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ハイヤー・タクシー業界の法令違反の是正に関する質問主意書
衆議院 第155回 第50号承知していない ×1
質問本文
本年二月に道路運送事業法の改正が施行され、ハイヤー・タクシーに関する規制緩和が行われた。これ以降全国で大幅な増車が行われ、運賃も多様化し、ハイヤー・タクシー業界は激変の渦中にある。こうした中で危惧されるのは、安全運行の確保とその前提となる乗務員の労働条件の適切な運用である。
そのためには少なくとも乗務員の労働条件が労働基準法を初めとする労働関係法に抵触することなく合法的に確保されている事が必要である。ついては以下の点につき政府の見解を求める。
一 ハイヤー・タクシーを当事者とする交通事故件数と負傷内容について、全国ならびに各都道府県毎の状況を過去三年間分明らかにされたい。
二 ハイヤー・タクシー業の『労働者死傷病報告』について、全国ならびに各都道府県毎の状況を過去三年間分明らかにされたい。
三 一と二で求めたハイヤー・タクシー業の交通事故による負傷状況と『労働者死傷病報告』の数値に違いがあるならば、いかなる事情があるのか述べられたい。
四 ハイヤー・タクシー業で労働者死傷病報告の届け出をしないで行政指導された事業所を全国ならびに各都道府県毎に過去三年間分提示されたい。
五 ハイヤー・タクシー業の労働災害率について全国ならびに各都道府県毎に過去三年間分明らかにされたい。
六 ハイヤー・タクシー業の労働基準法違反・改善基準違反・最低賃金法違反の指導実施についてそれぞれ全国ならびに各都道府県毎の状況を過去三年間分明らかにされたい。
七 ハイヤー・タクシー業の労働者で過労を原因とする脳・心臓疾患として全国で労災申請されている数と認定状況について過去三年間分明らかにされたい。
八 厚生労働省・国土交通省・警察庁との間にある相互通報制度の目的とは何か。またどのように機能しているのか。
九 金港交通株式会社(本社 神奈川県横浜市)の労働者が、今年六月、長時間労働を原因とする過労によって脳梗塞を発症、現処分を覆し労災認定された。しかし、その後、労働者は職場復帰できたのか。状況を確認し、説明されたい。
十 労災を発症させた企業は、労働基準監督署の指導を受けているはずだが、この金港交通では長時間労働をさらに誘発する一人一車制を導入するとともに、極端な累進歩合制賃金制を新たに導入したという。状況を確認するとともに、なぜこのような事態になったのか説明されたい。
十一 労災が発症したことで神奈川県の全タクシー企業に労働基準監督署より行政指導が入った。
一方、横浜新都市交通株式会社(本社 神奈川県横浜市)では平成十四年七月、当社の累進歩合制賃金も違法であるとして労働基準監督署より指導された。会社は指導を守り改善をはかったのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
ハイヤー又はタクシーの運転者(以下「タクシー等運転者」という。)を当事者とする交通事故の発生件数及び当該交通事故によるタクシー等運転者の死傷者数について、平成十一年から平成十三年までの都道府県別の状況は、別表一のとおりである。
二について
ハイヤー・タクシー事業者から提出された休業日数が四日以上の労働災害に関する労働者死傷病報告に基づく死傷者数について、平成十一年から平成十三年までの都道府県別の状況は、別表二のとおりである。
三について
別表一の数値は、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第一号に規定する道路上において、タクシー等運転者が業務中に発生した交通事故で、死亡(交通事故の発生から二十四時間以内に死亡したものをいう。)又は負傷を伴うものの件数及び当該交通事故によるタクシー等運転者の死傷者数を集計したものである。
他方、別表二の数値は、ハイヤー・タクシー事業の労働者が、労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は四日以上休業したときに、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第九十七条第一項の規定に基づき、事業者が労働基準監督署長に提出することとされている労働者死傷病報告を集計したものである。
別表二の数値には、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者に該当しないタクシー等運転者及び休業日数が四日未満であるタクシー等運転者の死傷者数が含まれていないなど、それぞれが対象としている範囲は異なるため、その数値も異なっているものである。
四について
労働基準監督署がハイヤー・タクシー事業者に対して労働者死傷病報告を届け出なかったことについて文書により行政指導を行った件数は、平成十一年においては、埼玉県一件、東京都二件、神奈川県一件、島根県一件及び福岡県一件の合計六件、平成十二年においては、埼玉県一件、千葉県一件、東京都五件、三重県一件及び京都府二件の合計十件、平成十三年においては、東京都二件、大阪府一件及び鳥取県一件の合計四件となっている。
五について
お尋ねのハイヤー・タクシー事業の労働災害率については、ハイヤー・タクシー事業の労働者数についての統計が無いこと等から、答弁することができない。
六について
ハイヤー・タクシー事業者に対して監督指導を行った際に認められた労働基準関係法令(労働基準法及び最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)を含む。)違反及び自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号。以下「改善基準告示」という。)違反について、平成十一年から平成十三年までの都道府県別の状況は、別表三のとおりである。
七について
ハイヤー・タクシー事業の労働者に関して、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付を支給するに当たり、業務を起因とする脳・心臓疾患を認定した事例は、平成十一年度は二件、平成十二年度は三件、平成十三年度は五件である。
なお、請求件数については、把握していない。
八について
「自動車運転者の労働条件改善のための陸運関係機関との相互通報制度について」(平成元年三月二十七日付け基発第百四十五号労働省労働基準局長通知)等に基づく通報制度は、各行政機関が把握した自動車運転者の労働条件に係る関係法令違反等の疑いが認められた事案について、関係行政機関に対して通報を行うことにより、通報を受けた行政機関においてもそれぞれの所掌事務に応じて当該法令違反等の疑いが認められたとされる事業場に対し必要に応じ臨検監督等を行い、もって自動車運転者の労働条件の改善を図ること等を目的とするものである。
例えば、都道府県労働局が運輸関係機関や都道府県警察から労働条件に係る関係法令違反等の疑いがあると認められた事案について通報を受けた場合には、その内容により、所轄の労働基準監督署において、臨検監督を実施し、法令違反等が認められた場合には、事業者に対し、必要な改善のための指導等を行っているところである。
九について
お尋ねの労働者が職場復帰できたか否かについては、個人に関する情報であるため、答弁を差し控えたい。
十及び十一について
お尋ねの内容については、私企業の正当な利益を害するおそれがあるため、答弁を差し控えたい。
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