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国際組織犯罪防止条約の留保付き批准に関する質問主意書

衆議院 第193回 第260号お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1

提出者
民進党・無所属クラブ
提出日
2017年4月25日
内閣転送 2017年5月8日
答弁書受領日
2017年5月12日
提出から17日
答弁の項目数
4
質問 1,422字/答弁 1,337字

質問本文

外務省はホームページ上で、国際組織犯罪対策に関連して、「米国の留保についての政府の考え方」として、「国際組織犯罪防止条約に関し、「米国は一部の州では極めて限定された共謀罪の法制しかないことを理由に留保を付して条約を批准している」との報道がなされたことがあります。この米国の留保についての政府の考え方は、以下の通りです」として、政府の見解(「本見解」という。)を示している。

これについて疑義があるので、以下質問する。

一 本見解は、現在も変更がないという理解でよいか。

二 本見解でいう「米国は連邦制をとっており、条約締結に当たり、憲法上の連邦と州との間の権限関係と整合性をもたせるとの観点から、留保・宣言を行っています」とは、具体的にどのような手続きがなされているのか。

三 本見解でいう、「米国政府より、本条約で犯罪化が求められている行為について、連邦法によっても州法によっても犯罪とされていない部分はほとんどないという回答」について、ほとんどないということは、全くないというわけではないと承知するが、具体的には、「本条約で犯罪化が求められている行為」にもかかわらず、「連邦法によっても州法によっても犯罪とされていない部分」はどの程度なのか。その「行為」の数について明示されたい。

四 政府は、国際組織犯罪防止条約は例外なく共謀罪(又は参加罪)の立法を要求していると考えているのか。

五 「本条約で犯罪化が求められている行為について、連邦法によっても州法によっても犯罪とされていない部分はほとんどない」状態であれば、留保付きでも国際組織犯罪防止条約を批准できるとすれば、わが国においても国際組織犯罪防止条約の対象犯罪について、個別にループ・ホール(処罰の抜け穴)をなくすような立法措置を行うことで、テロ等準備罪法案を成立させずとも、留保付きで国際組織犯罪防止条約を批准できるのではないか。

六 わが国の刑事法制では、既に共謀罪や広範な予備罪がある。例えば、爆発物取締罰則第四条は、爆発物取締罰則第一条の爆発物使用に関する共謀を処罰しており、銃砲刀剣類所持等取締法は、銃器の単純所持だけでも処罰される。これらは、その共謀共同正犯についても処罰が可能である。政府は、国際組織犯罪防止条約の批准に関して、現行法ではどのようなループ・ホールがあると考えているのか。具体的に示されたい。

七 国際組織犯罪防止条約第十六条7では、「犯罪人引渡しは、請求を受けた締約国の国内法に定める条件又は適用可能な犯罪人引渡条約に定める条件に従う。これらの条件には、特に、犯罪人引渡しのために最低限度必要とされる刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができる理由を含む」と示されており、死刑廃止国が死刑残置国に犯罪人引渡しを拒否することができる規定がある。わが国で多数の死傷者を発生させた爆弾テロなどの被疑者が死刑廃止国に逃亡し、現地の警察に身柄を拘束された場合、当該国は日本へのこの爆弾テロの被疑者引渡しを拒むことができる。テロ等準備罪法案の成立はテロ犯罪の防止のために不可欠であると言いつつも、国際組織犯罪防止条約第十六条7の規定を見る限りにおいても、テロ等準備罪法案がテロ対策に十分に機能するとは思われない。政府の見解を示されたい。

八 七の事案が生じた場合、政府は被疑者の引渡しを死刑廃止国にどのように求めていくのか。

右質問する。

衆議院の原文・経過

政府答弁書

一について

御指摘の外務省ホームページの記述において示された政府の見解に変更はない。

二及び三について

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではなく、また、米国の国内法制については、我が国として必ずしも網羅的にその詳細を承知しているわけではないことから、お答えすることは困難であるが、米国は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(以下「本条約」という。)の締結に際し、「アメリカ合衆国は、本条約が定める義務について、連邦制度という自国の基本原則に合致するような方法で引き受ける権利を留保する。連邦制度の下では、本条約の対象とする行為に関して連邦刑法及び州刑法の双方を考慮することが必要とされる。・・・純粋に地域的な性質を有する僅かな犯罪に関し、本条約が定める義務を満たす上で合衆国連邦刑法及び州刑法が完全には十分でない可能性のある状況を少数ながら想定し得る。そこで、アメリカ合衆国は、このような狭い範囲の極めて地域的な活動に関する限りにおいて、本条約が定める義務を留保する。」という趣旨の留保を行ったと承知している。

四から六までについて

御指摘の「個別にループ・ホール(処罰の抜け穴)をなくすような立法措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本条約第五条1は、犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪として、同条1(a)(�@)が規定する行為であって故意に行われたもの又は同条1(a)(�A)が規定する行為であって故意に行われたものの一方又は双方を犯罪とすることを義務付けているところ、我が国の現行の国内法制においては、同条1(a)(�A)に規定する行為が処罰の対象とはされておらず、また、ごく一部の罪に係るものを除き、同条1(a)(�@)に規定する行為も処罰の対象とはされていないことから、当該義務は担保されておらず、本条約を締結するためには、当該義務を誠実に履行するための法整備として、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)第六条の二の罪を設けることが必要であると考えている。

七及び八について

本条約第十六条7は、本条約に基づく犯罪人引渡しが、請求を受けた締約国の国内法に定める条件又は適用可能な犯罪人引渡条約に定める条件に従う旨並びにこれらの条件には犯罪人引渡しのために最低限度必要とされる刑に関する条件及び請求を受けた締約国が犯罪人引渡しを拒否することができる理由を含む旨を規定したものであり、御指摘のような「死刑廃止国が死刑残置国に犯罪人引渡しを拒否することができる規定」ではない。また、一般に、我が国が外国に対して逃亡犯罪人の引渡しを請求した場合における当該請求を受けた国の対応は、適用可能な条約の有無、当該国の法制度やその運用等にもよるものであり、一概に述べることは困難である。

いずれにせよ、我が国が本条約を締結した場合には、本条約の締約国から捜査共助等の刑事司法上の協力を得ることが可能となる範囲が拡大し、国際社会と協調してテロを含む組織犯罪と戦う上で、大きな意味があるものと考えている。

衆議院の原文

この答弁書に出てくる定型句

お答えすることは困難 ×2趣旨が明らかではない ×1

語の一致で数えたものです。答弁の評価ではありません。同じ型の答弁が過去にどれだけあるかは、型を押すと出ます。

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