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在外被爆者保健医療助成事業に関する質問主意書
衆議院 第162回 第50号お答えすることは困難 ×2
質問本文
在外被爆者への支援について、国は、二〇〇四年度から、在外被爆者保健医療助成事業を開始することとした。この事業は、外国に居住する被爆者の医療費等に対して一部助成を行なうというもので、原爆投下から六十年を迎えて被爆者の高齢化が進む中で、在外被爆者の方々や関係者の切実な要求がようやく実施されることになった。
緊急の課題であったにもかかわらず、国が、これまで対策を講じてこなかった責任は厳しく問われなければならない。
現在、在外被爆者保健医療助成事業を実施するにあたり、国は、関係地方自治体が事業の実施主体となることとしているが、在外被爆者に対する支援は、国が自ら責任を持って果たすべき事業であると考える。
従って、次の事項について質問する。
一 在外被爆者に対する援護施策の追加事業として、在外被爆者保健医療助成事業が、二〇〇四年度から開始されているが、在外被爆者が居住する各国の医療制度が異なる中で、この事業を適正かつ迅速に行なうことができるというのか、そのために、関係自治体をはじめ民間機関の協力を含めてどのような体制と方法で実施しているのか。
二 在外被爆者保健医療助成事業を始めるに至った契機と理由はなにか。また、保健医療費(入院・通院等)一人の年間の助成額(上限)など、その内容について伺いたい。
三 在外被爆者は、国別に何名おられるのか明らかにされたい。
四 在外被爆者が、在外被爆者保健医療助成の対象となるための要件はあるのか。
例えば、被爆者でありながら被爆者健康手帳を持っていない方で、病気等の理由で渡日できない場合には、どのような手立てを講ずるのか。
五 在外被爆者が居住する当該国の医療保険制度の概要を明らかにされたい。
南米の場合には、公的医療保険制度は存在しないので、民間保険に加入していなければ医療機関の診療は受けられないと聞いているが、この場合の保健医療費の助成はどのように行なうのか。
六 「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(以下「被爆者援護法」という。)に基づく被爆者に対する援護事業は、地方自治法上の法定受託事務として、国が本来果たすべき役割としている事業ではないのか。
七 在外被爆者保健医療助成事業については、在外被爆者渡日支援等事業の一環としての事業とした理由及び予算措置に基づく事業としたのは何故か。
八 在外被爆者保健医療助成事業は、被爆者援護法の枠外の事業であるとしても、被爆者に対する援護事業と密接に関連した事業である。本事業は、地方自治法上の法定受託事務なのか、それとも自治事務なのか。もしこの事業を自治事務というならその理由と根拠を明確にされたい。また、自治事務であるならば事業実施の有無は地方自治体の判断となる。国の責任において在外被爆者に対する援護策を行なっているのであれば、そもそも自治事務の中で、この事業を位置づけることは矛盾しているのではないのか。
九 在外被爆者保健医療助成事業の実施主体が、関係自治体でなければならない理由と根拠はなにか。
十 関係地方自治体が、在外被爆者保健医療助成事業の実施主体になることに対して、本事業の医療費の助成等をめぐり在外被爆者との間で訴訟が提起されることも想定され、その場合には、国の責務である被爆者援護対策で、地方自治体の責任が問われかねない。また、自治体は訴訟に係る対応、費用等の負担が生じることになる。このことについてどのように考えているのか。
仮に、訴訟が提起された場合には、この事業が地方自治法上の法定受託事務か自治事務かで、責任等どのような差異がでてくるのか。
十一 在外被爆者保健医療助成事業は、被爆者援護法に基づく事業でないとはいえ、国が本来果たすべき役割とする事業であり、国がその適正な処理を特に確保する必要があるとされる事業ではないのか。
しかも、在外被爆者は外国に居住していることを考えあわせれば、国が責任を持ち実施主体として事業を行なうのは当然のことではないのか。
十二 被爆者援護法に基づく援護事業は、法改正がなされない限り、今後とも安定して事業運営がなされ、健康管理手当など各種手当の支給については制度として定着したものと考えるが、この在外被爆者保健医療助成事業は、予算措置に基づく事業であり、今後五年、十年後の事業運営が保障されているわけではない。
1 在外被爆者は十分な額ではないにしろ、保健医療費の助成であり、各種手当のように生涯にわたる支給を期待していると思うが、国は、この保健医療助成事業の今後の展開をどのように考えているのか。
2 この事業が、二年ないし三年ではなく、長期にわたる事業になると認識しているのであれば、法律に基づく事業ではなく、なにゆえに不安定な予算措置事業で実施することとしたのか。
3 地方自治体は、保健医療助成事業の先行きを懸念している中で、この事業について、国の補助率を十分の十としているが、将来にわたって変更がないことを保証できるのか、すなわち全額国庫負担ということを確約できるのか、見解を伺いたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び九について
「在外被爆者保健医療助成事業実施要綱」(平成十六年十二月二十一日付け健発第一二二一〇〇四号厚生労働省健康局長通知の別紙一)に基づく在外被爆者保健医療助成事業(以下「本事業」という。)については、その適正かつ迅速な実施を図るため、これまで「在外被爆者渡日支援等事業実施要綱」(平成十四年五月三十一日付け健発第〇五三一〇〇三号厚生労働省健康局長通知の別紙)等に基づき、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾により被爆した者であって日本国内に居住地又は現在地を有しないもの(以下「在外被爆者」という。)に対し、在外被爆者の居住国において健康相談事業等を実施してきている広島県及び長崎県並びに広島市(以下「広島県等」という。)が実施主体となっている。また、本事業による助成費の支給に関する審査及び支払に関する業務について、広島県及び広島市は、在外被爆者の健康状態の調査等に実績を有する財団法人日本公衆衛生協会に、長崎県は、大韓民国赤十字社に、それぞれ委託するとともに、それぞれ当該業務の監督、指導等を行っているところである。
二について
在外被爆者に対しては、その健康の保持及び増進を図ることを目的として、平成十四年度に在外被爆者渡日支援等事業実施要綱を定め、健康相談等の支援を行ってきたところであるが、在外被爆者の高齢化が進んでいることから、健康上の理由により来日が困難な者も含め在外被爆者の支援を図るため、在外被爆者保健医療助成事業実施要綱を定め、平成十六年度予算において、在外被爆者(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号。以下「法」という。)第二条に規定する被爆者健康手帳の交付を受けている者又は在外被爆者渡日支援等事業実施要綱の三の(六)のアに規定する被爆確認証(以下単に「被爆確認証」という。)の交付を受けている者に限る。)の居住国の医療機関において必要な医療を受けた場合の医療費等について、支援を行うこととした。
また、本事業においては、在外被爆者一人当たりの年間の助成の上限額を原則として十三万円としている。
三について
在外被爆者の居住国別の人数については、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令(平成七年政令第二十六号)第二条に規定する被爆者健康手帳交付台帳を基にした都道府県並びに広島市及び長崎市からの報告で把握できる範囲でお答えすると、平成十六年十二月三十一日時点における被爆者健康手帳の交付を受けた在外被爆者の居住国別の人数は、大韓民国約二千三百人、アメリカ合衆国約八百七十人、ブラジル約百四十人、その他約三十か国約二百二十人となっている。
四について
本事業の対象者は、被爆者健康手帳の交付を受けている在外被爆者又は健康上の理由により来日できない者に対し交付される被爆確認証の交付を受けている在外被爆者である。したがって、お尋ねの場合については、被爆確認証の交付を受ければ、本事業の対象者となる。
五について
在外被爆者の居住国は、三十か国以上にわたっており、公的医療保険制度が充実している国から必ずしもそうではない国まで様々であると承知している。また、お尋ねの場合については、医療事情等に照らし、特例として、在外被爆者が支払った民間保険会社の医療保険の保険料について助成を行うこととなっている。
六について
法第三章(第五節を除く。)の規定により都道府県並びに広島市及び長崎市が行う各種の手当の支給等の援護に関する事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であり、法第三章第五節の規定により都道府県並びに広島市及び長崎市が行う相談等の援護に関する事務は、同条第八項に規定する自治事務である。
七及び十二の2について
在外被爆者に対しては、平成十四年度以降、その健康の保持及び増進を図ることを目的として、在外被爆者渡日支援等事業実施要綱に基づく事業により、健康相談等の支援を行っているところであり、本事業もこれと目的を同じくするものであることから、この在外被爆者渡日支援等事業実施要綱に基づく事業として位置付け、予算措置を講じている。
八及び十一について
広島県等における本事業に関する事務は、地方自治法第二条第九項各号に掲げる事務には該当しないことから、同条第八項に規定する自治事務である。また、被爆者に対する援護については、事業の内容等に応じて、都道府県並びに広島市及び長崎市と連携を図りながら実施すべきものであり、必ずしも法定受託事務として実施しなければならないものとは考えていない。
十について
本事業の実施に当たって、どのような訴訟が提起されるのかをあらかじめ想定することは、困難であると考えており、お尋ねの地方公共団体の訴訟に係る対応及び費用等の負担並びに本事業が法定受託事務であるか自治事務であるかによる責任等の差異についてお答えすることは困難である。
十二の1及び3について
本事業は、平成十六年度予算において創設されたばかりであり、実施状況等を踏まえ、適切に対応したいと考えている。
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