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二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化に関する質問主意書
衆議院 第193回 第41号お答えすることは困難 ×1趣旨が明らかではない ×1
質問本文
内閣府は平成二十九年一月二十五日に開催された政府の経済財政諮問会議に「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「試算」という。)を提出した。
その中で、中長期的に実質二%、名目三%以上という高い成長率を前提とした「経済再生ケース」と、実質一%弱、名目一%半ば程度を前提にした「ベースラインケース」の両方の試算を行っている。
二〇二〇年度の基礎的財政収支(PB)については、昨年七月の前回試算における「経済再生ケース」では、赤字幅は五・五兆円程度の見通しだったが、今回八・三兆円程度に拡大し、「ベースラインケース」では前回の九・二兆円程度から十一・三兆円程度に拡大となった。
また二〇一八年度については、「経済・財政再生計画」において「中間評価」を行い、PB赤字の対国内総生産(GDP)比一%程度を目安とすることとされてきたが、今回はこれについて、「消費税率の再引上げを二〇一九年十月に延期することとされたことから、中間評価に当たっては、こうした影響を踏まえる必要がある」との説明を行っている。
こうした試算を踏まえて、以下の点を明らかにされたい。
一 中長期的に実質二%、名目三%以上という高い成長率を前提とした「経済再生ケース」と、実質一%弱、名目一%半ば程度を前提にした「ベースラインケース」の両方で試算しているが、この経済成長の設定は妥当なものであるのか。特に経済再生ケースの成長率は高すぎるのではないか。政府の見解を示されたい。
二 二〇一八年度の中間評価に関し、消費税率の再引き上げを二〇一九年十月に延期するとされたことから、こうした影響を踏まえる必要があるとされているが、消費税の再引き上げ延期決定は二〇一六年六月であり、なぜ今になって消費税の再引き上げ延期の影響を踏まえる必要が発生したのか。本来であれば、消費税再引き上げ延期を決定した二〇一六年六月の時点で、その影響を踏まえることを念頭に置くべきであろうし、少なくとも昨年七月の前回試算時に中間評価への影響について言及すべきだったと思われるが、その時点で中間評価への影響に言及しなかった理由はなにか。その時点では、消費税再引き上げの影響が中間評価には及ばないと判断し、その後の事情の変化により、影響が及ぶと判断したと思われるが、その事情の変化は何か。これらの諸点について、政府の見解を示されたい。
三 「経済再生ケース」において公債等残高の対GDP比率は二〇一七年度から二〇二五年度にかけて低下していくが、その理由を明らかにされたい。
四 二〇二三年度以降は長期金利が名目GDP成長率を上回り、低金利で発行した既発債のより高い金利による借り換えが進んでいくため「留意が必要」だとしているが、これは、二〇二六年度以降は公債等残高の対GDP比率は上昇傾向に転じていくことを意味しているのか。政府の見解を示されたい。
五 試算では、名目GDPが、二〇二〇年度に六百兆円、二〇二四年度に七百兆円に拡大するとしているが、その根拠を示されたい。
六 政府は二〇二〇年度にPBを黒字にするとの目標を掲げているが、これは国際社会にも公約したものと理解して良いか。見解を示されたい。
七 政府は二〇一八年度に行う予定の財政状況の中間評価では、二〇一八年度時点で赤字をGDPの一%程度に抑える「目安」を設けているが、試算は二〇一八年度の赤字がGDPの二・四%までしか縮小しないと予測している。これは事実上、「目安」が達成できないことを意味するが、そのような認識で良いか。また、この「目安」が達成できないことを政府はどのように受け止めているのか。見解を示されたい。
八 試算によれば、経済再生ケース、ベースラインケース、いずれにおいても収支改善が遅れることが明らかになり、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化は難しいと判断される。この点に関する政府の見解を示されたい。
九 安倍総理は、平成二十九年一月二十日の施政方針演説では、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化に触れなかったが、もはや基礎的財政収支の黒字化は重要とは考えていないのか。政府の見解を示されたい。
十 試算で言及されている、GDP規模、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標、債務残高のGDP比、これらのうち現時点で政府が特に目標達成が必要だと考えるものは何か。その優先順位はどのようなものか。見解を示されたい。
十一 名目成長率が一%台半ば、実質成長率が一%弱というベースラインケースだと、基礎的財政収支は黒字にならず、二〇二〇年度以降も再び悪化するという予測が示されている。債務残高GDP比も上昇が続くが、政府はこうした状況もあり得ると判断しているのか。見解を示されたい。
右質問する。
政府答弁書
一及び十一について
「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十九年一月二十五日経済財政諮問会議提出。以下「一月試算」という。)においては、経済再生ケースとして、デフレ脱却・経済再生に向けた経済財政政策の効果が着実に発現することで、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻す姿を試算する一方、ベースラインケースとして、経済が足下の潜在成長率並みで将来にわたって推移する姿を試算している。これは、政府の掲げる経済再生と財政健全化のこれまでの進捗状況とともに、今後、目標実現のために必要となる取組の検討に必要な基礎データを提供するため、経済再生ケースとベースラインケースの二つのケースを比較考量できるようお示ししているものである。
二について
御指摘の昨年七月の「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十八年七月二十六日経済財政諮問会議提出)では、「「経済・財政再生計画」で、集中改革期間における改革努力のメルクマールとして設定した二千十八年度の基礎的財政収支赤字対GDP比▲一%程度の目安について、二千十七年度予算の姿も見極めつつ、過度な歳出抑制にならぬよう、消費税率再引上げの二千十九年十月への延期の影響に関し点検・適切な対応を行うこととしている」としており、「中間評価への影響に言及しなかった」との御指摘は当たらない。
三について
一月試算の経済再生ケースにおいては、国・地方の基礎的財政収支の対GDP比の改善が進むとともに、低金利の効果もあり、公債等残高対GDP比は低下していく姿となっている。
四について
お尋ねの「二〇二六年度以降の公債等残高の対GDP比率」については、試算を行っていないため、お答えすることは困難である。
五について
一月試算の経済再生ケースにおいて、名目GDPが二千二十年度に六百兆円、二千二十四年度に七百兆円を上回るのは、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻すことで、中長期的に名目GDP成長率が三パーセント以上で推移する姿となっているためである。
六について
お尋ねの「国際社会にも公約した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、二千十年のG20トロント・サミット以降、国際会議の場で、二千二十年度の国・地方のプライマリーバランスの黒字化に向けてしっかりと努力をしていくということについて、国際社会に向けて表明をしてきたところである。
七について
「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」(以下「経済・財政再生計画」という。)においては、「集中改革期間における改革努力のメルクマールとして、二千十八年度(平成三十年度)のPB赤字の対GDP比▲一%程度を目安とする」こととしている。
その後、消費税率の再引上げを二千十九年十月に延期することとされたことから、中間評価に当たっては、こうした影響を踏まえる必要がある。
また、中間評価により、必要な場合は、デフレ脱却・経済再生を堅持する中で、歳出、歳入の追加措置等を検討していくこととなる。
八及び九について
我が国の財政は、極めて厳しい状況にあり、デフレ脱却・経済再生を図りつつ、その持続可能性を確保することが重要である。
これまでも、社会保障の改革を含め、徹底的な重点化、効率化など歳出削減にも取り組んできたところであり、この結果、社会保障関係費については、安倍内閣発足後の二千十三年度以降の五年間において、その実質的な伸びを年平均五千億円に抑えることができるなど、歳出改革の取組は着実に成果を上げている。
政府としては、御指摘の「二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化」に向けて、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、経済・財政再生計画に沿って、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を三本柱として、「経済・財政一体改革」に取り組んでまいりたい。
十について
政府としては、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、六百兆円経済の実現や二千二十年度の基礎的財政収支の黒字化の実現及び債務残高の対GDP比を中長期的に着実に引き下げていくことをいずれも目指している。
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