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RI・研究所等廃棄物処理処分に関する質問主意書
衆議院 第154回 第4号趣旨が明らかではない ×1
質問本文
平成十三年四月十七日付内閣衆質一五一第四一号「RI・研究所等廃棄物処理処分に関する質問に対する答弁書」に係わり国民全体に被ばくの危険性があるにもかかわらず、国民の意見が反映されることがなく、国民の放射線被ばくの安全上多くの疑問点があるので改めて質問する。
一 質問一の回答で「一方、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の一部については、既に放射能濃度に応じた処分が実施されていることから、・・・」とあるが、具体的にはどこでどのように行われているのか。その根拠法令を示して答えてほしい。またそこではどこの機関でどのように公衆安全のための監視が行われているのか。また原子炉規制法の基準を放射線障害防止法施設にあてはめる根拠について明確に答えていないがこの点について再度質問する。
二 質問二に関して、IAEAが開催した国際放射性廃棄物管理諮問委員会(INWAC)に日本代表として出席した委員名と出身母体名を明らかにされたい。質問二の回答で「・・・人体に対する影響を無視し得る程度の年間被ばく線量である十マイクロシーベルトを基準として、それに相当する放射能濃度を算出したものと承知している。」とあるが、この十マイクロシーベルトという値はどこの機関でいつどのようにして認められたものか、また国際的にはどのように評価されているのか。またこの値は人体全体への被ばく量か、人体の単位質量あたりのものか、各臓器ごとの被ばく量から計算して決めるものなのか。加えてアルファ核種やベータ核種など多種多様な放射性核種が存在する場合簡単に調べられるものなのか。具体的かつ明確に説明されよ。
また「・・・『再利用』とは、例えば、放射性同位元素の使用施設を解体した際に発生する金属、コンクリート等を資源として再利用することを想定しており、・・・」とあるが研究用原子炉などの付帯設備など周辺部は放射化されていると思われるがこのような金属、コンクリートも再利用されるのか。
三 質問三の回答で「・・・クリアランスレベルについて、各国からのコメントは出されていない。」とのことだが、そのことは国際的に認知されていないことになるのではないか。これに関する日本のコメントはどうなのか、それはいつどの機関で決められたのか。またその委員名、その判断した根拠は何か明らかにされよ。
四 質問四、五の回答にある「極低レベル放射性廃棄物」の定義は何か、「低レベル廃棄物」「高レベル廃棄物」などの区分の定義はどうなっているのか明らかにされよ。クリアランスレベル以下のものはどのような処分がなされようとしているのか。どのような方向で話し合いがなされているのか。現在検討している委員会名、構成する委員名とその出身母体を明らかにされよ。
五 質問六の回答で、平成十一年度は三五四の事業所を立入検査している。そのうち違反事実があった事業所は二八〇であり七九%の違反率になる。内容は帳簿の不備、測定の不備である。これに対して「・・・速やかに改善のための措置が施されていると承知している。」とはその違反率の多さから納得できない見解であるが、この判断の根拠を示されよ。このように違反が多い現場にクリアランスレベル等による廃棄物を分類したり厳密な取り扱いが期待できるのか。できるのであれば、その根拠も示されよ。また回答における「・・・帳簿記載の不備、放射線量測定の不備・・・」の具体的内容を述べられよ。また、平成十年以前の立入検査の記録簿が残っていないというが記録簿は何年間の保管になっているのか。また、統計にも残っていないのかを明らかにされよ。回答で「原子炉等規制法に基づき試験研究炉を設置した事業所等から発生する放射性廃棄物を発生させ得る事業所を対象とする原子炉等規制法に基づく立入検査は、平成九年度において一事業所、平成十一年度において二十一事業所に対して実施されている。」とのことだが、平成九年度に検査官が三名いるにもかかわらず、原子炉規制法対象事業所のうちわずか一事業所のみの立入検査であったのはなぜか。また平成十一年度に検査官が二一名に増員され、立ち入りが二十一事業所に増えた理由はなにか明らかにされよ。
六 質問七について、放射性廃棄物を焼却処理している処理工場について「・・・法令に基づき放射性物質の濃度等を記録していると聞いている。」また「・・・焼却後の固体廃棄物については、廃棄施設内で保管廃棄されていると聞いている。」との回答だが、放射性廃棄物の処理工場の立入検査は行われていないのか、その理由は何か。またもし行われているのならば、その検査内容において周辺住民の安全のために放射能の環境測定などは実施されているのか。加えて年度毎の立入検査回数を明らかにされよ。
七 質問八の回答で、「原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会及び同部会のRI・研究所等廃棄物分科会の審議においては、高度の専門性を必要とするため、それらの構成員を公募することは考えなかった。」とあるが公衆の安全の観点に立つ委員がかなりの割合で任命されるべきと思われるがそのような委員はいたのか。また、原子力の推進機関や関連業界の代表者が半数を占めるような片寄がある委員の構成では公衆の安全の観点がおざなりになってしまうのではないか。クリアランスレベルに関する問題は国民全体の安全に関わる問題であり、再度委員を選び直して(業界代表者を入れない形で)時間をかけて検討しなおすことはできないか答えられよ。
八 質問九の回答に関して、原子力安全委員会のクリアランスの在り方について現在までの検討状況議事録の内容を明らかにされよ。
九 質問一〇の回答で、「国際放射線防護委員会(ICRP)の昭和五十二年勧告においては、放射線防護の基本的な考え方として『全ての被ばくは社会的、経済的要因を考慮に入れながら合理的に達成可能な限り低く押さえるべきである』ことが示されており・・・」とあるが数百種もある性質の異なる放射性物質(核種)を分別せず放射能と見做さずリサイクルしたり、産廃などのゴミ扱いにすることが「合理的に達成可能な限り低く押さえるべき」やりかたなのか答えられよ。また回答には質問した「ICRPの放射線防護の基本的考えとして『放射線防護上は、どんな微量の放射線でも人体にとって有害なものであるとの考え方をとることにしている。すなわち、放射線による確率的影響(がんおよび遺伝的影響)は、影響発生のしきい線量がなく、発生線量は受けた線量に比例して増加するという仮定にたって考えることにしており、放射線利用に伴う影響の発生を厳密にゼロにすることは不可能である。』という立場をとっている。・・・」に答えていない。国民の健康を損なうことがないとはこの基本的考えを尊重することに尽きると思われるが、「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」報告書のどこで「・・・国民の健康を損なう事がないよう配慮して報告書をまとめている。」のか、文面上で指摘してほしい。
十 質問一一の回答に関して、RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理又は処分については、現在、原子力安全委員会において行われているクリアランスレベルの在り方についての検討結果を踏まえ、新法を起こすのか、現在ある法令もしくは政令、省令の改正を行うのか、関連法の改正などを行うのか、現時点における方向を明らかにするとともに、その場合の手続、日程等についても、明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「放射能濃度に応じた処分」については、日本原燃株式会社及び日本原子力研究所が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第五十一条の二第一項の廃棄物埋設の事業の許可を受けて、これを行っている。すなわち、日本原燃株式会社は、実用発電用原子炉施設から発生する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物及び同社の廃棄物埋設施設の操業に伴って付随的に発生する核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物のうち、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和三十二年政令第三百二十四号。以下「原子炉等規制法施行令」という。)第十三条の九第一項の表第一号イに該当するものを、青森県上北郡六ヶ所村所在の濃縮・埋設事業所において埋設処分しており、日本原子力研究所は、その東海研究所JPDR(動力試験炉)の解体に伴って発生した核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物のうち、同表第三号及び第四号に該当するものを、茨城県那珂郡東海村所在の東海研究所において埋設処分している。
日本原燃株式会社及び日本原子力研究所は、原子炉等規制法第五十一条の十八第一項の規定に基づき、保安規定を定めて経済産業大臣の認可を受けた上で、当該保安規定に従い右に述べた廃棄物埋設施設の巡視・点検等の措置をそれぞれ講じている。また、経済産業大臣は、同条第六項の規定に基づき、これらの措置を含む保安規定の遵守の状況について毎年四回検査を行っている。
原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会が平成十年五月に公表した「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」と題する報告書(以下「報告書」という。)においては、放射性同位元素及び放射性同位元素によって汚染された物であって廃棄しようとするもの(以下「RI廃棄物」という。)の廃棄体数量を推定するに当たり、原子炉等規制法施行令の放射能濃度上限値を飽くまで参考にしただけのことであり、お尋ねのように「原子炉規制法の基準を放射線障害防止法施設にあてはめる」ことをしたものではない。
二について
科学技術庁(当時)原子力安全局原子力安全課放射性廃棄物規制室長が、国際放射性廃棄物管理諮問委員会(以下「INWAC」という。)の委員となっているが、INWACには、通常、科学技術庁及び日本原子力研究所の専門家が出席していた。
昭和六十年の国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)勧告においては、放射線防護を考慮しないで処分できる線量として年当たり十マイクロシーベルトという値が示されており、平成八年に国際原子力機関(以下「IAEA」という。)により出版された「IAEA TECDOC―八五五」におい
ては、御指摘の答弁書で述べたクリアランスレベルを評価するための根拠として年当たり十マイクロシーベルトが示されている。
このクリアランスレベルの値は、クリアランスされた物質に起因する一年間の外部被ばくによる実効線量と当該物質の吸入摂取及び経口摂取による預託実効線量の合計(自然界から受ける線量を除く。)を示している。
放射性物質として扱う必要がない物を区別する際の判断方法については、平成十三年に原子力安全委員会が取りまとめた「原子炉施設におけるクリアランスレベル検認のあり方について」において、放射性核種濃度を求めて判断するための代表的な方法が示されている。
原子炉等規制法に基づく試験研究の用に供する原子炉(以下「試験研究炉」という。)の附帯施設の解体により発生する金属、コンクリート等のうち、クリアランスレベル以下のものについては、再利用又は産業廃棄物と同様の処分を行うことを想定している。
三について
お尋ねの「国際的に認知されていない」ということの意味が必ずしも明らかではないが、「IAEA TECDOC―八五五」は国際的な安全基準として策定されたものではなく、情報交換等を目的として、クリアランスレベルの考え方、導出方法等について各国の専門家による検討結果を取りまとめた技術文書であることなどから、政府としてはコメントを提出しなかった。
四について
我が国においては、一般に、「高レベル放射性廃棄物」とは、原子炉に燃料として使用した核燃料物質から核燃料物質その他の有用物質を分離した後に残存するものを指す用語として用いられ、「低レベル放射性廃棄物」とは、高レベル放射性廃棄物以外の放射性廃棄物を指す用語として用いられており、報告書において、「極低レベル放射性廃棄物」とは、原子炉等規制法施行令第十三条の九第一項の表第三号及び第四号に掲げる放射能濃度以下の放射性廃棄物を指し、低レベル放射性廃棄物のうち極めて放射能レベルの低いものをいう。
御指摘の「クリアランスレベル以下のもの」の処分をどのような処分場で行うか等については、御指摘の答弁書で述べたとおりであり、これらの再利用又は処分の具体的な内容については、原子力安全委員会において現在も行われているクリアランスレベルの在り方についての検討を踏まえて、今後関係府省において検討していくこととしている。
五について
お尋ねの放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年法律第百六十七号。以下「放射線障害防止法」という。)第四十三条の二に基づく立入検査において指摘した「帳簿記載の不備」、「放射線量測定の不備」の具体的内容は、放射性同位元素の使用、保管等に係る帳簿の必要的記載事項(目的、方法、場所、従事者名等)の記載漏れ、放射線の量の測定に必要な測定箇所の不足等、その多くは立入検査の際の指導によって速やかに改善され得る軽微な違反である。これらも含め、違反事実の認められた事業所において改善措置が実施されたことを立入検査の後に確認しており、各事業者においては法令に基づいた放射性同位元素等の適切な取扱いが期待できるものと考えている。
立入検査における指摘事項の多くは、右に述べたとおり、速やかに改善措置が講じられ得る軽微な違反であることから、立入検査における指摘事項をすべて記録に記載した上で記録簿等として保存しているわけではなく、また、違反件数についての統計も作成していない。
原子炉等規制法第六十八条に基づく立入検査を行う職員は、その都度、事業者の区分に応じて主務大臣によって選任されるところ、平成九年度においては、試験研究炉を設置した事業所等のうち、一事業所において核燃料物質の使用に係る施設の保安管理状況が適切でない事実が明らかとなったため、三人の職員が当該事業所に対し立入検査を実施したものであり、平成十一年度においては、平成十一年九月に発生した株式会社ジェー・シー・オー東海事業所における臨界事故を受け、同年十月四日付け東海村ウラン加工施設事故政府対策本部の決定に基づき、核燃料物質の使用に係る施設に対し緊急総点検を行うため二十一人の職員が立入検査を実施したものである。
六について
放射線障害防止法に基づき廃棄の業の許可を受けた者(平成十四年二月現在で十二事業所)は、放射線障害防止法第二十条に基づき排気設備の排気口及び排水設備の排水口における放射性同位元素の濃度の測定、事業所境界における放射線の量の測定等を実施しなければならない。これらの事業所に対する立入検査の回数は、平成八年度に一回、平成九年度に八回、平成十年度に一回、平成十一年度に一回であり、立入検査の際に前記の測定の記録、測定方法等について検査を行っている。
試験研究炉を設置した事業所等においては、事業所の一部の施設で放射性廃棄物を焼却処理している場合がある。これらの事業所に対する立入検査の回数は、平成九年に一回、平成十一年に九回であり、立入検査の際に必要な場合には当該施設周辺の河川水、土壌等の環境放射能分析を行っている。
七について
原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会及び同部会RI・研究所等廃棄物分科会(以下「部会等」という。)では、RI廃棄物及び試験研究炉を設置した事業所等から発生する放射性廃棄物(以下「研究所等廃棄物」という。)の処理処分に関して、安全確保のための諸制度の整備等について検討して報告書を取りまとめたものであり、部会等の委員の選定については、御指摘の答弁書で述べたとおりであり、安全確保を考慮しない委員はいないものと考えていることから、再度委員を選び直して検討を行うことは考えていない。
八について
クリアランスレベルの在り方に関する原子力安全委員会の検討状況については、平成十二年三月から同年九月までは放射性廃棄物安全基準専門部会において、同年十二月からは原子力安全基準専門部会に設置されたクリアランス分科会において、それぞれ審議を行ってきているところである。これらの審議は公開で行われ、その速記録及び資料は財団法人原子力安全技術センターの原子力公開資料センターにおいて公開されており、詳細はこれら速記録等により承知されたいが、審議の概要は、原子炉施設におけるクリアランスレベル及びその検認の在り方等についてである。
九について
ICRPの放射線防護の考え方においては、少ない放射線量でも何らかの健康に対する悪影響を起こすことがあると仮定し、また、すべての被ばくは経済的及び社会的要因を考慮に加えた上、合理的に達成できる限り低く抑えるべきであるとされているものと承知している。
原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会においても、報告書の「さいごに ―国民の理解を得つつ処分事業の着実な実施を図るために―」の中で、「処分事業の実施が地域住民の健康や周辺の自然環境に対する影響を与えないよう必要な安全対策を講ずることはもちろん」とあるように、右に述べたICRPの考えを踏まえ、安全確保を考慮しつつ、報告書をまとめたところである。
十について
RI廃棄物及び研究所等廃棄物の処理又は処分については、現時点においても、関連法令の整備についての考え方、手続、日程等も含めて決定する段階には至っていない。
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