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保護観察制度の見直しに関する質問主意書
衆議院 第162回 第101号お答えすることは困難 ×2検討してまいりたい ×2
質問本文
保護観察付きの執行猶予判決を受けた男が、十八歳の少女を東京都内で三カ月も監禁したとして逮捕された事件を契機に、保護観察制度の見直しを求める世論が高まっている。法務省にあっても保護観察制度の見直しに向け、保護観察制度や運用の在り方を検証し、制度の根本的な見直しに着手をしていると理解をする。保護観察制度の見直しは必要であり、喫緊の課題だと思慮する。
保護観察制度は社会内処遇であり、我が国独特の制度である。地域社会が犯罪者の社会復帰を担うという理念・目的は崇高であり、尊いものと理解をする。昨年三月、当時の野沢法務大臣は「保護司制度は宝のような存在」と国会答弁をしている。現実の保護観察に当たるのは国家公務員の身分を有する約六三〇人の保護観察官と非常勤の国家公務員である保護司約四万八千人が担っている。このような態勢の中で、はたして犯罪者や非行少年らの更生を図ることを目的とした保護観察制度は有効に機能しているだろうか、疑問無しとしない。問題は、日本独特の保護司制度が保護司の善意のみに頼っている現状である。現状では処遇対象者に合った指導や事件の内容に合った処遇の確保は十分でないと考える。保護司の定員確保や高齢化問題、保護観察官の増員、保護司の専門化など緊急に取り組まなければならない課題は重大である。
よって、以下質問する。
一 去る六月十三日放映のNHK「クローズアップ現代」によると、分類処遇により、処遇困難者としてA分類されたとのケースについては保護観察官が直接担当していると報じている。また、去る六月五日付日本経済新聞によると「処遇が特に難しい人は保護観察官が直接担当する」、との内容の記事が掲載されている。かかる報道や新聞記事に見られるように処遇困難者としてのA分類もしくは処遇が難しい人について保護観察官が直接担当しているとの事実は正しいのか、政府の見解を明らかにされたい。
二 保護観察官が保護観察対象者を直接担当している例は、東京保護観察所と大阪保護観察所に置かれている直接処遇班に所属する保護観察官のみであり、そこに配置されているのは経験の浅い若手の保護観察官が中心であり、従って担当事件も少年事件が中心であり、処遇困難ケースという訳ではない、と聞いているが政府の見解を示されたい。尚、保護観察官が直接事件を担当したケースがあれば、保護観察所ごとに事件内容を含めて政府の見解を示されたい。
三 性犯罪者など再犯性が高く指導の難しいケースについては保護観察官が直接担当すべきだ、と考えるが政府の見解を明らかにされたい。
四 犯罪者の改善、再犯防止という仕事は保護司の善意のみに頼ることは無理だと思う。政府は、保護司定足数の充足率の現状をどのように受け止めているか、保護司の高齢化対策についてはいかなる具体的な方策を考えているのか、専門の保護観察官の増員に向けての具体的方策について政府の見解を示されたい。
五 保護司の仕事は普通のボランティアと違って犯罪者が相手である。しかもそれを自らの家庭に招き入れなければならない。時には夜中に家庭訪問しなければならない場合もある。保護司は保護観察の第一線で働いている。それだけに保護観察官よりも危険に遭遇する機会も多くなる。保護司に対して保護観察官同様に危険手当を新設して保障すべきだと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
六 保護司の身分については「非常勤の国家公務員」とされているが、給与は支給されず、交通費等処遇活動にかかった費用について実費弁償金という形で支給されているのみである。保護司の仕事は年中無休である。保護司についても家庭裁判所の調停員同様に給与を支給すべきである、また、それが無理であれば実費弁償金を増額すべきだと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
七 法務省は、前記の少女監禁事件を契機に、住居の移動について届出制を許可制に変更すると聞いているが、土曜日・日曜日・祝祭日等は保護観察所が休みであり、休みの日に転居許可の申し出をしてきても実情では意味がない。有給の保護観察官には勤務時間が五時までと定められており、五時以降は無給の保護司に一切任せるという現状は無責任であり、理屈に合わないと考える。緊急時に保護司が相談できるように保護観察官にも当直制を検討すべきである。また、緊急時に備えて管理職の連絡先を予め保護司に開示をする等、対策を講ずるべきだと考えるが政府の見解を明らかにされたい。
八 本年二月に愛知県安城市で仮出獄後間もなくして所在をくらましていた者が乳幼児ら三名を殺傷するという痛ましい事件が発生した。昨年度全国の仮出獄者数と仮出獄後の所在不明者数を明らかにしたうえで、その原因についての政府の見解及び仮出獄後の所在不明者の所在調査はどのようになされているか、政府の見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
保護観察事件は、原則として、保護観察官と保護司が協働して担当しており、保護観察官においては、保護観察の実効性を高めることを目的として、個々の保護観察対象者の処遇の困難性に応じ、保護観察対象者と面接し、直接指導を行うなど、積極的かつ計画的に処遇を行っている。
なお、犯罪又は非行の内容、保護観察対象者の資質及び環境等にかんがみ、保護司に担当させることが適当でないと判断される場合には、保護観察官のみが保護観察事件を担当するものとすることがある。
二について
保護観察事件については、一についてで述べたように、保護観察官が保護司と協働して担当する場合と、保護観察官のみが担当する場合とがあるところ、後者については、東京保護観察所及び大阪保護観察所に設置された直接処遇班のみにおいて行っているものではなく、全国の保護観察所において、犯罪又は非行の内容、保護観察対象者の資質及び環境等にかんがみ、必要があると認める場合に行っている。
お尋ねの「保護観察所ごと」の「事件内容」を含む「保護観察官が直接事件を担当したケース」については、その調査、整理等の作業が膨大なものになることから、お答えすることは困難である。
三について
その資質、環境等に複雑な又は深刻な問題を有し、処遇が困難な保護観察対象者については、保護観察官による直接的な関与を強化しているところである。その場合においても、家族間の関係の調整、就労先の確保、関係機関との連絡等に当たり、保護司の有する特性をいかすことが必要なときがあることから、保護観察官が直接的に関与する程度については、個々の状況に応じて個別に判断すべきものであると考えている。
四について
保護司の定数に占める実人員の比率(以下「充足率」という。)は、近年ほぼ一貫して漸増してきたところであるが、平成十六年一月一日現在の充足率が九十四・一パーセントであったところ、平成十七年一月一日現在の充足率は、九十三・二パーセントとなり、減少に転じている。保護司に適任者を確保して充足率の向上を図ることは重要な課題であると認識しており、保護司に関する広報に努め、地方公共団体をはじめとする関係機関等に対して適任者に関する情報を求めるなどして、保護司の確保に努力してまいりたい。
保護司の平均年齢については、近年ほぼ一貫して上昇してきたところであるが、保護観察対象者の過半数が少年であること等から、保護司の平均年齢を引き下げることが望ましいと考えている。法務省においては、平成十一年度に、七十六歳以上の者については保護司として再任しないことを決め、平成十六年度から完全実施しているところであり、保護司の平均年齢は、平成十六年一月一日現在で六十三・三歳であったのが、平成十七年一月一日現在で六十三・〇歳へと若干低下したが、引き続き、若く行動力を有する保護司の確保に努めてまいりたい。
また、保護観察官については、保護司との協働の在り方を不断に検討しつつ、その時々における保護観察事件の数、保護観察官の業務の状況等を踏まえて、所要の人的体制の整備に努めてまいりたい。
五及び六について
保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)第十一条第一項において、保護司には給与を支給しないと規定しているところ、保護司に給与を支給することについては、保護司制度の根幹にかかわる問題であり、慎重な検討が必要であると考えており、現時点において御指摘のような手当を新設することは困難である。
保護司は、犯罪又は非行を行った者の社会復帰を図るとともに、犯罪予防活動を推進する上で、重要な役割を果たしているところ、保護司の活動は、近時地域社会の連帯感が希薄化している中で、年々困難になってきており、保護司の負担は、大きなものとなってきている状況にあると認識している。法務省においては、従来から保護司法第十一条第二項の規定に基づいて保護司に支給される実費弁償金の充実に努めてきたところであるが、引き続き保護司の活動が円滑かつ効果的に行われるよう必要な方策について検討してまいりたい。
七について
保護観察所においては、従来から、不測の事態に備え緊急連絡体制を整備し、必要に応じて管理職等の連絡先を保護司に伝えるなどしてきたところであるが、更に保護観察所と保護司等との間の連絡体制を強化する必要があると認識しており、そのための必要な方策について検討してまいりたい。
八について
平成十六年の仮出獄者数は、一万六千六百九十人であり、同年十二月三十一日現在、保護観察中の仮出獄者八千九十六人のうち、所在不明となっているものの数は、六百四十七人である。
保護観察中の仮出獄者が所在不明となる原因は様々であるが、保護観察所においては、所在不明となった保護観察中の仮出獄者が訪れる可能性の高い家族又は知人の住居等について継続的に調査したり、官公署等に照会するなどして、その所在の発見に努めているところである。
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