月報』一九九八年一〇月号)と述べている。保存会に対する国庫補助金は、一九九六年以降一四〇〇万円となっているが、うち八〇〇万円は茅の研修・確保に対する補助であり、檜皮・こけら研修に対する補助金は、一九七四年以来二六年もの間、年間六〇〇万円にすえおかれている。

国庫補助を拡充するとともに、研修スペースを拡大し、檜皮研修の充実を図るべきではないか。

(3) 文化庁では、現在、「文化財を支える用具・原材料の確保に関する調査」を行っており、本年度中に調査が完了する見込みと聞いているが、何を調査対象として、どのような規模で調査したのか。また、公表の時期はいつかを明らかにされたい。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の(1)について

文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第二十七条第一項の規定に基づき重要文化財に指定されている建造物である民家(以下「重要文化財民家」という。)の修理は、法第三十四条の二の規定により、重要文化財民家の所有者又は法第三十二条の二第一項の規定に基づき指定された管理団体(以下「所有者等」という。)が行うこととされており、その経費については、法第三十五条第一項の規定により、当該修理につき多額の経費を要し、所有者等において負担に堪えない場合には、その経費の一部に充てさせるため、政府が所有者等に補助金を交付することができることとされている。

政府としては、法第三十五条第一項の規定に基づき昭和五十四年五月に文化庁長官が定めた「重要文化財(建造物・美術工芸品)修理・防災事業国庫補助要項」により、所有者等が行う解体修理を始めとする大規模修理に対して補助事業を行っているところである。その補助事業の補助率については、同要項に基づき、補助の対象となる経費の五十パーセントを基本としながら、補助の対象とする事業の規模と補助事業者の財政規模等を勘案した上で、最大三十五パーセントまでを加算することができることとしている。現行の補助率は、所有者等が修理の経費の負担に堪えない場合、その経費の一部に充てさせるため所有者等に対し補助金を交付することができるとする法第三十五条第一項の規定の趣旨や、修理により利益を受ける所有者等に応分の負担を行わせるべきであることを考慮して、適切に定めたものであり、その引上げは考えていない。

なお、重要文化財民家の大規模修理に対する補助事業のために必要な予算については、今後とも、その確保に努めてまいりたい。

一の(2)について

政府としては、昭和五十四年五月に文化庁長官の定めた「指定文化財管理費国庫補助要項」に基づき、重要文化財民家の所有者等のふすまの張り替えや畳の表替え等の小修理等について、都道府県が所有者等にその経費の補助を行う事業に対し国庫補助を行っているところである。小修理等に対する補助事業についても、重要文化財民家の保存のためには、大規模修理に対するものと同様に重要であると考えており、当該補助事業を打ち切ることは、現在のところ考えていない。

また、小修理等の補助単価については、小修理等に係る材料費、人件費等の上昇を受け平成元年に単価を見直し、その増額を図ったところである。御指摘の補助基準の見直し又は単価の改定については、小修理等の内容、実勢単価等を勘案しつつ、適切に対処してまいりたい。

なお、重要文化財民家の小修理等に対する補助事業のために必要な予算については、今後とも、その確保に努めてまいりたい。

一の(3)について

財産課税である相続税は、相続等により取得した財産の価値に応じて負担を求めるものであることから、相続財産は、原則として、当該相続財産を取得した時の時価により課税しているところである。御指摘の「所有者負担の実態」がいかなる内容のものを指すものか必ずしも明らかではないが、これが重要文化財民家に対する所有者の維持管理等のための費用の負担ということであれば、このような負担に対し相続税の課税上、軽減措置を講ずることは相続税になじまないものと考える。

また、相続税の課税において、重要文化財民家のうち所有者の居住の用に供されているものの時価については、重要文化財民家の所有者が、法第三十一条第一項及び第三十四条の二の規定に基づき管理及び修理を行うとともに、現状変更等を行う場合には法第四十三条第一項の規定による文化庁長官の許可を受けなければならないこととされていることなどの法的制約を勘案して、これを重要文化財民家でないものとして評価した価額から、その価額に百分の六十の割合を乗じて計算した金額を控除する方法によって算定しているところである。この控除の割合は、重要文化財民家の所有に係る法的制約の状況を踏まえた適切なものと考えており、その拡大は考えていない。

また、登録免許税は登記等により生ずる利益に着目して課税するものであり、重要文化財民家であるということに着目してその相続の登記に係る登録免許税の軽減措置を講ずることは、課税の公平上問題があるとともに、相続による不動産の取得は被相続人の死亡という偶発的な事由により生ずるものであり、その政策的効果が期待できないこと等から、適当でないと考えている。

二の(1)について

平成十年四月から本年六月までの間に、林野庁に寄せられた国有林野内の檜皮の採取希望は、社団法人全国社寺等屋根工事技術保存会による檜皮の品質調査のための一件であった。この採取希望のあった件については、同保存会の希望を踏まえ、同保存会が広島県内の約九ヘクタールの国有林野からヒノキ四本分の檜皮を採取することを認めるとともに、その使用目的が売買等営利を目的とするものではなく、調査のためであったことから、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十九号)第三条第三号の物品に該当し、これを無償で譲渡したところである。

また、国有林野のヒノキ人工林の面積は、平成十二年四月一日現在、約三十八万一千ヘクタールであり、そのうち檜皮を採取するのに適当であるといわれる樹齢八十年を超えるものの面積は、約一万七千ヘクタールである。

さらに、今後の檜皮の供給計画及び目標については、現在、林野庁として定めていないが、本年七月に林野庁近畿中国森林管理局長の行政運営上の会合として発足した「世界文化遺産貢献の森林設定等に関する有識者懇談会」において、国有林野事業における檜皮の供給計画及び目標の在り方、檜皮を供給する国有林野の設定に関する考え方等について検討が進められているところである。

二の(2)について

文化庁では、法第八十三条の七第二項の規定に基づき、社団法人全国社寺等屋根工事技術保存会を選定保存技術の保存団体として認定し、同保存会に対し、昭和四十九年度から社寺等の屋根葺き技術者の育成を目的として,檜皮葺き・こけら葺きの研修のための国庫補助を毎年行っているところであり、また、平成十一年度からは、さらに、檜皮を供給する原皮師の養成研修のための国庫補助を実施し、屋根葺き技術者等の後継者の確保に努めているところである。

今後とも、同保存会が行う屋根葺き技術者等の後継者育成のための研修は重要であると考えており、研修スペースの確保や檜皮採取研修会場の確保に協力するなど、同保存会とも協議しながら研修の充実に努めてまいりたい。

また、同保存会が行う研修のために必要な予算については、今後とも、その確保に努めてまいりたい。

二の(3)について

御指摘の文化財を支える用具・原材料の確保に関する調査は、文化庁が無形文化財及び有形文化財の保存及び活用に欠くことのできない用具・原材料のうち特に確保の緊急性を要する手打ちのやすり、のみ等の加工用具、象牙、檜皮等の原材料について、その需給実態等を調査したものであり、平成九年度から平成十二年度にかけて、用具・原材料の供給業者、文化財の保存団体、地方公共団体等に対して、合わせて約八百件のアンケート及び聴き取り調査を行ったところである。

同調査の結果については、平成十二年度末頃までに取りまとめ、報告書を作成する予定である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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