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高速横浜環状道路南線に関する質問主意書
衆議院 第154回 第108号お答えすることは困難 ×1
質問本文
本事業は一九九五年四月に都市計画決定がなされているものの、住民の合意が得られず、工事は進んでいない。
特に、公田インターチェンジが建設される谷間には自動車排気ガスが滞留しやすい逆転層が発生するため大気汚染公害の危険性があるとの懸念から、住民は事業者(国土交通省、日本道路公団、横浜市)に対して、この危険性を回避する方策について説明を求めているが、事業者は住民が納得する説明責任を果たさず事業を強行しようとしている。
すなわち、この大規模な事業に関して、住民との間の合意形成が出来ていない状況にある。この状況に鑑み、この道路計画について住民が疑問に思っている事項について政府の見解が明示され、事業者が持っているのと同じ情報及びデータを住民が入手して合意形成の為のP�T(市民参画)プロセスを適用し、両者が懸案事項について衆知を集めて議論を進めれば、両者の間で同一の結論が得られるものと期待するものである。
従って、次の事項について質問する。
一 本事業による大気汚染が周辺住民に健康被害を与える危険性について
1 旧建設省土木研究所の交通環境研究室の平成十一年度研究成果概要によれば「谷や盆地のような局地的に閉じた地形においては、逆転層発生時には大気汚染物質が滞留し、大気汚染の影響が顕著になると考えられるが、現在のところこのような地形による逆転層の影響を予測できないため、その予測手法の確立が必要である」として研究(期間平成十年〜十三年)が進められている。
現在のところこの予測手法は確立されていないと考えるが、いかがか。
この予測手法が未だ確立されていない事を知っていながら、事業者はパフ式やプルーム式などこの予測手法として適格性を欠く手法を使って公田、神戸橋、田谷などの大気汚染予測評価を行ったことになる。すなわち、上記三ヶ所におけるNO2、CO、SO2の大気汚染予測値は全て環境保全目標を達成しているとする環境アセスメントは偽りであり、無効であると考えられるが相違ないか。
予測手法が確立されていないにもかかわらず環境保全目標を達成できると断言するのであれば、その根拠を明示してほしい。
上記の研究の成果は国民の財産である。現時点での研究の成果について公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。公開できないのであれば、その理由を明示されたい。
なお、環境省国立環境研究所で同様の研究が行われているのであれば、その研究の成果についても前述と同様の質問に回答されたい。
2 公田インターチェンジは盆地や山岳地帯に設置されるものではなく、
�@周辺に住宅街があり�A幅約三〇〇m、深さ約六〇m、長さ約一.五kmほどの狭い谷間に設置され�Bこの谷間では最高で約八℃/一〇〇mという強い逆転層が出現することが確認されている。
このような条件を備えたインターチェンジの類似事例の有無について明らかにされたい。類似事例がある場合、逆転層の影響による大気汚染の事後調査(モニタリング)データの有無について、及びある場合には、データを公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。
3 換気所から排出される自動車排出ガスの土壌脱硝装置に関して、既に供用している実施例についての詳細データ(設置場所、供用開始時期、脱硝技術の種類、容量、性能、建設費等)及び夫々の実証試験結果を公開出来るのかどうか、政府の見解をうかがいたい。なお、土壌脱硝技術は既に実用されているのであるから,本事業に脱硝装置を設置すべきと考えるが、いかがか。設置しないというのであれば,その理由を説明されたい。
4 事業者は「SPM及びDEPについては環境アセスの段階では予測が困難であるということから実施していないが、事後調査の調査項目として予定している」としている。一九九七年にSPMの予測評価方式が確立されているにもかかわらず、予測評価を行って大気汚染公害の危険性を回避しようともせず道路を造り供用し、危険性を回避する保証のない事後調査で対応しようとしているが、最近の道路公害裁判の判決事例をみても許される事ではない。早急に予測評価を実施の上、環境保全目標を達成しているか確認すべきと考えるが、いかがか。もし実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
5 環境影響審査書についての環境庁長官意見(一九九五年四月)を受けて建設省が公田、神戸橋、田谷の三ヶ所で実施した気象調査(一九九五年十二月五日〜一九九六年十二月四日)の分析結果は逆転層発生時における大気汚染公害を回避する為に活用されるべき重要資料であるにもかかわらず、今迄公開されていない。この調査・分析結果の詳細な報告書を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
この気象調査は、環境影響評価審査書に対する報告書(一九九五年四月)の提出以降に行われたもので、報告書には当然反映されていない。
従って、大気汚染公害を回避するためには、この気象調査の分析結果に基づき、予測評価のやり直しを実施すべきと考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。もし実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
6 公田、神戸橋、田谷の三ヶ所における大気汚染による周辺住民への健康被害の危険性を回避するためには、NO2の環境予測の長期評価(日平均値の年間九十八%値)に加えて、大気汚染が高濃度になる冬季の最も強い逆転層が継続する期間、例えば二日間、四日間、七日間を選んで、夫々の期間における環境予測の短期評価を実施する事が不可欠と考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
もし、実施する必要がないとするならば、その理由を明らかにされたい。
7 事業者は公田インターチェンジ周辺の大気汚染公害の危険性を予測しながらこれを回避せず、事後調査(モニタリング)で対応しようとしている。
これ迄、事後調査で環境保全目標値を上回る調査結果が出ても、事後では適切な対策を採り得ないことは、東京港臨港道路などで実証済みと考えられる。にもかかわらず事後調査の実施でなぜ危険性の回避を保証出来るのか、その根拠を示して欲しい。
8 最近の道路公害裁判(国道四十三号線と西淀川大気汚染公害)の判決は「公害の危険性が予測される場合、危険性を回避する可能性があるにもかかわらず、回避策を十分検討する事なく、危険性を有したまま道路を造り供用し、事後調査で対応するやり方は許されない」と当該事業者を厳しく断罪している。事業者はこの同じ過ちをこの事業において犯そうとしているのではないか、政府の見解をうかがいたい。
公害が発生した場合、国は当然その責任(不作為責任・未必の故意)を負わなければならないと考えるがどうか。
二 本事業の総建設費増大の理由について
本事業の総建設費は一九八八年当時の発表では二〇〇〇億円であったものが一九九九年の発表では三五六五億円に増大した。一九八八年から一九九九年に亘るバブル崩壊による地価の大幅な下落を併せ考えると、この建設費の増大は到底納得出来ない、と住民は指摘している。この建設費の増大の理由とその内訳について情報を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
三 本道路計画の抜本的見直しの必要性について
1 事業者は「昭和六〇年度及び平成二年度全国道路交通情勢調査」を計画交通量の算出根拠としているが、この十二年の間に社会・経済情勢は激変しており、これらの古いセンサスに基づく交通量予測は今や当てにならないのではないか。最新のセンサスに基づいた予測をやり直すべきと考えるが、いかがか。なお、南線及び上郷公田線に関連する新設道路、アクセス道路、従来の道路などを含めた道路網全体の交通量、交通流などを明らかにした上で、どのように計画交通量を決めたのかを明示した算出結果の報告書を公開出来るのかどうか、出来ないのであればその理由について政府の見解をうかがいたい。
2 本事業は七年前に都市計画決定されているものの、住民の合意が得られず工事は進んでいない。この間に、経済・環境状況は激変し、現状の道路計画とその環境アセスメントはすでに陳腐化していると考えられる。
従って、この大規模な事業についてはPI(市民参画)を適用して衆知を集めて道路計画の諸要素(道路の必要性、ルート、計画交通量、事業実施時期、事業予算、事業の採算性など)の抜本的見直しをする事が不可欠と考えるが、政府の考えはいかがか。見直しの必要はないと考えるのであれば、その理由を明らかにしていただきたい。
四 環境影響評価法に基づく本事業の環境アセスメントの再実施の必要性について
上記三の2項で述べた見直し後の道路計画による環境への影響を回避、低減する為に、環境影響評価法三十二条を適用して環境影響評価法に基づく環境アセスメントの再実施(再アセス)とそれに基づく環境保全対策を、逆転層が発生する谷部での大気汚染及びSPM,DEPによる大気汚染を重点アセス対象項目として、更にオオタカの営巣地の発見や阪神大震災から学んだ項目も加えて、PIを適用して実施する事が不可欠と考えるが、政府の考えはいかがか。再アセスの実施の必要がないと考えるのであれば、その理由を明示していただきたい。
五 本事業にPI(市民参画)による合意形成プロセスを適用する必要性について
この道路計画が住民の知るところとなって以来現在に至るまで、事業者から住民への情報伝達が一方的、形式・手続的で、事業者は住民の問いに真摯に答えず、話し合いの拒否、不公正かつ不透明な対応に終始し、説明責任を果たさず、住民との合意形成を図ろうとしていない、と住民は指摘している。
「公共事業の説明責任向上行動指針」や「道路計画合意形成研究会提言」などの国の通達が本事業では全く実効を上げていない状況にあると考えられる。
この状況を改善して住民の合意を得るために、「都市計画決定がなされているものの、市民等の反対等により事業化に至っていない大規模な事業について、合意形成が必要なものについてはPIプロセスを適用すべきである」とする国土交通省の方針に基づき、本事業にPIを適用すべきと考えるが、政府の見解をうかがいたい。もし、その必要はないというのであれば、その理由を明示していただきたい。
右質問する。
政府答弁書
一の1について
現在のところ、お尋ねのような盆地等の局地的に閉じた地形における逆転層の大気汚染への影響を予測する手法はいまだ確立されていないが、環境影響評価における大気汚染の予測手法として用いられているプルーム式及びパフ式は、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる一般的な手法である。
高速横浜環状南線の環境影響評価については、神奈川県において、「環境影響評価の実施について」(昭和五十九年八月二十八日閣議決定)、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達)、「神奈川県環境影響評価条例」(昭和五十五年条例第三十六号)、「神奈川県環境影響評価技術指針」(昭和五十六年告示第三百十二号)及び「横浜市環境影響評価指導指針」(昭和五十五年一月十四日横浜市公害対策局作成)に基づき行われており、大気汚染の予測については、プルーム式及びパフ式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施され、大気への影響については、二酸化窒素、一酸化炭素及び二酸化硫黄の濃度のいずれもが環境保全目標を達成できると評価されていると承知しており、この環境影響評価は適切なものであると考えている。
また、国土交通省国土技術政策総合研究所(旧建設省土木研究所)においては、お尋ねの研究成果を報告書として取りまとめ、閲覧の要望があればこれに応じているところである。
さらに、独立行政法人国立環境研究所においては、盆地等の局地的に閉じた地形における逆転層の大気汚染への影響を予測する手法の研究は実施していない。
一の2について
御指摘の条件を満たすインターチェンジと類似するかどうかの判断基準が必ずしも明確ではないが、日本道路公団が管理するインターチェンジについて、御指摘の�Aの条件のうち幅約三百メートル及び深さ約六十メートルの条件を「日本道路公団が定めるインターチェンジの代表位置における道路中心線から横断両方向へ百五十メートル離れた二地点において、いずれの地点も当該代表位置の路面高から六十メートルを超える地形にあるインターチェンジ」として調査した限りでは、このような条件を満たすインターチェンジは存在しない。
一の3について
トンネルの換気所から排出される自動車排出ガスの土壌脱硝装置については、現在、大阪府において、第二阪奈有料道路(大阪府東大阪市)で実証試験を行い、当該試験の概要やその結果を公表していると承知しているが、これまでのところ実用化された事例はなく、現時点で高速横浜環状南線への設置は考えていない。
一の4について
一の1についてで述べた環境影響評価においては、大気中に浮遊する粒子状物質(以下「SPM」という。)は環境影響評価の項目ではなかったが、その後、国土交通省関東地方整備局(旧建設省関東地方建設局。以下「関東地方整備局」という。)においては、「横浜市環境影響評価条例」(平成十年条例第四十一号)及び「横浜市環境影響評価技術指針」(平成十一年七月二十三日横浜市作成)に基づき、平成十二年三月に「高速横浜環状南線〔金沢区釜利谷町〜戸塚区汲沢町(横浜市域)〕事後調査計画書」を策定し、SPMについても事後調査を実施することとしている。また、環境影響の照査については、関東地方整備局において、今後、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の規定に基づき定められた「国土交通省政策評価基本計画」(平成十四年三月二十二日国土交通省省議決定)の�Yの3で定める個別公共事業の再評価(以下「個別公共事業の再評価」という。)を実施するに当たり、SPMについても、最新のデータ及び予測手法を用いて行う予定である。
一の5について
公田、神戸橋及び田谷の三地区において関東地方整備局が実施した気象調査の分析結果については、平成九年六月五日に公表されている。
また、当該分析結果においては、谷部に位置する公田及び神戸橋の二地区と比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで風向・風速、逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田及び神戸橋の二地区に特有の気象状況が存在するとは考えられず、環境影響評価を再度行う必要はないと考えている。
一の6について
現在のところ、大気における二酸化窒素濃度について短期間の予測を行う手法がいまだ確立されていないことから、お尋ねのような短期評価を実施することは考えていない。
一の7及び8について
一の1について、一の4について及び一の5についてで述べたとおり、高速横浜環状南線については、環境影響評価を適切に実施するとともに、その後も補足的な調査を実施するなど周辺の環境保全に配慮して事業を進めているところであり、また、個別公共事業の再評価も実施することとしており、これらの実施により周辺の環境保全が図られるものと考えている。
なお、公害の発生に係る国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第二条第一項の規定に基づく国の賠償責任については、判例上、「侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為のもつ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察してこれを決すべきものである」(昭和五十六年十二月十六日最高裁判所大法廷判決)とされていると承知している。
二について
総事業費三千五百六十五億円については、関東地方整備局において平成九年一月に算出したものであり、関係文書については、地方整備局文書管理規則(平成十三年国土交通省訓令第七十八号)に基づき保存されていることから、その公開は可能である。なお、御指摘の総事業費二千億円については、調査した限りでは、昭和六十三年当時に公表された概算的な総事業費を指すと考えられるところ、その内訳について確認することができなかったことから、総事業費の増加理由についての詳細な説明は困難であるが、総事業費が増加したのは、その後、環境に配慮した道路構造に変更したこと等によるものと考えられる。
三の1について
高速横浜環状南線の計画交通量については、神奈川県において、昭和六十年度全国道路交通情勢調査結果に基づき、平成二十二年の交通量として一日当たり四万七千三百台から五万四千九百台と推計しており、また、平成二年度全国道路交通情勢調査結果に基づく計画交通量の照査においても、昭和六十年度全国道路交通情勢調査に基づく計画交通量より一日当たり千台から二千台多く推計していると承知しているが、その後の周辺における主要道路の交通量については著しい変化が見られないことから、現在においても高速横浜環状南線の計画交通量が大きく変化することはないと考えている。なお、計画交通量の照査については、関東地方整備局において、今後、個別公共事業の再評価を実施するに当たり、最新のデータを用いて行う予定である。
また、お尋ねの計画交通量の算出結果については、神奈川県が平成六年十二月に作成した高速横浜環状南線に係る環境影響評価書において公表されている。
三の2及び五について
高速横浜環状南線については、平成二年八月以降、可能な限り、関係住民等の意向の把握が図られるとともにこれらの者の理解が得られるよう、事前説明会、都市計画の案に関する説明会及び公聴会、環境影響評価に関する説明会等が開催された上で都市計画決定されたものである。また、都市計画決定後も、関東地方整備局及び日本道路公団においては各種説明会の開催等を行ってきたところであり、今後とも、このような説明会の開催等を行いつつ、都市計画に基づき適切に事業を実施していくこととしている。
なお、御指摘の国土交通省の方針は、「構想段階における新たな計画決定プロセスのあり方について」(平成十三年十月道路計画合意形成研究会提言)に記述されているが、この提言は高速横浜環状南線のような事業化に至ったものまでを対象とはしていない。
四について
高速横浜環状南線については、前述のとおり、事業内容の見直しは考えておらず、また、環境影響評価の再実施や御指摘のPI(市民参画)の適用も考えていない。
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