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「不当景品類及び不当表示防止法」の運用状況に関する質問主意書
衆議院 第198回 第84号お答えすることは困難 ×4趣旨が明らかではない ×3
質問本文
「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、景表法と略す)の運用に関し、ある健康食品会社が行政処分の取り消しを求めて消費者庁を提訴したと業界紙が報じた。
それによれば、措置命令の対象とされた広告表現は「言葉狩り」であり、健康食品各社は基準の不明瞭な言葉狩りによって商行為が著しく萎縮させられるという。
広告表現の自由も憲法の保障する「表現の自由」に含まれることは確立した判例である。また、報じられたように「言葉狩り」によって、特定の分野の事業活動を広く阻害する効果をもたらしているならば、憲法の保障する「営業の自由」への侵害の恐れも生じることとなる。
むろん、広告表現や商行為は、公益により一定の制限に服すべきことも確立した法解釈であるから、前記訴訟によって浮かび上がる問題点は、景表法の運用の現場において、法適用の基準があいまいであったり、恣意的になっていないかということである。
原則として自由であるべき行為を過度に萎縮させ、結果的に行政による統制下に置いてしまうような事態、いわば自由主義の自殺とも言うべき事態を引き起こしてはならない。
もとより、係争中の事件の司法判断に容喙する意図は無いが、上記事件は、立法の目的と実際の運用のギャップという、立法府として極めて興味深いテーマに気付く契機となったため、実際の法の運用状況について若干の聞き取り調査を行って、知見を深めたところである。
当職は、健康食品等一般に関する景表法の運用状況に問題はないか明らかにすべきと判断したため、以下、質問する。
一 景表法の規制目的は、誤解を与えるような表示をしている商品・サービスから一般消費者を守ることにあり、平易に言うならば、商品・サービスをより良くみせようとした結果、消費者に誤解を与え、実際の商品・サービスと本来思っていたものと大幅に内容が異なる弊害を避けるため、と理解するが、この理解に間違いはないか。
二 景表法の規制目的は、一般消費者保護にあるのに、実際に消費者庁に不当表示であると持ち込まれる案件は、一般消費者からの苦情はごく少数で、大半が他の業者からの情報提供であり、業者間の足の引っ張り合いに使われているという話を耳にした。
もし、景表法が業者間の争いの道具となっている実態があるとすれば由々しき事態である。
そこで、不当表示に関する情報提供について、一般消費者からの苦情と他の事業者からの情報提供の割合はいかほどか確認したい、何割という概数でも構わないので回答を求める。
三 精力的に消費者庁に情報提供している業者や団体があって、それが行政処分の端緒となっているという情報もある。具体名は差し控えるが、公益社団法人、またはその中心をなす事業者が、非加盟の業者を狙い撃ちにしているという噂までもが聞こえてきた。
情報提供は、不適切な広告の存在を知る貴重な端緒ではあるものの、景表法の適用が特定の業者や団体からの情報提供に偏って運用されるならば、当該法人と消費者庁が慣れ合って他の事業者を圧迫しているとの疑念を与えるおそれがあるために、つとめて襟を正す必要がある。
そこで、複数の案件を持ち込む業者や団体はあるか回答を求める。
また、あるとすればそれらの数をあわせてお答え頂きたい。
四 商業広告においては、最終的な内容は広告主が決めるとしても、法的なチェック、とりわけ、広告が不当表示であるか否かといった点は、広告代理店や掲載媒体が主導して行っていると言われている。
このような広告の製作過程を考慮すると、景表法違反が問われる場合、違反広告の拡散の主因はチェックの甘い広告代理店や掲載媒体ではないかという考え方もありうるが、違反広告を世に出した広告代理店や掲載媒体に対する指導や処分は存在するか否か、回答を求める。
五 商品のメリットを訴えたい事業者といえども、景表法の解釈適用については一般消費者同様に素人である。いかなる場合に景表法違反とされるのか、明確なガイドラインや線引きが存在しなければ、広告表現を全面禁止されるにも等しい萎縮的効果が生じる。
法適用の実態について冒頭で触れた訴訟外の事業者から若干の聞き取りを行ってみたところ、景表法第五条第三号に定める「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示」の規定の適用に関し、「全体の印象からみて誤認させる効果があるので違反」とされた事例もあることがわかった。
しかし、「全体の印象」という曖昧かつ抽象的な判断手法は、処分を受ける危険を負う者の行為規範となるべき目安を何ら提示してはいない。
さらに、処分を判断する担当者の恣意性の排除も困難であり、同様の行為については同様に処遇されるべきという法の解釈適用の安定性も担保されない。
このような解釈適用のありかたは、例えるなら刑法の適用において「全体として悪人に見えるからひとまず逮捕しよう」という運用がなされるに等しい。
何が悪いのかが事前に示されず、当局の裁量次第で自在に取締りできる制度に堕する可能性が懸念されるため、このような曖昧模糊たる理由をもって行政処分を課することは、本来自由な経済活動や広告表現を全面的に萎縮させる、過度に広範な規制となっているだけでなく、明確性を欠く規制として罪刑法定主義に反する懸念も生じる。
「全体の印象」での判断が罪刑法定主義に反しないほどに明確であるか否かについて、その理由とともに回答を求める。
六 景表法は、広告を行う業者への制裁が本旨ではなく、消費者保護のために広告内容の適切さを維持することであるから、業者や広告代理店が道を誤らぬように、消費者庁が広告内容の適不適について相談に乗ったり指導を行うようなケアがあっても良いのではないか。
さもないと不意打ち規制と、事業者に受け止められる状況が続くであろうことは想像に難くない。
そこで、景表法の遵守を徹底するための相談や指導を行うことはできないのか、回答を求める。
もし、指導や注意ができないとすれば、その理由もあわせてご回答頂きたい。
逆に、指導や注意等を行っているのであれば、案件に占める大まかな割合も回答頂きたい。
右質問する。
政府答弁書
一について
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。以下「景品表示法」という。)は、景品表示法第一条に規定されているとおり、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的としている。
二及び三について
お尋ねの「一般消費者からの苦情と他の事業者からの情報提供の割合」及び「複数の案件を持ち込む業者や団体」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、消費者庁ホームページ上に掲載している「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」を通じて平成二十九年度に受け付けた不当表示に関する情報提供のうち、「報告者の属性」として「消費者」を選択した割合は約七割、「回答しない」を選択した割合は約二割であり、「競争事業者」、「取引先」又は「その他」を選択した割合はいずれも一割未満である。
四について
お尋ねの「違反広告を世に出した広告代理店や掲載媒体」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、自己の供給する商品又は役務の取引について不当な表示をした事業者以外の者は、景品表示法の規制の対象となるものではない。
五について
お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、「不当景品類及び不当表示防止法第七条第二項の運用指針」(平成十五年十月二十八日公正取引委員会公表、平成二十八年四月一日消費者庁一部改正)等において、景品表示法の規定の意味するところをできる限り明らかにしているとともに、景品表示法の規定に基づく命令を行った場合には、これを公表することにより不当な表示に該当する具体的事例を明らかにして事業者等に対して周知しているところであるから、「広告表現を全面禁止されるにも等しい萎縮的効果が生じる」との御指摘は当たらないと考えている。
六について
お尋ねの「相談」、「指導」及び「注意」並びに「案件に占める大まかな割合」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、消費者庁では、事業者からの景品表示法に関する事前相談に応じる窓口を設けており、各相談者の相談内容に応じて景品表示法上の考え方を回答しているところである。
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