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住民基本台帳ネットワークシステムによる「データマッチング」に関する質問主意書
衆議院 第166回 第50号お答えすることは困難 ×1承知していない ×4
質問本文
平成一八年一一月三〇日に、大阪高等裁判所は、大阪府下の住民四名が「自己の住民票コードを抹消せよ」などと求めた訴訟において、箕面市、吹田市、守口市の三市に対して、「住民基本台帳から住民票コードを抹消せよ」と命じる判決を下した。
同判決は、「住基ネットの運用について、データマッチングや名寄せを含む目的外利用を中立的立場から監視する第三者機関は置かれていない」など、「住基ネット制度には個人情報保護対策の点で無視できない欠陥があるといわざるを得ず、行政機関において、住民個々人の個人情報が住民票コードを付されて集積され、それがデータマッチングや名寄せされ、住民個々人の多くのプライバシー情報が、本人の予期しない時に予期しない範囲で行政機関に保有され、利用される危険が相当あるものと認められる。そして、その危険を生じさせている原因は、主として住基ネット制度自体の欠陥にあるものということができ、そうである以上、上記の危険は、抽象的な域を超えて具体的な域に達しているものと評価することができ、住民がそのような事態が生ずる具体的な危険があるとの懸念を抱くことも無理もない状況が生じているというべきである」と、厳しく住基ネット制度を批判している。
平成一七年五月三〇日の金沢地方裁判所の判決に続いて、今回、大阪高等裁判所においても、住基ネットにおける「データマッチングの危険性」が指摘され、「明示的に住基ネットの運用を拒否している控訴人らについて住基ネットを運用すること…は、控訴人らに保障されているプライバシー権(自己情報コントロール権)を侵害するものであり、憲法一三条に違反するものといわざるを得ない」と判断されている事実は重大であると考える。
よって、以下の点につき質問する。
1 (政府行政機関が保有する個人情報ファイルの数について)
(1) 平成一八年一〇月二五日開催の「第二〇次国民生活審議会個人情報保護部会」で配布された「総務省資料(平成一七年度行政機関個人情報保護法等の施行状況(概要))」によれば、平成一八年三月三一日現在、行政機関個人情報保護法の対象である国の全ての行政機関が保有する個人情報ファイル(特定の保有個人情報を検索できるように体系的に構成したもの)の数は、八〇六二四とされているが、間違いないか。
間違っている場合は、訂正されたい。
(2)�@ 右(1)の個人情報ファイルには、行政機関個人情報保護法一〇条二項、同法一一条二項のファイルは含まれているのか。
�A 含まれている場合は、�@のファイルを除いた数を明らかにされたい。
�B 含まれていない場合は、�@のファイル数を明らかにされたい。
(3)�@ 右(1)の個人情報ファイルの内、「住民票コード」が記録されているファイルの数および名称を明らかにされたい。
�A 右行政機関個人情報保護法一〇条二項、同法一一条二項のファイルの内、「住民票コード」が記録されているファイルが存するか否かを明らかにされたい。
2 (行政機関個人情報保護法三条、八条の監視機関について)
(1) 行政機関個人情報保護法は、「相当の関連性」があれば、個人情報の利用目的の変更が認められ(第三条三項)、「相当の理由」があれば目的外の利用と提供も認められている(第八条二項)ところ、本人確認情報の提供を受ける国の機関等において、提供の「目的」の変更や目的外利用することを監視する機関は設置されているか。
(2) 設置されているならば、その名称、構成、所属、権限等について明らかにすると共に、同機関の権限等について定めた規定の名称、制定年月日等について明らかにされたい。(少なくとも、法務省、厚生労働省(社会保険庁を含む)、財務省、金融庁、総務省について、明らかにされたい。)
3 (地方公務員共済組合等における監視機関について)
同じく、本人確認情報の提供を受ける、地方公務員共済組合、地方公務員共済組合連合会、国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団について、提供の「目的」の変更や目的外利用することを監視する機関は設置されているのか否か、設置されている場合は、その名称、構成、所属、権限等について明らかにすると共に、同機関の権限等について定めた規定の名称、制定年月日等について明らかにされたい。
4 (本人確認情報の保護に関する審議会の開催状況について)
北海道、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、長野県、石川県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、福岡県、熊本県における本人確認情報の保護に関する審議会の開催状況(平成一四年度から現在まで)について、把握しているか。
している場合は、その開催回数、日時、議題の概要を明らかにされたい。
5 (都道府県知事による勧告について)
(1) 住基法上、民間において住民票コードの告知を求めることや、「業として、住民票コードの記録されたデータベースであつて、当該住民票コードの記録されたデータベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているものを構成してはならない」などとされ、都道府県知事は、これらの行為が行われた場合において、「当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告すること」や、「勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、都道府県の審議会の意見を聴いて、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる」(三〇条の四三)とされているが、現在に至るまでに、このような都道府県知事の「勧告」等が行われたという報告例が存するか。
(2) 存する場合は、その概要を明らかにされたい。
6 (EU指令の要件について)
(1) 一九九五年の「EU指令(個人データ処理に係る個人の保護及び当該データの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令)」(95/46/EC)二五条一項は、個人データの第三国への移動は、当該第三国が適切なレベルの保護を提供している場合に限られるとし、その一環として、「独立の監視機関」の設置を義務づけているが、日本の「個人情報保護法」は、この要件を満たしていると認定されているか、明らかにされたい。
(2) この点に関するEUとの交渉や審査等の経過および結果の概要を明らかにされたい。
7 (住民の開示請求権について)
(1) 住民は、各自治体の情報公開条例に基づき、自己に係る本人確認情報の提供状況に関する開示を受けうるとされているが、この制度は全都道府県で実施されているか。
(2) 前項の開示請求の対象には、行政機関個人情報保護法八条一項の「法令に基づく」提供の場合(たとえば、警察からの捜査照会に対する回答など)も含まれるのか、明らかにされたい。
(3) 前二項の開示状況の実績について、情報を保有しているなら、その概要を明らかにされたい。
8 (自治体からの調査要求等について)
(1) 「電気通信回線を通じた送信又は磁気ディスクの送付の方法並びに磁気ディスクへの記録及びその保存の方法に関する技術的基準(平成一五年九月二九日総務省告示第六〇一号)」により、平成一五年一〇月一日から、提供を行った市民の本人確認情報の管理状況等について、報告を求めること、また、要請を行うことが可能となった、とされているが、第6、8、(1)、エでは、「市町村長は、必要に応じ、…報告を求め、…要請を行うこと」と規定され、市町村長の義務のように規定されているが、同規定は市町村長の権利であり、報告を求められた側は報告「義務」が存すると理解してよいのか、明らかにされたい。
(2) 現在までに、前項の報告要求や要請が存したか否かについて、明らかにされたい。
(3) 存する場合は、�@その件数、�Aその時期、�B内容の概要、�C当該要求、要請に対する対応の概要について、それぞれ明らかにされたい。
右質問する。
政府答弁書
1の(1)及び(2)
お尋ねの個人情報ファイルの数については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第四十九条に基づき実施した平成十七年度における同法の施行状況調査において、同法第十一条第一項に基づき公表している個人情報ファイル簿に記載されている個人情報ファイルの数について総務省において取りまとめたものであり、平成十八年三月三十一日現在、行政機関から報告された個人情報ファイルの数の合計は、八万六百二十四件であった。同条第二項及び第三項に基づく個人情報ファイルについては、同調査の対象としておらず、その数を把握していない。
1の(3)について
お尋ねの「住民票コード」が記録されている個人情報ファイルの数及び名称については、前記調査では個人情報ファイルの記録項目について調査の対象としていないため把握しておらず、また、お尋ねについて新たに調査することは作業が膨大なものとなることから、お答えすることは困難である。
2について
お尋ねの事項を監視する機関としては、総務省において策定した「行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針について」(平成十六年九月十四日総管情第八十四号総務省行政管理局長通知)において、各行政機関は総括保護管理者、保護管理者及び監査責任者を置くこととされている。監査責任者は、内部監査等を担当する部局の長等をもって充て、保有個人情報の管理の状況について定期に又は随時に監査を行い、その結果は総括保護管理者に報告することとされているところである。
これらの事項については、法務省においては「法務省保有個人情報保護管理規程」(平成十七年三月十六日法務省秘法訓第三百三号)、厚生労働省においては「厚生労働省保有個人情報管理規程」(平成十七年三月二十三日厚生労働省訓令第三号)、社会保険庁においては「社会保険庁保有個人情報保護管理規程」(平成十七年三月二十八日社会保険庁訓令第四号)、財務省においては「財務省の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する規程」(平成十七年三月二十九日財務省訓令第八号)、金融庁においては「金融庁個人情報管理規則」(平成十七年三月三十一日金融庁訓令第十二号)及び総務省においては「総務省の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する訓令」(平成十六年十二月二十日総務省訓令第五十四号)で定められている。
3について
地方公務員共済組合及び地方公務員共済組合連合会(以下「共済組合等」という。)については、「地方公務員共済組合の組合員等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針を定める件」(平成十七年三月二十八日総務省告示第三百五十九号)に基づき、個人情報の保護に関する規程を策定するとともに、各共済組合等の代表者によって指名された者であって、共済組合等内部の個人情報の保護体制の実施、運用等について監督を行うものとして、個人情報保護管理者を置くこととされている。
国家公務員共済組合連合会(以下「国共済連合会」という。)については、総務省において策定した「行政機関の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針について」に準拠し、国共済連合会において個人情報の保護及び適切な管理に関し必要な規程として「国家公務員共済組合連合会の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する規程」(平成十六年十一月十六日)を定め、国共済連合会に総括保護管理者、保護管理者等及び監査責任者を置くこととされている。監査責任者は、監査室長をもって充て、保有個人情報の管理の状況について、定期に又は随時に監査を行い、その結果は総括保護管理者に報告することとされているところである。
日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)については、総務省において策定した「独立行政法人等の保有する個人情報の適切な管理のための措置に関する指針について」(平成十六年九月十四日総管情第八十五号総務省行政管理局長通知)を踏まえ、個人情報の適切な管理に関し必要な規程として「日本私立学校振興・共済事業団個人情報管理規程」(平成十七年三月三十一日理事長裁定)を定め、事業団に総括保護管理者、保護管理者及び監査責任者を置くこととされている。監査責任者は監事をもって充て、保有個人情報の管理の状況について、定期に又は随時に監査を行い、その結果は総括保護管理者に報告することとされているところである。
4について
お尋ねの都道府県における住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号。以下「法」という。)第三十条の九第一項に規定する本人確認情報の保護に関する審議会の開催状況については、把握していない。
5について
法第三十条の四十三第四項に規定する勧告又は同条第五項に規定する命令を行ったという報告は受けていない。
6の(1)について
我が国の個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)に対するEUの考え方は、現時点では明らかになっていないものと承知している。
6の(2)について
EUとの間では、外交ルートを通じたかかる交渉や審査は行われていないものと承知している。
7の(1)について
すべての都道府県において個人情報保護条例が制定されており、住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)のサーバに本人確認情報が保存されている者は、自己に係る本人確認情報の提供先、検索元、提供年月日及び利用目的について、各都道府県の個人情報保護条例に基づき、開示請求を行うことが可能である。
7の(2)について
都道府県において個人情報保護条例に基づき判断されるものであり、政府としてお答えする立場にない。
7の(3)について
住基ネットを通じた本人確認情報の提供状況に係る各都道府県の個人情報保護条例に基づく開示請求は、平成十七年度は、全国で十五件あったものと承知している。
8の(1)について
お尋ねの告示の規定は、市町村長が、必要に応じ、都道府県知事(指定情報処理機関が本人確認情報の提供を行った場合は、都道府県知事及び指定情報処理機関)を経由して、国の機関等に対し、都道府県知事又は指定情報処理機関が提供を行った当該市町村の住民に係る本人確認情報の適切な管理のための措置の実施状況について報告を求め、当該本人確認情報の適切な管理のための措置について要請を行うべきことを定めたものであり、報告の求め又は要請を受けた国の機関等は、法第三十条の三十三第一項の規定の趣旨に沿って、本人確認情報の安全確保に必要な措置を講ずるものとされている。
8の(2)及び(3)について
お尋ねの報告要求及び要請の存否については、承知していない。
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