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北部訓練場の返還が過重な基地負担の軽減に繋がるとの政府説明の欺瞞に関する質問主意書
衆議院 第192回 第128号趣旨が明らかではない ×8承知していない ×1
質問本文
安倍内閣総理大臣は、今国会の所信表明演説において「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」ことや「北部訓練場のうち四千ヘクタールを返還し、ヘリパッドを既存の訓練場内に移設することで、確実に結果を出して沖縄の未来を切り拓く」ことを述べた。しかし、本職は、安倍総理が言うように本当に「北部訓練場の返還」が「沖縄の過重な基地負担の軽減」の「確実の結果」に繋がるのか、そしてそれにより「沖縄の未来が切り拓かれる」のか甚だ疑問を抱いている。むしろヘリパッドの移設は老朽化した施設を最新鋭の機種に対応できるように機能強化するためであり、また上陸訓練機能の新たな整備等のように使い勝手が良く、効率的な基地とすることであると考えている。
その証左が米海兵隊が二〇一三年にまとめた「戦略展望二〇二五」で明確に「使用不可能な訓練場を部分返還し、限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する」としていることであり、その結果、米軍は日本政府の負担でオスプレイが使える機能強化された基地を手に入れることができるようになるのである。
そこでお尋ねする。
一 安倍総理は「今回の返還が二十年越しである」と言うが、なぜ二十年余も返還に手間取ったのか、その理由を明らかにされたい。
二 安倍総理は「今回の北部訓練場の返還面積が四千ヘクタールで沖縄県内の米軍施設の約二割である」と言うが、これまで公表されている沖縄県内の米軍施設面積は二万三千百七十六.三ヘクタールであり、在日米軍専用施設面積は二万二千八百七.五ヘクタールである。これらのいずれの面積で除しても二割にならない。安倍総理の言う二割の根拠を明らかにされたい。
三 安倍総理は「〇.九六ヘクタールのヘリパッド」と言うが、その積算根拠を明らかにされたい。
四 質問三に関連して、安倍総理が言う「ヘリパッド」の定義と面積は極めて欺瞞に満ちており、矮小化している。本来「ヘリパッド」とは「着陸帯」やヘリが安全に離発着できるための「無障害物帯」、さらには着陸帯に繋がる「進入路」や「工事用道路」、ヘリパッドと国頭村宇嘉川河口部を結ぶ「訓練道」のそれぞれがあって成り立つものである。よってそれらの定義と面積について政府の承知するところを明らかにした上で、本職が指摘する「ヘリパッド」の構成要件について政府の見解を答えられたい。
五 質問三及び四に関連して、安倍総理が言う「ヘリパッド」に「着陸帯」は含まれるが、「無障害物帯」や「進入路」、「工事用道路」、「訓練道」が含まれていないのは如何なる理由か明らかにされたい。
六 安倍総理は「ヘリパッドを既存の訓練場内に移設する」というが、それでは返還する訓練場内にあるヘリパッドの数と面積、返還されない既存の訓練場内にある既存のヘリパッドの数と面積、新たに整備するヘリパッドの数と面積についてそれぞれ政府の承知するところを明らかにした上で、今回の移設が「基地負担の軽減」にどのように繋がっているか政府の見解を答えられたい。
七 安倍総理は「一つひとつ確実に結果を出す」と言うが、これまでの「結果を出した基地負担の軽減」について政府の承知するところを明らかにされたい。
八 安倍総理は「沖縄の未来を切り拓く」と言うが、それならばこれまでの「切り拓いた未来」について政府の承知するところを明らかにされたい。
九 安倍総理は「ヘリパッドを既存の訓練場内に移設する」とあたかも同じものを単に右から左に移設するが如く述べているが、移設前のヘリパッドと移設後のそれとの機能や規模、施設内容等について政府の承知するところを明らかにした上で、移設後のヘリパッドが海兵隊等の新型輸送機であるオスプレイに対応した新機能を備えたものであり、しかも規模もこれまでより拡大したものであることからすれば、訓練場の機能強化に他ならないという本職の見解について政府の見解を明らかにされたい。
十 本職は、今回の北部訓練場の再編の大きな目的の一つは、移設後のヘリパッドと国頭村宇嘉川河口部を結ぶ「訓練道」を新たに整備して、海からの上陸訓練とヘリパッドでのオスプレイの離発着訓練を同時に実施することを可能とし、空と海と陸が一体となった訓練を日常的に効率よく実施できるようにすることであると考えているが、政府の認識と見解を明らかにされたい。
十一 本職は、返還されない既存の訓練場内には既設のヘリパッドが十五カ所あり、同訓練場内に新たなヘリパッドが六カ所建設されれば、合計で二十一カ所のヘリパッドが北部訓練場内にあることになると承知している。これらのヘリパッドや訓練道を米軍がこれまでと同様にジャングル戦の演習・訓練のために自由勝手に使用したら、国の天然記念物であるノグチゲラを始めとする希少生物や絶滅危惧種、固有種がたちどころに絶滅の危機に陥り、またやんばるの森は徹底的に破壊されてしまうのではないか。
十二 質問十一に関連して、今回のヘリパッドの移設工事はまさに環境破壊そのものであり、自然保護への配慮は微塵も感じられないところである。政府は今回のヘリパッド建設工事による騒音被害や環境への負荷、影響をどのように考えているか。
十三 東村高江周辺の住民は、ヘリパッド建設がオスプレイの訓練激化に繋がり、これまで以上に騒音の悪化や住環境の破壊をもたらすものであり、人格権の侵害であるとして工事の差し止めを求める訴訟を提起した。政府は地域住民のこのような悲痛な訴えをどのように考えているか。
十四 米海兵隊が二〇一三年にまとめた「戦略展望二〇二五」は、米軍北部訓練場に関し「約五十一%の使用不可能な訓練場を日本政府に返還する」と記載されているが、米軍が使用不可能とした約五十一%の訓練場と今回部分返還する四千ヘクタールの関係及び使用不可能とした理由について政府の承知するところを明らかにした上で、本職は、米軍が使用不可能とした場合に限って返還されるならば「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」との安倍総理の所信表明は全くの虚言であり、米軍・米国政府頼みの方針であって、相も変わらずに米軍・米国政府に追従する姿勢を露わにしたものであると批判せざるを得ないが、本職のこのような批判に対する政府の見解を答えられたい。
十五 質問十四に関連して、米海兵隊の「戦略展望二〇二五」は「限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する」として「安波訓練場の閉鎖・土地の返還の代わりに、北部訓練場への新たな海岸線からのアクセス経路の提供を受けることで安波訓練場はリスクなく返還することが出来る」と記している。本職は、このような記述があるということは、米軍にとって今回の部分返還があくまでも「基地を安上がりに、しかも効率よく使い勝手の良いものとし、また老朽化した施設を最先端の施設に整備し直すための返還である」ことは明らかであると考える。よって、これらの記述について政府の承知するところを明らかにした上で、本職のこのような考えに対する政府の見解を答えられたい。
十六 政府はやんばるの国立公園指定と世界自然遺産登録への原点に立ち戻って、米軍の北部訓練場を含む全ての区域を「やんばるの森」として指定し直すとともに、改めて希少生物や絶滅危惧種の保護とやんばるの森の自然環境の保全に努めるべきではないか。
十七 本職は「戦争につながる一切の軍事基地の撤去」を求める立場であるが、「沖縄の過重な基地負担の軽減」を図るための当面の措置として、現在米軍任せとなっている返還地の決定に対して、地元の市町村や沖縄県からの要望のある土地をまず返還するという本来の方法に戻すべきであると考えるが、政府の見解を伺う。
右質問する。
政府答弁書
一について
お尋ねの「返還に手間取った」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北部訓練場の土地の返還については、平成八年十二月に発表された沖縄に関する特別行動委員会の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)を受け、米側と返還条件に関する協議をした結果、平成十一年四月の日米合同委員会において、返還される区域に所在するヘリコプター着陸帯七か所を同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、同訓練場の過半を返還することが合意された。また、ヘリコプター着陸帯の移設については、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、那覇防衛施設局(当時)が環境調査を平成十年十二月から自主的に実施した上で、その結果を踏まえ、平成十八年二月の日米合同委員会において、移設されるヘリコプター着陸帯の数を七か所から六か所に縮小等することについて合意された。その後、平成十九年七月から移設工事に着手したところであるが、当該工事に反対する人々によって、国の所有地である進入路等における車両の駐車、テント等の設置等の妨害行為が繰り返し行われ、その円滑な実施が阻害されてきたことから、いまだ当該工事を完了することができず、返還は実現していないところである。しかしながら、もはや返還の先送りは許されないものと考えている。
二について
御指摘の「約二割」については、北部訓練場の返還される区域の面積である約四千ヘクタールを平成二十八年三月三十一日時点における沖縄県内の日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条1(a)の規定に基づき我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)の使用に供している施設及び区域(以下「在日米軍施設・区域」という。)の面積である約二万二千六百ヘクタールで除して算出した割合である。
三について
お尋ねの「積算根拠」については、北部訓練場の過半の返還に関する日米合意においてその返還条件とされている直径四十五メートルの移設後のヘリコプター着陸帯六つの総面積である。
四及び五について
お尋ねの「定義」及び「構成要件」の意味するところが明らかではないが、お尋ねの「面積」については、移設後のヘリコプター着陸帯は約〇・九六ヘクタール、無障害物帯は約一・七〇ヘクタール、ヘリコプター着陸帯につながる進入路は約一・〇八ヘクタール、移設に係る工事用道路は約一・二三ヘクタール、移設工事の一環として現在補修を行っている、移設後のヘリコプター着陸帯と北部訓練場の水域までを結ぶ既存の通行路は約〇・三一ヘクタールである。
また、御指摘の「含まれる」及び「含まれていない」の意味するところが明らかではないが、安倍内閣総理大臣の所信表明演説における「ヘリパッド」は、SACO最終報告においてその移設が同訓練場の過半の返還条件とされているヘリコプター着陸帯を指すものである。
六及び九について
北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯の移設については、返還される区域に現在七か所あるヘリコプター着陸帯を移設後は六か所とし、また、当初、直径七十五メートルとすることで日米間で合意していた移設後のヘリコプター着陸帯の大きさを直径四十五メートルに変更したものである。また、お尋ねの「機能や規模、施設内容等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現在、同訓練場には二十二か所のヘリコプター着陸帯が存在し、そのうち返還される区域に七か所のヘリコプター着陸帯が存在することは承知しているが、移設前のヘリコプター着陸帯について、これ以上の詳細は承知していない。
同訓練場の過半の返還については、沖縄県内の在日米軍施設・区域の面積の約二割に当たる本土復帰後最大の返還であり、また、本件については、地元の国頭村や東村が、返還された跡地の有効活用策として国立公園の指定や世界自然遺産への登録を目指すとして、早期返還を要望しているものと承知しており、政府としては、沖縄の負担を軽減するものであると考えている。
また、同訓練場については、その過半に当たる約四千ヘクタールを返還するものであり、御指摘の「訓練場の機能強化」には当たらないと考えている。
七及び十七について
お尋ねの「結果を出した基地負担の軽減」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、戦後七十一年を経て、なお在日米軍施設・区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄県民の皆様にとって大きな負担となっているものと認識しており、沖縄の負担軽減を図るべく、これまで、西普天間住宅地区の返還、KC一三〇空中給油機の岩国飛行場への移駐、同県外での垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の訓練等の実施等について、取り組んできている。
また、お尋ねの「現在米軍任せとなっている返還地の決定に対して、地元の市町村や沖縄県からの要望のある土地をまず返還するという本来の方法に戻すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、地元の方々の要望を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、嘉手納飛行場以南の在日米軍施設・区域の返還、北部訓練場の過半の返還等を着実に進め、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。
八について
お尋ねの「これまでの「切り拓いた未来」」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、これまで様々な施策により、重要な国家戦略として、沖縄の振興に取り組んできたところである。
いずれにせよ、政府としては、戦後七十一年を経て、なお在日米軍施設・区域が沖縄県内に集中している現状は、沖縄県民の皆様にとって大きな負担となっているものと認識しており、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えである。
十について
北部訓練場については、ヘリコプター着陸帯を、返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、その過半を返還することとされていることから、政府としては、同訓練場の過半の返還を早期に実現し、地元の方々の負担の軽減を図るため、ヘリコプター着陸帯を移設する工事を進めているものである。御指摘の「訓練道」については、ヘリコプター着陸帯に附帯する施設として、同訓練場の水域に係る訓練や隊員の救助を支援する目的で使用されることとなる既存の通行路を補修するものであり、新たに整備するとの御指摘は当たらない。
十一及び十二について
北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業は、沖縄県環境影響評価条例(平成十二年沖縄県条例第七十七号)及び環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)の対象事業ではなく、同事業に係る環境影響評価については、法的に義務付けられているものではないが、政府としては、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、これを自主的に実施した上で同事業を進めているところである。また、移設するヘリコプター着陸帯の運用に伴う環境への影響については、事後調査において確認し、必要に応じて更なる環境保全措置を講ずるなど、適切に対応してまいりたい。
十三について
政府としては、沖縄県外でのMV二二の訓練等の実施等により、北部訓練場における訓練の回数は減少し得るものと考えている。また、同訓練場の周辺における航空機騒音については、政府として継続的な把握に努めており、これまで政府が承知している限りでは、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める基準値を下回っているところであるが、今後とも継続的に調査を行うとともに、更なる影響の軽減に努めていく考えである。いずれにせよ、同訓練場については、SACO最終報告において、ヘリコプター着陸帯を返還される区域から同訓練場の残余の部分に移設すること等を条件として、その過半を返還することとされており、その返還は、同県内の在日米軍施設・区域の面積の約二割に当たる本土復帰後最大の返還である。しかしながら、返還に関する日米合意から既に二十年が経過しているものの、いまだ返還は実現しておらず、もはや返還の先送りは許されないものと考えており、政府としては、沖縄の負担軽減のため、同訓練場の早期の返還を目指し、引き続き、着実に取組を進める必要があると考えている。
十四及び十五について
御指摘の「戦略展望二〇二五」については、米海兵隊の一部局が作成した文書と承知しており、その内容について、政府として逐一お答えすることは差し控えたいが、北部訓練場は返還される部分も含め、実際に在日米軍によって使用されてきており、返還される部分が在日米軍の訓練にとって使用不可能な施設であるとは認識していない。
政府としては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を図るべく、地元の方々の要望を踏まえ、普天間飛行場の移設・返還、嘉手納飛行場以南の在日米軍施設・区域の返還、同訓練場の過半の返還等を着実に進め、沖縄県民の皆様の気持ちに寄り添いながら、政府としてできることは全て行うとの姿勢で取り組んでいく考えであり、「米軍・米国政府頼みの方針であって、相も変わらずに米軍・米国政府に追従する姿勢を露わにしたものである」といった御指摘は当たらない。
十六について
お尋ねの「米軍の北部訓練場を含む全ての区域を「やんばるの森」として指定し直す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第五条第一項の規定に基づき国立公園に指定することを意味するのであれば、やんばる国立公園については、平成二十八年九月十五日に指定したところであり、北部訓練場の返還される区域については、地元の国頭村や東村が、国立公園への編入や世界自然遺産への登録を目指しているものと承知している。政府としては、こうした地元自治体からの要望も踏まえて、今後、国立公園への編入や世界自然遺産の早期登録が実現するよう努力するなど、地域の絶滅危惧種の保護をはじめとする自然環境の保全に努めてまいりたい。
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