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広がる不当な表示や過大な景品類の規制に関する質問主意書
衆議院 第180回 第411号趣旨が明らかではない ×3
質問本文
平成十五年頃から米国において、自らの正体を隠し、宣伝広告ではないふりをしてこっそりと宣伝活動をする「ステルス・マーケティング」という広報手段の全体を表す言葉が広まり、我が国でも平成十七年頃から今日まで、その広告手法について消費者の適正な商品・サービスの選択に悪影響を及ぼしている。
昭和三十七年に制定された「不当景品類及び不当表示防止法」(以下景品表示法という)は公正取引委員会から平成二十一年に消費者庁へ全面移管され、平成二十三年十月、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表したが、それによると、「商品・サービスを提供する事業者自身がステルスマーケティングを依頼した場合においては、景品表示法に抵触する」としたものの、一方では消費者における優良誤認・有利誤認の効果を助長しないステルスマーケティングは違法ではないとも解釈され非常に曖昧なものになっていた。その後、商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼して、口コミサイトの情報コーナーに、口コミを多数書き込ませるという行為が発覚、問題を重要視した消費者庁は、本年五月九日には、第二の「二、口コミサイト」のうち「(三)問題となる事例」に前記の事例を追加し、新たなサービス類型について特に留意事項を示したところである。しかし、電子商取引ガイドラインの考え方を変更するものではなく、当該ガイドラインは引き続きインターネット消費者取引の基本指針となり、違反するか否かは個々の事案ごとに判断されるとし、依然放置されたままになっている。
平成二十年五月二十三日、高裁における審決取消訴訟判決では、「商品を購入しようとする一般消費者にとっては、外形のみを信頼して情報を入手するしか術を知らず、一般消費者の信頼を保護するためには、「表示内容の決定に関与した事業者」が法四条一項の「事業者」(不当表示を行った者)に当たるものと解釈すべきであり、「表示内容の決定に関与した事業者」とは、「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解釈するのが相当である。」として、情報の非対称性における一般消費者の信頼を保護する判決文になっている。これに呼応した当時の自公政権は、同年の第百六十九回国会に、不当表示に対する課徴金制度を導入するための「独占禁止法及び景品表示法の一部を改正する法律案」を提出したものの成立せず、衆議院で閉会中審査となった経緯があるが、国として、拡大解釈など言論の自由を脅かすことなく適切に対応し、早急に悪質商法や不当表示による不当収益剥奪や被害者救済制度を明確化する法整備が必要と考える。
従って、次の事項について質問する。
一 昨今、インターネットの普及により、ブログを活用する芸能人や有名人のブログ内における言及効果を、ブログ運営事業者が直接運営し、事業者が人気の高いブログサイトに報酬を支払い、商品の宣伝を依頼する行為が激増していると聞くが、どのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
二 意図的に正体を隠し、善意の第三者を装った口コミによる偽装宣伝が増え、僅かな報酬によって、偽装したブログへ女子大生や主婦などに書き込ませる口コミの情報について、どのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
三 二に関連し、投稿や紹介という行為が、金銭で取引されている実態についてどのように対応していくのか、野田内閣の見解如何。
四 消費者庁によると、「広告代理店やメディア媒体は、商品・サービスの広告の製作等に関与していても、当該商品・サービスを供給している者でない限り、表示規制の対象とはならない」としつつも、「当該広告に不当な表示がなされないよう十分な注意を払ってください」と広告代理店においても何らかの注意義務があることを示唆している。昨夏、某放送局による韓流ドラマの放送枠の拡大など他国を盛り上げた過剰な放送姿勢に批判が集中したが、これについてどのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
五 消費者庁は本年五月九日、第二の「二、口コミサイト」のうち「(三)問題となる事例」に新たな事例を追加し、改めてサービス類型について特に留意事項を示したところである。しかし、電子商取引ガイドラインの考え方を変更するものではなく、当該ガイドラインは引き続きインターネット消費者取引の基本指針となり、違反するか否かは個々の事案ごとに判断されるとし、依然放置されたままになっている。度重なる事例について逡巡し、追加されるだけの現状についてどのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
六 平成二十年五月二十三日、高裁における審決取消訴訟判決での事例における景品表示法の規制対象者について争った解釈についてどのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
七 一〜六に関連し、国として、拡大解釈など言論の自由を脅かすことなく適切に対応し、早急に悪質商法や不当表示による不当収益剥奪や被害者救済制度を明確化する法整備が必要と考えるが、野田内閣の見解如何。
右質問する。
政府答弁書
一から三までについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、インターネットの普及に伴い、事業者が自己の供給する商品又は役務について宣伝することを目的として、「ブログ」において当該商品又は役務に関する記事の作成をすることについて御指摘のような「ブログ運営事業者」に依頼する事例や、「口コミ」を掲載するウェブサイトにおいて当該商品又は役務に関する「口コミ」の投稿をすることについて当該投稿を代行する業者に依頼する事例があることは承知している。
一般論として申し上げれば、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容等についての表示を第三者に依頼した場合において、当該表示が不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものと認められるときは、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。以下「景品表示法」という。)上問題となるおそれがあり、消費者庁としては、インターネット上の表示について動向を注視し、景品表示法違反の行為に対しては厳正に対処することとしているところである。ただし、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容等についての表示を第三者に依頼すること自体は、直ちに景品表示法上問題となるものではないと考える。
四について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないので、お答えは差し控えたい。
なお、消費者庁ホームページにおいて、御指摘のように「当該広告に不当な表示がなされないよう十分な注意を払ってください」と言及したのは、広告代理店に景品表示法上の法的義務があることを示す趣旨ではなく、広告代理店においても、商品又は役務を供給する事業者による景品表示法違反の行為を惹起することがないようにとの注意を喚起したものである。
五について
消費者庁は、景品表示法違反の行為を抑止し、消費者被害を未然に防止するとの観点から、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」等において景品表示法上の考え方や留意点を分かりやすく示すとともに、景品表示法上問題となる事例の追加等を適宜行うことにより、事業者、消費者等に対し注意喚起を行っているところである。もとより、同庁としては、景品表示法第四条第一項の規定により禁止されている不当な表示を行っていることが認められる場合には、景品表示法第六条の規定に基づき当該表示行為の差止めを命ずるなど、厳正かつ迅速に対応しているところであり、今後とも適切に対応していく所存であって、「度重なる事例について逡巡し、追加されるだけの現状」との御指摘は当たらないものと考える。
六について
お尋ねは、裁判所が示した判断に関するものであり、政府として見解を述べることは差し控えたい。
七について
御指摘の「国として、拡大解釈など言論の自由を脅かすことなく適切に対応し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、今後とも景品表示法を適切に運用していく所存である。御指摘の「不当収益剥奪や被害者救済制度を明確化する法整備」については、多数の消費者の被害の回復を容易にするために、一定の消費者団体が当事者となって事業者の法的責任を確定することができるという訴訟制度を創設することを内容とする法律案につき、できる限り早期に成案を得て、国会へ提出することを目指し作業を行っており、また、違法行為を行った事業者に対して行政により経済的な不利益を賦課する制度等に関しても、消費者庁における「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」において検討を行っているところである。
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