ことばで探す › 衆議院 第190回
「被爆体験者」の救済に関する質問主意書
衆議院 第190回 第303号
質問本文
高齢化する「被爆体験者」の救済をすすめる観点から以下質問する。
一 平成二十八年二月二十二日長崎地裁判決では一部の「被爆体験者」について身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったと認定された。「被爆体験者」も原子爆弾の被害により心身の健康に影響を受けている点で被爆者に該当すべきと考えるが、なぜ区別するのか。
二 同長崎地裁判決では、外部被曝や内部被曝の状況を総合的に判断し、いわゆる救護被爆者以外の者についても「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」として認定している。政府としても、被爆者援護法第一条第三号の規定による「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」の認定に当たっては、原爆投下当時の外部被曝や内部被曝の状況により総合的に認定を行うということでよいか。
三 原爆被爆地域は、爆心地から南北に約十二キロメートル、東西に約七キロメートルの区域となっている。原爆の被害は、爆心地から同心円状の半径約十二キロメートルが妥当とする見解が根強くある。そもそも昭和三十二年「原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」の被爆地域の指定が不合理なものであったと考えるが、どのような検討を行い、この範囲を妥当と判断したのか、当時の議論の経過を示されたい。また、指定範囲を再検討し、見直すべきではないか。
四 これまでの原爆症認定を巡る司法での判断を踏まえ、高齢化し、病苦に苦しむ「被爆体験者」の救済に向けて、現在の被爆者援護法上の被爆者と同等の取扱いがなされるよう国として政治的な決断をすべきではないのか。
右質問する。
政府答弁書
一について
御指摘の「被爆体験者」については、被爆体験者精神影響等調査研究事業の対象となる原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則(平成七年厚生省令第三十三号)附則第二条の規定により第二種健康診断受給者証の交付を受けた者を指すものと解され、これらは、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号。以下「法」という。)附則第十七条の政令で定める区域内に在った者に当たることとなるが、平成六年十二月に当時の厚生省の検討班が取りまとめた「「長崎原爆残留放射能プルトニウム調査報告書」検討報告書」においては、土壌に残留するプルトニウムに関する調査を検証した結果、法第一条第一号に規定する区域(以下「被爆区域」という。)を除く長崎の爆心地から十二キロメートルの区域内においては、長崎に投下された原子爆弾の放射性降下物の残留放射能による健康への影響はないと結論付けられている。また、平成十三年八月に厚生労働省の原子爆弾被爆未指定地域証言調査報告書に関する検討会が取りまとめた報告書においては、当該地域住民に見られた健康水準の低下について、「原子爆弾の放射能による直接的な影響ではなく、もっぱら被爆体験に起因する不安による可能性が高いものと判断された」とされている。これらのことから、御指摘の「被爆体験者」については、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったと認めることはできず、同条に規定する被爆者には該当しないと考えている。
なお、御指摘の平成二十八年二月二十二日の長崎地方裁判所判決については、被告である長崎県及び長崎市が控訴しているところであると承知している。
二について
法第一条第三号に該当する者については、「被爆者援護法第一条第三号に係る審査の指針」(平成二十二年二月二十三日付け厚生労働省健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室事務連絡)において示されているとおりである。
三及び四について
被爆区域については、日本学術会議が編集した「原子爆弾災害調査報告集」に記載されている実地調査も含めた様々な調査報告等の科学的知見に基づき、行政区画の範囲も考慮に入れて指定したものであり、被爆区域の拡大には、原子爆弾の放射線による健康への影響についての科学的かつ合理的な根拠が必要であると考えている。
現在得られている科学的知見では、被爆区域以外の区域において、原子爆弾の放射線による健康への影響があったことは認められていないことから、政府としては、被爆区域を拡大する必要があるとは考えておらず、御指摘の「被爆体験者」を法第一条に規定する被爆者と同等の取扱いとすることはできないと考えている。
なお、被爆区域以外の地域住民への被爆者健康手帳交付申請却下処分の是非について争われた平成二十八年五月二十三日の福岡高等裁判所判決においては、被告である長崎県及び長崎市の主張が認められているところであると承知している。
似た質問主意書
件名と質問本文の冒頭の意味が近いものを、前もって計算しておいた表から近い順に8件並べました(multilingual-e5-large)。同じ言葉を使っていなくても出ます。論点が少しずれていることもあります。