ことばで探す › 衆議院 第166回
ウチナーンチュの法的地位などに関する質問主意書
衆議院 第166回 第112号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1
質問本文
今年は、一九七二年五月十五日、沖縄が「日本復帰」してから、三十五年目の歴史的節目の年である。沖縄の近現代史は、常に日本の国策に翻弄され、ウチナーンチュ(沖縄人)は、主体的に自らの運命を選択する機会を与えられてこなかった。「復帰」から、三十五年を迎える沖縄の現実は、「復帰前」と本質的に変わりはなく、特に、膨大な米軍基地が県内各地に存在し続けていることから、軍隊が駐留するが故の事件・事故も頻発し続け、ウチナーンチュの人権は、日本国憲法の下にあっても、保障されていない。
安倍総理は、「自分の自民党総裁任期中の六年以内に、憲法改正を目指したい」と述べ、改憲手続き法ともいうべき、憲法改正国民投票法案を「今年五月三日の憲法記念日までに成立を図りたい」との意欲を示している。一方で、政府は、法治国家として、沖縄問題を解決する諸施策立案・展開の中で、およそ、法治国家の名に値しない施策を執っている。ある識者は、沖縄問題に関する限り、政府の態度は、法治国家ではなく、「放置国家」、あるいは「法恥国家」だという。誠に当を得た、言い得て妙なる、直言だと思う。
以下、質問する。
一 政府は、ウチナーンチュ(沖縄人)は、いつから法的に日本国民になったと考えているのか、その法的根拠、始期を示した上で、政府の見解を明らかにされたい。
二 悲惨な沖縄戦が終わり、一九七二年五月十五日の「復帰」の日まで、沖縄は、米国の軍事支配下に置かれていた。その間、高等弁務官がウチナーンチュの生殺与奪の権限を有し、日本とは異なる法体系の下で、基本的人権も、政治的自由も、自治をも与えられていなかった。米国の軍事支配下にあって、ウチナーンチュは、「琉球人」としての法的地位で扱われていた。政府は、ウチナーンチュが、法的に日本人と異なる「琉球人」として扱われるようになったその法的根拠、始期を示した上で、「琉球人」の法的地位に関する政府の見解を明らかにされたい。
三 安倍総理は、「自民党総裁としての自分の任期は三年で、二期までしか務められない。自分の任期中に憲法改正を目指したい」、また、「戦後六十年がたって、憲法に時代にそぐわない条文があるのも事実」と述べている。政府は、日本国憲法が沖縄に適用されて六十年が経過したとも考えているのか、日本国憲法の下に「復帰」を希求した沖縄の現状に照らし、その認識を示した上で、政府の見解を明らかにされたい。
四 安倍総理は、「戦後六十年がたった」などと述べているが、沖縄にとって、去った戦争は、いつ終結し、いつから「戦後」は始まったのか、又、沖縄と日本(他の都道府県)の「戦後」とは、同一の概念・定義なのか、その認識の根拠を示した上で、政府の見解を明らかにされたい。
五 悲惨な沖縄戦の終結から、一九七二年五月十五日の「復帰」の日まで、沖縄は「無憲法」下で、米国の軍事支配下にあった。「復帰」から今日までも、沖縄は「反憲法」的な日常を強いられている。今、大事なのは、憲法改正ではなく、憲法の理念を活かし、わが国が平和国家として歩むことである。私は、憲法改悪には反対であり、特に、憲法第九条を変えてはならないと考えるものである。政府は、日本国憲法前文で明定する平和的生存権は、いかなる法的効力を有する権利と考えているのか、また、ウチナーンチュに平和的生存権が保障されていると考えているのか、沖縄の現状に照らし、その認識を示した上で、政府の見解を明らかにされたい。
六 安倍総理の今通常国会施政方針演説における沖縄問題に取り組む姿勢は、昨年九月の臨時国会における所信表明演説の内容と、一言半句も違いがなかった。安倍総理には、沖縄の諸問題解決に向けて、事態を前進させようという熱意が全く感じられないと、多くの県民は落胆している。政府の沖縄の諸問題解決へ向けての方針と具体的施策を示した上で、政府の基本的態度を明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「ウチナーンチュ(沖縄人)」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、一般に、沖縄の方々については、遅くとも明治三十二年に制定された旧国籍法施行の時から日本国籍を有していたものと承知している。
二について
お尋ねの「琉球人」が何を指すのか必ずしも明らかでないこともあり、政府として、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば、昭和二十七年二月二十九日の琉球列島米国民政府布令第六十八号(琉球政府章典)においては「琉球住民」の定義及び「琉球住民」の琉球政府に対する権利義務等が定められていたと承知している。なお、同布令第三条にいう「琉球住民」は日本国籍を有していた。
三について
昭和四十七年五月十五日の沖縄の復帰前においては、日本国憲法は、観念的には同地域に施行されていたが、現実には、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)により米国が施政権を行使していたため、実効性をもって適用されることはなかったと考えている。
したがって、沖縄については、米国から施政権が返還された昭和四十七年五月十五日以降、日本国憲法の規定が実効性をもって適用されることになったと考えている。
四について
お尋ねの「戦後」という言葉は、様々な文脈で用いられるものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、沖縄を含む我が国と各連合国との間の戦争状態は、日本国との平和条約により、同条約が効力を生じた昭和二十七年四月二十八日に終了した。
五について
日本国憲法は、その前文第二段において、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と述べているところであり、この権利は、当然に沖縄の方々も含めた日本国民も有すべき権利と考えられる。
お尋ねのいわゆる平和的生存権の法的効力については、その権利の主体、内容、性質等の点でなお不明確であり、人権の基礎にあってそれを支える理念的な権利ということはできるが、裁判で争うことのできる具体的な法的権利性を認めることは難しいと一般に考えられている。
六について
政府としては、沖縄の諸課題の解決に向けて、沖縄の振興や米軍再編に全力で取り組むこととしている。
沖縄の振興については、沖縄の経済がなお全国に比べ厳しい状況にあるとの認識の下、良質な観光地及びリゾート地の形成、アジア最先端を目指した高度情報通信産業の集積の促進等、沖縄の持つ優位性をいかした各種産業の一層の振興等を行うことにより、沖縄振興計画を着実に推進し、活力ある自立型経済の構築と豊かな県民生活の実現を図ることとしている。
また、米軍再編については、抑止力を維持しつつ、普天間飛行場の移設及び返還、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員のグアムへの移転並びに嘉手納飛行場以南の人口が密集している地域の相当規模の土地の返還等を行うことにより、在日米軍の施設及び区域が集中する沖縄県の負担軽減を着実に実施していくこととしている。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。