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政府による中長期の経済財政試算に関する質問主意書
衆議院 第191回 第51号
質問本文
政府は、財政健全化の目標として、国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を平成三十二年度までに黒字化することを掲げており、本年の第百九十回国会における施政方針演説においても、安倍内閣総理大臣は「二〇二〇年度の財政健全化目標を堅持します。」と述べている。
その目標達成に向けた政府の見通しが、平成二十八年第十三回経済財政諮問会議(本年七月二十六日開催)に内閣府が提出した「中長期の経済財政に関する試算」(以下「七月試算」という。)に示されているが、前回の試算(平成二十八年第一回経済財政諮問会議(本年一月二十一日開催)に提出された同試算。以下「一月試算」という。)に比べ、「二〇二〇年度の(基礎的財政収支の)赤字幅が縮小」したと一部で報道されている。
七月試算については、財政健全化への取組をアピールするという政権の意向を受けて、試算の前提を一月試算から変えている疑いがあることから、次の項目について、以下質問する。
一 一月試算と七月試算を比較すると、経済再生ケースにおいて、基礎的財政収支対象経費が対GDP比で(以下この項において同じ。)〇・一二ポイント増加する一方、国の税収等が〇・一八ポイント、地方の税収等が〇・一七ポイントそれぞれ増加している。また、ベースラインケースにおいては、国の税収等が〇・二二ポイント、地方の税収等が〇・二〇ポイントそれぞれ増加するとともに、地方の歳出が〇・二一ポイント減少している。すなわち、七月試算において、二〇二〇年度の基礎的財政収支の赤字幅が縮小した主な要因は、国や地方の税収等を上方修正したことと深く関係しているが、上方修正の理由を簡潔に答弁されたい。
二 一月試算においては、「財政面における主要な想定」として、「二〇一七年度以降の期間について、社会保障歳出は高齢化要因等で増加、それ以外の一般歳出は物価上昇率並に増加すると想定」されていた。しかし、七月試算における「二〇一七年度の歳出に関する想定」は、「賃金・物価の動向や一定の歳出改革等を勘案し、結果として高齢化等を除く歳出の増加率が賃金・物価上昇率の半分程度となる」と変更されている。その理由如何。
三 一月試算における「物価上昇率並」とは具体的に何%か。七月試算における「賃金・物価上昇率」とは具体的に何%か。
四 七月試算にいう「賃金・物価上昇率」はどのように計算しているのか、具体的な計算式を示されたい。当該「賃金・物価上昇率」の算出の前提となる「賃金上昇率」及び「物価上昇率」はそれぞれ何%か。
五 わずか半年間で、「二〇一七年度の歳出に関する想定」を変更し、しかも、歳出の伸びに、これまで用いることのなかった「賃金上昇率」を加味した数字を用いることとした理由如何。
六 歳出の増加率を「賃金・物価上昇率」の「半分程度」に減じた理由如何。
七 「高齢化等を除く歳出の増加率が賃金・物価上昇率の半分程度となる」とは、どの支出項目をいくら減らすのか、その具体的な歳出削減メニューの目途はあるのか。ある場合、その項目と具体的な削減率及び額を明示されたい。
八 七月試算における全要素生産性(以下「TFP」という。)の前提は、一月試算から変更ないか。
九 七月試算の前提となっている各年度のTFPの値を、経済成長ケースとベースラインケースのそれぞれの場合において示されたい。
十 二〇一九年十月の消費税率引上げの結果、二〇二〇年度には何兆円の増収を見込んでいるのか。また、その額は二%増税分を平年度化した税収の何%に当たるか。
十一 一月試算における実質GDP成長率の予測では、二〇一六年度に成長率が上昇し、翌二〇一七年度に落込みが見られる。これは、二〇一七年四月の消費増税による駆込み需要とその後の反動減を前提として試算しているためである。一方、七月試算における実質GDP成長率の予測では、二〇一九年十月に消費増税を予定しているにもかかわらず、同様な上昇と落込みが見られない。この理由如何。
十二 七月試算の経済再生ケースとベースラインケースを比べた場合、二〇二〇年度のプライマリーバランスは経済再生ケースの方が改善する一方で、国債費を含めた歳出増額と税収とのギャップは、経済再生ケースの方が大きくなっている。経済再生ケースの方がむしろ財政状況が悪化していると考えるが、政府の認識如何。
右質問する。
政府答弁書
一について
「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年七月二十六日経済財政諮問会議提出。以下「七月試算」という。)において、平成三十二年度における名目GDPに対する国及び地方の税収等の比率が、それぞれ、「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年一月二十一日経済財政諮問会議提出。以下「一月試算」という。)における当該比率と比べて高くなったのは、主に、平成二十七年度の名目GDPの実績値や「平成二十八年度内閣府年央試算」(平成二十八年七月十三日経済財政諮問会議提出)における平成二十八年度の名目GDPの見込みが、一月試算時の名目GDPの見込みと比べ低かったことに伴うものである。
二、五及び六について
七月試算においては、昨年七月に公表した「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十七年七月二十二日経済財政諮問会議提出)と同様、翌年度の概算要求基準等について議論する経済財政諮問会議の審議に資するため、同年度の歳出の前提について、賃金・物価の動向や一定の歳出改革等を勘案し、結果として高齢化等を除く歳出の増加率が賃金・物価上昇率の半分程度となると仮定して機械的に計算した。
これは、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定。以下「基本方針二〇一五」という。)において、「一般歳出については、安倍内閣のこれまでの取組を基調として、社会保障の高齢化による増加分を除き、人口減少や賃金・物価動向等を踏まえつつ、増加を前提とせず歳出改革に取り組む」こととされていることを踏まえたものである。
三及び四について
一月試算及び七月試算は、経済財政諮問会議での議論に資するため、基本方針二〇一五等に掲げたマクロ経済や財政健全化に関する目標の進捗状況を点検し、中長期の経済財政の姿を展望することを目的としている。
したがって、一月試算及び七月試算は目的に必要な範囲で、経済成長率、基礎的財政収支、財政収支等を簡潔に示すこととしており、試算過程における数値は、正式に公表するものとしての検討は行っていないことから、お示ししていないところである。
七について
七月試算における平成二十九年度の歳出に関する「賃金・物価の動向や一定の歳出改革等を勘案し、結果として高齢化等を除く歳出の増加率が賃金・物価上昇率の半分程度となる」との想定は、計算上の機械的な仮定である。
八について
お尋ねの七月試算における全要素生産性上昇率の前提については、直近の実績値が一月試算時と比べ低下したことを織り込んでいるが、直近の水準で平成二十八年度まで推移した後、経済再生ケースでは二千二十年代初頭にかけて二・二パーセント程度まで、ベースラインケースでは二千二十年代初頭にかけて一・〇パーセント程度まで上昇するとの考え方は一月試算と同様である。
九について
お尋ねの七月試算の経済再生ケースにおける全要素生産性上昇率の前提は、平成二十七年度が〇・四パーセント程度、平成二十八年度が〇・四パーセント程度、平成二十九年度が〇・八パーセント程度、平成三十年度が一・三パーセント程度、平成三十一年度が一・七パーセント程度、平成三十二年度以降が二・二パーセント程度である。
お尋ねの七月試算のベースラインケースにおける全要素生産性上昇率の前提は、平成二十七年度が〇・四パーセント程度、平成二十八年度が〇・四パーセント程度、平成二十九年度が〇・八パーセント程度、平成三十年度が〇・九パーセント程度、平成三十一年度が〇・九パーセント程度、平成三十二年度以降が一・〇パーセント程度である。
十について
七月試算は、経済財政諮問会議での議論に資するため、基本方針二〇一五等に掲げたマクロ経済や財政健全化に関する目標の進捗状況を点検し、中長期の経済財政の姿を展望することを目的としている。
したがって、七月試算は目的に必要な範囲で、経済成長率、基礎的財政収支、財政収支等を簡潔に示すこととしており、個別の税目別の税収等、試算過程における数値は、正式の試算値としての検討は行っていないことから、お示ししていないところである。
十一について
七月試算においては、平成三十一年十月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要及び反動減について、それぞれの影響がほぼ平成三十一年度内に相殺される見込みである。
十二について
七月試算の平成三十二年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支及び財政収支については、ベースラインケースと比べ経済再生ケースの方が赤字幅が小さくなっており、ベースラインケースと比べ経済再生ケースの方が財政状況が悪化しているとは認識していない。
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