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「NTT構造改革に向けた業務運営形態の見直し」に関する質問主意書

衆議院 第153回 第49号

提出者
社会民主党・市民連合
提出日
2001年12月7日
内閣転送 2001年12月7日
答弁書受領日
2002年1月18日
提出から42日
答弁の項目数
7
質問 1,214字/答弁 2,212字

質問本文

二〇〇一年十月二十五日、持株会社日本電信電話会社(以下NTT)は「NTT東西地域会社と設備保守を手がけるNTT−MEグループの社員十四万人の内、約十万人を、新たに地域ごとに設立する業務委託会社に移管し」その方法については「五十一歳以上の社員は本人の同意を得て一旦雇用関係を切り、地域子会社で賃金水準を十五〜三十%カットして再雇用する。五十歳以下の社員については現行のまま出向させる」と正式発表した。

NTTは前記措置について「NTT構造改革に向けた業務運営形態の見直し」と称して、「退職」によって雇用関係を切断した上で、県、地域別に新設するNTT一〇〇%出資の子会社(アウトソーシング会社)で再雇用するというもので、労働者の選択に委ねると装いながら「退職」に同意しない労働者は「勤務地を問わず他業種への出向」との条件をつけ「退職」へ労働者の意思選択を強制しているとされている。

更に、今回の計画が第一四七回国会で成立した「会社分割法」の適用はないとし、「変更解約告知」でも「転籍」でもないとする以上、賃金水準の大幅引き下げ等、労働条件の不利益変更の禁止という判例上確立した原則を踏みにじるものになるおそれがある。

失業率が五・四%を超える今日、国が株式の半数近くを保有する半官企業で公益性の高いNTTが、「会社分割法」成立時の「労働契約承継法」等を脱法し失業を増長するが如き合理化計画は許されるはずがなく、法の趣旨からも放置できない重大な問題として、最大の株主である国が株主権を行使し雇用不安を増大させるようなリストラを放置させるべきではない。事態が緊迫を深めていると聞き、次の事項につき政府の認識を質問する。

一 地域ごとに設立する子会社(アウトソーシング会社)がNTT−ME、ファシリティーズ等と違い何故「会社分割法」「労働契約承継法」の適用にならないのか。

二 設立される子会社に移行する際、五十一歳以上は、何故、NTT退職、子会社再雇用となるのか。現行子会社(NTT−ME等)同様、在籍出向出来ない理由は何か。

三 設立される子会社の賃金水準が、十五%〜三十%削減される理由は何か。

四 設立される子会社が、NTT退職者を再雇用する保証と根拠は何なのか。

五 NTT退職に同意しない労働者が、何故、勤務地の定めのない条件になるのか、退職は本人選択が当然であり、このままでは退職の強要、不利益変更の強制にあたると思われるがどうか。

六 重大な問題を含む今回の合理化計画が、既定のものとして個々の労働者に意思選択を強要しようとしているが、多数組合との形式的合意だけを根拠に強行しようとするこうした対応は、NTT内他組合との十分な労使協議の労使対等の原則を否定するものと思うがどうか。

七 今回の「業務運営体制の見直し」に伴い電話サービス等、利用者にも影響を与えるものと予測されるが、その対策は検討しているのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

商法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十号)により導入された会社分割に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定(以下「会社分割法制」という。)は、会社がその営業の全部又は一部を、新設する又は既存の会社に包括的に承継させる場合に適用されるものである。

東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT東西」という。)からは、日本電信電話株式会社及びNTT東西が平成十三年十月二十五日に公表した「当面の経営課題に対するNTTの取り組み」で示した構造改革推進の施策(以下「構造改革施策」という。)の実施は、NTT東西から地域単位の子会社(以下「地域子会社」という。)に営業の全部又は一部を包括的に承継させるものではないと聴いており、この場合にあっては、会社分割法制は適用されないものと考える。

また、会社分割法制の適用がないことから、労働契約の承継等に関し商法等の特例を定めた会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成十二年法律第百三号)は適用されないものと考える。

二について

NTT東西からは、次のように聴いている。

NTT東西は、五十一歳以上の社員を対象に本人の選択によってNTT東西を退職し、NTT東西の賃金水準の七十パーセントから八十五パーセントまでの範囲内で賃金水準が設定される地域子会社に再雇用される仕組みを導入することとしている。これは、地域子会社においてNTT東西と異なる賃金水準、定年後の再雇用制度等を設けることによって、これらの社員の雇用形態の多様化を図るとともに、地域子会社における人的費用の低減化により、NTT東西が地域子会社に委託する業務の費用を削減することでNTT東西の経営基盤の安定化を図るほか、地域子会社においても人的費用の低減化により受託業務の経費削減を図り、NTT東西以外の企業等からの受注拡大に積極的に取り組むことができるようにするためである。NTT東西から地域子会社に社員を在籍出向させた場合には、NTT東西が当該社員の賃金について地域子会社とNTT東西との間の給与差額を補てんすることになり、NTT東西に費用削減の効果をもたらさないものと考える。

なお、五十一歳以上を対象としたのは、NTT東西においては、企業年金受給資格が勤続二十年以上かつ五十歳以上で退職した場合に発生すること等を考慮したものである。

三について

NTT東西からは、次のように聴いている。

地域子会社の賃金水準がNTT東西の賃金水準の七十パーセントから八十五パーセントまでの範囲内で設定されることを予定しているのは、地域子会社が人的費用の低減化により受託業務の経費削減を図り、NTT東西以外の企業等からの受注拡大にも積極的に取り組むことができるようにするため、地域子会社が置かれる各地域における類似の職種の賃金を参考とした賃金水準を設定することが適当であると考えられるからである。

このことにより、NTT東西が地域子会社に委託する業務の費用が削減され、NTT東西の経営効率化が図られることになると考えている。

四について

NTT東西からは、地域子会社においてNTT東西から受託する業務の円滑な遂行のためには現在NTT東西において当該業務に従事している社員を雇用する必要があると考えていること、また、NTT東西と地域子会社は出資及び業務の受委託を通じて極めて緊密な関係にあり、NTT東西の要請に対して地域子会社の協力が得られると考えていることから、構造改革施策に伴いNTT東西を退職する社員の地域子会社による再雇用は図られるものと考えていると聴いている。

五について

NTT東西からは、次のように聴いている。

NTT東西の就業規則は、従来から「社員は、業務上必要があるときは、勤務事業所又は担当する職務を変更されることがある。」と定めており、社員の勤務地を限定する条件を定めておらず、構造改革施策によってこの点が変更されるものではない。したがって、NTT東西のすべての社員について勤務地が変更される可能性があり、構造改革施策に伴いNTT東西を退職することを選択しない社員についてのみ、勤務地が変更される可能性が生じるものではない。

六について

NTT東西からは、構造改革施策については、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)等にのっとり、各労働組合に対して団体交渉等の場を通じて必要な説明及び協議を行ってきたところであり、現時点で合意が得られていない労働組合との間においても理解を得られるよう、引き続き必要な話し合いを行っていく考えであると聴いている。

七について

総務省は、平成十三年十月二十六日に、日本電信電話株式会社に対して、「経営効率化の推進に当たっては、それによりユニバーサルサービスの安定的な確保に支障が生じる等、利用者利益を損なうことのないよう十分配意されたい」との要請を行ったところであり、今後とも利用者利益が損なわれないよう見守ってまいりたい。

なお、NTT東西からは、構造改革施策後においても、NTT東西が引き続き利用者に対する契約上の責任を負うとともに、地域子会社との間の委託契約に基づき、これまでと同様、良質かつ安定的な役務の提供の確保に努めることとしていることから、構造改革施策が利用者に影響を与えることはないものと考えていると聴いている。

衆議院の原文

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