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諫早湾干拓事業の開門調査検討会議に関する質問主意書
衆議院 第156回 第53号
質問本文
小沢和秋 赤嶺政賢
諫早湾干拓事業の開門調査検討会議に関する質問主意書
有明海の未曽有のノリ不作を契機に設置された、有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(ノリ第三者委員会)は、三月二十七日に最終報告書をまとめた。その直後の二十八日、農水省は諫早湾干拓事業の中・長期開門調査を検討する「中・長期開門調査検討会議」を設置したことを明らかにし、「豊かな行政経験を有する委員が、中・長期開門調査の取り扱いの判断に必要な論点の取りまとめを行う」ために、七名の委員をあわせて公表した。いずれも農水省はじめ中央省庁出身で、現在公益法人の役員に天下っている高級官僚経験者である。
よって、次のとおり質問する。
(一) 海野研一委員は元・農水省構造改善局長、中道宏委員は元・同省構造改善局次長、亀若誠委員は元・同省大臣官房技術総括審議官、川合淳二委員は元・水産庁長官、中村晃次委員は元・同庁次長、松田芳夫委員は元・建設省河川局長、鹿野久男委員は元・環境庁長官官房審議官である。
中・長期開門調査を実施すれば、その間工事は中断し計画が大きく遅れる。調査の結果によっては、事業中断ということもありうる。農水省はそれを防ぐために、干拓事業を直接担当していた構造改善局長経験者や、同局次長経験者をはじめとする人選を行ったのか。
(二) 研究者や漁業者など様々な観点からの意見も聞くというが、そのためならノリ第三者委員会が最適である。論点取りまとめの議論に、ノリ第三者委員会は不適格なのか。また、前述の経歴の委員だけで検討会議を構成し、技術的、専門的な助言を得るため必要な場合だけ専門委員を選考・委嘱する理由は何か。
(三) 意見を聴取する対象に漁業者があげられているが、これは有明海沿岸四県すべての漁民を指すものか。また、論議そのものに対し、意見を述べることができるのか。
(四) 検討会議の論点取りまとめはいつ出され、それを受けての農水省の判断はいつ下されるのか。また、まとめられる論点には、中・長期開門調査の実施が必要か否かも含まれることになるのか。
(五) 報道によれば、昨年の短期の開門調査に伴って養殖アサリが死に、諫早湾内の小長井・瑞穂・土黒・神代各漁協の申し出により、農水省はこれらの漁協と総額数千万円の補償交渉を行っているという。これは事実か。事実とすれば、四漁協が被害の申し出を行い、農水省がそれを現認した日付はそれぞれいつか。四漁協からの申し出は、どのような形で行われたのか。
(六) 潮受堤防の建設工事が始まった直後から、諫早湾内ではタイラギが激減し、タイラギ漁は十年間連続して休漁状態となっている。その原因を究明するため設けられた「諫早湾漁場調査委員会」は十年近くの時間をかけながら、結局「干拓工事との因果関係は不明」という結論で終わった。今回の四漁協との補償交渉は、今年年明けから始まったといわれているが、農水省が短期間のうちに、養殖アサリへの影響が開門調査によるものと認めた根拠とその因果関係とを、調査結果を示し明らかにされたい。
(七) 今年度の干拓工事で、南・北両排水門の外側に海域環境施設、いわゆる導流堤を建設することが計画され、現在公募型指名競争入札の準備が進められている。この導流堤は北部排水門側に長さ四百メートル二基、南部排水門側に長さ四百メートル一基の計画である。これがつくられれば諫早湾内のみならず、有明海の流況に影響を与えると考えられるが、事前に影響調査を行っているか。行っているとすれば、その結果を明らかにされたい。行わなかったとすれば、その理由は何か。
右質問する。
政府答弁書
(一)について
国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)に係る中・長期の開門調査(以下「本調査」という。)の取扱いについては、その実施の可否を含め技術面や環境面等から様々な意見があるため、農林水産省においては、本年三月二十八日に中・長期開門調査検討会議(以下「検討会議」という。)を設置し、そこで取りまとめられる本調査に係る必要な論点を踏まえ、これを判断することとしている。
このため、検討会議では、環境と水産、環境と農業、環境と河川に関する行政等の経験を有し、その視点に立って事項を整理することができる委員を委嘱しているものであり、御指摘のような理由で委員を委嘱しているわけではない。
(二)について
平成十三年二月二十三日に農林水産省に設置された有識者及び漁業者から構成される農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(以下「委員会」という。)は、同年三月から本年三月まで十回にわたり開催され、有明海のノリ不作等について検討がなされた結果、本年三月二十七日、有明海の漁業等の再生をうたった最終報告書を取りまとめて、そのすべての活動が終了したところである。委員会からは、検討の過程で、平成十三年十二月十九日に「諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解」(以下「見解」という。)が発表され、そこでは本事業が有明海の環境に影響を及ぼしていると指摘されている水質浄化機能の喪失等六事項を挙げ、これらが開門調査で検証できるかどうかについてまとめた上で、有明海の環境悪化の原因についての情報を得る手段の一つとしての開門調査の進め方についての考え方が示された。
農林水産省においては、見解を受けて、(一)についてで述べたとおり検討会議を設置したものであり、委員に加えて、適切な論点整理に資する技術的、専門的な助言が得られるよう専門委員を選考し、委嘱することとしている。
(三)及び(四)について
検討会議においては、本調査の取扱いを判断する上での必要な論点の整理に当たっては、様々な立場の方々から広く意見を聴取することとしているが、その具体的な範囲、方法等については、今後、検討会議で判断することとなる。
検討会議における論点の取りまとめ時期及びその内容並びに農林水産省における行政判断については、現段階ではお答えできない。
(五)及び(六)について
短期の開門調査前の平成十四年四月十九日に、諫早湾内の小長井漁業協同組合、瑞穂漁業協同組合、国見町神代漁業協同組合及び国見町土黒漁業協同組合(以下「湾内四漁協」という。)から、農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所に対し、当該調査に伴いアサリ等の漁獲高が減少するとの強い懸念と魚介類に被害があった場合の補償の申出が口頭であり、当該調査後の本年二月五日には、湾内四漁協から同事務所に対し、魚介類の被害補償の申出が口頭であった。
農林水産省九州農政局としては、当該調査直後は、調整池の濁り等が諫早湾内に拡散し、アサリ等への影響が及ぶ可能性が考えられたことから、当該調査前後のアサリ等の生息状況調査等を実施した結果、本年二月二十七日に、当該調査の影響と考えられる魚介類の漁獲高の減少が確認されたため、湾内四漁協に補償することとし、現在、補償額等の話合いを行っている。
(七)について
お尋ねの導流堤については、その設置に伴う諫早湾の流況に与える影響について、一定の条件を設定して事前に予測調査を行っている。
予測調査の結果については、非排水時においては、大潮期に相当する条件の下で、流況の変化は、導流堤から三キロメートル以遠ではほとんど認められない結果となっており、また、排水時においては、背後地に湛水が発生した場合の排水条件の下で、流況の変化は、導流堤から七キロメートル以遠ではほとんど認められない結果となっている。
これらの予測結果においては、流況の変化は諫早湾内にとどまっている。
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