Kurage 質問主意書アシスト

ことばで探す › 衆議院 第150回

徳山ダムの水源開発に関する質問主意書

衆議院 第150回 第22号お答えすることは困難 ×5

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2000年10月27日
内閣転送 2000年10月30日
答弁書受領日
2000年12月5日
提出から39日
答弁の項目数
22
質問 5,421字/答弁 7,071字

質問本文

第一 木曽川水系の工業用水道水源開発と需給予測について

当然のことながら「ウォータープラン21」は、「ウォータープラン2000」よりも水道水の需要見通しを下方修正している。かつては、工業用水需要は必ず増えるものであり、ある目標年次には供給過剰であっても目標年次を繰り延べることで供給に対応する需要は発生するという前提に立っていた。木曽川水系水資源開発基本計画において、目標年次1985年を2000年に繰り延べたのもまさにその思考法による。しかし1985年以降開発された工業用水は、当初予測の需要は発生していない。水資源開発公団から工業用水を「買った」工業用水事業者は、その水を企業に売ることができないために、償還費用を一般会計から補填するという異常な会計操作を行ってしのいでいる。木曽川水系水資源開発基本計画にのっとった水源開発が工業用水道事業会計を圧迫し、ひいては住民に重い負担を強いる状態になっている。そしてこの状態が解消されるだけの工業用水需要の伸びは到底見込めない。にもかかわらず、徳山ダム建設という形で、まだ新たな工業用水道水源開発が行われている。

工業水道事業の適正な経営と住民の負担軽減の見地から以下質問する。

なお、項目をまとめられることなく、項目の番号ごとに答弁されることを求めたい。

一 これまで木曽川水系水資源開発基本計画によって開発された工業用水について、各水源施設別・事業者別の開発水量・水利権水量・実供給量を明らかにされたい。

二

1 岐阜県では近年まで工業用水道事業特別会計が設置されていなかった。工業用水道事業特別会計の存在しない状況で、工業用水道事業者は存在するといえるか。いえるとすれば、その要件等、法的根拠を明らかにされたい。

2 現在、岐阜県の工業用水道事業特別会計は暫定的なものであり、岩屋ダム工業用水道水源費・徳山ダム工業用水道水源費は、この会計からは支出されていない。

(一) 国が岐阜県に対して岩屋ダム及び徳山ダム工業用水道水源費負担金として交付した金額を年度別に示されたい。

(二) 実際には工業用水が使われず、こうした補助が、地域の産業振興に結びついていない現状について、どのように認識されているか。

(三) 岐阜県の岩屋ダムに関する償還は間もなく終わるが、工業用水の水源費の償還が初めから終わりまで一般会計から直接償還するという例は他にもあるか、お示し頂きたい。

(四) こうしたことは法の予定しないところであると考えるが、こうした支出(一般会計からの償還)を可能とする法的根拠を示されたい。

(五) 岐阜県の徳山ダム工業用水道水源費負担金は、一般会計から直接水資源開発公団に支出されているが、こうしたことを可能とする法的根拠を示されたい。

三 長良川河口堰で開発された工業用水には需要がなく、供給を受けた愛知県・三重県はその償還の財源に窮し一般会計からの繰り入れによって償還している。これも法の予定する健全な工業用水道経営とはいえない。

国としては、この状況についてどのような認識を有し、これを正常ならしめるためにどのような方策を検討しているか、お示し願いたい。

四 工業用水需要予測について

1(一) フルプランの需要予測と、各工業用水事業者(工業用水事業者が存在しない場合は当該県)の工業用水需要予測の異同について、政府の把握するところを明らかにされたい。

(二) この両者の数値が大きく違う場合、水源開発計画に影響を及ぼすものと思われる。この数値を整合性・合理性あるものとするためにいかなる措置を講じているか。具体的に示されたい。

2 これまで、国、あるいは各県の水需要予測は、常に実際の水需要と乖離してきた。工業用水の需要は、バブル崩壊以前から、実際には伸びることなく横這いないし漸減している。工業出荷額が伸びれば水需要も伸びるという前提が破綻していることは明らかである。

(一) 産業構造の転換により、多くの水を使用する業種が相対的に減少したことも一つの要因ではあるが、同じ業種でも補給水原単位は漸減していることが統計上示されている。その原因は、工業用水の供給を受けている企業の出荷額の伸びは、当然には補給水量の伸びには繋がらないことにある。企業は出荷額の増減にかかわらず原則としてその契約水量を使いきるが、生産量が増えたときには生産工程の工夫によって(使用水原単位の低減、工場内で回収率の上昇等)、新たな負担を意味する契約水量の増加をできるだけ回避するのが一般である。

補給水原単位と工業出荷額とはむしろ反比例の(積である補給水量が一定)関係にあるという学者の見解もあるが、このことの認識はいかがか。

(二) 補給水原単位もしくは使用水原単位を固定して(あるいは逆ロジスティック曲線の飽和値を高めに設定するなどして)出荷額を乗じるという手法からは、妥当な工業用水需要を予測することはでないと考える。

現在、フルプラン改定作業中であるが、旧フルプラン策定時の工業用水需要予測の手法と、新たなフルプラン作業における工業用水需要予測の手法の異同を具体的に示されたい。

3 ウォータープラン21を前提として、東海地域の工業用水の需要予測を行った場合、徳山ダムを水源とする工業用水の需要の発生について、政府の認識する数値を、根拠をもって示されたい。(地域別、事業者別)

五 ウォータープラン21は、水需要の伸びが大幅に鈍っていることを認めつつ、水源開発を続ける理由として「渇水対策」を挙げる。

建設省も、「東海地方の水余り」論に対して「この地域は利水安全度が低い」、「建設省が質の良くない(供給能力に欠陥がある『水膨れ』の)水利権を許可したため、・・・水利権の額面どおり供給能力が発揮されない」(平成11年3月 中部地方建設局河川部長)から新たな水資源開発が必要と言っている。

徳山ダム建設事業審議委員会において、中部経済連合会専務理事は「1994年渇水では300億円の被害があったから、徳山ダムの水が必要だ」という論を展開した。「数十年に一度、私企業に300億円の被害があるから、公的資金を数千億円投じてダムを作る必要がある」という論は首肯しかねる。

1 もし国が「渇水対策」として新たな水源確保が必要だという論に立つなら、この地域の渇水被害の程度とその確率について根拠ある数値を示し、その対策案・対策に要する金額・負担すべき者について、明らかにされたい。

2 仮に徳山ダムによる新たな水源開発の目的が東海地域の利水安全度の向上であるとするなら、徳山ダムによる開発水は、すでに「供給能力に欠陥がある『水膨れ』の」水利権を取得している地域に供給しなければならないことになる。

とすると大がかりな導水設備が必要となり、水単価は非常に高いものとなる。工業用水は特定企業の受益にかかるものであり、国あるいは地方公共団体の一般財源をもってその負担に充てるべき性質のものではない。しかしこの負担を企業に転嫁すれば他地域(または外国)企業とのコスト競争において甚だしく不利益となり、企業活動の沈滞または企業そのものの他地域への流出を招く。こうした面からの「渇水対策」負担についての考え方かをお答え願いたい。

3 建設省は「岩屋ダムの水供給能力はその公称能力には及ばない」という。一方、岩屋ダムで開発された工業用水は未だ需要者がなく余っている。「岩屋ダムにはその公称能力がなく新たに確保する必要がある」というのなら、岐阜県で23年間使われず、今後も具体的な需要見込みのない工業用水道水源を「渇水対策」に充てるという考え方もありうるのではないか。なぜそれができないのか。見解を伺いたい。

第二 徳山ダムにおける開発水の岐阜県大垣地域への供給について

徳山ダムでの新規開発水のうち、1.5トン毎秒は水道水として、3.5トン毎秒は工業用水として供給先は岐阜県大垣地域に供給されるとしている。この地域は、これまでほぼ全部の需要を地下水で賄ってきた。大垣市は「水の都」と言われ、地下水及び湧き水を源として縦横に流れる小河川はこの地域の文化の中心であり、地下水を水源とする「おいしくて安全で安い水道」は市民の誇りでもある。

この豊富な地下水を工業用水としてふんだんに利用した繊維工業が盛んな頃(1960年代から70年代前半)、大垣市中心部の地下水の静水位が下がり地下水の危機が取りざたされたことがあった。しかし工業用水汲み上げが大幅に減少した最近は静水位は上昇し、中心部の家庭の涸れていた井戸が復活してきている。

この地域には徳山ダム開発水の供給は不要なばかりでなく、財政・健康・文化など各方面で多大な悪影響を与えると懸念される。この観点から以下質問する。

なお、項目をまとめられることなく、項目の番号ごとに答弁されることを求めたいのは第一と同様である。

一 岐阜県は「地盤沈下対策として、地下水の汲み上げを規制し、揖斐川表流水への水源転換が必要である」と言い、それを徳山ダムによる新規利水の必要性の根拠としている。

1 大垣地域は「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」の規制地域にはなっていない。濃尾平野の地盤沈下が大いに問題になっていた頃の「大垣市の環境」(昭和63年版・大垣市)によれば「幸い、当地方では、地下水の節水努力等によって地盤沈下は生じていない」(93頁)とある。

その後、大垣市の地下水揚水量は大幅に減っている(昭和63年:工業用水=23万トン/日、水道水=5万3000トン/日。平成10年=工業用水=18万1000トン/日、水道水=6万500トン/日。いずれも大垣市の資料)

(一) 大垣地域における地盤沈下について、地点と沈下量を年ごとに(累積だけでなく)示されたい。

(二) 岐阜県や建設省が「地盤沈下がある」として示す地点は、堤防・道路・鉄道の沿線に限られている。また、大垣地域の地下水揚水は減っており、地下水の静水位は上がってきている。

仮に大垣地域に地盤沈下があるとしても、地盤沈下の原因は地下水揚水によるものとはいえないのではないか。もし言えるなら、科学的根拠を示されたい。

2 国として、大垣地域において「規制によって地下水揚水を現在より減らす必要がある」という認識を有しているか。

3 仮に地下水揚水規制によって工業用水道からの受水を強制されれば、「豊富な地下水をふんだんに使える」ということで立地した工場はそのメリットを失う。それでなくても繊維関係の工場の操業停止・撤退で空洞化しているこの地域の産業に大きな影響を与えることになるが、その対策をいかに考えるか、伺いたい。

二 この地域の各自治体は、将来にわたって地下水によって住民に十分な水道水を供給できるとする計画を持っている。しかし、岐阜県は、徳山ダム完成後には、この地域で水道水の水源転換を行うとしている。市民が、その見解の不整合を質しても「将来の環境変化次第」(大垣市・8月28日)という甚だ曖昧な回答しか得られない。

その一方、建設省が今年7月に発表した1999年秋のダイオキシン調査によると、揖斐川福岡大橋地点は、水質=0.80 pg−TEQ /L(調査対象である全国72地点のうち二番目)、底質19 pg−TEQ /g(調査対象である全国48地点のうち五番目)で、水質・底質ともに高い値を示したという意味では実質ワースト1であったといえる。また、1998年の環境庁調査では同地点で水質の平均は0.88 pg−TEQ /Lで、特に同年冬は1.4 pg−TEQ /Lという環境基準を上回る値を検出している。

ダイオキシンの毒性については未解明な部分が多く、人体への摂取量は可能な限りゼロに近い方が望ましいことは間違いない。現在の環境基準値の1pg−TEQ /Lというのも暫定的なものであり、世界的な動向を見れば、将来は一層厳しい値を採ることになるであろうと予測される。また、揖斐川のダイオキシンが高濃度であることの原因が全く特定されていない以上、将来、さらに汚染濃度が高くなる可能性も否定できない。

1 仮に上記一の「地盤沈下対策」が根拠あるものと仮定しても、地下水揚水の大部分を占める工業用水の揚水規制を考慮するのはともかく、住民の健康への影響を問題にしなければならない水道水の水源転換は断じてなすべきではないと考える。政府の見解を示されたい。

2 岐阜県及び大垣市は、市民からの「発生源を特定すること、汚染の実態を把握すること、新たな発生の防止と汚染の除去についての具体的方策を示すこと」との要望に対し、「環境基準値を下回っているので、特に調査や対策を行う予定はない」として拒否している。

木曽川水系水源開発基本計画において、徳山ダム建設に伴い揖斐川表流水を水道水の水源として使用するとしている(岐阜県1.5トン毎秒、愛知県4トン毎秒、名古屋市2トン毎秒)以上、その水質の安全性確認は不可欠である。国及び水資源開発公団が、責任をもって安全性の確認を行うべきである。

国の責任で、発生源の特定、汚染の実態把握、新たな発生の防止と汚染の除去についての具体的方策の策定を行うべきであると考えるがいかがか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

第一の一について

木曽川水系における水資源開発基本計画(昭和四十八年三月二十三日閣議決定、平成五年三月二十六日閣議決定)において工業用水を確保するため必要な施設とされているもののうち、平成十一年度までに建設された各施設別及び各工業用水道事業者(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項に規定する工業用水道事業者をいう。以下同じ。)別の開発水量(当該施設の建設によって新たに利用可能になる水量をいう。以下同じ。)、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条の規定に基づく許可を受けた水利使用に係る最大取水量及び平成十年度における最大取水実績は、別表一のとおりである。

第一の二の1について

工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づき地方公共団体が営む工業用水道事業については、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十七条の規定に基づき当該地方公共団体に特別会計が設けられることとなっている。

なお、当該工業用水道事業については、工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づき、事前にその旨の届出をすることを要するところ、当該届出前においては、特別会計の設置を義務付ける法令上の規定はない。

第一の二の2の(一)について

岩屋ダム及び徳山ダムについて、工業用水道事業費補助金交付規則(昭和三十二年通商産業省告示第三百二十三号)に基づき岐阜県に対し交付した工業用水道事業費(水源費)補助金の年度別の交付済金額は、別表二のとおりである。

第一の二の2の(二)について

岐阜県においては、平成十年度以降、可茂工業用水道事業の給水区域にある企業に対し岩屋ダムを水源とする工業用水の供給を行っているものと承知している。なお、徳山ダムについては、現在建設中であり、同ダムを水源とする工業用水の供給は行っていないものと承知している。

第一の二の2の(三)について

お尋ねのような例については、岩屋ダムに関するもののほかにはないものと承知している。

第一の二の2の(四)について

水資源開発施設の新築等に要する費用については、水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第二十九条第一項において当該施設を工業用水道の用に供する者が負担することとされており、岩屋ダムの建設に要する費用に係る負担金については、岐阜県が支払義務を負うこととなるが、地方公共団体が支出を行う場合において、その支出を行う会計の区分については、法令上の規定はなく、岐阜県が当該負担金に対する支出を一般会計から行うことは可能であると考えている。

第一の二の2の(五)について

第一の二の2の(四)についてで述べたとおり、徳山ダムの建設に要する費用に係る負担金を岐阜県の一般会計から支出することは可能であると考えている。なお、徳山ダムについては、工業用水道事業がいまだ営まれていないため、特別会計が設けられていない。

第一の三について

愛知県及び三重県における長良川河口堰の建設に要する費用に係る負担金については、地方公営企業法第十八条又は第十八条の二の規定に基づき、愛知県及び三重県の一般会計から特別会計に対して出資又は長期貸付けが行われているものと承知している。

第一の四の1の(一)について

木曽川水系における水資源開発基本計画においては、全国総合開発計画(昭和六十二年六月三十日閣議決定)及び全国総合水資源計画(昭和六十二年十月国土庁策定)との整合を図りながら、平成十二年度を目途とする水系全体の工業用水の需要量を予測している。一方、工業用水道事業者は、工業用水道事業法第三条第一項の規定に基づく事業の届出の際に提出する事業計画書において、地域の実情に応じた給水目標年次を設定し、個別企業への給水量等を記載している。したがって、木曽川水系の水資源開発基本計画の需要の見通しと各工業用水道事業者の給水計画は対象地域や目標年次が異なっており、相互に比較できる性格のものではないと考えている。

第一の四の1の(二)について

第一の四の1の(一)についてで述べたとおり、水資源開発基本計画の需要の見通しと各工業用水道事業者の工業用水需要予測とは、対象地域や目標年次が異なっており、相互に比較できる性格のものではないと考えている。

第一の四の2の(一)について

地域や業種により異なることから一概には言えないが、工業統計表上の全業種で見た場合、補給水量原単位と工業出荷額との関係については、過去二十年間において工業出荷額の増加傾向に対し補給水量原単位は減少傾向にある。なお、過去二十年間の補給水量については、別表三のとおりである。

第一の四の2の(二)について

現行の水資源開発基本計画で用いられている工業用水需要予測手法については、補給水量原単位に工業出荷額を乗じる一般的な手法を用いているところであるが、新たな水資源開発基本計画に用いる工業用水需要予測手法については、現在検討を進めているところである。

第一の四の3について

「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は、平成十一年六月、国土庁において、全国を十四のブロックに分けて平成二十二年から平成二十七年を目標年次とする水需給等に関する推計を行ったものであり、これを前提としてお尋ねのような個別の水源にかかわる地域別及び工業用水道事業者別の工業用水の需要予測を行うことは困難である。

第一の五の1について

お尋ねの「渇水被害の程度とその確率」が何を指すか明らかではないが、「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」における東海ブロック(静岡県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県)では、平成二年から平成十一年までの間において当該ブロック内のいずれかの水系で工業用水に係る取水制限が実施されたことがある年は八年であり、同期間の取水制限率の最大値は六十五パーセントである。また、木曽川水系においては、同期間において工業用水に係る取水制限が実施されたことがある年は七年であり、同期間の取水制限率の最大値は六十五パーセントである。なお、これら以外にも自主節水が実施されている。

また、工業用水の渇水対策は、対応すべき渇水の程度や渇水被害発生地域等、様々な自然的、社会的要因が関係し、これらの要因により異なるものと考えられることから、お尋ねの対策案、対策に要する金額及び負担すべき者について明示することは困難である。

第一の五の2について

工業用水の渇水対策は、対応すべき渇水の程度や渇水被害発生地域等、様々な自然的、社会的要因が関係し、これらの要因により異なるものと考えられることから、渇水への対策案、対策に要する金額及び負担すべき者については、明示することは困難である。

第一の五の3について

岩屋ダムがある木曽川水系については、おおむね十年に一度程度発生する少雨の年において取水可能となるように水資源開発施設を整備してきたところである。しかしながら、近年、降雨状況の変化により利水安全度が低下し、しばしば渇水が発生していることから、水利用の安定性が損なわれているものと認識しており、このような状況を踏まえ、渇水に対する水利用の安定性の確保のため、各種方策の有効性等について総合的に検討を行うことが重要であると考えている。

これまで開発してきた水源を渇水対策に充てるという考え方は、一般論としてはあり得るものと認識しているが、岩屋ダムの開発水量については、今後とも、工業用水需要が発生しないとする仮定に基づいて、それを渇水対策に充てることの当否を論ずることは困難である。

第二の一の1の(一)について

建設省及び岐阜県が実施した測量によれば、平成元年から平成十一年までの各年ごとの岐阜県大垣市内における地盤沈下が大きい地点とその沈下量は、別表四のとおりである。

第二の一の1の(二)について

一般論として、地盤沈下の主な原因は、地下水の採取によって、帯水層の地下水の静水位が低下し、その周辺の地層が収縮することにあるものと考えられている。

なお、地下水の静水位の低下と地盤沈下の間に時間的なずれがあるため、地盤沈下が観測された時点において、地下水の静水位の低下が観測されないことがあること、地下水の静水位の低下によって地盤沈下が生じた場合であっても、その後の地下水の涵養によって観測時点における地下水の静水位が上昇傾向を示すことがあること、帯水層は多層存在し、それぞれ独立した地下水の静水位を有しており、ある層から地下水を採取したとしても、観測された他の層の地下水の静水位が上昇傾向を示すことがあることから、ある地点で観測された地下水の静水位が上昇傾向であることをもって、地盤沈下の原因が地下水採取による地下水の静水位の低下ではないと判断することはできないものと考えている。

第二の一の2について

岐阜県大垣市内は、「濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱」(昭和六十年四月二十六日地盤沈下防止等対策関係閣僚会議決定)において観測地域とされているところであり、政府としては、地盤沈下等の状況の観測又は調査を行うとともに、関係地方公共団体と連携を取りつつ、地下水を利用する事業者等に対し、地下水採取の自主規制の継続等適切な地下水採取を行うことを指導しているところである。

岐阜県大垣市内における地盤沈下等の状況を踏まえれば、現時点では、地下水採取の自主規制等によって、著しい地盤沈下の未然防止を図ることが適切であると考えている。

第二の一の3について

第二の一の2についてで述べたように、現時点では、地下水採取の自主規制等によって、著しい地盤沈下の未然防止を図ることが適切であると考えているところであり、お尋ねの仮定の問題には答弁を差し控えたい。

なお、通商産業省においては、地域の産業の現状について今後とも注視してまいりたい。

第二の二の1について

水道により供給される水の水質については、水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条及び水質基準に関する省令(平成四年厚生省令第六十九号)において水質基準が定められているほか、「水道水質に関する基準の制定について」(平成四年十二月二十一日衛水第二百六十四号厚生省生活衛生局水道環境部長通知)において、同法の水質基準を補完する項目として、水道水の安全性の確保のための監視項目及びその指針値が定められており、ダイオキシン類についても暫定的な指針値が定められている。

揖斐川を水源とする予定の関係水道事業者において、これらの水質基準等を踏まえ、水道水としての安全性を十分に確認した上、水源の種別を変更することは差し支えないものと考えている。

第二の二の2について

政府としては、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第七条の規定に基づき、ダイオキシン類による水質の汚濁に係る環境基準を設定したところであり、政府及び岐阜県が平成十年度及び平成十一年度に実施した揖斐川水系のダイオキシン類調査の結果によれば、その水質は当該環境基準を満たしている状況にある。

同法においては、都道府県知事及び政令で定める市の長は、公共用水域等のダイオキシン類による汚染の状況を常時監視するとともに、ダイオキシン類による汚染の防止等に関する施策を実施することとされている。したがって、揖斐川のダイオキシン類汚染の状況については、岐阜県が今後とも計画的に監視した上、当該環境基準を超える等の汚染の進行を認める場合には、汚染原因の究明及び汚染の改善を図るために必要な措置を講ずるものと承知しているが、政府としては、岐阜県と連携して適切に対処してまいりたい。

別表一

一 施設別

施設

開発水量(立方メートル/秒)

最大取水量(立方メートル/秒)

最大取水実績(立方メートル/秒)

岩屋ダム

一七・六三

一〇・九六

六・六二

阿木川ダム

二・〇九八

二・〇九八

二・〇九

三重用水

〇・二〇

〇・一三一

〇・一二

味噌川ダム

〇・七三一

〇・七三一

〇

長良川河口堰

一四・八〇

−

−

二 工業用水道事業者別

工業用水道事業者

開発水量(立方メートル/秒)

最大取水量(立方メートル/秒)

最大取水実績(立方メートル/秒)

愛知県知事

−

六・六〇九

四・〇七

三重県知事

−

七・一三一

四・七五

岐阜県知事

−

〇・一八

〇・〇一

(備考) 開発水量は各施設ごとに算出され、各工業用水道事業者別に明示することは困難である。

別表二

一 工業用水道事業費(水源費)補助金交付済金額(岩屋ダム建設事業)

年   度

補 助 金 額 (千円)

昭和四十五年度

二二、八〇〇

昭和四十六年度

三四、〇〇〇

昭和四十七年度

二一、三〇〇

昭和四十八年度

一一、一〇〇

昭和四十九年度

六一、一〇〇

昭和五十年度

一一五、〇〇〇

昭和五十一年度

五二、六〇〇

二 工業用水道事業費(水源費)補助金交付済金額(徳山ダム建設事業)

年   度

補 助 金 額 (千円)

昭和五十年度

一一、一〇〇

昭和五十一年度

二五、七六〇

昭和五十二年度

八六、六〇〇

昭和五十三年度

一一八、一〇〇

昭和五十四年度

一六六、七〇〇

昭和五十五年度

二二七、一〇〇

昭和五十六年度

二〇〇、〇〇〇

昭和五十七年度

一九九、九〇〇

昭和五十八年度

一六六、六〇〇

昭和五十九年度

一一三、三〇〇

昭和六十年度

二〇六、六〇〇

昭和六十一年度

三九三、〇〇〇

昭和六十二年度

三七三、〇〇〇

昭和六十三年度

四二三、〇〇〇

平成元年度

二一六、五〇〇

平成二年度

一四三、三〇〇

平成三年度

一四三、三〇〇

平成四年度

一八九、九〇〇

平成五年度

三一九、七〇〇

平成六年度

二四三、二〇〇

平成七年度

三三三、一〇〇

平成八年度

三三六、四〇〇

平成九年度

三三六、四〇〇

平成十年度

五一二、九〇〇

平成十一年度

四七六、二〇〇

別表三

年

補給水量(立方メートル/日)

昭和五十四年

三七、〇二四、三一〇

昭和五十五年

三六、七〇二、一六二

昭和五十六年

三五、七八七、八〇八

昭和五十七年

三五、一三八、九六三

昭和五十八年

三五、〇八二、四六〇

昭和五十九年

三四、九四五、九六六

昭和六十年

三四、九二八、七七九

昭和六十一年

三四、四一九、九九三

昭和六十二年

三四、四三三、三四五

昭和六十三年

三四、四八四、九六七

平成元年

三四、九三九、二〇七

平成二年

三五、三〇二、四〇一

平成三年

三五、八二一、二五二

平成四年

三五、六五九、六一六

平成五年

三四、九七〇、九六六

平成六年

三四、一一〇、六五六

平成七年

三三、八四一、八七二

平成八年

三三、六九六、〇四八

平成九年

三三、六七七、四一〇

平成十年

三三、三二四、三六五

(備考) 補給水量は、工業統計表における水源別工業用水量の淡水合計から回収水を控除したものである。

別表四

岐阜県大垣市内における地盤沈下(平成元年以降の累積沈下量が大きい上位五地点における年ごとの沈下量)

単位:センチメートル

点名

上流IR−8

G47−1

上流揖−11

G43

上流GTXL�Z

所在地

大垣市新開町

大垣市築拾町

大垣市今福町

大垣市中ノ江三丁目

大垣市古宮町

平成元年

〇・五一( 〇・五一)

〇・三一( 〇・三一)

〇・六二( 〇・六二)

△〇・〇四(△〇・〇四)

〇・二七( 〇・二七)

平成二年

〇・六九(一・二〇)

〇・五一( 〇・八二)

〇・三五( 〇・九七)

〇・三七(〇・三三)

〇・六二( 〇・八九)

平成三年

〇・五一(一・七一)

〇・三七( 一・一九)

〇・三九( 一・三六)

〇・一五(〇・四八)

△〇・〇二( 〇・八七)

平成四年

〇・九五( 二・六六)

〇・五〇( 一・六九)

〇・五六( 一・九二)

〇・五五( 一・〇三)

一・〇七( 一・九四)

平成五年

△〇・〇四( 二・六二)

〇・三〇( 一・九九)

〇・〇六( 一・九八)

△〇・〇六( 〇・九七)

△〇・一七( 一・七七)

平成六年

一・七三( 四・三五)

一・二六( 三・二五)

一・二二( 三・二〇)

二・五七( 三・五四)

一・二二( 二・九九)

平成七年

〇・四三( 四・七八)

〇・二九( 三・五四)

〇・三二( 三・五二)

〇・二八( 三・八二)

〇・〇三( 三・〇二)

平成八年

〇・八八( 五・六六)

〇・九一( 四・四五)

〇・八七( 四・三九)

〇・五七( 四・三九)

〇・六五( 三・六七)

平成九年

〇・五三( 六・一九)

△〇・三一( 四・一四)

△〇・〇四( 四・三五)

△〇・二四( 四・一五)

〇・一〇 ( 三・七七)

平成十年

〇・三一 ( 六・五〇)

〇・五一 ( 四・六五)

〇・四〇 ( 四・七五)

〇・三二 ( 四・四七)

〇・二七 ( 四・〇四)

平成十一年

〇・九九( 七・四九)

〇・五六( 五・二一)

〇・三〇( 五・〇五)

〇・三二( 四・七九)

〇・三三( 四・三七)

(備考)

一 数値は、単年度沈下量(昭和六十三年を〇とした累積沈下量)を示している。

二 「△」は隆起していることを示している。

三 岐阜県大垣市内において観測の行われた水準点は、四十三地点である。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×5

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

似た質問主意書

件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。

提出 2000年7月28日 石井紘基(民主党・無所属クラブ) 答弁 2000年9月12日
衆議院 第149回 第2号お答えすることは困難 ×4
提出 2004年8月5日 佐藤謙一郎(民主党・無所属クラブ) 答弁 2004年9月14日
衆議院 第160回 第50号
提出 2013年6月13日 藤末 健三 答弁 2013年6月21日
参議院 第183回 第123号趣旨が明らかではない ×1
提出 2003年6月12日 中村 敦夫 答弁 2003年7月29日
参議院 第156回 第35号
提出 2002年11月19日 中村 敦夫 答弁 2003年2月4日
参議院 第155回 第6号
提出 2008年12月19日 近藤 昭一(民主党・無所属クラブ) 答弁 2009年1月9日
衆議院 第170回 第370号
提出 2002年4月3日 中村 敦夫 答弁 2002年6月28日
参議院 第154回 第19号
提出 1998年10月1日 石井紘基 答弁 1998年11月6日
衆議院 第143回 第18号

件名の語が重なる質問主意書

提出 2007年6月12日 近藤 昭一(民主党・無所属クラブ) 答弁 2007年6月22日

この論点で次の質問を書くなら

アシストで並べる