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前航空幕僚長の論文と防衛装備品の調達に関する質問主意書
衆議院 第170回 第211号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1個別の事案 ×1
質問本文
田母神俊雄前航空幕僚長は、民間企業が主催する懸賞論文に、政府見解と異なる内容の、「日本は侵略国家であったのか」と題する論文を応募するに先立ち、統合幕僚学校長として、航空自衛隊幹部学校幹部会発行の『鵬友』に下記のような論文を掲載している。「航空自衛隊を元気にする一〇の提言−パート�U−」(『鵬友』二九巻六号、二〇〇四年三月)=以下「論文一」、「航空自衛隊を元気にする一〇の提言−パート�V−(その2)」(『鵬友』三〇巻三号、二〇〇四年九月)=以下「論文二」。それらには、下記のような記述がある。
(記述一)「従来から自衛隊に物品等を納入している国内企業からみれば、当然自衛隊に対する売り上げが減るので、自衛隊に対しいろいろと相談にくる。『何とか当社の製品を買ってもらえないか』(中略)これらの会社からの依頼事項については、防衛産業・技術基盤の維持の観点から、担当者は頑張らなければならない。空幕の装備部長をしているときに(中略)私は、『頼まれたら頑張れ』と指導していた。(中略)しかし、みんなから一斉に頼まれたらどうしようもないではないかという人がいる。そのときは二度、三度と頼みにくる人を優先してあげてはどうか」(論文一、五−七頁)
(記述二)「指揮官が部下や部隊から頼りにされるのと同じように、航空自衛隊は、自衛隊の戦力発揮を支える防衛産業から頼りにされる存在でなければならない。こう言うと自衛隊が一企業に加担していいのかと言う意見が出てきそうであるが、自衛隊と防衛産業はそんな単純な関係ではないのだ。防衛産業は自衛隊の戦力の一部なのである」(論文二、二〇−二一頁)
(記述三)「旧調達実施本部における調達不祥事により、防衛調達の適正化について検討が行われ、その中で『競争入札の強化』の方向性が打ち出された。これに基づいてその後具体策を推進中であるが、私はやや行き過ぎているという気がしている。それは防衛装備品を製造するいわゆる防衛産業を守るという視点が欠落しているのではないかということである」(論文二、二一頁)
(記述四)「我が国は諸外国が保有する軍事工廠を保有せず、自衛隊の戦力の維持整備を民間の防衛産業に依存している。また我が国の防衛産業は武器輸出を認められず、自衛隊だけが顧客となるため、少量生産になり、装備品の価格はどうしても割高になる。これらの特性を考えると、自衛隊は『防衛産業を守る』ということを国家政策として強く打ち出すことが必要ではないかと思う。(中略)競争入札の強化一辺倒では我が国の防衛産業の経営は立ち行かない。(中略)だから自衛隊はいま勇気を持って『防衛産業を守る』ということを内外に宣言する必要があると思う。たとい価格が割高であっても、あえて国産にするという選択をしなければならないときもある。経費を安く抑えることだけが国益にかなうのではない」(論文二、二一−二二頁)
(記述五)「またいわゆる防衛産業ではないが、自衛隊が多くの外国製装備品を使用していることから、我が国の商社は、その輸入業務などで自衛隊との取引を実施している。今回のインド洋やイラクへの自衛隊派遣に当たっても、海外における契約業務の代行などで我が国の商社が活躍してくれている。(中略)防衛産業に守ると言った場合、それは国産にするということであり、武器輸出が出来ない我が国においては、それによって防衛に関する商社の売り上げは減少することになる。自衛隊としては一方でまた自衛隊の任務遂行を支えている日の丸商社に対し申し訳ない気がする。いま与党などで武器輸出緩和の動きがあるが、私個人としてはこの動きを歓迎している。我が国が武器輸出が出来るようになれば、防衛産業を守ることと商社の利益は対立しなくなる」(論文二、二二頁)
また二〇〇八年一一月五日、守屋武昌前防衛事務次官が、防衛装備品の調達をめぐる汚職事件で実刑判決を受けた。防衛省によれば、守屋前事務次官はこれまで航空機部品など二二件で計約五億七〇〇〇万円の過大請求が確認されており、見積書偽造などで正規代金の二〜三倍を受け取っていたという。田母神前航空幕僚長がこうした汚職に関与していたのではという疑いについても、政府は晴らす必要がある。
従って、以下、質問する。
一 田母神前航空幕僚長の論文と防衛装備品の調達について
1 (記述一)にあるように、空幕の装備部長が、一般競争入札を経ずに、特定の企業の商品購入を決めることは自衛隊法および自衛隊員倫理規程に違反するのではないか。麻生首相の見解を示されたい。
2 (記述一)にあるように、「頼まれたら頑張れ」「二度、三度と頼みにくる人を優先してあげてはどうか」と、一般競争入札を経ずに、特定の企業の商品購入を決めるよう奨励するのは、自衛隊法および自衛隊員倫理規程違反を奨励していたことになるのではないか。麻生首相の見解を示されたい。
3 実際に「二度、三度と頼みにくる人を優先」するなど、自衛隊法および自衛隊員倫理規程違反の疑いのある行為が自衛隊内でどれくらい行われていたのか、政府は把握しているか。把握したとすれば、どのような処分を行ったのか。把握していなかったとすれば、いますぐ調査すべきと考えるがいかがか。
4 麻生首相は、(記述二)にあるように、「指揮官が部下や部隊から頼りにされるのと同じように、航空自衛隊は、自衛隊の戦力発揮を支える防衛産業から頼りにされる存在でなければならない。(中略)防衛産業は自衛隊の戦力の一部なのである」との認識を共有しているのか。また、日本政府の見解はどうか。
5 麻生首相は、(記述三)にあるように、競争入札の強化の方向性に基づいた調達不祥事の防止策は、「防衛装備品を製造するいわゆる防衛産業を守るという視点が欠落している」から「やや行き過ぎている」との認識を共有しているのか。また、日本政府の見解はどうか。
6 当時の自衛隊の間で、このような認識は広く浸透していたのか。そうであれば、現在の調達不祥事の防止策は、こうした認識に基づいて再検討されたのか。日本政府は、調達不祥事の防止策についてあらためて再チェックすべきと考えるがいかがか。
7 麻生首相は、(記述四)にあるように、「自衛隊は『防衛産業を守る』ということを国家政策として強く打ち出すことが必要ではないか」との認識を共有しているのか。
8 (記述四)にあるように、自衛隊が「『防衛産業を守る』ということを内外に宣言」した事実はどれだけあるのか。具体的に示されたい。
9 (記述四)に、「たとい価格が割高であっても、あえて国産にするという選択をしなければならないときもある」とあるが、そうした判断を行っていたのは誰か。また、判断の根拠は何か。本来競争入札にすべき案件を、「たとい価格が割高であっても、あえて国産にするという選択」をしていたとすれば、それは自衛隊法および自衛隊員倫理規程に違反するのではないか。麻生首相の見解を示されたい。
10 実際にそうした判断が行われていたかどうか、日本政府は調査しているか。いたとすれば、どのような処分をしていたのか。していないとすれば、いますぐ調査すべきと考えるがいかがか。
11 (記述五)にあるように、たとえ個人的見解と断った上であっても、現職の統合幕僚学校長が「いま与党などで武器輸出緩和の動きがあるが、私個人としてはこの動きを歓迎している」と統合幕僚学校長名で隊内誌に書くことは、自衛隊法および自衛隊員倫理規程に違反するのではないか。麻生首相の見解を示されたい。
12 このような論文が統合幕僚学校長名で出されていることは、適切であったと考えるか。麻生首相の見解を示されたい。
13 このような論文を書く人物が統合幕僚学校長、そして航空幕僚長という要職についたことは、適切であったと考えるか。麻生首相の見解を示されたい。
14 このような論文を書く人物を航空幕僚長という要職に任命したことで、守屋前事務次官の汚職事件を生むような防衛省の体質を強めたと考えるがいかがか。そうであれば、田母神前航空幕僚長を航空幕僚長に任命した安倍元首相の任命責任はあると考えるがいかがか。麻生首相の見解を示されたい。
15 このような論文を書く人物を航空幕僚長という要職に引き続き任命したことで、守屋前事務次官の汚職事件を生むような防衛省の体質を強めたと考えるがいかがか。そうであれば、田母神前航空幕僚長を航空幕僚長に引き続き任命した麻生首相の任命責任はあると考えるがいかがか。麻生首相の見解を示されたい。
二 守屋前事務次官の汚職事件との関与について
1 田母神前航空幕僚長は、守屋前事務次官が関与した航空機部品などの過大請求、見積書偽造などに対し、決裁を行ったのか。そうでなければ、守屋前事務次官の過大請求、見積書偽造などに対し、決裁を行ったのは誰か。決裁した人物の責任はどう問われるのか。決裁したのが誰であれ、航空幕僚長であった田母神前航空幕僚長の責任はどう問われるのか。
2 田母神前航空幕僚長が決裁を行ったのであれば、田母神前航空幕僚長は「過大請求、見積書偽造」だと知っていたのか。知っていたのであれば、田母神前航空幕僚長の責任はどう問われるのか。分からなかったとすれば、田母神前航空幕僚長の責任はどう問われるのか。
3 決裁の有無を含め、守屋前事務次官の「過大請求、見積書偽造」など当該事件と田母神前航空幕僚長との関連について、日本政府はどのような調査を行い、どのような結果が出ているのか。
右質問する。
政府答弁書
一の1及び2について
御指摘のような事例が、御指摘の法令に違反するか否かについては、個別具体的な事例に即して判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。いずれにせよ、防衛省における装備品の調達については、一般競争入札等により、競争性及び透明性を担保することとしている。
一の3、9及び10について
防衛省における装備品の調達における契約の相手方の決定については、日本企業が外国政府等からライセンス生産を認められている場合等の随意契約によらざるを得ない場合を除き、一般競争入札等により、競争性及び透明性を担保することとしている。
一の4、5及び7について
個人の見解を述べた論文の内容の一々について、論評することは差し控えたい。
一の6について
防衛省としては、御指摘のような認識が自衛隊の間で広く浸透していたとは認識していない。
一の8について
「自衛隊が『防衛産業を守る』」という趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛産業に関しては、例えば、「平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日閣議決定)において、防衛力の整備・維持及び運用に際しては、我が国の安全保障上不可欠な中核技術分野を中心に、真に必要な防衛生産・技術基盤の確立に努めることに留意する旨が定められている。
一の11及び12について
お尋ねの点については、執筆者の立場や論文の内容のみならず社会的な影響等をも総合的に勘案して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難である。
一の13から15までについて
現役の航空幕僚長が、平成二十年十月三十一日に公表された論文のように、政府の認識と明らかに異なる見解を公にしたこと等については、極めて遺憾なことと考えており、このようなことが再発することのないよう努めてまいりたい。
二について
これまでに判明している株式会社山田洋行による過大請求事案二十二件の契約に関しては、防衛省(平成十九年一月九日より前は防衛庁)において主要な装備品等の調達を行っている装備施設本部(平成十九年九月一日より前は装備本部、平成十八年七月三十一日より前は契約本部、平成十三年一月六日より前は調達実施本部)副本部長が契約について決裁を行っており、田母神前航空幕僚長は関与していない。
このような過大請求事案に対しては、海外製造メーカーへの見積書の直接照会等によるチェック機能の強化、違約金の増額等の各種施策を進めることにより、再発防止に努めているところである。
この答弁書に出てくる定型句
お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1個別の事案 ×1
語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。
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