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松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問主意書

衆議院 第150回 第16号

提出者
日本共産党
提出日
2000年10月19日
内閣転送 2000年10月23日
答弁書受領日
2000年11月10日
提出から22日
答弁の項目数
22
質問 3,427字/答弁 4,482字

質問本文

航空自衛隊松島基地所属の自衛隊機が、わずか三ヶ月余の間に、二件三機の墜落事故を起こした。事故機が連続して集落や原子力発電所の至近距離に墜落するという事態に住民は、自衛隊機の訓練飛行に不安を募らせている。周辺自治体は、防衛庁に強い姿勢で、事故原因の究明と抜本的再発防止対策を求めている。

三月起きたT2型機の宮城県女川町への墜落は、三十数戸の集落から約五百メートル、女川原子力発電所から約九キロメートルという地点だった。七月のT4型機ブルーインパルス二機の牡鹿町山中への墜落は、自衛隊が飛行禁止区域としている女川原発の上空半径二海里内を通過し、原発から約四・五キロメートルという距離に墜落した。二件の墜落事故は、パイロット四名の尊い命を失い、一歩間違えば地域住民と原発を巻き込んだ、取り返しのつかない大惨事となるところであった。

防衛庁は、相次ぐ重大事故にもかかわらず事故原因の徹底究明より、訓練再開を最優先する姿勢をとっている。T2型機墜落の際には、事故からわずか十二日後に訓練を再開した。しかも発表された「T−2型機墜落事故調査結果の概要」(八月一日発表)は、僅か一頁というきわめて簡略なもので、事故原因についての詳細はもとより、再発防止策などほとんどわからないものである。

T4型機墜落の際は、T2型機の訓練支援を理由に、事故原因の徹底究明をまたずに、なし崩し的に飛行再開を強行しようとしている。

今、防衛庁がおこなうべきことは、訓練再開を急ぐことではなく、住民の命と安全を最優先した事故原因の徹底究明であり、その結果にもとづく再発防止対策の確立である。

したがって、次の事項について質問する。

一 T4型ブルーインパルス墜落について

1 松島基地が関係自治体に示した「第4航空団所属T−4型機の飛行再開等について」(十月二日付)は、フライト・データ・レコーダの解析および事故機の残骸分析等からは航空機に異常がないことが確認されたとしているが、フライト・データ・レコーダの解析結果および残骸分析結果を明らかにされたい。

2 事故機の高度、機首方位等に関するデータを明示した事故の経過を明らかにされたい。

3 事故機の全飛行経路を明らかにされたい。

4 事故の経過を正確に再現するために、交信時刻(時分秒)付の生の全交信記録を明らかにされたい。

5 事故当時の気象状況の詳細について明らかにされたい。

6 事故調査結果を発表する際には、「概要」ではなく全文を発表されたい。

二 T2型機墜落について

1 八月発表した「事故調査結果の概要」は、A4紙一枚と「別紙」の「事故の経過」一枚という簡略のものであり、事故調査報告書全文を公表されたい。

2 事故機の高度、機首方位等に関するデータを明示した経過を明らかにされたい。

3 事故機の全飛行経路を明らかにされたい。

4 事故の経過を正確に再現する交信時刻(時分秒)付の生の全交信記録を明らかにされたい。

5 事故当時の気象状況の詳細について明らかにされたい。

6 事故機の「尾翼が太平洋上で発見された」(「河北新報」三月二十三日付)との報道があるが、事故機の尾翼が発見された位置を明らかにされたい。また発見された尾翼全体の状況を明らかにされたい。

7 「現場付近で墜落の様子を目撃した建設会社作業員は『低空飛行の飛行機が空中で爆発した』と話している」(前出紙)との目撃証言をはじめ機体が異常と見られる証言が各紙で報道されている。これらの証言について、事故の原因との関係でどのように検討し、どのように判断したのか明らかにされたい。

三 女川原子力発電所上空の飛行について

1 防衛庁は、T4型事故機が飛行禁止区域の「女川原発から半径二海里内の上空」を飛行したことを認めているが、事故機が禁止区域内を飛行した経過(航跡、高度、時刻等)を明らかにされたい。また事故機の位置を把握すべき基地管制は、なぜ事故機に飛行禁止区域内を通過させたのか。

2 松島基地では、女川原発から半径二海里範囲の上空を原則として飛行しないことを、飛行前のブリーフィング等で徹底しているというが、同基地の「規則」や「進出帰投要領」には明記されていない。女川原発上空の飛行禁止方針を徹底するのなら、関連諸規則に明記すべきではないか。

3 航空法第八〇条は、「航空機は、運輸省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならない」と規定している。この規定にもとづき原子力発電所の上空を飛行禁止区域にすべきではないか。

4 原発立地十四道県で組織する原子力発電関係団体協議会は、「原子力発電所等周辺上空をすべての航空機の飛行禁止区域とするよう、航空法等関係法令の改正を図られたい」と政府に要望しているが、こうした措置をとるべきではないか。

四 曲技飛行訓練空域の見直し等について

1 松島基地が関係自治体に示した「第4航空団所属T−4型機の飛行再開等について」(十月二日付)によれば、「ブルーインパルスが使用する金華山東側空域の使用要領等について検討を行う」としているが、その内容を明らかにされたい。

2 T2型機とT4型機の墜落事故は、牡鹿半島特有の濃い海霧が発生した気象条件のもとで起きており、防衛庁も気象環境を事故の遠因にあげている。二件の墜落事故は、この地域の気象環境が訓練空域としての不適格性を証明しているが、防衛庁はこの点についてどのように検討したか。

3 ブルーインパルスの危険な曲技飛行訓練をおこなう「金華山沖空域」は、女川原発から五キロメートル、住民が生活する海岸線から一キロメートルしか離れていない。もう一つの「松島基地周辺空域」は、住民が日常生活を送っている上空にある。これら訓練空域は、住民、原発を巻き込んだ重大事故を招く恐れがつよいので、廃止を含めた見直しをおこなうべきと思うがどうか。

4 危険な曲技飛行訓練、気象環境による訓練空域の不適格性、騒音対策上などから、松島基地からブルーインパルスを撤去すべきと思うがどうか。

5 危険な曲技展示飛行は、外国でも多くの事故が発生し、中止や減少している。一九八八年、ドイツ国内の米軍基地で、観客を巻き込む死者七十人の大事故がおきた。それ以降、ドイツ国内では、曲技展示飛行がおこなわれていない。また、イギリスでは財政事情から展示飛行回数が減っているという。ブルーインパルスの曲技展示飛行は、自衛隊の宣伝目的だけにおこなわれるものである以上、危険な曲技飛行は、その必要性も認められないので中止すべきと思うがどうか。

五 騒音対策等について

1 松島基地周辺住民は、事故の危険と騒音被害の中で暮らしている。安全対策とともに騒音対策も緊要の課題である。

早朝、夜間および昼休みは、市民のやすらぎや憩いの時間であり、少なくとも、この時間帯の飛行訓練は避けるべきと思うがどうか。

2 住宅防音告示区域外でも告示区域との境界周辺は、区域内と同等の騒音被害を受けているが、告示区域外のため住宅防音工事対象外となっている。告示区域の早急な見直し拡大を図るべきと思うがどうか。

3 狭い地域の土地利用という事情があり、区域指定の告示後に新築または増築した住宅にたいしても補助対象とすべきである。とくに告示前に住宅を建設する目的で土地を取得した者にたいしては、告示前住宅と見なし住宅防音補助対象とすべきであると思うがどうか。

4 現在の日本放送協会放送受信料基準は、一九七〇年に改正されたものであり、その後、配備機種の変更、機数の増加等によって、騒音量の増大、フラッター現象や音声が聞こえなくなる現象が増加しており、受信料半額免除対象地域を拡大すべきと思うがどうか。

5 二〇〇三年から松島基地に配備されるとしているF2支援戦闘機は、高出力エンジンを搭載し、騒音の増大および被害地域の拡大につながるので配備を中止すべきと思うがどうか。

6 防衛庁が発表した「第4航空団(松島基地)における飛行安全確保のための態勢について」によれば、基地への進出帰投経路に陸上上空を飛行する「RIKUZENルート」を設けた。しかし、このルート下で生活する住民は、墜落事故の危険や騒音被害が増すばかりであり、再発防止対策にはならないのでルートを変更すべきと思うがどうか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一の1について

本年七月四日に発生したT−4の墜落事故(以下「T−4墜落事故」という。)に関する航空自衛隊の航空事故調査委員会による航空事故調査における当該事故機(以下「T−4事故機」という。)のフライト・データ・レコーダの解析及びT−4事故機の残がいの分析の結果、操縦装置、着陸装置、エンジン、航法装置等に異常は認められなかった。

一の2について

お尋ねの事故の経過は、別紙1のとおりである。

一の3及び4について

T−4事故機は、訓練終了後、松島飛行場への帰投時に墜落したものであるところ、T−4事故機の同飛行場への帰投時の飛行経路は、別紙2のとおりであり、この間のT−4事故機と松島タワー等との間の交信記録は、別紙3のとおりである。

一の5について

T−4墜落事故の発生当時、牡鹿半島東側付近は、ほぼ全面を雲で覆われており、雲の間隙の発生及び消滅が繰り返される状態であったと考えられるが、事故現場の具体的な気象状況については不明である。

一の6及び二の1について

防衛庁の作成する航空事故調査報告書は、自衛隊の使用する航空機(以下「自衛隊機」という。)について発生した航空事故(自衛隊機が自衛隊以外の者が使用する航空機と衝突し、又は接触したことにより発生したものを除く。)の実態を明らかにし、その防止に資することを目的として、自衛隊機の運航方法、構造等に係る特殊性を考慮に入れて検討し、それを踏まえて作成する部内用のものであり、その全文を明らかにすることは自衛隊の能力等が明らかになることにつながるので、一般的にこれを公表することは適当でないと考えている。

ただし、大事故(死亡又は破壊を伴ったもの。)及び民間への被害等が発生した社会的影響の大きい事故については、航空事故調査報告書の概要をもって公表を行っているところである。

二の2について

本年三月二十二日に発生したT−2の墜落事故(以下「T−2墜落事故」という。)について、当該事故機(以下「T−2事故機」という。)の機首方位のデータは保有していないが、それ以外のお尋ねの事故の経過は、別紙4のとおりである。

二の3及び4について

T−2事故機は、訓練終了後、松島飛行場への帰投時に墜落したものであるところ、T−2事故機の同飛行場への帰投時の飛行経路は、別紙5のとおりであり、この間のT−2事故機と松島レーダー等との間の交信記録は、別紙6のとおりである。

二の5について

T−2墜落事故の発生当時、牡鹿半島東側付近は、ほぼ全面を雲で覆われているものの、雲の間隙がある状態であったと考えられるが、事故現場の具体的な気象状況については不明である。

二の6について

T−2事故機の水平尾翼及び垂直尾翼については、そのほぼすべてが墜落現場である松島飛行場の東北東約二十五キロメートル付近の山岳地で発見された。なお、御指摘の「尾翼が太平洋上で発見された」との事実は確認していない。

水平尾翼は、胴体から分離し、数個の破片に分断されていた。また、垂直尾翼は、胴体から分離していたが、垂直尾翼本体に大きな破損及び変形はなかった。

二の7について

T−2事故機は、機首を上げた状態で山岳地の頂上付近の斜面に衝突して破壊等に至ったものと推定される。T−2事故機の残がいの分析等から、T−2事故機の機体には異常がなかったことが確認されており、山岳地への衝突前に爆発等の異常な事態が生起したことはないと考えている。

三の1について

T−4事故機は、本年七月四日午前十時十六分ころ、約二千七百フィートの高度で女川原子力発電所から半径二マイル以内に進入し、約二十五秒後に約千三百フィートの高度で離脱したが、その際の航跡は、別紙2のとおりである。

当時、飛行場管制業務を実施していた松島タワーにおいては、T−4事故機が航空交通管制圏外を飛行していたため、女川原子力発電所付近の上空の飛行を避けるよう指示すべき立場になく、また、主として目視及び無線の交信により管制を行っていたところであり、T−4事故機の正確な位置を常に把握することもできなかったものである。

また、当時、ターミナル・レーダー管制業務を実施していた松島レーダーにおいては、T−4事故機が有視界飛行方式で飛行していたことから、女川原子力発電所付近の上空の飛行を避けるよう指示すべき立場になく、また、女川原子力発電所付近を飛行する前に、T−4事故機が松島レーダーとの交信を終了して松島タワーとの交信を開始していたことから、事故機の正確な位置を常に把握することを行わなかったものである。

三の2について

航空自衛隊においては、部内規則により、原子力関連施設上空の飛行は原則として行わないことを定めており、また、T−4墜落事故の発生後、女川原子力発電所付近の上空の飛行を確実に回避し、飛行の安全を確保するため、関連規則を改正し、有視界飛行方式による松島飛行場から訓練空域等への進出及び訓練空域等から同飛行場への帰投のための飛行経路を同発電所から半径二マイルの範囲の外側となるように設定し、このような進出又は帰投の途上にある航空機に対する松島レーダーによる監視、助言等の実施等の施策を実施したところである。

三の3及び4について

原子力施設付近の上空の飛行については、できる限りこれを避けるよう運航者に指導等を行うとともに、原子力施設付近の上空に関しては、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第八十一条ただし書に規定する最低安全高度以下の飛行についての許可は行わないこととしているところである。また、同法第七十三条の二に基づき機長が出発前に確認しなければならない事項である航空情報が記載される航空路誌に原子力施設の場所及びその概要を記載し、原子力施設付近の上空の飛行をできる限り避けるよう周知徹底を図っているところである。なお、原子力発電所には灯火が設置され、視認性の向上が図られているところである。

以上の措置により、原子力施設付近の上空の飛行をできる限り避けるべきことは運航者に十分周知しており、現在以上の規制を行う必要はないと考えているところであるが、今後とも必要に応じ更なる周知徹底を図ってまいりたい。

四の1について

ブルーインパルスが使用する金華山東側空域の使用要領等についての検討とは、より一層の飛行の安全の確保を図る観点から行う今後の同空域におけるブルーインパルスの訓練方法等についての検討を意味するものである。

四の2、3及び4について

T−2墜落事故及びT−4墜落事故については、いずれも訓練時ではなく帰投時に起きたものであり、訓練空域等における気象環境に問題があるとは考えておらず、また、航空自衛隊においては、T−2墜落事故及びT−4墜落事故を踏まえ、有視界飛行方式による松島飛行場から訓練空域等への進出及び訓練空域等から同飛行場への帰投のための飛行経路及び飛行高度の見直し、このような進出又は帰投の途上にある航空機に対する松島レーダーによる監視、助言等の実施等の施策を実施したところであり、飛行の安全が確保されたと考えていることから、訓練空域等の見直しは考えておらず、今後とも、地元の住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう配慮しつつ、引き続き航空自衛隊松島基地においてブルーインパルスの運用を行ってまいりたい。

四の5について

ブルーインパルスの展示飛行は、航空自衛隊が日ごろの訓練により培った練度の高さを国民に披露することにより、国民の国防に対する認識を深めるとともに自衛隊に対する信頼感を醸成し、併せて隊員の士気を高めようとする趣旨から行っているものであり、今後とも、飛行の安全の確保に最大限の努力を傾注しつつ、これを実施してまいりたい。

五の1について

御指摘の飛行訓練については、午後九時から午前七時までの間及び正午から午後零時三十分までの間又は午後零時三十分から午後一時までの間の時間帯を極力避けて実施するようにしているところであり、今後とも地元の住民の生活に及ぼす影響をできる限り少なくするよう配慮してまいりたい。

五の2について

防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号。以下「環境整備法」という。)第四条に規定する第一種区域(以下「第一種区域」という。)については、航空機の騒音が一定の値(以下「指定基準値」という。)以上である区域を基準として、関係地方公共団体の意見を聴取した上で指定しているところであるが、現時点においては、松島飛行場に係る第一種区域を見直す考えはない。

五の3について

環境整備法第四条に基づく住宅の防音工事の助成の対象は、第一種区域の指定の際現に所在する住宅となっているが、指定基準値を段階的に改正して第一種区域を追加指定してきたことを踏まえ、最新の第一種区域の追加指定の時点で従前の第一種区域内に所在していた住宅についても、防音工事の助成措置を講じたところである。また、助成の対象となった住宅がその後に増築された場合についても、当該増築部分の防音工事の助成措置を講じてきているところである。

いずれにせよ、政府としては、現在住宅防音工事の助成対象となっている住宅の助成措置を着実に実施していくことが先決であると考えている。

五の4について

御指摘の日本放送協会放送受信料免除基準に基づく自衛隊及び日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の飛行場及び射爆撃場(以下「自衛隊飛行場等」という。)の周辺の放送受信契約者に対する受信料の免除措置は、昭和五十七年に廃止されている。

現在は、自衛隊飛行場等におけるターボジェット発動機を有する航空機の離着陸等により生ずる騒音の影響にかんがみ、防衛施設庁が定める一定の区域において、日本放送協会との放送受信契約者に対し、財団法人防衛施設周辺整備協会が、防衛施設庁の助成を受け、地上系によるテレビジョン放送の受信料の半額を助成しているところである。

この助成措置については、他の航空機騒音対策事業との関連等を勘案し、適切に運用していく考えである。

五の5について

我が国の防衛に必要な支援戦闘機部隊等の操縦者の養成のための態勢を維持するため、現在航空自衛隊松島基地に配備されているT−2の減耗補充用として、F−2を同基地に配備する必要があることから、同機の同基地への配備を中止することは考えていない。

五の6について

御指摘の「RIKUZENルート」は、松島飛行場からその北東方向を通過し訓練空域等へ進出する飛行経路及び訓練空域等から同飛行場の北東方向を通過し同飛行場へ帰投する飛行経路を指すものと考えられるが、同経路を設定した目的は、飛行経路を限定し、十分な飛行高度をとること等により、牡鹿半島周辺の山岳地への墜落の危険及び女川原子力発電所付近の上空の飛行を確実に回避し、飛行の安全を確保するためであり、これを変更することは考えていない。

衆議院の原文

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