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投票価値の平等及び区割り改定法案に関する質問主意書

衆議院 第183回 第96号

提出者
民主党・無所属クラブ
提出日
2013年6月5日
内閣転送 2013年6月10日
答弁書受領日
2013年6月14日
提出から9日
答弁の項目数
4
質問 1,560字/答弁 1,667字

質問本文

選挙区間の投票価値の最大較差が二・三〇四倍となった平成二十一年衆議院総選挙につき、平成二十三年最高裁大法廷判決は「違憲状態」と判示した。これを受けて、昨年十一月にいわゆる緊急是正法が成立し、政府は、同法に基づく衆議院小選挙区区割り改定法案を第百八十三回国会に提出している。しかし、現在係争中の一票の格差違憲訴訟の中で、三つの高裁・高裁支部が「緊急是正法は最高裁大法廷判決の説示に沿った改正とは質的に異なる」などと判示し、緊急是正法及び同法に基づく区割り改定法案について憲法上の疑義が指摘されるに至っている。

そこで、以下質問する。

一 平成二十三年最高裁大法廷判決は、区画審設置法三条に規定されていた「一人別枠方式」について、「遅くとも平成二十一年総選挙時においては、その立法当時の合理性は失われ、それ自体、憲法の投票価値の平等に反する状態に至っていた」などと判示した。同判決は、最大二・三〇四倍となった投票価値の較差にとどまらず、一人別枠方式そのものが憲法違反であるとの見解を示したものであると認識しているが、政府も同様の認識か。

二 平成二十三年最高裁大法廷判決は、「できるだけ速やかに一人別枠方式を廃止し、区画審設置法三条一項の趣旨に沿って区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要がある」とも判示している。区割り改定法案は、同判決に従い、一人別枠方式を廃止したものといえると政府は認識しているのか。

三 平成二十三年最高裁大法廷判決に従って一人別枠方式を廃止し、小選挙区を人口比例で都道府県に配分すれば、定数二百九十五の場合、小選挙区数は〇増五減ではなく十八増二十三減となり、例えば、東京都の小選挙区数は五増、神奈川県は三増、愛知県及び埼玉県は二増となる。しかし、区割り改定法案では、十八増に該当する都道府県は、いずれも現在の小選挙区数のまま据え置かれているが、その理由は何か。実質的に一人別枠方式が残っていると考えるべきではないか。

四 平成二十二年国勢調査では、神奈川県の人口は九百四万八千三百三十一人、大阪府は八百八十六万五千二百四十五人であるが、区割り改定法案では、神奈川県の小選挙区数は十八、大阪府が十九となっており、逆転現象が生じている。これは投票価値の平等に反しているのではないか。

五 同様に、一人別枠方式を廃止し、小選挙区を人口比例で都道府県に配分すれば、定数二百九十五の場合、鳥取県の小選挙区数は一となるところ、区割り改定法案では二となっているが、その理由は何か。実質的に一人別枠方式が残ったままで、その廃止を求めた平成二十三年最高裁大法廷判決の要請を満たしておらず、投票価値の平等に反しているのではないか。

六 平成二十三年最高裁大法廷判決は、衆議院議員は「いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請され」ており、「地域性に係る問題のために、殊更にある地域の選挙人と他の地域の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い」と判示している。人口比例に基づかず、鳥取県に小選挙区二を配分している区割り改定法案は、同判決に反しているのではないか。

七 平成二十三年最高裁大法廷判決は、選挙区間の投票価値の最大較差が二・三〇四倍となった平成二十一年総選挙について「違憲状態」と判示したが、同判決は、最大較差が二倍未満であれば憲法が要求する投票価値の平等を満たしているとまで述べたものではないと承知している。政府は、選挙区間の最大較差が二倍未満でさえあれば、小選挙区の配分が人口比例でなくとも、投票価値の平等に反していないと認識しているのか。同様の見解を示した最高裁判決はあるのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

お尋ねについては、平成二十一年八月三十日に執行された第四十五回衆議院議員総選挙に係る最高裁判所平成二十三年三月二十三日判決(以下「平成二十三年最高裁判決」という。)は、「本件選挙時において、本件区割基準規定の定める本件区割基準のうち一人別枠方式に係る部分は、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っており、同基準に従って改定された本件区割規定の定める本件選挙区割りも、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていたものではあるが、いずれも憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、本件区割基準規定及び本件区割規定が憲法十四条一項等の憲法の規定に違反するものということはできない」と判示しているものと認識している。

二について

衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(以下「区割り改定法案」という。)は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第九十五号。以下「緊急是正法」という。)の規定に従い、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「区割り審議会」という。)からの衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案(以下「区割り改定案」という。)の勧告を受けて国会に提出したものである。

緊急是正法は、平成二十三年最高裁判決を受けて、投票価値の平等を確保するという要請を踏まえ、各党各会派による御議論を経て、各選挙区間の人口較差を緊急に是正し、違憲状態を早期に解消するために、議員立法により制定されたものであり、緊急是正法においては、御指摘の「一人別枠方式」を定めた衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成六年法律第三号)第三条第二項の規定を削除し、当該規定に代えて、緊急是正法附則第三条第一項の規定に基づき、緊急是正法附則別表において、今次の区割り改定案に係る各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が定められているところである。また、緊急是正法の提案理由説明においては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数について、御指摘の「一人別枠方式」を廃止する旨の説明がされているものと承知している。

三から六までについて

区割り改定法案は、緊急是正法の規定に従い、区割り審議会からの区割り改定案の勧告を受けて国会に提出したものであり、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、緊急是正法附則第三条及び附則別表に定められたとおりのものである。また、二についてでお答えしたところからも、区割り改定法案について、「実質的に一人別枠方式が残っていると考えるべきではないか」、「投票価値の平等に反しているのではないか」、「実質的に一人別枠方式が残ったままで、その廃止を求めた平成二十三年最高裁大法廷判決の要請を満たしておらず、投票価値の平等に反しているのではないか」及び「同判決に反しているのではないか」との御指摘はいずれも当たらないものと考えている。

七について

お尋ねについては、平成二十三年最高裁判決は、「衆議院議員の選挙制度においては、都道府県を定数配分の第一次的な基盤とし、具体的な選挙区は、これを細分化した市町村、その他の行政区画などが想定され、地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素が考慮されるものと考えられ、国会において、人口の変動する中で、これらの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められているところである。したがって、このような選挙制度の合憲性は、これらの諸事情を総合的に考慮した上でなお、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するか否かによって判断されることになる」と判示しているものと認識している。

衆議院の原文

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