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有事立法における日本赤十字社の役割に関する質問主意書

衆議院 第154回 第73号

提出者
無所属
提出日
2002年5月21日
内閣転送 2002年5月22日
答弁書受領日
2002年6月4日
提出から14日
答弁の項目数
1
質問 1,268字/答弁 633字

質問本文

「武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案」(以下、法案)は、第二条第五号に日本赤十字社(以下、日赤)を指定公共機関に指定している。福田康夫内閣官房長官は去る五月一六日、指定公共機関の対象についての政府見解を示し「指定公共機関について」と題する文書で「自然災害の場合と武力攻撃事態とでは、講ずべき措置の内容は異なるが、災害対策基本法の指定公共機関を参考にしつつ、指定の対象とする公共機関に指定する考えである」としている。

これらの動きに対して日赤現場において、アメリカの起こす戦争に協力して、医療班をだすとしたら、第二次世界大戦での日赤の従軍看護婦たちの悲惨な体験を再び繰り返すことになるのではないか、赤十字の中立は守られるのか、といった懸念する声が出ている。

日赤は、全日本赤十字労働組合連合会の質問に対し、今まで、海外での医療支援の考えを「赤十字の諸条約および赤十字国際会議(一九六五年)で決定された諸原則に則り、日赤として必要な対応をおこなう」と答えている。

しかるに赤十字の基本原則(以下、基本原則)とは、「人道」「公平」「中立」「独立」「奉仕」「単一」「世界性」の七原則であり、その活動は「赤十字の基本原則」に基づき、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟及び各国赤十字・赤新月社(各国赤十字社)の相互の協力体制の下に実施されている。

そこで有事法制における日赤の役割について、以下、質問する。

一 基本原則の「独立」は、「各国の赤十字社、赤新月社は、その国の政府の人道的事業の補助者であり、その国の法律に従うが、常に赤十字・赤新月の諸原則にしたがって行動できるよう、その自主性を保たなければならない」と規定している。そして日本赤十字社法は、第三条(自主性の尊重)に、その「特性にかんがみ、この自主性は、尊重されなければならない」としている。武力攻撃事態法にそって指定公共機関に指定され活動することによって日赤の「自主性」が損なわれる危惧を、禁じえない。「自主性」の「尊重」は、どのように担保されるか。明らかにされたい。

二 基本原則の「中立」は、「すべての人からいつも信頼を受けるために、赤十字・赤新月は、戦闘行為の時いずれの側にも加わることを控え、いかなる場合にも政治的、人種的、宗教的または思想的性格の紛争には参加しない」ことであり、「公平」は「国籍、人種、宗教、社会的地位または政治上の意見によるいかなる差別をもしない。赤十字・赤新月はただ苦痛の度合いにしたがって個人を救うことに努め、その場合もっとも急を要する困苦をまっさきに取り扱う」ことであると、それぞれ規定されている。法案は、第三条第五項で「武力攻撃事態への対処においては、日米安保条約に基づいてアメリカ合衆国と緊密に協力しつつ、国際連合を始めとする国際社会の理解及び協調的行動が得られるようにしなければならない」としている。

これでは日赤の「中立」、「公平」の原則と矛盾するのではないか。見解を問う。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一及び二について

武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(以下「法案」という。)第二条第五号は、公共的機関として日本赤十字社等を例示しているが、同号に定める指定公共機関(以下「指定公共機関」という。)は、今後政令で指定されるものに限られる。また、法案が成立した場合には、指定公共機関に実施を求めることが必要となる対処措置の具体的な内容については、その後に整備される個別の法制において定められることとなる。

日本赤十字社については、日本赤十字社法(昭和二十七年法律第三百五号)第一条において、「赤十字に関する諸条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのっとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする」とされ、また、同法第三条において「その自主性は、尊重されなければならない」とされている。また、赤十字国際会議で決議された国際赤十字・赤新月運動の基本原則においては、赤十字の公平、中立、独立等の原則が定められているところである。

このため、仮に、日本赤十字社が指定公共機関に指定されるとしても、その自主性、公平性及び中立性は尊重されなければならないものであって、今後の個別の法制の整備やその運用に当たって、このことに配慮することは当然であると考えている。

なお、法案第三条第五項は、武力攻撃事態への対処に係る基本理念を定めたものであり、直ちに、個々の指定公共機関に具体的な義務を課するものではない。

衆議院の原文

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