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国民の財産たる過疎地域の支援に関する質問主意書
衆議院 第177回 第384号
質問本文
総務省が、本年六月十三日から同月末までの期間に行った「東日本大震災による過疎地域自立促進市町村計画への影響調査」によると、特定被災区域の過疎関係市町村六十八団体を対象に、過疎地域自立促進市町村計画で予定されていた事業の進捗に及ぼす影響把握を目的に実施したところ、回答五十七団体(七月五日現在)の中、さらに絞った東北三県(岩手、宮城、福島)の過疎地域市町村四十六団体のうち、「過疎法の期限内に事業終了が不可能または見込みが立たない」と答えたのは計十二市町村で、被災地が復旧・復興事業を最優先に取り組むあまり、予定していた過疎対策事業が期限内にできなくなり、企業・個人の二重債務問題を、自治体自らも抱えていることが浮き彫りになった。
また、旧合併特例法に基づいて最も遅く合併した自治体においては、合併特例債の発行期限が平成二十八年三月末となり、過疎対策事業債の発行期限と一致し、本来行われるべき過疎対策事業の遅れが懸念される。
国は、早急に国家的危機管理を第一義として、復興のための省庁等を設置し、被災地の状況をきめ細かく把握した現場主義を基に、必要な法整備の見直しや規制緩和に積極果敢に取り組み、早期復興は言うに及ばず、過疎地域が果たす多面的・公益的機能が国土保全に資する国民の財産であることを念頭に、総合的・一体的な支援を惜しまず行うことが重要と考える。
従って、次の事項について質問する。
一 総務省が行った「東日本大震災による過疎地域自立促進市町村計画への影響調査」について、その後の進捗状況を示されたい。
二 一に関連し、震災の被害が甚大だったため未回答だった岩手県の一市八町二村については、どのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
三 我が自由民主党は、過疎対策事業債と併せ、合併特例債の期限延長の検討に素早く取り組んでいるところであるが、過疎法改正を視野に入れる時、政府与党としてその改正手法についてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
四 一〜三に関連し、過疎対策事業債の償還年数の見直し及び元利償還に係る交付税算入率を拡大してほしいとの声があるが、どのように応えていくのか、菅内閣の見解如何。
五 過疎地域における住民を災害から守るための治山・治水事業や消防・防災施設の整備は必要不可欠であり、非常時の避難施設や学校などの耐震化も求められるが、国としてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。
六 先の新潟・福島豪雨では、避難指示において、携帯電話による一斉メールが多大な貢献をしたが、過疎地域におけるブロードバンド環境整備、移動通信用鉄塔等の整備について、どのような進捗状況なのか示されたい。
七 過疎地域の森林や農地など地域資源を大いに活用して、その環境と特性を活かした産業振興及び雇用創出について、国としてどのような支援をしていくのか、菅内閣の具体的な見解如何。
八 平成二十二年度予算は、地方切捨てという声もあったが、国民の財産たる過疎地域の衰退を食い止めるための様々な施策を国の基本方針として明確に定めた上で、今後における総合的・一体的な支援及び予算編成・財源確保が必要と考える。平成二十三年度第三次補正予算及び平成二十四年度予算では、過疎対策関係予算についてどのように反映していくのか、菅内閣の方針如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「東日本大震災による過疎地域自立促進市町村計画への影響調査」(以下「調査」という。)については、その対象とした過疎地域をその区域に含む市町村(以下「過疎地域の市町村」という。)であって東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)第二条第三項に規定する特定被災区域にある六十八団体のうち、平成二十三年八月十日現在、六十五団体から回答を得ているところ、このうち過疎地域自立促進特別措置法(平成十二年法律第十五号。以下「過疎法」という。)が失効する平成二十八年三月三十一日までの過疎地域自立促進市町村計画に基づき行われる事業の終了見込みについて、「終了できない見込み」又は「見込みがたたない」と回答した団体は十五団体である。
二について
お尋ねの未回答の団体については、平成二十三年八月十日現在、十一団体のうち八団体については回答があったが、引き続き未回答である三団体については回答が可能になった段階で提出していただきたいと考えている。
三について
お尋ねの過疎法の改正については、過疎法が議員立法により制定されたこと等を踏まえ、各党各会派において十分議論していただく必要があるものと考えている。総務省としては、調査の結果について速やかに情報提供してまいりたい。
四について
過疎対策事業債の償還年限については、十二年以内(うち三年間据置き)を基本として設定されているが、医療設備等に多額の費用を要する病院及び診療所並びにこれらに附帯する職員宿舎を対象とする過疎対策事業債のうち借入れ後一定期間で利率を見直すものの償還年限については、三十年以内(うち五年間据置き)とされているところであり、このような償還年限の設定は、後世代の負担との均衡及び財政の健全化の維持の観点から適当なものであると考えている。
また、過疎対策事業債の元利償還金については、過疎法において地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとされ、その七十パーセントを基準財政需要額に算入しているところであり、このような地方交付税措置は、財政基盤が脆弱な過疎地域の市町村の総合的かつ計画的な自立促進を財政面で支える措置として適当なものであると考えている。
五について
お尋ねについては、治山・治水事業による災害の防止、公立学校施設の耐震化事業による地域の避難場所ともなる学校建物の安全性の向上、消防防災施設整備事業の推進による被害の最小限化等に向けて、引き続き、予算の確保に努めてまいりたい。
六について
お尋ねのブロードバンド環境整備については、無線を利用したブロードバンドサービスを活用することも含め、平成二十二年度末でほぼ全世帯でブロードバンドサービスを利用することが可能となった。
また、移動通信用鉄塔等の整備による携帯電話のサービスエリアの拡大については、過疎地域における全人口に対するサービスエリア外人口の比率が、平成十九年度末で一・九パーセント、二十年度末で一・〇パーセント、二十一年度末で〇・八パーセントと着実に減少しているところである。
七について
お尋ねについては、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律(平成十九年法律第四十八号)に基づく農山漁村における定住等及び地域間交流の促進、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律(平成十九年法律第三十九号)による認定地域産業資源活用事業を行う中小企業者への支援のほか、再生可能エネルギー、食料、歴史文化資産等の地域資源の活用と域内循環により地域の自給力と創富力を高める「緑の分権改革」の推進等の取組を通じて、産業の振興と雇用の創出を図ってまいりたい。
八について
お尋ねの過疎対策関係予算については、過疎地域が重要な公益的機能を有していることを踏まえ、過疎問題の解決を国民全体にとっての重要な課題として捉え、実効性のある対策を講じていくことが重要であると認識しており、総合的かつ計画的な過疎対策を推進するために必要な予算の確保に努めてまいりたい。
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