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デジタル映画作品の保存に関する質問主意書

衆議院 第183回 第93号

提出者
日本共産党
提出日
2013年6月4日
内閣転送 2013年6月10日
答弁書受領日
2013年6月14日
提出から10日
答弁の項目数
2
質問 1,518字/答弁 856字

質問本文

映画界では近年、急速にデジタル化がすすんでいる。現在、制作されている映画のほとんどがデジタル撮影、デジタル編集、デジタル完成とすべての工程がデジタル技術のみで作成される作品になっている。上映する映画館も九割近くがデジタル化されている。その結果、フィルムメーカーもその多くが映画フィルムの製造から撤退している。

急速にすすむ映画のデジタル化のもとで、デジタルで製作された映画作品(以下デジタル映画作品)の保存については、我が国においては特に何もなされていない現状にある。政府としてデジタル映画作品の保存に早急に対応すべきと考え、以下、質問する。

一 文化庁長官の裁定により設置された「映画振興に関する懇談会」は、二〇〇三年四月二十四日に「これからの日本映画の振興について〜日本映画の再生のために〜」との提言(以下、提言)を発表している。この中で、「国の映画振興の基本的方向」として、第一に「文化遺産としての映画フィルムの保存」があげられ、「国は、国内で製作され公開された映画作品を文化遺産として保存・継承を行う必要がある」とされている。映画作品の保存は、映画製作者など民間の努力だけではできない。提言では「文化遺産としての映画フィルムの保存」について、「劇場で公開された日本映画のフィルムのほとんどは製作会社において保存されているが、保存のための負担は一企業としては重く、このままでは修復不能に陥るフィルムも発生し得るため、我が国の文化遺産保護の観点から問題である」と述べている。

映画作品をフィルムであれ、デジタルデータであれ今後も文化遺産として民間任せにせず、政府の責任で保存・継承を行う必要があると考えるが、どうか。

二 フィルム映画の場合は保存方法が確立されているが、デジタル映画作品の保存については着手されていないのが現状である。このままでは、保存の方法が確立されない間、作品保存の空白が生じかねない。現状では、作品保存の空白が生じればデジタル映画作品が散逸する危機にあると考えるが、どうか。

三 米国などで行われているデジタル映画作品を保存方法の確立しているフィルム化して保存することも含め、早急に映画製作者などの映画関係者と協議を行うなど政府として、デジタル映画作品の保存実施のための調査・研究を開始し、政府の責任で、早急にデジタル映画作品の保存に取り組むべきと考えるが、どうか。

四 急速なデジタル化のもとでフィルム映画作品を上映する映写機自体が多くの映画館で使用されない状態になれば、フィルム作品のまま保存されている作品については今後、国民が鑑賞する機会は大幅に減少する可能性がある。また、フィルム原版のある映画作品でも「ビネガーシンドローム」によってフィルムの劣化がはじまっているものもあり、デジタルによる修復が必要となる。今後、フィルム作品のデジタル化も早急に取り組む必要があると考えるが、どうか。

五 「東京国立近代美術館フィルムセンター」(以下フィルムセンター)が今後とも映画作品の収集・保存において主要な役割を果たすことが必要だと考える。フィルム作品の収集・保存をさらに拡充することはもちろん、デジタル映画作品についてもフィルムセンターが調査、研究、および保存に主要な役割を果たすべきであり、それを担うにふさわしい人員、予算の抜本的な拡充が必要だと考えるが、どうか。

さらに、提言には、フィルムセンターが「我が国唯一の国立の映画に関する専門機関」にふさわしく、「フィルムセンターの独立」をかかげている。政府として、フィルムセンターを独立した機関とするための取り組みをただちに開始すべきではないか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一から四までについて

文部科学省としては、御指摘の「映画作品」の「保存・継承」などを行うことは我が国の映画の振興を図る観点から重要であると考えており、現在、独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館フィルムセンター(以下「フィルムセンター」という。)において、映画フィルムの計画的な収集、保存等を行っているところである。

もっとも、御指摘の「デジタル映画作品」の保存や「フィルム映画作品」のデジタル化等については、現在、フィルムセンターにおいて、デジタル技術を用いた「フィルム映画作品」の修復等を行っているところではあるが、そもそもデジタル方式の記録媒体等に係る技術革新が近年において急速に進行し、多種多様な記録媒体等が存在する状況となっており、かつ、それらの記録媒体等が急速に進歩することによって、今後、機器やデータ等の定期的な更新等を要することとなるなどという指摘もあることに加えて、映画に係る業界団体等において、デジタル方式の記録媒体等が統一されておらず、その長期的な保存方法に関する統一的なルールも確立していないなど、「デジタル映画作品」やデジタル化された「フィルム映画作品」の「保存・継承」などの上で、なお検討を要する様々な課題があると認識しており、同省としては、「デジタル映画作品」を含む映画の製作等に係る支援等を通じて日本の映画の振興等に努めてはいるものの、「デジタル映画作品」やデジタル化された「フィルム映画作品」の「保存・継承」などに係る課題については、まずは、映画に係る業界団体等における検討の動きを注視しているところである。

五について

文部科学省においては、これまでもフィルムセンターが行う映画フィルムの収集、保存等に関する活動に係る経費を含め、独立行政法人国立美術館に対して必要な予算を措置してきたところであり、今後も必要な予算を措置してまいりたい。また、御指摘の「フィルムセンターの独立」については、独立行政法人改革の状況や国の財政状況などを踏まえつつ、今後、適切に対応してまいりたい。

衆議院の原文

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